JIS Z 4102:2005 医用X線管 | ページ 2

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Umax Umin
ΔU 100
Umax
ここに, ΔU : リプル百分率 (%)
Umax : 管電圧波形のピーク値
Umin : 管電圧波形の最低値(ただし,定電圧回路のスパイ
ク波形を除く。)
y) 公称陽極入力[最大入力](nominal anode input) 規定の負荷時間で指定(1)の使用条件における陽極入
力の最大許容値。使用条件とは,焦点の呼び,管電圧,管電圧波形,回転陽極X線管では陽極回転速
度などをいう。
z) ヒートユニット (heat unit) 線管の入力を表す特別の単位。ヒートユニット (heat unit) の単位記号
はHUとし,ヒートユニット値は,高電圧発生装置に従って,次の式によって求める。
なお,ここで用いる記号の意味は,次のとおりとする。
U : 管電圧 (kV)
I : 管電流 (mA)
t : 負荷時間 (s)
C : コンデンサ容量 (μF)
1) 1ピーク形又は2ピーク形回路の場合
HU値=U×I×t
1 s当たりのHU値=U×I
2) 12ピーク形回路又はこれと同等のリプル百分率をもつ回路の場合
HU値=U×I×t×1.35
1 s当たりのHU値=U×I×1.35
3) 定電圧又はインバータ回路の場合
HU値=U×I×t×1.41
1 s当たりのHU値=U×I×1.41
4) コンデンサ式の場合
HU値=0.71×C×(U12-U22)
ただし,U1は放電開始時,U2は放電終了時の管電圧を表す。
備考 HU値と他の単位との換算は,1 HUが0.71 Jに相当するとして行う。
aa) 等価陽極入力 (equivalent anode input power) 指定(1)した周囲条件下で連続的に負荷したとき,陽極
熱量をある規定の水準に持続する陽極入力の値。撮影定格に関しては,撮影定格における初期陽極熱
量を最も高い水準に持続する電力。
ab) 線管最大連続入力[長時間最大入力](long-time maximum input) 指定(1)された条件において,最
大陽極熱容量を超えない範囲で連続して加えることのできる陽極入力の最大値。
ac) 最大単発負荷定格[短時間最大入力](maximum single loading ratio) 指定(1)された条件において,陽
極入力と負荷時間の関係で決まる,1回の負荷に許されるX線管負荷の最大値。特別な指定(1)がない
限り,冷状態での値をいう。
備考 この規格では,冷状態を,陽極冷却曲線図において,陽極熱量がゼロのときの状態とする。
ad) 繰返し負荷定格 (X-ray tube repeatable maximum input) 指定(1)したX線管負荷条件に従う,連続し
た個々のX線管負荷の総和に対して陽極入力と負荷時間の関係によって与えられるX線管負荷の最大
許容値。

――――― [JIS Z 4102 pdf 6] ―――――

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ae) 陽極熱量 (anode heat content) 負荷中に蓄積するか又は負荷後に残留するX線管の陽極に含まれる
熱の瞬時値。
af) 最大陽極熱容量[陽極蓄積熱容量](maximum anode heat capacity) 許容される陽極熱量の最大値。
ag) 陽極加熱曲線 (anode heat up curve) 指定(1)した陽極入力に対して,陽極熱量を負荷時間の関数とし
て表した曲線。
ah) 陽極冷却曲線 (anode cooling curve) 陽極熱量が最大陽極熱容量と等しくなるまで負荷した後,陽極
入力がゼロの状態で,陽極熱量を時間の関数として表した曲線。
備考 この時間経過の中で,陽極熱量の減少する割合を陽極冷却率といい,その最大値を陽極最大冷
却率という。
ai) 定格陽極回転速度 (anode speed) 線管にその陽極入力を加えるときに必要とする陽極回転速度。
aj) 起動時間 (starting time) 指定(1)された条件において,陽極が静止状態から定格陽極回転速度に到達
するまでに要する時間。
ak) 制動時間 (braking time) 指定(1)された条件において,陽極が定格陽極回転速度から指定(1)された回
転速度に制動されるために要する時間。
al) 線放射角度 (X-ray radiation angle) 最大利用ビームの頂角。
am) 基準軸 (reference axis) 線管においては,焦点の中心を通る基準となる指定(1)された軸。
an) 基準面 (reference plane) 線管装置の実効焦点に関しては,基準軸が実焦点と交差する点を含み,
基準軸に垂直な面。
ao) 固有ろ過 (permanent filtration) 取外しできない物質による線質等価ろ過。固有ろ過は,指定(1)の管
電圧及び管電圧波形の基で,第1半価層に換算して同じ線質を与える参照物質の厚さで表す。
ap) ベース込みかぶり濃度 (film base plus fog density) 線装置の不変性試験のために,現像した管理フ
ィルムにおける光学的なX線写真濃度で感光計の光で露光されていない部分である(この定義は,JIS
Z 4752-2-1による。)。
aq) 正味濃度 (net optical density) ベース込みカブリ濃度を差し引いた正味の濃度。

4. 種類及び形名

4.1 種類

4.1.1  診断用X線管 診断用X線管の種類及び形名は,次による。
a) 固定陽極X線管 次の項目のそれぞれの組合せからなる。
1) 制御別 2極形,格子制御形
2) 焦点の数 単焦点形,多重焦点形
3) 焦点の呼び 2.5,2.0,1.5,1.0,0.8,0.6を標準とする。
b) 回転陽極X線管 次の項目のそれぞれの組合せからなる。
1) 制御別 2極形,格子制御形
2) 焦点の数 単焦点形,多重焦点形
3) 焦点の呼び 2.0,1.5,1.2,1.0,0.8,0.6,0.3,0.2,0.1を標準とする。
4) 陽極回転速度 普通回転形,高速回転形
備考1. 診断用X線管には,特殊用途のX線管が含まれる。したがって,特に必要な場合は,用途を
限定した種類として,それらを個々に引用してもよい。
例 乳房撮影用X線管,立体撮影用X線管など。

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備考2. 陽極回転速度のうち,ここに示す普通回転とは,電源(商用)の周波数50 Hz又は60 Hzの
ステータ電源によって駆動される回転速度をいい,定常状態50 Hzでは2 700 min-1[{rpm}] 以
上,60 Hzでは3 200 min-1[{rpm}] 以上とする。高速回転とは,電源の駆動周波数が商用周波
数の60 Hzを超えるものとする。
4.1.2 医用X線CT用X線管 医用X線CT用X線管の種類及び形名は,次による。
a) 固定陽極医用X線CT用X線管 次の項目のそれぞれの組合せからなる。
1) 制御別 2極形,格子制御形
2) 焦点の数 単焦点形,多重焦点形
3) 焦点の呼び 2.0,1.5,1.2,1.0,0.8,0.6を標準とする。
b) 回転陽極医用X線CT用X線管 次の項目のそれぞれの組合せからなる。
1) 制御別 2極形,格子制御形
2) 焦点の数 単焦点形,多重焦点形
3) 焦点の呼び 2.0,1.5,1.2,1.0,0.8,0.6を標準とする。
4) 陽極回転速度 普通回転形,高速回転形
備考 普通回転形及び高速回転形は,4.1.1 b) 4) 備考2. による。
4.1.3 治療用X線管 治療用X線管の種類及び形名は,次による。
a) 深部治療用X線管 最高使用管電圧によって分類する。
例 200 kV用,250 kV用
b) 表在治療用X線管 最高使用管電圧及び放射口ろ過材によって分類する。
1) 最高使用管電圧
例 10 kV用,25 kV用,50 kV用
2) 放射口ろ過材
例 ベリリウム

4.2 形名

 形名は,種類によって構成し,次に示す文字と数字との組合せで表す。
1項 2項 3項―4項 5項
“文字” “文字” “数字―数字” “文字”
各項の文字と数字とは,次のとおりとする。
a) 1項は,X線管の用途別によって表1のように表す。
b) 2項は,X線管の構造によって表2のように表す。ただし,格子制御形は,コンデンサ式X線高電圧
装置に組み合わせて使用するものを表す。立体撮影形は,格子制御形の立体撮影形X線管を含む。
回転陽極形多重焦点X線管については,Fを省略する。
表 1 形名の用途による分類
用途による分類 1項の文字
診断用固定陽極X線管 D
診断用回転陽極X線管 R
医用X線CT用固定陽極X線管 C
医用X線CT用回転陽極X線管 K
治療用X線管 T

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表 2 形名の構造による分類
構造による分類 2項の文字
多重焦点形 F
格子制御形 G
立体撮影形 S
c) 3項は,公称最高管電圧をキロボルト (kV) で表した値。
d) 4項は,診断用では,それぞれの焦点における公称陽極入力[3. y) 参照及び5.1 n) 参照]をキロワッ
ト (kW) で表した値で,治療用では,それぞれの焦点におけるX線管最大連続入力[3. ab) 参照及び
5.1 o) 参照]をワット (W) で表した値。
e) 5項は,X線管の窓材によって次の文字で表す。ただし,窓材が普通ガラスのものは省略する。
ベリリウム窓をもつもの B
備考 形名の記載例 格子制御形回転陽極X線管で,ベリリウム窓をもち,公称最高管電圧80 kV,
小焦点と大焦点の公称陽極入力がそれぞれ20 kW,50 kWの場合,RG80−20/50B

5. 定格

5.1 診断用X線管

 定格は,次の項目の材料,数値などで示す。X線管の種類によって,関係のない事
項は省略してもよい。
備考 単位W,Jに対してはHU/s,HUのそれぞれの値を併記してもよい。
a) 焦点の呼び及び基準軸 焦点の呼びは,幅×長さの寸法で示す。
備考 幅と長さの呼びが同じ場合は,その一方で示してもよい。
基準軸は,附属文書の外形図中に示す。
b) ターゲット材質
c) ターゲット角度 (°)
d) 公称最高管電圧 (kV)
e) 公称最高充電電圧 (kV)
f) 公称最高逆電圧 (kV)
g) 公称最高陽極・接地間電圧 (kV)
h) 公称最高陽極・接地間逆電圧 (kV)
i) 公称最高陰極・接地間電圧 (kV)
j) 公称最高陰極・接地間逆電圧 (kV)
k) 最高フィラメント格子間電圧 (V)
l) 管電流遮断格子電圧 (V)
備考 フィラメントに対する電位差
m) フィラメント加熱
1) 最大フィラメント電流 (A)
2) 最高フィラメント電圧 (V)
備考 ここに示す最高フィラメント電圧は,最大フィラメント電流におけるフィラメント電圧の最大
値である。
n) 公称陽極入力 (kW)
備考 回転陽極X線管では0.1 s,固定陽極X線管では1 sの陽極入力の許容最大値を示す。

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o) 線管最大連続入力 (W)
p) 最大単発負荷定格
q) 最大陽極熱容量 (J)
r) 陽極加熱曲線
備考 陽極入力 (W) をパラメータとして陽極熱量 (J) を負荷時間(s又はmin)の関数として曲線で
示す。
s) 陽極冷却曲線
備考 陽極入力 (W) がゼロの状態で,陽極熱量 (J) を時間(s又はmin)の関数として曲線で示す。
t) 陽極最大冷却率 (W)
u) 定格陽極回転速度 (min-1) [{rpm}]
v) 起動時間 (s)
w) 制動時間 (s)
x) 線放射角度 (°)
y) 固有ろ過 (mmCu,mmAl,mmBe)
1) 主に診断に使用される公称最高管電圧が150 kV以下のX線管ではアルミニウム,150 kVを超える
X線管では銅の厚さで示す。
2) 線管の窓部分がベリリウムだけからなるX線管では,ベリリウム又はアルミニウムの厚さで示す。
z) 冷却方式
aa) 質量 (kg)

5.2 医用X線CT用X線管

 定格は,診断用X線管の定格を適用する。

5.3 治療用X線管

 定格は,次の項目の材料,数値などで示す。X線管の種類によって,関係のない事
項は省略してもよい。
a) ターゲット材質
b) ターゲット角度 (°)
c) 公称最高管電圧 (kV)
d) 公称最高逆電圧 (kV)
e) 公称最高陽極・接地間電圧 (kV)
f) 公称最高陽極・接地間逆電圧 (kV)
g) 公称最高陰極・接地間電圧 (kV)
h) 公称最高陰極・接地間逆電圧 (kV)
i) 公称最高管電圧における最大管電流 (mA)
j) フィラメント加熱
1) 最大フィラメント電流 (A)
2) 最高フィラメント電圧 (V)
備考 ここに示す最高フィラメント電圧は,最大フィラメント電流におけるフィラメント電圧の最大
値である。
k) 線放射角度 (°)
l) 固有ろ過 (mmCu,mmBe,mmAl)
1) 主に治療に使用される公称最高管電圧が150 kV以上400 kV以下のX線管では,銅の厚さで示す。
2) 線管の窓部分がベリリウムだけからなるX線管では,ベリリウム又はアルミニウムの厚さで示す。

――――― [JIS Z 4102 pdf 10] ―――――

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JIS Z 4102:2005の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60336:1993(MOD)
  • IEC 60601-2-28:1993(MOD)
  • IEC 60613:1989(MOD)

JIS Z 4102:2005の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4102:2005の関連規格と引用規格一覧