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Z 4752-3-5 : 2021 (IEC 61223-3-5 : 2019)
正確な線量プロファイルの試験及び評価は,特殊な試験対象物及び測定ツールを要求しており,その試
験の結果は,試験設定のばらつきによって望まない変動が生じる場合がある。
CTDIfree air及び/又はCTDIwが仕様を満たしている場合,線量プロファイルは仕様を満たす可能性が高
いため,線量プロファイル試験は必要な受入試験及び不変性試験に含めなかった。
この箇条で記載している試験は,完全な受入試験又は不変性試験のために必要とは認められない。
次の附属書(参考)には,これらのうちの幾つかの試験に関する情報を含んでいる。
− 低コントラスト分解能(附属書A参照)
− 線量プロファイル(附属書B参照)
− 架台チルト(附属書C参照)
− z軸方向の空間分解能の特徴(附属書D参照)
− ヘリカルスキャンの再構成スライス厚(附属書E参照)
− 自動露出制御(附属書G参照)
4.5 測定機器
受入試験及び不変性試験で用いる測定機器は,校正済みであることを保証しなければならない。測定機
器による誤差は,測定(値)に影響しない程度に小さくなければならない。
4.6 主要な保守作業後に取るべき処置
この文書で要求する受入試験に対応した主要な保守作業の一覧表を附属文書に含めなければならない。
4.7 基礎値の設定
不変性試験で用いる試験項目に対する基礎値は,受入試験を行う場合,又は,最初の臨床使用前に追加
の試験を実施した場合に設定しなければならない。不変性試験では,基礎値を設定するために用いたもの
と同じ手順及び試験機器を用いなければならない。同一の試験機器が利用可能でない場合は,類似の機器
を用いてもよい。
次のいずれかの場合は,新しい基礎値を設定しなければならない。
− 新しいCT装置の使用開始
− 設置されたCT装置への主要な保守作業の実施
− CT装置及び附属品の中で,画質又は線量に対する試験結果の重大なばらつきの原因となる部品の変
更
− 測定結果に影響する可能性がある試験機器の変更
− 測定値が,製造業者の仕様(5.4.6.1)の範囲内ではあるが,X線管装置の経年劣化によるCTDIfree air
又はCTDIwの不変性試験での不合格
その他の手順及び試験機器を用いる場合,使用者は,それらがこの規格に規定した手順及び試験機器に
対して妥当であることを確認しなければならない。
4.8 不変性試験の頻度
不変性試験は,それぞれの試験項目に対して明示された頻度で実施しなければならない。不変性試験の
頻度は,装置の使用頻度,保守計画,環境条件,認定者の予定及び現地の規制を考慮することが望ましい。
さらに,次の場合にも実施することが望ましい。
− 故障が疑われるとき
− CT装置の試験対象となる性能パラメータに影響すると考えられる保守を行った後
− 不変性試験の結果が設定基準から超えた場合
参考として,附属書J(参考)には,箇条5で規定している受入試験及び不変性試験項目,対応してい
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る受入及び不変性基準,並びに頻度についてまとめた表を含んでいる。
5 CT装置の試験方法
5.1 患者支持器(天板)の位置決め
5.1.1 概要
患者支持器の精度には,長手(体軸又は図1のz軸)方向の位置決め及びバックラッシュの両方を含む。
長手方向の患者支持器の位置精度は,患者支持器を一方向に定めた距離を移動させ,その移動距離を確
認することによって評価する。
患者支持器を一方向に移動し,初期位置へ戻したときの精度を,バックラッシュという。
5.1.2 試験機器
患者支持器の可動部分に隣接する固定部分の位置に少なくとも60 cm長で1 mm間隔の目盛付きの定規
を取り付ける。
精度を確認してある場合は,フィルム,レーザ又は画像に基づいた方法のような代替となる方法を用い
てもよい。より正確な精度を提供する代替となる方法がある場合は,その方法を用いることが望ましい。
5.1.3 試験手順
患者支持器に70 kg135 kgの適切に分配した(例 人体を模擬)人体相当の負荷をかけた状態で,試
験を実施しなければならない。
患者支持器の可動部分に適切な印を付け,その近くの固定部分に取り付けた定規にも印を付ける。
患者支持器をCT装置の表示器の表示に対して少なくとも30 cmまで外向きに引き出し,そのときの移
動距離Lforを測定する(二つの印の間の距離)。
患者支持器をCT装置の表示器に表示した初期位置まで戻し,二つの印の間の距離Bforを測定する。
次に反対方向へ同じ距離を移動させ, Lback及びBbackに相当する印の間の距離を測定する。
次に,患者支持器を約1 cmずつ総移動距離が30 cmの距離まで外向きに移動するアキシャルスキャンの
代表的なCT作動条件で,ステップ移動による試験を実施し,Lforを測定及び記録する。
その後,患者支持器を最初の表示位置に同じ方法で戻し,Bforを測定及び記録する。さらに,同じ方法
での移動を反対側の方向にも繰り返し,Lback及びBbackを測定及び記録する。
5.1.4 データの評価
5.1.4.1 患者支持器の長手方向の位置決め
長手方向の移動距離Lfor及びLbackを,CT装置上に印を付けた距離と比較する。
5.1.4.2 患者支持器のバックラッシュ
測定距離Bfor及びBbackは,バックラッシュ値である。
5.1.4.3 CT作動条件下での患者支持器のステップ送り
長手方向の位置決め評価及びバックラッシュ評価を繰り返さなければならない(5.1.3参照)。
5.1.5 適用する基準
5.1.5.1 患者支持器の長手方向の位置決め
Lfor及びLbackは,CT装置に表示された距離から,±1 mmを超えてはならない。
5.1.5.2 患者支持器のバックラッシュ
Bfor及びBbackは,±1 mmを超えてはならない。
5.1.5.3 CT作動条件下での患者支持器のステップ送り
5.1.5.1及び5.1.5.2の基準を適用しなければならない。
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5.1.6 不変性試験
5.1.6.1 追加の基準
追加の基準はない。
5.1.6.2 試験の頻度
患者支持器の位置決めの試験は,少なくとも1年に1回実施することが望ましい。しかし,使用頻度の
高い装置においては,施設の品質保証計画において,高い頻度を規定してもよい。
5.1.6.3 取るべき処置
取るべき処置の指針(ガイダンス)を,附属書Fに示す。
5.2 患者位置決め精度
5.2.1 アキシャル面の患者位置決め精度
5.2.1.1 概要
アキシャル面の患者位置決め基準(光マーカ)とスキャン面との相関を,薄い吸収体を位置決めし,撮
影することによって試験する。
5.2.1.2 試験機器
試験器具は,薄い吸収体を含まなければならない。例えば,1 mm径以下の金属線。
5.2.1.3 試験手順
5.2.1.3.1 スキャン面を示す内側の患者位置決め基準(光マーカ)の試験手順(可能な場合)
スライス面と平行に内側の光マーカの中心に,試験器具を配置しなければならない。光マーカの中心を,
少なくとも±3 mmの範囲にわたって,画像を撮影しなければならない。試験条件は,1 mm以下の間隔で
画像再構成した画像とともに,最も薄い再構成スライス厚を用いなければならない。
CT装置が,更に別の方法で患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段を提示する場合は,その
代替試験方法の妥当性を確認した後に,この細分箇条で規定した方法に代用してもよい。
5.2.1.3.2 外側の患者位置決め基準の試験手順(可能な場合)
スライス面と平行に外側の光マーカの中心にして,試験器具を配置しなければならない。CT装置は,
自動的に試験器具をスキャン面に動かさなければならない。光マーカを中心とし,少なくとも±3 mmの
範囲にわたって,画像を撮影しなければならない。試験条件は,1 mm以下の間隔で画像再構成された画
像とともに,最も薄い画像再構成スライス厚を用いなければならない。
CT装置が,更に別の方法で患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段を提示する場合は,その
代替試験方法の妥当性を確認した後に,この細分箇条で規定した方法に代用してもよい。
5.2.1.3.3 スキャン投影画像(プレビュー画像)を用いたスライス面の自動位置決め試験手順
CT装置のX軸と平行に,試験器具を患者支持器(天板)上に配置する。AP方向(Antero-Posterior方向)
にプレビュー画像を撮影しなければならない。プレビュー画像中の試験器具の位置にスライスの中心を正
確に合わせなければならない。CT装置は,スライス面に試験器具を自動的に位置決めしてもよい。試験
器具の位置を中心とし,少なくとも±3 mmの範囲にわたって,画像を撮影しなければならない。試験条
件は,1 mm以下の間隔で画像再構成された画像とともに,最も薄い再構成スライス厚を用いなければな
らない。
CT装置が,更に別の方法で,患者位置決め基準線の精度を自動的に評価する手段を提示する場合は,
その代替試験方法の妥当性を確認した後に,この細分箇条で規定した方法に代用してもよい。
5.2.1.4 データの評価
各試験について,試験対象品の最も高いCT値をもつ画像を選択する。
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5.2.1.5 適用する基準
各試験について,選択した画像は,光マーカの中心又はプレビュー画像中にある試験器具の位置に対し
て±2 mmを超えてはならない。
5.2.2 し(矢)状方向及び冠状方向の患者位置決め基準(光マーカ)の精度(可能な場合)
5.2.2.1 概要
し(矢)状方向(右·左)(利用可能な場合)及び冠状方向(上·下)(利用可能な場合)の患者位置決
め基準と画像のアイソセンタ(回転中心)との相関を,薄い吸収体をアイソセンタ(回転中心)に位置決
めし,撮影することによって試験する。
5.2.2.2 試験機器
試験器具は,薄い吸収体を含まなければならない。例えば,し(矢)状方向及び冠状方向の位置決め基
準を用いてアイソセンタ(回転中心)に配置した約1 mm径の金属線を用いる。
CT装置が,更に別の方法で患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段を提示する場合は,その
代替試験方法の妥当性を確認した後に,この細分箇条で規定した方法に代用してもよい。
5.2.2.3 試験手順
スライス面内で,し(矢)状方向及び冠状方向の位置決め基準の交差する線に位置決めすることで,試
験器具をCT装置の中央に配置しなければならない。約10 cmの画像再構成表示領域(field of view)で,
画像を撮影しなければならない。
CT装置が,更に別の方法で患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段を提示する場合は,その
代替試験方法の妥当性を確認した後に,この細分箇条で規定した方法に代用してもよい。
5.2.2.4 データの評価
試験器具の画像を観察し,画像中心に位置決めした試験器具の位置を確認しなければならない。
5.2.2.5 適用する基準
附属文書で指定した値及び許容範囲を適用しなければならない。
5.2.3 不変性試験−アキシャル面,し(矢)状方向及び冠状方向患者位置決め基準の精度
5.2.3.1 追加の基準
追加の基準はない。
5.2.3.2 試験の頻度
アキシャル面,し(矢)状方向(可能な場合)及び冠状方向(可能な場合)の患者位置決め精度は,少
なくとも1年に1回測定しなければならない。
しかし,使用頻度の高い装置に対しては,施設の品質保証計画によって,更に頻繁な頻度を規定しても
よい。
5.2.3.3 取るべき処置
取るべき処置の指針を,附属書Fに示す。
5.3 再構成スライス厚
5.3.1 一般
JIS Z 4752-3-5:2008において,公称スライス厚という用語を用いたが,再構成スライス厚は,実際の厚
さを決めることをより正確に表現しているので,この規格では,改訂した用語(再構成スライス厚)を用
いる。
5.3.2 アキシャルスキャンの再構成スライス厚
5.3.2.1 概要
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傾斜物及びスライス面との交点で,適切な材料でできた一つ以上の傾斜物の画像の幅を測定することに
よって再構成スライス厚を評価しなければならない。幅は半値幅で定義する。
注記 附属書Dは,z軸方向の空間分解能の特徴のための検討に関する情報を記載している。
5.3.2.2 試験機器
アルミニウム以上の線形減弱係数をもった一つ(望ましくは二つ)の傾斜物,更に二つの傾斜物の場合
は,スライス面に対して相反する角度になる傾斜物を含み,全ての対応可能な再構成スライス厚の測定に
対して適切な長さの試験器具を用いなければならない。
傾斜物の角度及び厚さは,測定に有意に影響を及ぼさないように選択をすることが望ましい。様々なス
ライス厚に対応する大きさの微小球体(ビーズ),円盤(ディスク),又は金属線をもつ傾斜物を用いても
よい。
注記 傾斜物は,スライス面と角度をつけて配置した薄片,又は金属線(ワイヤ)である。
5.3.2.3 試験方法
CT装置の回転軸と試験器具の中心軸とが一致するように試験器具を配置する。
試験器具を位置決めした後,附属文書にある製造業者の指定に従って代表的な体幹部のプロトコル要素
のX線ビーム制限幅の設定を用いた一連のCT作動条件で撮影する。測定は,少なくとも3種類の再構成
スライス厚について実施しなければならない。これらの再構成スライス厚は,最も薄いものに加えて通常
の臨床使用を代表する別の二つのものでなければならない。z軸での少なくとも両端のスライス及びその
内側での代表的な1スライスに対して評価を行わなければならない。
この試験は,附属文書に指定したように,フィルタ補正逆投影法又は非線形再構成法のいずれかを用い
て行ってもよい。
5.3.2.4 データの評価
撮影した画像の評価は,次による。
バックグラウンド材料のCT値は,ウィンドウ幅を可能な最小設定値に調整し,また,画像中のバック
グラウンド材料がおおよそ半分見えなくなるウィンドウレベルまで調整することによって決定しなければ
ならない。
画素サイズ及び再構成アルゴリズムは,感知できるほど測定に影響を及ぼさないことが望ましい。画像
再構成表示領域(field of view)は,画像中の傾斜物検出の障害とならないように選択する。再構成アルゴ
リズムは,平滑化効果が最小となるように選択する。これは,1 mm以下の公称スライス厚では特に重要
である。既知のシステム誤差がある場合,補正してもよい。傾斜板を用いる場合は,傾斜板内の幾つかの
線の測定値を平均することが望ましい。補正されたCT値をバックグラウンドCT値として記録する。各
傾斜物について次の方法を実施しなければならない。
− 各傾斜物の最大CT値は,バックグラウンドのCT値を確立するために記載された技術を用いて決定
する(すなわち,画像ノイズのピークから値を除外する。)。
− 各傾斜物の最大CT値にバックグラウンドのCT値を加え,その値を2で除したものを,各傾斜物の
最大CT値の半値とする。これらの値を記録する。
− 最小値に設定したウィンドウ幅で,これらの記録したCT値の平均値にウィンドウレベルを調整し,
半値幅(FWHM)の値を決めて各傾斜物の幅を測定する。
− 試験器具が二つ以上の傾斜物を含む場合,得られた値を平均して半値幅とする。
− 測定された半値幅に傾斜物とスライス面とがなす角度の正接(傾き)を乗じる。この結果を,アキシ
ャルスキャンの再構成スライス厚とする。
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