この規格ページの目次
7
Z 8523 : 2007 (ISO 9241-13 : 1998)
が要求先で処理中であることをユーザーが確認できるメッセージを手元の(要求元の)装置上に与えるこ
とが望ましい(JIS Z 8527の7.4を参照)。
7.2.7 ユーザーからの処理要求が完了したことを示すフィードバックを与えることが望ましい(JIS Z
8527の7.5を参照)。
7.2.8 ユーザーからの処理要求が即時に完了しない場合,処理要求が受け付けられたことを示すフィード
バックを与えることが望ましい。さらに対話システムは,その処理要求が完了した時点で,処理の完了を
明示することが望ましい。
例 ユーザーに対して,処理が終了したことを明示する。完了するまでに5秒以上かかりそうであれ
ば,処理が進行中であることを砂時計の図などで示す。
7.2.9 ユーザーに対するシステム応答(フィードバック)は,ユーザーの注意を仕事からそらせないよう
な適切なものであることが望ましい(すなわち,早すぎることも遅すぎることもないフィードバックが望
ましい。)。
例1. 新たな書式フィールドに移動した場合には,250 ms以内にフィードバックを与える。
例2. ポインティングデバイス(例えば,マウス)の動きに追随する画面上のポインタの動きの遅延
は,100 ms以内とする。
8. 状態情報
8.1 説明
状態情報は,システム中(ハードウェア及び/又はソフトウェア)の各要素の現況をユーザ
ーに案内するための情報である。状態情報には,どのようなアプリケーション,モード,プロセス,ハー
ドウェアなどが利用できるか及び稼動しているかにかかわる情報が含まれる。状態情報の詳細さは,ユー
ザーのそのときの仕事に適合していることが必要である。状態情報の内容は,すべてのユーザーにとって
有益であり,更に,システムに十分に習熟した熟練ユーザーにとって,システム状態の変化に合わせて自
分の操作を調整するうえで大いに役立つ。
状態情報で提供する情報には,次のようなものがある。
− ネットワーク又はメールに関するもの : 要求されたメッセージ,他のシステム及び通信相手となり得
るユーザーに関する概要。
− 遠隔又は手元の装置に関するもの : 印刷待ちの文書,装置の誤動作及び印刷の完了。
− 多重タスク処理に関するもの : 稼動中のプロセス又はシステム負荷の概要。
− そのとき選択している項目に関するもの。
− 選択可能なコントロール(例えば,ラジオボタン,チェックボックス)のそのときの状態に関するも
の。
この規格は,エラー状態にかかわる情報は状態情報には含めない。
8.2 状態情報に関する推奨事項
8.2.1 次の状況下では,絶えず状態情報を表示することが望ましい。当てはまる状況が多いほど,状態情
報を表示し続けることに適している。
a) 状態を示す情報が,ユーザーのそのときの仕事に関連が強く,状態情報の遅れが作業を誤らせたり,
成績を低下させたり,システムに重大な障害をもたらすおそれがある。
b) ユーザーの仕事全体にわたって状態情報が関連していて,かつ,システムが,状態情報と仕事にかか
わる情報との両者を扱うのに十分な資源(例えば,処理能力,表示面の広さ)をもっている。
8.2.2 次の状況下では,状態情報を必要に応じて自動的に表示することが望ましい。当てはまる状況が多
――――― [JIS Z 8523 pdf 11] ―――――
8
Z 8523 : 2007 (ISO 9241-13 : 1998)
いほど,状態情報を自動的に表示することが適している。
a) 状態情報がユーザーの仕事に関連が強く,状態情報を自動的に提示することが作業効率の低下につな
がるおそれがない。
b) ユーザーの操作に対するフィードバックが,状態情報だけである(選択されたことを示すのにオブジ
ェクトの色を変化させる。)。
c) ユーザーが,システム又はアプリケーションに対してほとんど経験をもたず,訓練も受けないため,
状態情報の要求の方法が分からない。
d) システム又はアプリケーションをほとんど利用しない。
e) ユーザーの入力に対する応答が,システム状態の変化によって影響を受ける(例えば,ある周辺装置
が使えなくなったような場合。)。
8.2.3 次の状況下では,状態情報をユーザーが求めたときだけ表示することが望ましい。当てはまる状況
が多いほど,状態情報をユーザーからの求めに応じて表示することが適している。
a) 状態情報が,ユーザーの仕事にあまり関連しない。
b) 状態情報があまり重要ではなく,一部のユーザーに対してだけ役に立つ。
c) ユーザーに対してシステムへの応答方法を案内する場合,状態情報をほとんど必要としない。
d) 状態情報があまり重要ではなく,表示情報を速く頻繁に切り替えることがユーザーの仕事の妨げとな
る。
8.2.4 状態情報は,その種類ごとに一貫した場所に表示することが望ましい。
例 新たにメールを受信した場合は,常に特定の場所(例えば,画面の右上隅)の箱型領域に状態情
報を提示する。
8.2.5 対話システムがユーザーの入力を無効にしている場合(例えば,キーボードからの入力をロックす
る),ユーザーに対してその状態を示す何らかの手掛かり(視覚による又は聴覚による)を与えることが望
ましい。
8.2.6 システム又はアプリケーションがモードをもつ場合(すなわち,同じ操作でもシステムの状態によ
っては異なる結果がもたらされる),現在どのモードにあるかをユーザーが見分けられることが望ましい。
例1. モードが変化するときに,表示から目を離さなければならない仕事では,モードが分かるよう
に聴覚的な手掛かりを与える。
例2. チェックボタンのオン・オフの状態を,チェックボタンのラベルの左に視覚的に明示する。
9. エラーの管理
9.1 説明
人とコンピュータとのやり取りにおけるエラーには,次のようなものがある。
− ソフトウェア又はハードウェアの故障によるシステムの誤作動(例えば,ディスク装置の故障)。
参考1. システムに,割り込み,例外,異常終了通知などで知らされるようなエラー。
− システムが認識できないユーザーの入力。
参考2. 終了通知がシステムに伝わらないため,入力が認識できないようなエラー。入力ブロックの
順番などを確認することによって不整合を認識できる場合もある。
− ユーザーに起因するデータ入力操作の誤り,又は思い違い。
参考3. 例えば,ユーザーが金額を入力する場合に,けたを間違えて入力するようなエラー。
− ユーザー入力から生じる予期しない結果。
参考4. あて先ミスでメールが届かないエラー。プログラムで調べることもできない,所望の相手に
――――― [JIS Z 8523 pdf 12] ―――――
9
Z 8523 : 2007 (ISO 9241-13 : 1998)
届かない,又は他の人に届くという影響を知ることもできないエラー。
エラーの検出は,システムによって行われる場合(参考1.及び参考2.)もユーザーによって行われる場
合(参考3.及び参考4.)もある。システムによって行われる検出は,誤動作又は論理的な不整合及び矛盾
の場合にだけ可能である。ユーザーが検出するエラーは,ユーザーによってだけ検出可能なものをいう。
9.2 エラーの防止
9.2.1 エラーの防止を図るのは適切なことであるが,次の状況下では,特にエラーの防止を図ることが望
ましい。当てはまる状況が多いほど,エラーの防止が適している。
a) ユーザーのシステム経験が乏しい,又はシステムを常時扱わない。
b) ユーザーが,仕事の途中で割り込まれることが多い。
c) 仕事が,エラーによって重大な影響を受ける又は頻繁にエラーが生じると重大な影響を受ける。
d) ユーザーからの順序立った入力を必要とする仕事である。
e) システムに多数のモードがある。
9.2.2 システムがモードをもつ場合,ユーザーの起こすエラーを最小限とするには,次による。
a) どのモードにおいても,ユーザーの入力を類似した又は関連した機能キーに対応させる。
例
[F4]キーの機能 [F4]キーの機能
モード1 ディレクトリ一覧 とし モード1 ディレクトリ一覧 としない。
モード2 ファイル一覧 モード2 ウィンドウ変更
b) 例えば削除のような破壊的な機能を,モードの変更時に入力キーとして再割り当てすることは避ける
のが望ましい。
例 ファイル操作に対して割り当てた機能キー[F4]を,別のあるモードで消去操作に割り当てない。
9.2.3 システムの故障が予測できる場合,故障が発生する前に問題を指摘することが望ましい。
例 記憶容量を使い果たして,処理が完了できないおそれがあるという警告を与える。
9.2.4 ユーザーがプログラムの終了又はログオフを要求した場合,システムはファイルの状態及び中断状
態にある処理を確認することが望ましい。ユーザーのデータが失われる,又は中断状態のまま処理が終わ
るおそれがあれば,失われそうなデータ又は中止されそうな処理を指摘しながらユーザーの確認を求める
メッセージを表示することが望ましい。
9.2.5 仕事の性質上実行が可能で,ユーザーが仕事を遂行するうえで有益であれば,直前の操作をユーザ
ーが取り消し,元に戻せることが望ましい(例えば“元に戻す”)。ユーザーの操作が破壊的な結果を生じ
かねず,しかも元に戻すことが不可能なら,要求された操作を実行する前に,影響の重大さをユーザーに
注意する警告又は確認メッセージを与えることが望ましい。
9.2.6 システムが処理を実行する前に,ユーザーが入力を修正,又は取り消せることが望ましい。システ
ムの停止,又はデータが損なわれないのであれば,進行中の処理を一時中断,又は取り消す手段をユーザ
ーに提供することが望ましい。
9.3 システムによるエラーの訂正
9.3.1 次の状況下では,システムにエラーを訂正させることが望ましい。当てはまる状況が多いほど,シ
ステムによるエラー訂正が適している。
a) ハードウェア及び/又はソフトウェアの障害から生じたエラーで,システムによってエラーが解消で
きる可能性がある。
b) エラーを訂正する手段が少数でそれぞれが明確に規定されており,どの訂正手段を選択するかに関し
――――― [JIS Z 8523 pdf 13] ―――――
10
Z 8523 : 2007 (ISO 9241-13 : 1998)
てユーザーの意向が明確である。
9.3.2 システムによってエラーを訂正する場合には,次のいずれかによる。
a) 自動的にエラーを訂正するか否かをユーザーが設定できることが望ましい。
b) 訂正をどのように行うかを示しながら,ユーザーに対し確認又は警告のメッセージを与えることが望
ましい。
9.4 ユーザーによるエラー管理
9.4.1 仕事の性質上,ユーザーによるエラー管理が必要であれば,エラー管理のために中断した対話を継
続できる手段(情報及び/又は機能)を提供することが望ましい。
9.4.2 ユーザーにエラーの訂正をさせる場合には,エラー訂正のための手段を提供することが望ましい。
エラー訂正用手段の例としては,
− 既に実行した処理を元に戻す機能。
− 構文照合機能。
− 相互参照表。
− 履歴機能。
− つづり照合機能。
9.4.3 システム側でエラーの識別が不可能な場合,ユーザーに対してエラー識別のための診断手段を提供
することが望ましい。エラーを識別するための診断手段の例としては,次に示すものがある。
− WYSIWYG(ウジウィグ,頭字語)エディタ。
− 事前表示(プレビュー)機能。
− シミュレーション機能。
− システム設定値の一覧表示機能。
9.4.4 エラーを検出した場合,入力を全部入れ直させるのではなく,ユーザーがエラーにかかわる部分だ
けを訂正すれば済むことが望ましい(JIS Z 8525の7.3及びJIS Z 8527の6.4.3参照)。
参考 ISO 9241-15の8.3は存在しないため,内容が該当するJIS Z 8525の7.3を参照とした。
9.4.5 ユーザー入力の中で複数のエラーを検出できるようなシステムでは,次のいずれかによる。
a) 複数のエラーがあることをユーザーに対して指摘することが望ましい。
b) ユーザーがエラーのある欄又は欄の一部をすべて一括して把握できることが望ましい(JIS Z 8527の
6.4.2参照)。
9.5 エラーメッセージ
9.5.1 表示するエラーメッセージが簡潔な場合には,ユーザーがより詳細な情報をオンラインで要求でき
ること,又は補足的なオフライン情報を参照できることが望ましい。
9.5.2 ユーザー操作によって開始された一連の処理の途中でエラーが生じた場合には,一連の処理のうち
のどれが完了し,どれが完了していないかの情報を与えることが望ましい。
9.5.3 エラーメッセージは,何が間違っているか,どうすれば訂正できるかを伝えることが望ましい。そ
れとともに,
a) エラーの原因も伝えることが望ましい(JIS Z 8525の7.3及びJIS Z 8527の7.3参照),
例 入力データ中(例えば,データ欄及びコマンド名)にエラーを検出した場合に,入力内の最初の
エラー検出位置にカーソルを置いてエラーの箇所を指摘する。
参考 ISO 9241-15の8.3は存在しないため,内容が該当するJIS Z 8525の7.3を参照とした。
b) システムが,エラーの種類をできる限り正確に指摘することが望ましい(例えば,ファイル読込みの
――――― [JIS Z 8523 pdf 14] ―――――
11
Z 8523 : 2007 (ISO 9241-13 : 1998)
エラーを表しそのファイル内容は“参考資料1.dat”とする)。
9.5.4 エラーメッセージを提示する場所が固定されていて,それ以前のエラーメッセージに上書きされる
場合,同一のエラーメッセージが重複して出力されたかどうかを判別できる手掛かりをユーザーに与える
ことが望ましい。
例 あるエラーメッセージを重ねて提示する場合,メッセージに回数を付加して提示し,そのエラー
が複数回生じたことを示す。
9.5.5 エラーメッセージは,次のいずれかに従って消去することが望ましい。
a) エラーの原因が解消された後,すぐに消去する。
b) エラー訂正の前でも,ユーザーがエラーメッセージの消去を求めた場合。
9.5.6 エラーメッセージは,次のいずれかに従って一貫した場所に提示することが望ましい。
a) ユーザー入力と混同することのない範囲で,エラーの原因となったユーザー入力のできるだけ近くに
提示する。
b) 画面又はウィンドウの決まった1か所に,エラーメッセージを提示する。
9.5.7 エラーメッセージが当面の仕事に関連のある情報と混同されやすい場合,ユーザーがそのエラーメ
ッセージを他の場所へと動かせることが望ましい。
9.5.8 エラーメッセージは,仕事上一まとまりとみなすべき情報を入力し終わった後,すぐに提示するこ
とが望ましい。
例 書式に記入中に,特定の欄で文字入力誤りを検出してもすぐにはエラーメッセージを出さず,ユ
ーザーが誤りを放置して他の欄へと移ったときに初めてメッセージを提示する。
9.5.9 ユーザー入力の選択肢が少なく,表示領域が十分であれば,どのような入力が可能かをエラーメッ
セージに添えて提示することが望ましい。
参考 例えば,エラーメッセージとして,“だ円は指定できません。指定できる図形は円,四角及び直
線だけです。”と表示する。
9.5.10 ユーザーの特性又は仕事の特性,又はユーザーの好みに応じて,
a) 確認を求める勧告的メッセージをシステムが出さないように,ユーザーが設定できることが望ましい。
b) あまり重大でないエラー音及び音声メッセージの音量を変えたり,消したりできることが望ましい。
10. オンラインヘルプ
10.1 説明
オンラインヘルプは,ユーザーと対話システムがやり取りを行う場合,ユーザー向け案内及
び支援を提供する。オンラインヘルプでは,どのようなことができて,それがいつ,どこで,どのように
すれば可能であるかを説明する。オンラインヘルプは,ユーザーが目標を達成するうえでの支援も与える
ことができる。オンラインヘルプは,ユーザーの技能水準に応じて情報の水準を変えて提供することがで
きる。
オンラインヘルプを通じて提供できる支援の例としては,次のものがある。
− コマンド構文,使えるキー,及び仕事の手順に関する情報。
− 解説情報(例えば,仕事関連の諸概念)。
− 支援情報(例えば,選択肢の一覧)。
− 説明情報(例えば,画面及び関連する動作)。
10.2 システム主導型ヘルプ
10.2.1 次の状況下では,システム主導のオンラインヘルプを検討することが望ましい。当てはまる状況が
――――― [JIS Z 8523 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS Z 8523:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-13:1998(IDT)
JIS Z 8523:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8523:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8522:2006
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―情報の提示
- JISZ8524:1999
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―メニュー対話
- JISZ8525:2000
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―コマンド対話
- JISZ8526:2006
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―直接操作対話
- JISZ8527:2002
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―書式記入対話