JIS Z 8245-1:2006 技術文書マネジメント―第1部:原則及び方法 | ページ 4

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Z 8245-1 : 2006 (IEC 82045-1 : 2001)
− 成熟度。
− キーワードリスト。管理された用語集又は辞書と関係付けて使用することが望ましい。
備考 ソウトウェアの支援によって,管理されたキーワード集の成立が可能となる。
− 抜粋又は要約
− 文書の出典
データ諸元項目の定義のリストに関するすべての情報については,IEC 82045-2を参照。

6.4 確立段階

6.4.1  一般 文書が特定の目的に使用することができるようになる前には,品質保証のために,通常は幾
つかの段階からなる承認手続を経なければならない。文書のための典型的なワークフローでは,発行者(部
門)はその組織内で最初に検討を行い,次に他の専門家と調整する。必要な修正後,組織外の団体,例え
ば,顧客及び/又は権威者(当局)が承認に参加する場合もある。
通常,同じ手順が文書のバージョンの度に適用される。
ワークフローアプリケーションソフトを用いると,内部及び/又は外部の承認手続用,一つのプロジェ
クトの全般用又は文書・文書カテゴリ若しくは文書セットの個々用のワークフローを作成することができ
る。
6.4.2 承認 文書マネジメントシステムでは,バージョン管理下のいかなる文書も,いわゆる電子的保管
領域(electronic vault)に保管し,その結果を(制限がある場合もあるが)公開し,その変更は禁止される。
そして,その結果に基づいて,引き続き行う作業を開始することができる。
備考1. 手作業による文書マネジメントシステムでは,適切な組織的な手順によって電子的保管領域
(electronic vault)の機能を実現する必要がある。
文書は,承認手続を開始する前にバージョン管理下に置かなければならない。承認とは,明細を示す一
連の文書の正式な確認である。
特定の要求による各種の承認手続を適用してもよい。内部及び外部の組織を参加させることも可能であ
る。
備考2. JIS Q 9000に従って,承認手続は監査可能であることが求められる。
ここでのメタデータとして,次のような情報が考えられる。
− (承認用の)作成者である個人及び/又は組織,送付日又は要求日
− 調査者である個人及び/又は組織,調査日,調査手順
− 調査時のコメント(考慮すべき問題)
− 承認者である個人及び/又は組織,承認日,承認手順
− 承認時コメント(考慮すべき問題)
データ要素形式の定義のリストに関するすべての情報については,IEC 82045-2を参照。
6.4.3 発行 確立段階では,正式に発行する前にその文書のバージョンの内容が所期の目的を満足してい
ることを確認する。
ここでのメタデータとして,次のものが考えられる。
− (発行用の)作成者である個人及び/又は組織,送付日又は要求日
− 発行者である個人及び/又は組織,発行日,発行手順
− 発行する文書のバージョンの有効性
備考1. 有効性に関するデータは構成管理プロセスから得られる。
− 発行目的。通常は成熟度に基づくものとする

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備考2. その目的によって文書の一つのバージョンを一度又は多数回発行してもよい。文書の一つ
のバージョンを何度も発行することは可能である。6.6.2を参照。
備考3. これは,誤って使用された場合の後日の製造物責任を制限するものの一つとなる。
− その発行目的と関連する製品のバージョン及び/又はビジネスプロセスへの参照。
備考4. 製品データマネジメントシステムでは,関連する製品のバージョン及び/又はビジネスプ
ロセスからの参照が行われる。
− 発行時コメント(考慮すべき問題)
データ諸元項目の定義のリストに関するすべての情報については,IEC 82045-2を参照。

6.5 使用段階

 発行後,文書及びそのメタデータは,使用可能になる。それらは,運用中の安全な保管
領域に保存し,管理する必要がある。
メタデータは,文書のバージョンに関する情報の取出しに使用する。さらに,テキスト検索では文書の
内容を取り出すことができる。
メタデータとしては,次のものが考えられる。
− 個人及び/又は組織の文書の使用実績
6.5.1 配布 この段階で,発行された文書のバージョンを,あらかじめ定めた方法によって個人及び/又
は組織に計画的に配布する。後者については,契約上の内容による。
発行された文書のバージョンは,その文書のバージョンを通知するか,それが利用可能ということを通
知するかのどちらかによって,利用できる。
コンピュータネットワークを使用すると,データ通信によって容易に自動的に配布することができる。
電子形態での配布リスト(配布のための固有識別子をもっている。)は,定形業務を自動化することができ
る。
多くの場合,文書自体を配布することはない。その代わりに,文書のバージョンを,関係者が利用可能
な場所に保管し,新しい文書のバージョンを発行したことを配布リスト上のすべての関係者へ通知する。
その後,文書を開くことは,それぞれの関係者の責任である。適切な管理アプリケーションソフトを使用
すれば,すべての文書及びメッセージの送信・受信並びに読取りが記録できる。
情報を最大限に再利用するには,組織のメンバーがアクセス権の制約内で,文書を検索できることが望
ましい。
メタデータとしては,次のものが考えられる。
− 配布リスト。配布リストは,文書のバージョンの受信先を示し,物理的な配布を行うためのものであ
る。
− 受信先の識別,例えば,個人又は組織の郵便及び電子メールアドレス。また,リストには,コンピュ
ータの識別も含まれることがある。
− 関係者の役割。適宜,配布リストの一般的な目的に含まれる。
− 配布リストへの申込み。これによって,登録者には参照している文書の更新を通知する。
− 物理的送付が要求される場合,配布フォーマットの仕様(例えば,CD-ROM,紙,ロールフィルム,
マイクロフィッシュ)及び数量。
− 配布内容(すなわち,文書のバージョンの一覧,内容のリスト)の一部である文書セットのバージョ
ンの識別。
− 発送作業の識別。
− 受取証。

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− 参照した文書のバージョンのアクセス履歴情報。
データ諸元項目の定義に関するすべての情報は,IEC 82045-2を参照。
6.5.2 閲覧 メタデータとしては,次のものが考えられる。
− 文書のバージョンにアクセスするのに必要な,すべてのデータフォーマットに関する情報。
データ諸元項目の定義に関するすべての情報は,IEC 82045-2を参照。

6.6 改訂段階

 改訂は,文書の内容の変更又は文書の発行目的の改訂のどちらかに当てはまる。改訂は
決められた変更マネジメントプロセスによる。
6.6.1 内容の改訂 文書の内容の改訂は,通常,関連する製品又はプロセス活動の記述内容の変更によっ
て生じる。この結果,関連メタデータの更新を含む新しい文書のバージョンとなる。
新しい文書のバージョンに着手しなければ,発行済みの文書は変更できない。
新しい文書のバージョンのメタデータとしては,次のものが考えられる。
− 新しいものの基になった文書のバージョン。
− 他の文書のバージョンとの関係(置換え又は影響)。
− 変更に責任をもつ者の氏名及び組織。
− 改訂内容。
− 改訂日。
− 変更の理由及び変更指示に関する事項。
データ諸元項目の定義に関するすべての情報は,IEC 82045-2を参照。
6.6.2 発行目的の改訂,廃止 文書の各バージョンは,一つ又は複数の定められた目的のために発行する。
文書の幾つかのバージョンを,それら意図された発行目的を満足する限り用いても差し支えない。
発行目的をもったそれぞれの文書のバージョンは,廃止するまで有効とみなされる。文書のバージョン
の廃止は,初期の発行目的が変更されたという状況を示す。
文書のバージョンの発行目的の改訂では,関連するメタデータの変更は必要だが,文書内容の変更は必
要ない。関連する文書のバージョンの目的の修正は,変更日付入りで,例えば,“···によって製造上の理由
で廃止”と記した追加の発行通知によって示す。
メタデータとしては,次のものが考えられる。
− 文書のバージョンの相互関係の履歴(例えば,取って代わられる,取って代わる。)。
− 新しいものの基になった文書のバージョン。
− 他の文書のバージョンとの関係(置換え又は影響)。
− 変更に責任をもつ者の氏名及び組織。
− 発行目的の改訂内容。
− 改訂日。
− 変更の理由及び変更指示に関する事項。
これは,それぞれの文書のバージョンに適用される。
データ諸元項目の定義に関するすべての情報は,IEC 82045-2を参照。

6.7 アーカイブ段階

 アーカイブは,保管する行為の一つである。物理的に小形で,かつ,通常,変更
不可能の形態で,メタデータを含む多様な文書のバージョン(例えば,契約上の廃止されていない文書の
バージョンのすべて,決められた文書種類のすべて)を保管する行為である。
文書をアーカイブする第一の目的は,文書を長期間保管することによって法的及び/又は契約上の要求
事項を満たすことである。文書内容,そのメタデータ及び構成データは,利用可能で再生可能であるが,

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変更することは許されない。
他の目的は,企業内での一般的知識ベースの一部として役割を果たす情報保管領域となることである。
メタデータを適切に選択し,登録しておけば,文書の取出しを効率よく行うことができる。
プラント,システム及び建設エンジニアリングの分野では,組織間でのすべての契約が終了し,顧客が
利用可能になった時点で,通常はアーカイブする。
文書及び情報の長期保管及び再利用に当たっては,その作成に使用した技術的プラットフォーム(ソフ
トウエア,ハードウエア及び保管媒体)だけでなく,その作成者にも依存しないことが望ましい。技術的
に,安定したデータフォーマット及び媒体を使用することで取出しを保証しなければならない。しばしば,
データを新しい技術プラットフォームに適合するように異なった構文フォーマットに変更を行う。
長期間保管するために,文書のバージョンの既存メタデータをアーカイブプロセスに関する個別のメタ
データセットによって補足しなければならない。
次のものをアーカイブするオブジェクトと関連付けるのがよい。
− 保管期限。
− (アップデートの)アクセス権。
− (アップデートの)セキュリティー等級。
− 使用したソフトウエア及びハードウエアのバージョン。
− 使用した(読取り・書込み)プロセッサのバージョン。
− 使用した圧縮ソフト及びそのバージョン(例えば,不使用,winzip)。
− 使用した暗号化ソフト及びそのバージョン(例えば,不使用,pgp)。
− デジタル署名の使用の有無。
− 使用した物理的データ媒体によっては,データのリフレッシュ周期(例えば,磁気テープに要求され
る。)。
− 関連データを伴う物理的搬送媒体の更新履歴。
− フォーマット更新履歴。例えば,システムABCバージョン2.0からシステムABCバージョン6.0へ
の変換。
− システム変更履歴。例えば,システムABCバージョン6.0からシステムXYZバージョン3.4への変
換。
− アクセス履歴(ログブック)。セキュリティ上の理由から,参照された文書のバージョンへのアクセス
行為を収集することが要求されることがある。
− データ媒体の物理的な場所の識別,保管場所(例えば,建物,階,部屋,キャビネット)。
− バックアップ(いかなる変更も含まない,すなわち,ミラー情報),物理的搬送媒体及びバックアップ
場所。
− 論理アドレス(関連データ媒体上のパス及びファイル名)。
− 内部索引リスト(例えば,テープ,CD,フロッピーディスク)。
参考 文書種類(document kind)については,JIS C 0451を参照。

6.8 削除段階

 アーカイブの法的要求期間が終了したとき,文書内容,そのメタデータ及び構成データ
を削除してもよい。
通常,製品の責任期間が終了したときに行う。
電子文書マネジメントシステムでは,選択した文書(例えば,契約上のすべての文書,決められた文書
種類のすべて,選択された文書のバージョン)を,通常そのメタデータを含め,システム上の電子的保管

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Z 8245-1 : 2006 (IEC 82045-1 : 2001)
領域から削除する。
しかし,他の文書のバージョンが参照している間は,メタデータを残すことが望ましい。
電子文書マネジメントシステムのデータが,追加の物理的保管媒体,例えば,CD-ROM,データテープ・
ビデオテープ及び/又はオーディオテープなどで保管されていた場合には,すべての物理的データ媒体を
破棄(破壊)しなければならない。
従来の文書マネジメントシステムにおいて,文書の削除とは,メタデータを含む選択した文書(例えば,
契約上のすべての文書,決められた文書種類のすべて)を適切な方法,例えば,シュレッダー及び/又は
焼却で物理的に破棄(破壊)する行為を指す。
この行為によって,データ,文書及び他の文書との関係を完全に抹消する。
その結果,対象となるデータが完全に抹消されることになる。
備考1. メタデータ及びその関連文書のバージョンは,共通にマネジメントする必要がある。
2. 文書識別子は,適用して削除したら,再使用しないことが望ましい。
3. 製品マネジメントシステムでは,削除するということは,その結果として,関連製品バージ
ョン及び/又はビジネスプロセスから文書のバージョンへの論理的関係を断ち切ることにな
る。

7. 適合性要求事項

 この規格では,方法に関する次に示す適合性要求事項クラスを規定する。
− 適合クラスA : 4.5.3で規定した要求事項及び4.3で定義したすべての文書概念を満足する。
− 適合クラスB : 適合クラスAに加えて,4.5.4で規定した要求事項を満足する。
更なる適合性要求事項は,IEC 82045-2で規定する。

――――― [JIS Z 8245-1 pdf 20] ―――――

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JIS Z 8245-1:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 82045-1:2001(IDT)

JIS Z 8245-1:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8245-1:2006の関連規格と引用規格一覧