JIS Z 4752-3-1:2004 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法―第3-1部:受入試験―診断用X線装置 | ページ 3

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半価層簡易測定は図1の配置で,減弱板なしで行ってもよい。正常な使用の範囲内のX線条件で,適切
な管電圧値でX線装置を動作させ,第一半価層を測定する。この試験条件はIEC 60522に完全には合致し
ていないので,この試験結果は総ろ過の換算値にしかならない。
適合性は,仕様に基づく総ろ過の適合,又はJISZ 4701要求事項に基づく半価層の適合のいずれかを明
記する。

5.4 *X線管の焦点

5.4.1 要求事項 規定された公称焦点値(実効焦点寸法)に対して実際の焦点寸法はIEC 60336で指定し
た寸法に適合していなければならない。追加仕様に,例えば,寸法,基準軸の方向又はX線条件に関して,
試験方法を規定しているだけならば,この規格の範囲内で試験を行うことを条件とする。
5.4.2 試験方法 IEC 60336に規定された公称焦点値に対する実焦点寸法の適合性は,製造業者によって
確認されなければならない。
備考 スリットカメラ,ピンホールカメラ,スターパターン評価及び試験器具画像すべてのフーリエ
変換による焦点測定手法は,寸法及び解像度に関して異なる結果を生じる。標準の焦点測定法
は,指定した投影条件及び光学的濃度におけるスリットカメラによる方法がIEC 60336で指定
されている。

5.5 *X線ビーム範囲の制限及び表示

5.5.1 実際のX線照射野寸法及び記載標示の精度
5.5.1.1 要求事項 実際のX線照射野寸法は,指定した許容差以内で機器表示に適合しなければならない。
5.5.1.2 試験方法 適合性を,X線装置の検査及び附属文書の検査によって確認する。正常な使用が可能
なように及び通常用いるX線ビーム角に,照射野限定システムの表示設定を選択して,X線照射野の寸法
及び焦点受像器間距離を測定する。同等の結果が得られるなら,ここでの記述と異なるほかの試験手順を
用いてもよい。その用いられた設定に対して,焦点受像器間距離は,機器に表示又は附属文書に記載され
た値を用いる。測定は,図2に示す配置で,減弱板なしで,X線照射野の中心に位置するように,撮影用
カセッテをトレイの中又は患者支持器上において行う。2種の照射野寸法,例えば,18 cm×24 cm及び24
cm×30 cmのX線像を撮影用フィルムの光学的濃度D=0.52.0であるX線条件で撮影する。現像した撮
影用フィルムでX線照射野寸法を測定し,X線装置上の表示値とのずれを記録する。撮影用カセッテを患
者支持器上で照射した場合には,この照射野寸法をそのカセッテトレイの位置相応に補正しなければなら
ない。測定したX線照射野寸法と表示値とのずれは指定した許容差以内でなければならない。
5.5.2 光照射野表示器による表示の精度
5.5.2.1 要求事項 光照射野とX線照射野との表示のずれは,指定した許容差に適合しなければならない。
5.5.2.2 試験方法 撮影用カセッテ,例えば,24 cm×30 cmを患者支持器上でX線照射野の中心に置き,
手動で光照射野を,例えば,18 cm×24 cmで設定する。光照射野の四隅にX線を通さない標示物質,例え
ば,金属線を置いて印を付ける。撮影用フィルムの光学的濃度D=0.52.0であるX線条件を選択する。
現像した撮影用フィルムでX線照射野の範囲を求め,光照射野表示とのずれを測定する。図5において,
測定したずれを一辺はa1及びa2,もう一辺をb1及びb2で記す。焦点から光照射野面までの距離をrLと
すると,適合には,次式が成立する。
|a1|+|a2|≦X×rL
|b1|+|b2|≦X×rL
ここに, X : 指定した許容差
5.5.3 放射自動調整機構の付いた場合のX線照射野と受像面との一致

――――― [JIS Z 4752-3-1 pdf 11] ―――――

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5.5.3.1 要求事項 X線照射野の周辺とそれに対応する受像面の周辺とのずれは,指定した許容差以内で
なければならない。
5.5.3.2 試験方法 機器の検査,取扱説明書の検査及びX線照射野の測定を実施することで,関連する要
求事項との適合性を点検する。試験中に生じる自動調整機構のどのような調整動作も,少なくとも5 s以
内に完了させる。この試験では,2種のカセッテ寸法,例えば,18 cm×24 cm及び24 cm×30 cmを用いる。
図2の配置で減弱板なしで測定する。増感紙をはっていない撮影用カセッテ又は遮光包装した撮影用フィ
ルムを患者支持器上に置く。それからフィルムを入れた撮影用カセッテをカセッテホルダに装着する。自
動照射野限定器のX線照射野寸法を,撮影用カセッテの規格寸法に自動的に合わせる。撮影フィルムの光
学的濃度D=0.52.0であるX線条件を選択する。現像した撮影用フィルム上のX線照射野範囲及び受像
面のずれを測定する。図6に示すように受像器面で測定したずれを一辺ではc1及びc2,そしてもう一辺
ではd1及びd2で示す。焦点受像器間距離をrBとすると,適合には次式が成立する。
|c1|+|c2|≦X×rB
|d1|+|d2|≦Y×rB
|c1|+|c2|+|d1|+|d2|≦Z×rB
ここに, Y及びZ : 指定した許容差
備考 もし要求事項を満たしているなら,そのX線装置は,X線照射野の枠の要求事項に適合してい
る。

5.6 *透過(空気)カーマ又は放射線出力の直線性及び再現性

5.6.1 要求事項 次の要求事項は,いずれか一方[透過(空気)カーマ又は放射線出力]を適用する。管
電流時間積に対する透過(空気)カーマの直線性及び再現性は指定した許容差又は値に適合していなけれ
ばならない。規定の管電圧設定で規定の距離において,管電流時間積当たりの放射線出力及び透過(空気)
カーマを,各焦点に対する管電流選択で変化させないことが望ましい。もし透過(空気)カーマ指標TKi
が,指定した管電圧で限定されるなら,その値は,指定した値及び許容差に適合しなければならない。放
射線出力は指定した値及び許容差に適合しなければならない。
5.6.2 試験方法 図1の配置で減弱板を入れて測定する。透過(空気)カーマの直線性及び再現性を,管
電圧の規定の値で管電流時間積(管電流時間積当たりの空気カーマ)と一緒に測定する。カーマ測定器の
検出器は,減弱板の後方で十分な距離を取ってX線ビーム中に置かなければならない。次の設定で空気カ
ーマを測定する。
a) 管電圧は約80 kV(又は指定した値)及び負荷時間は約0.1 sで,最小値及び最大値を含んだ少なくと
も5点の管電流値で測定する。
b) 同じ管電圧値を選択して,使用可能な負荷時間の最小値及び最大値における低管電流値で空気カーマ
を測定する。
c) 管電流時間積及び管電圧の規定の組合せで少なくとも5回の測定を行う。
放射線出力の場合には,上記測定を減弱板なしの一次ビームで行う。
備考1. 試験に用いる指定したX線条件の組合せは数に制限があるが,多くの場合,経験的に適切に
選択する。
2. 試験ではX線管装置の最大定格を超えないことが望ましい。
結果を次のように評価する。

――――― [JIS Z 4752-3-1 pdf 12] ―――――

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− 指定しているならばa)及びb)に関して,偏差及び透過(空気)カーマ指標TKiを計算する。
− c)は平均値及び最大偏差を計算する。
透過(空気)カーマ指標TKiの計算は,次式を用いる。
2
rT
TKi KT 2
Qa
ここに, K :
T 透過(空気)カーマ
TK :
i 透過(空気)カーマ指標
Tr : 焦点測定面間距離
Q :
a 指示された管電流時間積(mAs)
結果を指定した値及び許容差と比較する。

5.7 *患者X線受像器間の器具の減弱比

5.7.1 要求事項 患者X線受像器間の器具の減弱比TRは,指定した値を超えてはならない。
5.7.2 試験方法 受け入れた部品が注文したものか確認する(例えば,散乱X線除去用グリッド形式)。
減弱比TRは,図1の配置で指定した管電圧範囲(例えば,80 kV)及び減弱比(例えば,25 mmのアルミ
ニウム)を入れて測定する。その測定は,ナロービーム条件で行うことが望ましい。もし可能ならば透過
(空気)カーマ[透過(空気)カーマ率]K(
T
KT 及びX線受像器空気カーマ(空気カーマ率)
K(
B
KB
を測定する。次に減弱比を計算する。
2
KT rT
TR 2
KB rB
ここに, K及び
T 患者支持器上及び下での空気カーマ
K : B
Tr及びRr : 焦点からのそれぞれの距離
これらの測定結果を指定した値と比較する。

5.8 *自動露出制御(AEC)

5.8.1 自動露出制御での公称最短撮影時間
5.8.1.1 要求事項 公称最短撮影時間(JIS Z 4702参照)を附属文書に,試験条件とともに指定しなけれ
ばならない。
5.8.2 *自動露出制御の作動
5.8.2.1 要求事項 自動露出制御の調整を,通常では,撮影用フィルム,増感紙及びフィルム現像機の製
造業者の情報提示をもとに据付エンジニアが使用者と協議して実施する。両者(据付エンジニア及び使用
者)は,試験成績書に署名することが望ましい。この試験成績書が用意されない場合には,次の試験が適
用可能である。自動露出制御は,次の条件で指定した許容差以内で動作しなければならない。
a) 指定したファントム(例えば,水)及び指定したX線受像器(例えば,フィルム-増感紙システム)
で,指定した管電圧において自動露出制御を用いた照射では,光学的濃度が指定した範囲内でなけれ
ばならない。
b) 指定したファントム厚及び管電圧の変化において,指定したフィルム-増感紙システム及び指定した術
式選択(例えば,散乱X線除去用グリッドの有/無)では,光学的濃度が指定した範囲内でなければ
ならない。
c) 隣接する補正ステップは,指定したフィルム-増感紙システムでは,空気カーマ値,X線条件又は光学
的濃度が指定した許容差以内の変化でなくてはならない。

――――― [JIS Z 4752-3-1 pdf 13] ―――――

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5.8.2.2 試験方法
5.8.2.2.1 管電圧及びファントム厚の変化に対する光学的濃度の安定性(撮影用フィルム法) 自動露出
制御が,試験で用いる指定したフィルム-増感紙システム用に設定済であることを点検する。
図1の配置で患者支持器上にファントムを置いて測定を行う。
基準厚さとして15 cmの水ファントムを用いる。4.5.4参照。
各測定に対し,同種の撮影用カセッテ(例えば,24 cm×30 cm),同種の撮影用フィルム及び同種の増感
紙を用いる。
試験に用いるフィルム-増感紙システムは,医療業務で用いるものと同種でなければならない。
フィルム現像の特性試験をこれらの試験の前に行わなければならない。4.1参照。
フィルム現像は,通常の一般的な状態(例えば,感度,コントラスト,アーチファクト除去などに関し
て)。にしなければならない。
80 kVを選択する。
自動露出制御での線量レベル及び濃度補正を説明書に従って調整する。
基準条件で,自動露出制御を用いて,基本のX線像を撮影する。
撮影用フィルムの現像後,濃度計で撮影用フィルムの指定した部分の光学的濃度Dを測定する。
もし,光学的濃度が使用者の期待に合えば,同じ管電圧で,指定した範囲にわたって異なるファントム
厚に対して補正されるかを調べる。
10 cm及び20 cmの水ファントムに対しこの試験を繰り返す。
もし,自動露出制御が80 kVで仕様に適合すれば,別の撮影用フィルムを使って,管電圧の変化が光学
的濃度に与える影響を調べる。
指定した最低及び最高管電圧を用いる。
検出野の組合せによる光学的濃度Dの安定性は,基準ファントム厚で点検してもよい。
備考1. 自動露出制御が複数のセンサ領域(検出野)をもつ場合にはすべてのセンサ領域が同じ感度
で,同じ光学的濃度をもたらすとは限らない。これはX線像に関して指定した解剖学的な関
心領域に依存する(取扱説明書参照)。
2. ファントムの材質として,水以外,例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた場
合には,光学的濃度及び空気カーマの絶対値は水ファントムの値とは異なる。
5.8.2.2.2 自動露出制御の再現性試験(カーマ測定器法) 図1と同じ配置で,自動露出制御の設定条件,
例えば,そのフィルム−増感紙システムに適した濃度補正ステップ及び線量ステップの適用可能範囲の標
準単位で,空気カ-マの測定を行う。
カーマ測定器の検出器をX線ビーム中に置く。一つのセンサを選択する(通常,中央のセンサ)。5回測
定を行い,再現性を計算する。これらの測定結果を指定した値と比較する。
5.8.3 バックアップタイマ及び安全遮断器
5.8.3.1 要求事項 バックアップタイマは,指定したX線管負荷又は負荷時間に達したとき,照射を終了
しなければならない。安全遮断器が存在する場合には,バックアップタイマの試験を分離して実施しては
ならない。
5.8.3.2 試験方法 自動露出制御のセンサを,最低厚さ2 mmの鉛で覆い,管電圧(例えば,約60 kVの
低い値)の指定した設定値で,自動露出制御モードでX線装置を操作する。X線管負荷又は負荷時間を記
録し,指定した値と比較する。
備考 動作不良のバックアップタイマは,過大なX線管負荷をもたらし,X線管に損傷を与えること

――――― [JIS Z 4752-3-1 pdf 14] ―――――

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がある。操作者は,このことに注意することが望ましい。

5.9 直接撮影でのラインペア解像度

    備考 ここでは,要求事項及び試験方法はない。なぜなら,ラインペア解像度は,焦点寸法(5.4参照)
及び測定する配置のどちらかによって決定するか又は用いるフィルム-増感紙システムの特性
で制限されるからである。

5.10 *面積空気カーマ積表示器

5.10.1 要求事項 表示された面積空気カーマ積は,指定された許容差を満足しなければならない。
5.10.2 試験方法 図1の配置で測定を行う。X線撮影法で,X線照射野寸法を測定する。撮影用カセッテ
(例えば,18 cm×24 cm)をX線照射野の中心に置く。照射野寸法を約15 cm×15 cmに絞る。光学的濃度
D=0.52.0となるX線条件を選択する。現像した撮影用フィルムで照射野寸法を測定する。次に,減弱
板を取り除き,カーマ測定器の検出器を撮影用カセッテと同じ位置に置き,同じ照射野でX線照射する。
撮影用フィルムで測定したX線照射野寸法値の積及び測定した空気カーマを面積空気カーマ積の指示値と
比較する。

6. 透視機器の試験方法

6.1 目視及び機能試験

6.1.1 要求事項 適用可能ならば5.1.1の要求事項による。
6.1.2 試験方法 適用可能ならば5.1.2の試験方法による。

6.2 管電圧

6.2.1 要求事項 減弱板/ファントムをX線ビーム内に置くとき,管電圧値を,自動露出制御(AERC)
で制御する。操作卓での表示値は,指定した許容差以内の測定値に適合しなければならない。
6.2.2 試験方法 自動露出率制御は高電圧測定装置の検出器に影響を受けることがある。それゆえ減弱板
/ファントムを最初に,図1に示す配置でX線ビーム中に置く。そして自動露出率制御によって制御され
たX線条件の値を記録する。これらの値を“ロックイン”ボタン(参考 Lock-in button : X線条件を一時
的に保持するスイッチ)によって記憶する。もしも“ロックイン”ボタンがなく,かつ,これらの値を手
動で選択できない場合には,注文書に試験手順を指定しなければならない。高電圧測定装置の検出器をX
線ビーム中に置き,管電圧を測定する。測定結果を制御盤の指示値と比較する。
備考 X線I.I.-テレビジョンシステムを用いる最近の透視システムは,自動露出率制御を備えている。
この制御システムは管電圧,管電流又は管電圧/管電流の組合せによって制御するようになっ
ている。個々のX線条件の分離した測定は,接続形測定によってだけ可能である。

6.3 総ろ過

6.3.1 要求事項 5.3.1の要求事項を適用する。
6.3.2 試験方法 5.3.2の試験方法を適用する。

6.4 X線管の焦点

6.4.1 要求事項 5.4.1の要求事項を適用する。
6.4.2 試験方法 5.4.2の試験方法を適用する。

6.5 自動露出率制御(AERC)の機能

6.5.1 要求事項 自動露出率制御は指定したとおりに機能しなければならない。
備考 自動露出率制御(AERC)は,X線条件を制御することによって,被試験対象のX線吸収とは
関係なく,一定の平均した画像輝度を保つものである。この機能は,テレビ系の自動輝度調整

――――― [JIS Z 4752-3-1 pdf 15] ―――――

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JIS Z 4752-3-1:2004の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61223-3-1:1999(IDT)

JIS Z 4752-3-1:2004の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4752-3-1:2004の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称