この規格ページの目次
34
Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
詳しく調査することが必要である。
他の試験室から,(室内精度とかたよりのどちらか一方でも)外れて見える試験室には,実験の結果につ
いて知らせなければならないし,その試験室の実施要領を改善するために,その測定方法を調査しなけれ
ばならない。
7.3.4.1.4 引き続き行われる評価実験においては,特定の測定試料の測定で,試験室が異常によい精度を
示すことがないように,異なった測定試料を用いなければならない。その上,7.2.2で述べたように,測定
が,試験室の通常の実施要領で取り扱われることを保証するために,試料は,それが共同評価実験の試料
であることが分からないようにして送付しなければならない。
もしある評価実験の結果が,以前の評価実験の結果とかなり異なっているならば,この予期しない所見
についての可能な説明を見出すために,すべての入手可能な情報を分析することが重要である。
7.3.4.2 例 : 水のアルカリ度の分析
7.3.4.2.1 背景
水質の管理において,多くの試験室で水の化学分析が行われている。認可のためには,これらの試験室
は,繰り返して評価されなければならない。この例では,全アルカリ度の測定が考察されている。方法は
電位滴定である。この状況では標準物質は存在しないので,評価実験によって評価を行わなければならな
かった。
18試験室がこの実験に参加し,2つの測定水準について,各試験室でそれぞれの測定水準について2回
ずつの測定が行われた。
7.3.4.2.2 オリジナルデータ
表11参照。
表11 水のアルカリ度
試験室 測定水準 試験室 測定水準
1 2 1 2
1 2,040 5,250 10 2,170 5,520
2,040 5,300 2,200 5,330
2 2,100 5,460 11 1,980 4,990
2,110 5,460 1,940 5,020
3 2,070 5,240 12 2,120 5,340
2,070 5,200 2,110 5,330
4 2,070 5,308 13 2,160 5,330
2,090 5,292 2,150 5,420
5 2,740 5,850 14 2,050 5,330
2,610 5,850 2,070 5,330
6 2,086 5,305 15 2,070 5,387
2,182 5,325 2,056 5,335
7 2,128 5,296 16 2,010 5,210
2,076 5,346 2,030 5,330
8 2,060 5,340 17 2,066 5,300
2,080 5,340 2,070 5,280
9 2,060 5,310 18 2,060 5,300
2,080 5,300 2,070 5,280
参考 表の中では小数点としてコンマ (, ) を用いている。
7.3.4.2.3 セル平均と範囲の計算
セル平均を表12に,範囲を表13に示す。
――――― [JIS Z 8402-6 pdf 36] ―――――
35
Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
2つの測定水準に対する,既に確率された併行標準偏差と再現標準偏差の値は,
0.023 0.027 刀 0.045 刀 0.052
である。
表12 表11のセル平均
試験室 測定水準
1 2
1 2,040 5,275
2 2,105 5,460
3 2,070 5,220
4 2,080 5,300
5 2,675 5,850
6 2,134 5,315
7 2,102 5,321
8 2,070 5,340
9 2,070 5,305
10 2,185 5,425
11 1,960 5,005
12 2,115 5,335
13 2,155 5,375
14 2,060 5,330
15 2,063 5,361
16 2,020 5,270
17 2,068 5,290
18 2,065 5,290
表13 表11のセル範囲
試験室 測定水準
1 2
1 0,000 0,050
2 0,010 0,000
3 0,000 0,040
4 0,020 0,016
5 0,130 0,000
6 0,096 0,020
7 0,052 0,050
8 0,020 0,000
9 0,020 0,010
10 0,030 0,190
11 0,040 0,030
12 0,010 0,010
13 0,010 0,090
14 0,020 0,000
15 0,014 0,052
16 0,020 0,120
17 0,004 0,020
18 0,010 0,020
7.3.4.2.4 室内精度の評価
表13の範囲を次式により併行標準偏差と比較する。
wij2/2 1−愀
――――― [JIS Z 8402-6 pdf 37] ―――――
36
Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
懿 0.05および滿 1のとき, 滿 3.841である。
測定水準1については,次の試験室が外れていることが判る。
試験室5 : w2=0.016 9 検定統計量の値=15.974
試験室6 : w2=0.009 216 検定統計量の値=8.711
測定水準2については,次の試験室が外れていることが判る。
試験室10 : w2=0.036 1 検定統計量の値=24.76
試験室13 : w2=0.008 1 検定統計量の値=5.55
試験室16 : w2=0.014 4 検定統計量の値=9.88
7.3.4.2.4 かたよりの評価
表12から,室間分散を次式により求める。
p
1
s2= ni( yiy2)=ns2L sr2
p 1 i=1
測定水準1については,次の値が求められた。
n n 刀 (n−1) 0.003 521
s2=0.044 36
検定統計量の値=12.60
懿 0.05および滿 17のとき, 滿 1.623である。
もっとも大きく外れている値は試験室5のものである。
試験室5に対するグラッブズの検定統計量の値は,
G= (2.675−2.113 2) /0.148 9=3.77
この値とJIS Z 8402-2の9.のp=18に対する5%棄却限界値とを比較する。この棄却限界値は2.651であ
る。
試験室5の結果を除外して計算すると次のようになる。
s2=0.005 357
検定統計量の値=1.521
懿 0.05及び 滿 16のとき, 1− 愀 滿 1.644である。
結論は,“試験室5を除いたすべての試験室は測定水準1において十分に精確な結果を得ている”,とな
る。
測定水準2については,次の値が求められた。
n 0.004 679
s2=0.050 34
検定統計量の値=10.758
懿 005及び 滿 17のとき, 1− 愀 滿 1.623である。
もっとも大きく外れている値は試験室5のものである。
試験室5に対するグラッブズの検定統計量の値は,
G= (5.85−5.337 0) /0.158 6=3.235
p=18に対する5%棄却限界値は2.651である。
試験室5の結果を除外して計算すると次のようになる。
s2=0.018 67
――――― [JIS Z 8402-6 pdf 38] ―――――
37
Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
検定統計量の値=3.990
懿 0.05及び滿 16, 1− 愀 滿 1.644
いまや,もっとも大きく外れている値は試験室11のものである。
試験室11に対するグラッブズの検定統計量の値は,
G= (5.005−5.306 9) /0.096 61=−3.125
p=17に対する5%棄却限界値は2.620である。
試験室11の結果を除外して計算すると次のようになる。
s2=0.007 00
検定統計量の値=1.496
懿 0.05及び 15, 1− 愀 滿 1.666
結論は“試験室5と試験室11を除いたすべての試験室は測定水準2において十分に精確な結果を得てい
る”,となる。
7.3.4.2.6 結論
評価実験によって,複数の試験室は,不満足な室内精度で測定作業をしていたことが明らかになった。
これらの試験室の番号は,5,6,10,13,16である。2つの試験室は,さらに1つ又は両方の測定水準で
有意なかたよりを示した。これらの番号は5と11である。これらの偏差の大きい全ての試験室には,その
結果について情報を与えることが望ましい。
8. 代替測定方法の比較
8.1 代替測定方法の発端
国際標準測定方法は,さまざまな要求事項を満たすための標準化の過程を経た測定方法である。これら
の要求事項の中には以下のものがある。
a) 国際的に取引される大部分の物質を含められるように,特性の広範囲な測定水準に適用可能でなけれ
ばならない。例えば,鉄鋼石中の総鉄含量を求める方法は,国際的に取引される鉄鉱石のできる限り
多くに適用可能でなければならない。
b) 装置,試薬及び人員は国際的基準で利用可能でなければならない。
c) 測定にかかる費用は容認できるものでなければならない。
d) 測定方法の精度と真度は,測定結果の利用者が容認できる程度でなければならない。
これらの方法は,ふつう日常作業に適用するには煩雑すぎるかもしれない妥協案である。試験室によっ
ては,独自の要求にはより簡便な方法で十分であると感じることもある。例えば,測定する大部分の試料
が,同じ供給源から来るもので,その特性の変化が比較的小さい場合には,より簡便で安価な方法で十分
であろう。
分野によっては歴史的理由のために,複数の測定方法が用いられるかもしれない。この場合には,一つ
の代替国際標準測定方法を定めることが望ましいであろう。
ここで述べられる比較は,1つの測定試料から得られる結果に基づいている。2つの測定方法の精度と真
度を比較するためには,測定試料を2つ以上用いるべきであると,強く推奨する。必要な測定試料の数は,
問題としている特性の測定水準の範囲や,試料中成分の変化に対する測定方法の感度などの種々の因子に
依存する。
8.2 測定方法比較の目的
――――― [JIS Z 8402-6 pdf 39] ―――――
38
Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
8.2.1 8.2では,一方(方法A)が国際標準測定方法又は国際標準測定方法の第一候補であるときの,2
つの方法の精度及び真度を比較するための手順を述べる。この比較は,2つの測定方法が異なる精度及び/
又は真度を有しているかについての証拠を与えるが,ある特定の適用のためにどちらかが他方より適して
いるということを奨めるものではない。この判定は,他の因子;例えば費用,装置が利用可能かなど,と
相まってなされることが望ましい。
8.2.2 8.2は主として次の適用のために規定される。
a) 国際標準測定方法の開発において,専門委員会は,どちらの候補方法が国際標準として採択するのに
適しているかを選択する問題に直面することがある。精度と真度は,この選択の根拠として用いる基
準の一つである。
b) ときには,代替標準測定方法の開発が必要であることが明らかになる。この方法の候補は,第一優先
の方法と同じぐらい精確であることが望ましい。この比較手順は,候補の測定方法が要求事項を満た
しているかを決めるのに役立つであろう。
c) ある試験室にとっては,測定する大部分の試料は同じ供給源から来る。これらの試料は一般的にほと
んど同じ組成を有している。この場合,国際標準測定方法を日常測定法として使用することは無益に
高価なものとなるかもしれない。このような試験室では,日常使用に,より簡便な方法を採用するこ
とが望ましいであろう。この方法は,既存の国際標準測定方法と同等の真度と精度をもった測定結果
をもたらすことが望ましい。
8.3 方法Bが代替標準測定方法の候補である(
“標準測定方法”が未制定) 方法AとBの比較は,精度評価実験の結果に基づいて行わなければならない。方法Aが十分確立された標準測定方法である場合,方法Aの精度は比較の基準として用いることができる。方法A自体が標準測
定方法として開発中のものである場合,これも精度評価実験にかけるべきである。どちらの精度評価実験
も,JIS Z 8402-2に従って行わなければならない。
実験の目的は次の通りである。
a) 方法Bが方法Aと同じぐらいの精度があるかを求めること。実験結果は,方法Bと方法Aの精度の
尺度の比が規定値を超えるかについて検出できることが望ましい。
b) 同一試料を用いた両方法の精度評価実験での総平均の差が統計的に有意でないことを示すことによっ
て,又は認証標準物質を用いた方法Bの精度評価実験での総平均と認証値との差が統計的に有意でな
いことを示すことによって,方法Bの真度が方法Aの真度と同じであるかを求めること。加えて,2
つの方法の測定結果の期待値の差,又は各方法の測定結果の期待値と認証値の差が規定値を超えるか
について検出できることが望ましい。
8.4 精確さ評価実験
8.4.1 一般的な要求事項
精確さ評価実験は,JIS Z 8402-1に述べられている一般的な規定に従って行わなければならない。
両方の測定方法の手順は,参加試験室の誤解を避けるために,十分詳細に文書化されていなければなら
ない。評価実験の間,手順には何の変更も許されない。
その測定方法のユーザーとなる可能性のある試験室を母集団としたときに,参加試験室はその代表的な
サンプルでなければならない。
8.4.2 測定試料
測定方法の精度は,測定水準によって異なるのと同じように,測定試料のマトリックスの影響も受ける。
この場合,測定方法の精度の比較は同一試料を用いるときに最もうまく行われる。さらに,測定方法の真
――――― [JIS Z 8402-6 pdf 40] ―――――
次のページ PDF 41
JIS Z 8402-6:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5725-6:1994(IDT)
JIS Z 8402-6:1999の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
JIS Z 8402-6:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8101-1:2015
- 統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
- JISZ8101-2:2015
- 統計―用語及び記号―第2部:統計の応用