JIS Z 8403:1996 規格概要
この規格 Z8403は、出荷時の製品の品質特性の規格値を要求条件と経済的観点との兼ね合いで合理的に決める方法の,一般的な事項について規定。
JISZ8403 規格全文情報
- 規格番号
- JIS Z8403
- 規格名称
- 製品の品質特性―規格値の決め方通則
- 規格名称英語訳
- Quality characteristics of products -- General rules for determination of specific values
- 制定年月日
- 1996年8月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 03.120.01
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 1996-08-01 制定日, 2002-06-20 確認日, 2007-05-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS Z 8403:1996 PDF [36]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
Z 8403-1996
製品の品質特性−規格値の決め方通則
Quality characteristics of products −General rules for determination of specific values
1. 適用範囲 この規格は,出荷時の製品(1)の品質特性の規格値を要求条件と経済的観点との兼ね合いで
合理的に決める方法の,一般的な事項について規定する。
注(1) 商取引の対象となる品物で,ある一定の手段・工程を通じて製造されたものであり,半成品を
含む。
備考1. 個品に対する規格値は,最大許容値(規格上限値)・最小許容値(規格下限値)の両方(両方
限界,bilateral limits),又はいずれか一方(片側限界,unilateral limit)で示す。最大許容値及
び最小許容値を規格限界値といい,基準値と規格限界値との差が許容差である。
2. カタログ・取扱説明書に記載する仕様値(規格値)は,購入者及び社会の要求又は要望を考
慮して製造業者が定めるもので,この規格は適用しない。
3. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS Z 8101 品質管理用語
JIS Z 8103 計測用語
2. 用語の定義及び記号 この規格で用いる主な用語の定義及び記号は,JIS Z 8101及びJIS Z 8103によ
るほか,次のとおりとする。
理想的には0がよいとされ,負の値を取らず小さいほど良
(1) 望小特性 (smaller-is-better characteristic)
い特性。規格値は最大許容値()で示す(すなわち,以下)。
例 幾何偏差(真円度,平行度,位置度など),硬球の真球度,騒音レベル
規格値が基準値 (m0) と,上の許容差(+)及び下の許容
(2) 普通特性 (nominal-is-best characteristic)
差(−)とで(すなわち,m0±で)示される特性。多くの品質特性はこれに属する。
備考 普通特性は,一般に基準値を望ましい値とするものであるので,望目特性と呼ぶこともある。
例 寸法(長さ,角度)
負の値を取らず,数値が大きいほど品質が良いとする特性。
(3) 望大特性 (larger-is-better characteristic)
規格値は最小許容値()で示す(すなわち,以上)。
例 耐力,衝撃強さ
備考 率又は百分率で表す特性値のうち,01(又は0100%)の範囲を超えない性質の特性値は,
望小特性・普通特性又は望大特性に変換する。
例 架橋度pを−10 log (1/ (p) −1) で変換する。
――――― [JIS Z 8403 pdf 1] ―――――
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Z 8403-1996
(4) 生産者 製品を製造する者。
(5) 使用者 製品をその使用目的に沿って用いる者。
(6) 機能限界(0) 製品が使用段階で機能しなくなる限界値。
(7) 平均損失 (A0) 使用段階で品質特性の実現値(以下,特性値という。)が機能限界を超えたときに発
生する損失の平均(金額)。
(8) 生産者側の損失 (A) 特性値が規格限界を超えたときに生産者側に発生する損失(金額)。
(9) 比例定数 (k) 経済的損失を表す定数であって,平均損失A0と機能限界0の2乗とから,次の式で
求めた値。
普通特性又は望小特性の場合
A0
k= 2
Δ0
望大特性の場合
k=A002
3. 規格値の決め方
3.1 機能限界0及び平均損失A0を決めるための考え方
3.1.1 製品の分類 使用状態に応じて,製品を次の三つに分類する。
(1) 最終製品 一般に最終製品として使用されるもの。
(2) 部品・半成品 最終製品に組み込まれるもの。
(3) 材料 (1)又は(2)の元の原材料・材料。
備考 (1),(2)又は(3)に応じて,0及びA0が規定される。
3.1.2 最終製品の0及びA0の決め方 最終製品の機能限界及び平均損失の決め方は,次による。
(1) 標準使用条件(例えば,取扱説明書に記載してある条件)における機能限界0を求める。標準使用条
件での試験は1回だけでもよい。A0は市場で実際に機能しなかったときの製品単位量当たりの市場内
の費用の平均とする。この費用の中には使用者が受けた実害額・苦情処理費用を含める。
(2) 公的規制又はカタログによる規格値がある場合には,その規格値を機能限界0とする。
また,リコール・苦情に対応するときのための製品単位量当たりの費用の平均をA0とする。
3.1.3 部品・半成品の0及びA0の決め方 部品・半成品の機能限界及び平均損失の決め方は次による。
(1) 最終製品の特性値に部品・半成品の特性値が影響する場合には,部品・半成品の値によって最終製品
の特性値がその規格値を超える限界を機能限界0とする。その場合,他の部品及び試験条件はすべて
標準使用条件で求める。最終製品がその規格値を超えたときの部品・半成品の費用の平均をA0とする。
(2) 部品・半成品が他の部品と関係なく,単独で市場でトラブルを起こす場合又は公的規制・カタログの
規格値がある場合は,3.1.2に準じて機能限界0を求める。
また,A0も3.1.2に準じて求める。
3.1.4 材料の0及びA0の決め方 材料の機能限界及び平均損失の決め方は次による。
(1) 出荷先が明白の場合,出荷先でトラブルを起こす限界が機能限界0である。出荷先の素材・原料,ほ
かのすべての条件は標準使用条件として機能限界0を求める。
また,A0は出荷先で機能限界を超えたときの損失である。
(2) 公的規制又はカタログの規格値が存在する場合には,それらの規格値を機能限界0とする。市場で規
格値を満たさなかったことが分かって発生したリコール・苦情による製品単位量当たりの損失をA0
――――― [JIS Z 8403 pdf 2] ―――――
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Z 8403-1996
とする。
3.2 規格値の決め方の手順 規格値の決め方の手順は,次による。
手順1 機能限界0及び平均損失A0の推定 使用者の段階における機能限界0及び平均損失A0を
推定する。
備考1. 多くの場合,機能限界0及び平均損失A0は,概略の数値でもかまわない。
2. 普通特性で,基準値のプラス側とマイナス側とで機能限界0及び平均損失A0が異
なるときには,両側で別々に求める。この場合,比例定数kが大きい方だけを用い
て,プラス側,マイナス側とも同じように損失を求めてもよい。
手順2 生産者側の損失Aの推定 特性値が規格限界を超えたことによって不合格になったときに,
生産者側に発生する損失の推定を次のように行う。
(1) 手直しが可能な場合には,手直し費用の平均とする。
(2) 手直しが不可能な場合には,製品の交換及び廃棄による損失の平均とする。
備考 生産者側の損失Aは,附属書1によって,あらかじめ,ある程度の最適化が行われて
いることが望ましい。
手順3 品質水準及び測定能力の検討 生産者側の損失Aの推定に当たって,規格値を設定する部品
に対してどの程度の品質水準で製造が可能なのか,又はそれらを判定するのに十分な測定能
力があるのかを附属書2及び附属書3によって検討する。その結果,能力が不十分な場合に
は改善を行う。
手順4 の計算 は次の式によって算出する。
普通特性又は望小特性の場合
A
Δ= Δ0
A0
望大特性の場合
A0Δ
Δ= 0
A
手順5 の検討 手順1,手順2及び手順3の結果を検討して,手順4で求めた規格値が工程能力
にそぐわないと考えられる場合には,次のようにAの値を変えての再計算を行う。
(1) 品質水準が十分である場合には,A及びの値は再計算を行わない。
(2) 品質水準が不十分な場合には,不良率 (p) が求められる特性値については,次の式によ
って生産者側の損失Aの値を修正し,の値を再計算する。
A
Aの修正値=
1 p
上記の検討を行っても,規格値を満たさず,これ以上の品質水準の改善が不可能な場
合には,全数検査を行うか,附属書2を参考にして材料変更・設計変更を行う。又は手
順4及び手順5の(2)で求めたを暫定値として,必要に応じた制御などで対策を取る。
手順6 の決定 手順5の検討に基づいてを決定する。
例1. 望小特性の場合 : 音響機器の軸受 高分子材料で作られた音響機器の軸受が金属部品に取り付
けられて作動する。この軸受の真円度が110 転むらが発生して,使用者の50%
がサービスステーションなどへ修理を依頼すると予測できる。そのとき修理費は5 000円である。
手順1 機能限界0及び平均損失A0の推定
――――― [JIS Z 8403 pdf 3] ―――――
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Z 8403-1996
使用者段階 機能限界0=110 平均損失A0=5 000円
手順2 生産者側の損失Aの推定 生産者側の損失Aは部品購入原価などから700円となった。
手順4 最大許容値の計算
0=110 A0=5 000円,A=700円であるから
700
= 110 ≒41 (
5 000
手順6 最大許容値の決定 以上から,真円度の最大許容値は,きりがよい数値で40
とした。
例2. 望大特性の場合 : 手提げかばんのハンドル 手提げかばんのハンドルに金属部品を挿入して組
み立てる。このハンドルのはめあい強度が150N以下であると,使用中に不具合が生じて使用者
の50%が修理を依頼する。そのときの修理費は搬入・搬出などの費用を含め,5000円である。
手順1 機能限界0及び平均損失A0の推定
使用者段階 機能限界0=150N, 平均損失A0=5 000円
手順2 生産者側の損失Aの推定 生産者側の損失Aは部品購入原価などであり,140円であ
る。
手順4 最小許容値の計算
0=150N,A0=5 000円,A=140円であるから
5 000
= 150 ≒896 (N)
140
手順6 最小許容値の決定 以上から,最小許容値は,きりがよい数値で900Nとした。
――――― [JIS Z 8403 pdf 4] ―――――
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Z 8403-1996
附属書1 製品の品質とコストとのバランスの取り方
1. 適用範囲 この附属書は,製品の品質特性の規格値の決定に先立って実施する,製品の品質とコスト
とのバランスを取るための手法について規定する。
備考 製品の品質とコストとのバランスの取り方とは,選定可能な複数の製品構成要素又は材料があ
るとき,製品の品質特性の出荷後ばらつき(1)による使用者損失と入手コスト(2)との和である総
合損失 (LT) を最小にするように,複数の候補から一つを選定する方法をいう。
注(1) 出荷後の製品に発生する劣化・摩耗などに起因する時間的経過による品質特性のばらつき,及
び温度・湿度など環境条件の変化による品質特性のばらつき。
(2) 選定した候補を入手するのに必要な原価。
2. 用語の定義及び記号 この附属書で用いる主な用語の定義及び記号は,この規格の本体によるほか,
次による。
平均二乗誤差の和 質特性の出荷後ばらつきの平均二乗誤差の和。加工時の品質特性のばらつきは
含めない。
3. 製品の品質とコストのバランスの取り方の手順 特性値の規格値を満足する候補を幾つか選定し,そ
れぞれの出荷後ばらつきによる損失とその入手コストとの総和を比較し,総和がもっとも少ない候補を採
択する。その手順は次のとおりとする。
手順1 部品,要素,ユニットなどの製品構成要素又は材料の中から規格値を満足しそうな候補を幾
つか選定する。
手順2 選定された候補の入手コスト及び出荷後ばらつきに関する情報を入手する。
手順3 品質特性の区分に対応する損失関数を選定する。
(1) 望小特性又は普通特性の場合
A 2
損失 L= 2 T
Δ0
ここに, 出荷後の特性値の理想値又は基準値からの偏差の二乗平均。
(2) 望大特性の場合
損失 L=A002
ここに, 出荷後の特性値の逆数の二乗平均。
手順4 機能限界0及び平均損失A0を求める。
手順5 選定された候補に対して平均二乗誤差の和 する。
劣化・摩耗及び温度・湿度などによって品質特性が使用中変化するとすると,
うに計算する。
例えば,製品の出荷後,時間tにおける劣化によって変化した特性値をyd,摩耗によって
変化した特性値をya,環境変化(例えば,温度 滿 によって変化した特性値を
ynとすると
平均二乗誤差の和 (劣化によるばらつきの平均二乗誤差)
――――― [JIS Z 8403 pdf 5] ―――――
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JIS Z 8403:1996の国際規格 ICS 分類一覧
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