この規格ページの目次
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3.1.13
効率(efficiency)
達成された結果に関連して費やした資源。
注記 典型的な資源は,時間,人間の労力,コスト及び材料を含む。
3.1.14
満足(satisfaction)
システム,製品又はサービスの利用に起因するユーザのニーズ及び期待が満たされている程度に関する
ユーザの身体的,認知的及び感情的な受け止め方。
注記1 満足は,実際の利用に起因するユーザエクスペリエンスがユーザのニーズ及び期待を満たし
ている程度を含む。
注記2 利用前の期待は,実際の利用に伴う満足に影響を与える可能性がある。
注記3 身体的,認知的及び感情的な反応を満足の測定に利用する場合がある(6.4参照)。
3.1.15
利用状況(context of use)
ユーザ,目標及びタスク,資源並びに環境の組合せ。
注記 利用状況の“環境”は,技術的,物理的,社会的,文化的及び組織的環境を含む。
3.2 関連する概念及び分野
3.2.1
human-centred quality
[対応国際規格では定義しているが,利用の成果(outcome of use)と同じ意味であると判断し,読者の混
乱を避けるためにJISでは定義しない。]
3.2.2
アクセシビリティ(accessibility)
製品,システム,サービス,環境及び施設が,特定の利用状況において特定の目標を達成するために,
ユーザの多様なニーズ,特性及び能力で使える度合い(ISO 9241-112:2017 3.15参照)。
注記 利用状況は,ユーザが単独で利用する,又は支援技術を使って援助を受けながら利用する状況
を含む。
3.2.3
ユーザエクスペリエンス(user experience)
システム,製品又はサービスの利用前,利用中及び利用後に生じるユーザの知覚及び反応。
注記1 ユーザの知覚及び反応は,ユーザの感情,信念,し(嗜)好,知覚,身体的及び心理的反応,
行動並びに達成感を含む。
注記2 ユーザエクスペリエンスは,ブランドイメージ,表現,機能,性能,支援機能及びインタラ
クションの影響を受ける。また,ユーザの事前の経験,態度,技能及び個性によって生じる
内的及び身体的な状態,利用状況などの要因の影響を受ける。
注記3 “ユーザエクスペリエンス”という用語は,ユーザエクスペリエンス専門家,ユーザエクス
ペリエンスデザイン,ユーザエクスペリエンス手法,ユーザエクスペリエンス評価,ユーザ
エクスペリエンス調査,ユーザエクスペリエンス部門といった,能力又はプロセスを表すこ
ともある。
注記4 人間中心設計では,インタラクティブシステムの設計に関連するユーザエクスペリエンスだ
――――― [JIS Z 8521 pdf 6] ―――――
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けを管理する。
3.2.4
利用による危害(harm from use)
システムの利用に起因する健康,安全,財産又は環境に関する否定的な影響。
注記 ここでの否定的な影響とは,ユーザ又はほかのステークホルダへの影響のことである。
3.2.5
人間工学,エルゴノミクス,ヒューマンファクターズ(ergonomics,human factors)
システムにおける人間とその他の要素との間の相互作用(インタラクション)の理解に関する科学の分
野,並びに人間の福利及びシステム全体の遂行能力を最適化するために,理論,原則,データ及び方法を
設計に活かす専門分野(JIS Z 8501:2007参照)。
3.2.6
人間中心設計(human-centred design)
システムの利用に焦点を当て,人間工学(ユーザビリティを含む。)の知識及び技法を適用することによ
って,インタラクティブシステムをより使いやすくすることを目的とするシステムの設計及び開発へのア
プローチ(ISO 9241-210:2019 3.7を参照)。
注記1 この規格が,一般的にユーザとみなされる人々に加えて,多くのステークホルダへの影響に
も対応していることを強調するため,“ユーザ中心設計”ではなく“人間中心設計”という用
語を用いる。実際に,“ユーザ中心設計”及び“人間中心設計”という用語は,しばしば同義
語として用いられる。
注記2 使いやすいシステムは,生産性の向上,ユーザの快適さの向上,ストレスの回避,アクセシ
ビリティの向上及びリスクの軽減を含む多くの利点を提供する。
3.3 その他の定義
3.3.1
建築環境(built environment)
外部及び内部の環境,発注,設計,構築,人々が利用するために管理される要素,構成要素又は附属品
(ISO 21542:2011 3.10を参照)。
3.3.2
要求事項(requirement)
合意事項,標準若しくは仕様又はほかの正式に取り交わした文書の内容を満たすシステム,システム構
成要素,製品又はサービスによって,適合若しくは具備しなければならない制約条件又は能力(ISO/IEC
24765:2017 3.2506,定義2を参照)。
3.3.3
ユースエラー(use error)
製造業者の意図又はユーザの期待とは異なる結果をもたらしたシステム,製品又はサービスを利用する
ユーザの行動又は行動の欠如(IEC 62366-1:2015 3.21を修正,医療機器という用語をインタラクティブ
システムに置換え,注記4及び注記5を置換え,注記6を省略)。
注記1 ユースエラーは,ユーザがタスクを完遂する能力がない場合を含む。
注記2 ユースエラーは,ユーザの特性,ユーザインターフェース,タスク又は環境の不整合による
結果である。
注記3 ユーザは,エラーが起きたことに気付いたり気付かなかったりする。
――――― [JIS Z 8521 pdf 7] ―――――
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注記4 インタラクティブシステムの故障によって引き起こされた,予期していないエラーは含まな
い。
注記5 エラーの責任をユーザに押し付けることを避けるため,ユーザエラー又はヒューマンエラー
ではなく,ユースエラーという用語を使う。
4 ユーザビリティの根拠及び効用
ユーザビリティは,対象とするシステム,製品又はサービスとユーザとのインタラクションにおける効
果,効率及び満足で表す。
システム,製品又はサービスを設計する場合,
− ユーザビリティが予想より低い場合,対象ユーザはシステム,製品又はサービスを利用できない,若
しくは利用したがらない可能性がある。
− ユーザビリティが十分な場合には,システム,製品又はサービスは,私的,社会的及び経済的利益を
ユーザ,雇用者及び供給者に提供する。
− ユーザビリティが期待より高い場合には,システム,製品又はサービスには競争的な優位性がある(例
えば,顧客維持又は特別価格で購入する意思がある顧客の確保)。
適切なユーザビリティがもたらす具体的な恩恵は次による。
− 組織の運用効率への貢献
− 顧客相談窓口などの顧客支援費用の削減
− 多様な特性をもつ人々にとってのユーザビリティの向上(6.6.2参照)
− 持続可能性への貢献(JIS Z 26000:2012及びISO 27500:2016参照)
− 個人,社会又はビジネスにとって望ましくない結果が生じるリスクの低減
− ブランドイメージの向上などによる競争優位の確保
システム,製品又はサービスの使用に起因するユーザビリティを仕様化し,設計し,評価する際,その
目的は,効率,効果及び満足を,仕様に合ったレベルにすることである。特定のレベルのユーザビリティ
を実現することの潜在的な影響(ビジネス,組織,個人又は社会)を推定することで,開発に必要な労力
を調整することが可能である(ISO 9241-210:2019を参照)。
注記 文献[29]は,ユーザビリティのための開発作業のコストの妥当性に関する情報を提供する。
5 特定の利用状況におけるユーザビリティ
5.1 ユーザビリティの概念
ユーザビリティとは,特定のユーザが特定の利用状況において,システム,製品又はサービスを利用す
る際に,効果,効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合いである。
図1においては,システム,製品又はサービスを,ユーザ,目標及びタスク,資源並びに環境で構成さ
れる利用状況の内側に示し,効果,効率及び満足で構成されるユーザビリティを利用の成果として示して
いる。
注記 ユーザビリティの構成要素は,6.2,6.3,6.4及び6.6で詳細に説明する。
――――― [JIS Z 8521 pdf 8] ―――――
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利用の成果
利用状況
ユーザビリティ
ユーザ 効果
利用
効率
システム, 目標
環境 製品又は 及び 満足
サービス タスク
その他の
利用の成果
アクセシビリティ
資源 危害の回避
など(注記)
注記)例えば,ユーザエクスペリエンスの一部
図1−ユーザビリティの概念図
ユーザビリティが達成される度合いは,次の特性によって異なる。
− システム,製品又はサービス
− 目標
− タスク
− ユーザ
− 資源
− 環境
同じシステム,製品又はサービスを利用したとしても,目標,ユーザのタイプ及び利用状況のほかの構
成要素によって,ユーザビリティのレベルが大きく異なる可能性がある。ユーザビリティは,ユーザの特
性,能力などの個人差及びユーザが実行するタスクの特性,並びに物理的,社会的,文化的及び組織的環
境の影響を受ける。
一般に,特定の利用状況(ユーザグループ,タスク及び環境)において設計又は評価されたシステム,
製品又はサービスについて,ユーザビリティを考慮する。
例1 統計処理の専門家に向けたアプリケーションのユーザビリティのレベルは,専門家にとって高
くても,初めて統計を学ぶ学生にとっては低いことがある。
ユーザビリティは,利用状況の一つの構成要素の適合性を検討する際に用いることも可能である(8.2
参照)。
例2 ある製品を特定の利用状況の下で使えるようにするために,物理環境の一部として,照明の照
度を考慮する必要がある。
効果,効率及び満足は,ユーザ,目標及び利用状況のほかの構成要素による影響を受けるため,システ
ム,製品又はサービスのユーザビリティを測定する単一固有の尺度はない。
5.2 システム,製品又はサービス
ユーザビリティは特定のシステム,製品又はサービスを対象としている。システム,製品又はサービス
は,高度に複雑なシステム群から個々の構成要素まで様々である。
注記1 ユーザビリティは,ユーザとシステム,製品又はサービスとのインタラクションの成果であ
る。ユーザがインタラクションするシステム又はサービスは,ほかの人々を含む。
注記2 ユーザビリティの概念を適用できる様々なシステム,製品又はサービスについては,8.1に記
載する。
――――― [JIS Z 8521 pdf 9] ―――――
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5.3 “特定の”状況におけるユーザビリティの考慮
5.3.1 概要
“特定の”ユーザ,目標及び利用状況のほかの構成要素とは,ユーザビリティを考慮するためのユーザ,
目標及び利用状況のほかの構成要素を組み合わせたものである。
注記1 システム開発の仕様において考慮したか否かに関係なく,ユーザビリティを考慮する目的で
ユーザ,目標及び利用状況のほかの構成要素を“特定”することがある。
注記2 ユーザビリティは,“特定の”ユーザ,目標及びタスク,資源並びに環境の組合せによって大
きく異なる。
5.3.2 “特定の”ユーザ
“特定の”ユーザとは,ユーザビリティを考慮する目的によって特定したユーザのことである。ユーザ
の特性はユーザビリティに影響する(7.2参照)。
注記 特定のユーザは一つ以上のユーザグループであり,典型的にはシステム,製品又はサービスの
開発者が意図したユーザグループに含まれるが,含まれない可能性もある。
5.3.3 “特定の”目標
全ての目標が“特定の”目標として選択されるとは限らないため,ユーザビリティを考慮する“特定の”
目標を明確にすることが重要である(7.3を参照)。
ユーザビリティを考慮する“特定の”目標(意図した成果)には,ユーザ,管理者又は製造業者がそれ
ぞれ意図するような目標がある。
注記1 多くの場合,一つに限らず,複数の目標を考慮する。
注記2 “特定の”目標の達成と別の目標の達成との間に競合が生じる可能性がある。
例 切符を予約する際,最短の移動時間,快適さ,最も安い料金及び旅の詳細を設定するという目
標は競合する可能性がある。
5.3.4 “特定の”利用状況
ユーザビリティを考慮する特定の利用状況を明確にすることが重要である。通常,“特定の”利用状況は,
利用状況の全ての組合せの一部である。
6 利用の成果
6.1 成果としてのユーザビリティ
ユーザビリティは,ユーザとシステム,製品又はサービスとのインタラクションにおける効果,効率及
び満足に焦点を当てる。
効果(6.2参照),効率(6.3参照)及び満足(6.4参照)は,それぞれ下位構成要素から成る。
ユーザビリティが考慮される根拠及び特定の利用状況によって,効果,効率及び満足の相対的な重要性
及びそれらの下位構成要素は異なる。
例 医療機器の扱いを訓練された医療関係者にとっては,効果(正確性及び完全性)及び効率(所要
時間)が重要な関心事項である。
注記1 非効率又は不満足であってもユーザにとって効果的なことがある。また,効果的でない又は
非効率であるにもかかわらずユーザは満足することがある。
注記2 必要な機能を提供することは,ユーザビリティの前提条件である。
注記3 効果,効率及び満足は,観察可能な成果及び/又はユーザが知覚した成果を測定することで,
それぞれ特定又は評価できる(附属書A参照)。
――――― [JIS Z 8521 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8521:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-11:2018(MOD)
JIS Z 8521:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学