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Z 8516 : 2007 (ISO 9241-6 : 1999)
附属書A(参考)照明
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1 照度 照度は,ある表面上に入射する光束の物理的な光量,密度を表す。これは,ある表面上に入
射する光束をその表面の面積で除した値である(定義については,本体3.11を参照)。
作業環境において必要とされる照度は,昼光又は人工照明によって提供できる。この規格において,照
度という用語は,主要な視覚対象物が配置されている別の基準平面を特に規定しない限り,一般的に水平
作業平面に対して使用する。特定の作業,活動又は部屋の領域に関係する代表的な照度範囲は,他の規格
によって規定されている(CIE刊行文書29.2及びISO 8995:1989の附属書Bを参照)。
水平照度に加えて,特に奥行の印象が重要になる場合,鉛直面照度についても重視することが望ましい。
一般的に,鉛直面照度の比率を高くすることによって,奥行感覚を向上させることができる。別の方法と
して,VDTディスプレイ上の文字と背景との輝度比Cを低減することもできる。
備考 輝度比Cは,良好な視認性を確保するうえで,文字サイズとともに最も重要な視覚要素となる。
適切な条件では,ディスプレイ上の文字と背景のコントラストとが,それぞれ最小で1 : 3及び
3 : 1よりも低いことはない(JIS Z 8513参照)。
A.2 輝度バランス 視覚表示装置を使用するワークステーションでは,(特に,ネガティブコントラスト
の場合に)輝度バランスに対して特別な注意を払うことが望ましい。その理由は,ディスプレイの配置に
よって下方向を向く視線の傾きが,通常の(VDTなしの)オフィスワークステーションを見る視線の傾き
よりも小さくなるためである。視野の中に大きな輝度差がある場合,例えば,次の各要素間に望ましくな
い影響が出る。
− 照明光及び天井
− 天井及び壁又は窓
− ディスプレイ及び装置備品
− ディスプレイ及び窓
− 外部要因[例えば,(外壁面が)暗色の建物とその背景の明るい空,雪]
A.3 グレアの制限
A.3.1 昼光からの直接グレア 昼光による直接グレアは,一般的に,太陽又は雲を直接見ること及び隣接
した建物での反射などによって引き起こされる可能性がある。必要に応じて,太陽又は太陽にさらされて
いる表面からのグレアに対する保護を行うことが望ましい。カーテン,ロールブラインド,ベネチアブラ
インド,バーチカルブラインド,日よけなどの可動備品又は昼光制御システムは,この目的に適している。
天空光がワークステーションでの作業の妨害となるグレアを引き起こさないことを確実にするため,こ
れを遮へいすることが望ましい。
グレアを制限するために使用する窓の処置によって,ワークステーションの色合い及び外界の景色の色
合いに影響が及ばないことが望ましい。
カーテン,ブラインド,日よけなどの制御装置は,グレアの影響を受ける人が自由に操作できることが
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望ましい。カーテン又は直射日光を受けるその他の垂直に整列した備品の輝度が,オフィス作業で使用す
る最も明るい照明器具の輝度を超える場合がある。これによって,一日の特定の時間に,人工照明よりも
大きなグレアが起こる可能性がある。したがって,これらの備品に対してグレアに対する適切な保護を行
い,しかも直接グレア又は反射グレアによる作業の妨害を引き起こさないように,その透過率を低くする
ことが望ましい(標準値は0.3未満)。備品又はその一部がディスプレイ上に可視反射を引き起こす可能性
がある場合は,部屋の内部から見た備品の輝度が,室内の表面輝度と同じ大きさであることが望ましい。
遮へいの導入に伴って,昼光の分布とともに,その有効性が低下することになる。
視線が輝度の高い面(空及び建物障害物の面)に絶えず向くようなワークステーションの設置は,回避
することが望ましい。
備考 窓の内側にグレアを制御する手段を採用する場合は,室内の熱平衡に注意を払うことが必要で
ある。
A.3.2 人工照明からの直接グレア 人工照明からの直接グレアは,照明器具又は高い輝度で照明が行われ
ている室内表面(内装)によって起こる可能性がある。グレアの影響に関する決定的な要因は,輝度,直
接的な周囲空間の輝度,視野におけるグレアの位置,グレアの空間寸法(大きさ)及び目の順応状態であ
る。
下方に向けて点灯される照明器具の場合には,グレアを制限する手段を必要に応じて実施することが望
ましい。
水平から上の方向に向けられる視線の場合は(例えば,銀行の顧客サービスデスク),グレアを更に低減
するように特別な予防措置を講じることが望ましい(図A.1を参照)。
図 A.1 グレア防止の特別な手段が必要とされる状況
個々のワークステーションの照明に使用する照明器具が原因となって,個々のワークステーション又は
。
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隣接したワークステーションでグレアが起こらないことが望ましい。
A.3.3 反射グレア
A.3.3.1 人間工学上の全般的な留意事項 人間工学的な理由から,照明,作業場及び表示装置で構成され
るシステム全体を改善することが望ましい。その目的は,次の対象物に及ぶ反射グレアを低減することに
ある。
a) 表示装置上
b) その他の作業媒体 反射グレアは鉛直,水平及び中間の各平面で起こる可能性がある。これは視覚的
な感知を損なうか,不快を引き起こすか又はそのいずれかの原因となる。作業面及び作業装置(例え
ば,表示装置,印刷された文書,及びキーボード)上での反射によって作業を妨げるグレアは,適切
な設計とともに,作業装置及び照明の位置決めによって防止することが望ましい(図A.2を参照)。
適切な手段を選択するときには,タスクの要求事項に従って作業装置の方向を容易に変更できるこ
と,及び外部との視覚接触が損なわれる可能性が最小限に抑えられること(これは適した例ではない
が,例えば,過剰なグレアを回避するために終日カーテンが必要になる場合)を確認することが必要
である。さらに,ユーザーには反射グレアによって制約を受けることなく作業場を構成し,タスクに
必要なすべての視覚的に表現された物(種々の電子若しくは印刷視覚ディスプレイ,又はその他の装
置)を配置する自由度を可能な限り与えられることが望ましい。
A.3.3.2 適切な対策の選択 デスク表面及び文書を含む作業装置表面の仕上げは,可能な限りつや消しの
状態に維持することが望ましい。光沢の度合いにほとんど影響を与えないように,作業装置上での反射グ
レアを回避するためには,次の対策のうち一つ又はそれ以上を採用することが必要である(図A.2を参照)。
− ワークステーションの作業装置を適切に整列及び設置するか,又は照明器具を適切に配置することに
よって,光の入射方向を変更する。
− 適切な照明設備を使用する。
− ワークステーションの配置方向を変更する。
− 鉛直面照度と水平面照度との比を変更する。
適切な手段を選択するときには,次に示す三つのクラスの情報媒体を区別する。
− 垂直又はほとんど垂直に整列された電子視覚ディスプレイ及びその他の光学ディスプレイ
− 水平又はほとんど水平に整列された電子視覚ディスプレイ及びその他の光学ディスプレイ
− 曲面又は表面要素をもつ作業装置(キーキャップ,幾つかの視覚ディスプレイの設定など)
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ディスプレイを回転させる
ディスプレイを傾ける
ディスプレイ
高さを調節する
正しい場所設定による ディスプレイを移動する
ワークステーションの設置
場所を変更する
ワークステーション
ワークステーションを傾ける
正極性を導入する
装置の機能性による ディスプレイにグレア防止
手段を導入する
フラット画面を導入する
グレアの制御
照明器具の設計を変更する
人工照明による 照明器具の位置を変更する
グレア発生源を遮へいする
照明による
窓の処置を追加する
自然光による
グレア発生源を遮へいする
・・・
図 A.2 反射グレアを回避する手法
。
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A.3.3.3 モニタ等級に関する留意 JIS Z 8517では,視覚ディスプレイについて,その使用に適切とされ
る照明環境に基づいて三つのクラスを規定している。許容可能な視覚条件を達成するためには,次のいず
れかの要求事項が適用される。
a) 使用するディスプレイのクラスに基づいて,視覚環境を制御することが望ましい。
b) 視覚環境の性質に基づいて,ディスプレイのクラスを選択することが望ましい。
備考 比較的少ないクラスIIIの画面が作業場にある場合には,部屋全体を照明して明るくするのでは
なく,十分な注意を払って画面を配置するか,又はその周囲環境を変更すると,より有効であ
ろう。
モニタのクラスは,次の試験条件に基づき規定されている(試験方法については,JIS Z 8517を参照)。
クラスI LA (REF, EXT)=200 cd/m2及びLA (REF, SML)=2 000 cd/m2
クラスII LA (REF, EXT)=200 cd/m2又はLA (REF, SML)=2 000 cd/m2
クラスIII LA (REF, EXT)=125 cd/m2及びLA (REF, SML)=200 cd/m2
許容可能な視覚条件を達成するためには,ユーザーに画面上で反射して見える照明光又は室内表面(例
えば,窓又はその他の開口部,天空光,透明又は半透明の壁,明るい色の備品,壁)は,次の平均輝度に
制限することが望ましい。
− クラスI及びクラスIIのディスプレイについては,1 000 cd/m2以下
− クラスIIIのディスプレイについては,200 cd/m2以下
A.3.3.4 輝度に関する留意 ピーク輝度の測定のほうがより適当であると考えられる場合でも,実用性の
観点から,ピーク輝度ではなく平均輝度を測定することを推奨する。
したがって,可能な限り輝度のピーク値が,平均値から外れることを抑えることが重要である。
表示面をほぼ水平で使用する場合も上記の制限を適用するが,天井及びそれに取り付けられている照明
器具に特別な注意を払うことが望ましい。
備考1. 明るい背景に暗い記号が表示されている場合は,反射による妨害が少ないこと,並びにディ
スプレイ,文書及びキーボードの間の輝度の違いが小さいことが分かっている。したがって,
一般にこの表示方法を選択することが望ましい。
2. 文字の鮮明度,背景の輝度などの著しい低下及び品質の劣化なしに,反射による妨害を明ら
かに低減できる場合は,反射を低減する手段を講じることが適切である。
A.3.3.5 表面の形及び配置に関する留意 グレア及び水平に配置された表面上の反射によって起こる妨
害は,次の手段によって回避することができる。
− 作業装置及びその表面の適切な配置
− 間接照明又は直接照明及び間接照明の組合せ
− 反射像を目立たなくする反射面の輝度分布の均一化
反射グレアは,装置の曲面要素(例えば,キーキャップ)上の鏡面反射又は複数の反射面要素(例えば,
光沢仕上げの操作部を含む制御盤及び各種の視覚表示)を備えた装置によって引き起こされる可能性があ
る。このような場合,反射グレアを回避するためには,上記の手段を組み合わせることが必要になる。照
明器具の配光設計又は光の入射を変えるなどの照明によるグレアの制御は,常に視覚環境上の幾つかの不
都合を伴う。したがって,作業装置の適切な配置など他の手段を講じても満足な結果が得られない場合だ
け,照明によるグレアの制御を考慮することが望ましい。
他の種類の作業(例えば,製造現場及び営業部門における作業)に対応するように設計された作業場で
オフィス作業が行われる場合,図A.2に示す手段を適切に組み合わせることによって,グレアの排除を達
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JIS Z 8516:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-6:1999(IDT)
JIS Z 8516:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8516:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC61000-4-2:2012
- 電磁両立性―第4-2部:試験及び測定技術―静電気放電イミュニティ試験
- JISC61000-4-8:2016
- 電磁両立性―第4-8部:試験及び測定技術―電源周波数磁界イミュニティ試験