JIS Z 8402-6:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方 | ページ 9

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Z 8402-6 : 1999 (ISO 5725-6 : 1994)
度の比較は,同一試料を用いたときにのみ行うことができる。このため,各々の方法についての精確さ評
価実験を行う作業グループ間の連絡は,一人の共通の実施責任者を通じて行わなければならない。
測定試料の最も重要な要求事項は,均一であることである。すなわち,各試験室は同一試料を用いなけ
ればならない。測定試料内が不均一であると疑われる場合,測定用の試験片を採取する方法についての明
確な指図が手順書に記載されていなければならない。測定試料として,標準物質を用いると都合がよいこ
とがある。標準物質の均一性は保証されており,その測定方法で得られた結果は,標準物質の認証値と比
較することにより,かたよりとして考察できる。一般に標準物質が高価なことが欠点である。しかし多く
の場合には,標準物質の単位量を再分割することで解決される。測定試料として標準物質を用いる手順に
ついては,JIS Q 0033を参照せよ。
8.4.3 測定試料の数
使用する測定試料の数は,問題としている特性の測定水準の範囲,及び正確さの測定水準に対する依存
性によって異なる。多くの場合には,測定試料の数は,それに伴う作業量と必要な測定水準において利用
できる測定試料の量によって制限される。
8.4.4 試験室の数と測定回数
8.4.4.1 一般
二つの方法の試験室間共同実験の実施に必要な試験室の数と試験室あたりの測定回数は :
a) 二つの方法の精度;
b) 二つの方法の精度間の検出可能な比, は 替 これは二つの方法を用いた実験の結果から,実験者が
高い確率で検出したいと望んでいる精度の比の最小値であり,その精度が併行標準偏差で表される場
合の比を 爰柿 その精度が室間平均平方の平方根で表される場合の比を 姿
c) 二つの方法間の検出可能なかたよりの差, これは二つの方法で得られた結果の期待値間の差の最
小値である;
に依存する。
精度の推定値の比較に有意水準 懿 0.05を用いること,及び設定した標準偏差間の最小比,又はかたよ
り間の最小差を検出できない危険を, 拿 0.05とすることを推奨する。
これらの 戰 替 次式を検出可能な差に対して用いることができる。
2LA 2A 2LB 2B
4 ( r (
/ nA /) A r / nB /) B (13)
ここで,添え字のAとBは,それぞれ方法A及び方法Bを示す。
ほとんどの場合,方法Bの精度は未知である。この場合には方法Aの精度を代用として用いると,
2LA 2A 2LA 2A
4 ( r (
/ nA /) A r (14)
/ nB /) B
となる。
実験者は,式(13)や式(14)により,十分満足できる値が得られるまで,nA,nB,pA,pBの値を変えてみる
とよい。そのとき,精度の推定値を比較するのに適切な実験を行うために必要となるこれらのパラメータ
の値について,よく検討することが望ましい。
表14は,与えられた 戰湎 での標準偏差の最小比を,自由度 数として示している。
併行標準偏差については
pA (nA−1) 及び pB (nB−1)
であり,室間平均平方については

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pA−1及び pB−1
である。片方の方法の精度が十分に確立されている場合には,その自由度として表14では200を用いよ。
8.4.4.2 例 : 鉄鉱石中の鉄の定量
8.4.4.2.1 背景
鉄鉱石中の総鉄含量を定量するための2つの分析方法を詳細に調査する。これらは以下の通り同一精度
を有するものと仮定する。
0.1%Fe
0.2%Fe
8.4.4.2.2 要求事項
0.4%Fe
替 4
二つの方法の試験室間共同実験の実施に必要な試験室の最小数を,試験室数が同じで2回分析するとい
う仮定で計算する。すなわち,
pA=pB及びnA=nB=2
とする。
a) 真度の要求事項は :
0.4=4 2.0( 2 1.02 /)2/ pA2.0( 22.02 /)2/ pB
である。よって
pA=pB=9
である。
b) 精度の要求事項は :
表14から, 9によって, 4又は 替 4となることが判る。
併行標準偏差の比較では, pA及び pBであるから,pA=pB=9である。
室間平均平方の比較では, pA−1及び pB−1であるから,pA=pB=10である。
8.4.4.2.3 結論
試験室間共同実験の実施に必要な参加試験室の最小数はそれぞれ10である。
8.4.5 測定試料の分配
試験室間共同実験の実施責任者は,測定試料の取得,調製,及び分配についての最終的な責任を負わな
ければならない。試料が良好な状態で参加試験室に受領され,試料が相違ないことが明確に確認されるこ
とを保証するために,予防措置を講じなければならない。参加試験室が,例えば,乾燥物換算であれば,
試料を秤量前に105℃でx時間乾燥する,などのように,同じ原則に基づいて試料を分析するよう指図し
なければならない。
8.4.6 参加試験室
参加試験室は,コーディネータの指図を実行するための組織化について責任を持つ担当者を選任しなけ
ればならない。担当者は適格な分析者でなければならない(研究員や“最上の”オペレータのような)著
しく熟練したスタッフは,標準偏差の非現実的に低い推定値を得ることを防ぐために,避けることが望ま
しい。選任された担当者は,併行条件の下で必要な回数の測定を行わなければならない。試験室は,指定
された期限内に測定結果をコーディネータに報告する義務がある。

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表14 懿 0.05,拿
0.05のときの 愀 戀 ‰
6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 25 50 200
6 5,82 5,40 5,10 4,88 4,72 4,58 4,47 4,38 4,31 4,24 4,19 4,14 4,09 4,06 4,02 3,89 3,65 3,47
7 5,40 4,99 4,71 4,50 4,34 4,21 4,10 4,01 3,94 3,88 3,82 3,78 3,74 3,70 3,67 3,54 3,30 3,13
8 5,10 4,71 4,43 4,23 4,07 3,94 3,84 3,76 3,68 3,62 3,57 3,52 3,48 3,45 3,41 3,29 3,06 2,89
9 4,88 4,50 4,23 4,03 3,87 3,75 3,65 3,56 3,49 3,43 3,38 3,33 3,29 3,26 3,23 3,11 2,88 2,71
10 4,72 4,34 4,07 3,87 3,72 3,59 3,50 3,41 3,34 3,28 3,23 3,19 3,15 3,11 3,08 2,96 2,73 2,57
11 4,58 4,21 3,94 3,75 3,59 3,47 3,38 3,29 3,22 3,16 3,11 3,07 3,03 2,99 2,96 2,85 2,62 2,45
12 4,47 4,10 3,84 3,65 3,50 3,38 3,28 3,20 3,13 3,07 3,02 2,97 2,93 2,90 2,87 2,75 2,52 2,36
13 4,38 4,01 3,76 3,56 3,41 3,29 3,20 3,12 3,05 2,99 2,94 2,89 2,85 2,82 2,79 2,67 2,44 2,28
14 4,31 3,94 3,68 3,49 3,34 3,22 3,13 3,05 2,98 2,92 2,87 2,83 2,79 2,75 2,72 2,60 2,38 2,21
15 4,24 3,88 3,62 3,43 3,28 3,16 3,07 2,99 2,92 2,86 2,81 2,77 2,73 2,69 2,66 2,55 2,32 2,15
16 4,19 3,82 3,57 3,38 3,23 3,11 3,02 2,94 2,87 2,81 2,76 2,72 2,68 2,64 2,61 2,50 2,27 2,10
17 4,14 3,78 3,52 3,33 3,19 3,07 2,97 2,89 2,83 2,77 2,72 2,67 2,63 2,60 2,57 2,45 2,22 2,05
18 4,09 3,74 3,48 3,29 3,15 3,03 2,93 2,85 2,79 2,73 2,68 2,63 2,60 2,56 2,53 2,41 2,18 2,01
19 4,06 3,70 3,45 3,26 3,11 2,99 2,90 2,82 2,75 2,69 2,64 2,60 2,56 2,53 2,50 2,38 2,15 1,98
20 4,02 3,67 3,41 3,23 3,08 2,96 2,87 2,79 2,72 2,66 2,61 2,57 2,53 2,50 2,46 2,35 2,12 1,95
25 3,89 3,54 3,29 3,11 2,96 2,85 2,75 2,67 2,60 2,55 2,50 2,45 2,41 2,38 2,35 2,23 2,00 1,82
50 3,65 3,30 3,06 2,88 2,73 2,62 2,52 2,44 2,38 2,32 2,27 2,22 2,18 2,15 2,12 2,00 1,75 1,56
200 3,47 3,13 2,89 2,71 2,57 2,45 2,36 2,28 2,21 2,15 2,10 2,05 2,01 1,98 1,95 1,82 1,56 1,32
備考
vA=pA(nA−1);vB=pB(nB−1)
1. B
rA
2 2B
2. 替 nB LB r ;vA=pA−1;vB=pB−1
2LA2A
nA r
8.4.7 測定結果の収集
各方法の共同実験のコーディネータは,妥当な期間内に全ての測定結果を収集する義務がある。
測定結果が物理的に常軌を逸していないかを綿密に検討することはコーディネータの責務である。説明
可能な物理的原因による測定結果は,他の測定結果と同じ分布には属さない。
8.4.8 測定結果の評価
測定結果は,適格な統計解析者によって,JIS Z 8402-2に述べられている手順により評価されなければ
ならない。各測定試料について,次の値が計算される。
srA 方法Aの併行標準偏差の推定値
srB 方法Bの併行標準偏差の推定値
sRA 方法Aの再現標準偏差の推定値
sRB 方法Bの再現標準偏差の推定値
yA 方法Aの総平均
yB 方法Bの総平均
8.4.9 方法Aと方法Bの結果の比較
試験室間共同実験の実施の結果は,各測定水準ごとに比較しなければならない。方法Bは,特性の低い
測定水準側では,より精度が高い及び/又はかたよりがあるが,特性値の高い測定水準側ではより精度が
低い及び/又はかたよりがないということ,又はその反対が起こりうる。
8.4.9.1 グラフによる表示
各測定水準における生データのグラフ表示は望ましい。ときには,精度及び/又はかたよりに関して,
二つの測定方法の結果の差が明白なため,それ以上の統計的評価が不要なことがある。

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全ての測定水準の精度と総平均のグラフ表示も望ましい。
8.4.9.2 精度の比較
8.4.9.2.1 方法Aは確立された標準測定方法である。
方法Aの精度は十分確立されている。
a) 室内精度
rs2B 1(2
) ( rB )
2A

r rB
ならば,方法Bの室内精度が方法Aほどよくないという証拠はない。
rs2B 1(2
) ( rB )
2A
>
r rB
ならば,方法Bの室内精度が方法Aより劣っていると言える。
1− 愀 ‰澁 由度 布の (1−愀 位点であり,
pB (nB−1)
である。
b) 全体の精度
sR2B 1( /1 nB ) sr2B 2
1( )(LB )
2A 2A
R 1( /1 nB )
r LB
ならば,方法Bの平均平方が方法Aほどよくないという証拠はない。
sR2B 1( /1 nB ) sr2B 2
1( )(LB )
2A 2A
R 1( /1 nB )
r LB
ならば,方法Bの平均平方が方法Aの平均平方ほどよくないと言える。
1− 愀 ‰澁 由度 布の (1−愀 位点であり,
pB−1
である。
8.4.9.2.2 どちらの方法も新しい標準測定方法の候補である。
a) 室内精度
sr2B
Fr=
sr2A
について,
F 愀一 1− 愀一
ならば,両者の室内精度が異なるという証拠はない。
Fr ならば,方法Bの室内精度が方法Aより優れていると言える。
愀一
Fr>F (1−
ならば,方法Bの室内精度が方法Aより劣っていると言える。
F 愀一 ‰ 1− 愀一 ‰ 子の自由度 母の
分位点であり,
pA (nA−1)
pB (nB−1)
である。

――――― [JIS Z 8402-6 pdf 44] ―――――

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b) 全体の精度
2B
sR 1( /1 nB ) sr2B
FR= 2A
sR 1( /1 nA ) sr2A
について,
F 愀一 刀 刀 1− 愀一 刀 刀
ならば,両者の室間精度が異なるという証拠はない。
FR ならば,方法Bの全体の精度が方法Aより優れていると言える。
愀一
FR>F (1− 刀 刀
ならば,方法Bの全体の精度が方法Aより劣っていると言える。
F 愀一 刀 刀 びF (1−愀一 刀 刀 ‰ 分子の自由度刀 母の
− 愀一 位点であり,
pA−1
pB−1
である。
備考5. F分布の (1− 愀一 位点しか示していない表が多い。この場合に,愀一 位点は,次の関係
を用いて求めることができる。
F 愀一 愀一
1/F (1−
F 愀一 刀 刀 愀一
1/F (1− 刀 刀
8.4.9.3 真度の比較
8.4.9.3.1 平均値と標準物質の認証値の比較
各方法の総平均は,測定試料の一つとして用いられた標準物質の認証値と比較することができる。次の
検定が用いられる。
| y|≦2
a) sR2B1( /1 nB ) sr2B / pB
ならば,その方法の結果の総平均と,認証値の差は統計的に有意でない。
| y|>2
2B
b) sR 1( /1 nB ) sr2B p
ならば,その方法の結果の総平均と,認証値の差は統計的に有意である。
この場合,次の2つの可能性がある。
1) | y|≦ 一
ならば,その測定方法に,許容できないほどのかたよりがあるという証拠はない。
2) | y|> 一
ならば,その測定方法には,許容できないほどのかたよりがあると言える。
ここで, 実験者が実験結果から高い確率で検出しようと望んでいる,その方法の結果の期待値と
標準物質の認証値の差の最小値である。
8.4.9.3.2 方法Aと方法Bの平均値の比較
a) yA yB
≦2.0
s
ならば,方法Aと方法Bの平均値の差は統計的に有意でない。

――――― [JIS Z 8402-6 pdf 45] ―――――

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JIS Z 8402-6:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 5725-6:1994(IDT)

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