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8. 補 正
8.1 光高温計の器差の補正 定められた検査(9.参照)を行い,得られた器差を指度から引く。検査の際
と使用の際とで条件が異なることから生じる誤差〔例えば光高温計の温度が異なることから生じる誤差7.2
(2)参照〕が明らかな場合は,それについて補正を行う(17)。
また,検査はたびたび行って,光高温計の機能及び指度の変化を早期に知ることが望ましい。
注(17) 実際にはこの種の誤差を明確に知り得ない場合が多いので,測定の際に注意してこれらの誤差
が生じないよう注意しなければならない。
8.2 個人誤差の補正 特定の測定者が平均値に比べ常に一定の値だけ高く読むか,又は低く読むことが
明らかな場合には,その量だけ補正する。
8.3 測定対象の状況による誤差の補正
8.3.1 測定対象の実効放射率及び途中の光路での放射損失(18)についての補正 測定対象の実効放射率
が知られているときは,次の式(1)により光高温計で読み取った輝度温度s℃から測定対象の真温度t℃を求
める(19)。
更に,途中の光路に放射の損失を生じるものがあり,その透過率 られているときは,光高温計で読
み取った見掛けの輝度温度s'℃から測定対象の輝度温度s℃を式(2)により求めたのち,式(1)によって真温
度を求める。
又は,式(3)により直接真温度を求めることができる。
1 1 = loge (1)
t 273 s 273 c2
1 1 = log e (2)
s 273 s 273 c2
1 1 = log e (3)
t 273 s 273 c2
波長が0.65 湘 に, は 桑 計で読み取った輝度温度又は見掛けの輝度温度から,補正
(t-s) ℃,(t-s') ℃又は (s-s') ℃を知るには,図4によることができる。
注(18) 光の損失についての補正は,透過率を知って式(2)により行うほか,測定対象とほぼ等しい輝度
温度をもつ適当な光源(例えば,リボン線条電球)を利用し,その輝度温度を,途中の光の損
失の原因となる物体を介在させたときと介在させないときについて測定し,両者の差をもって
補正とすることができる〔7.3.5(2),7.5.1(1)及び(2)参照〕。
(19) 記号の意味は,3.による。
なお,eは自然対数の底で,正の実数xについてlogex=2.302 6・log10x
また,3.によりc2=0.014 388m・Kであり,
――――― [JIS Z 8706 pdf 11] ―――――
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図4 実効放射率及び透過率による補正
8.3.2 その他の状況についての補正 測定対象の表面における外部光の影響〔7.2(4)参照〕,煙,炎,蒸気,
ほこりなどの影響〔7.3.2参照〕などが詳しく知られているときは,それぞれ補正する。
9. 光高温計の検査
9.1 検査の種類 検査は,機能検査及び校正とする。
9.2 検査の時期 各検査は,次の時期に行う。
(1) 機能検査
(a) 校正の直前
(b) 一連の測定を行う直前
(c) 光高温計の機能に疑いのあるとき
(2) 校 正
(a) 光高温計を入手又は修理した直後
(b) 常用する光高温計については3か月に1回以上
――――― [JIS Z 8706 pdf 12] ―――――
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(c) 特に正確な測定を行う前後
(d) 部品の交換を行ったあとなど測定値に疑いのあるとき
9.3 機能検査 機能検査は,次の手順によって行う。
(1) 光学系(特に対物レンズ)に,汚れや著しいきずがないとことを確かめる。
(2) 対物レンズ鏡筒の出し入れ及び接眼系の調整が滑らかに行われることを確かめる。
(3) 赤色フィルタ及び灰色フィルタを確実に光路に入れられることを確かめる。
(4) 計器回路に電流を通じ,高温計電球が点燈すること,及び指針が目盛の正の方向に振れることを確か
める。
(5) 電流をゆっくり増減して指針を振らせ,指針がひっかかったり又は不連続に動いたりしないことを確
かめる。
(6) 電流を増して指針を最高温度の目盛線の近くに合わせ,指度が数秒間安定していることを確かめる。
(7) 光高温計を通して適宜の光源(20)を見定め,その像に対して輝度合わせを行い,高温計電球の線条中央
部がむらなく消失するように見えることを確かめる。
注(20) 光源としては,校正用の標準電球(10.参照)が最も適当であるが,つや消し電球又は電燈グロ
ーブなどでも差し支えない。
9.4 校 正 校正は,あらかじめ目盛定めされた標準電球を用い,10.によって行う。
備考 校正は,原則として輝度温度9002 000℃の範囲について行う。校正のための測定を行う者は,
7.1によるほか,個人誤差が少ないこと(21),及び7.1の注(3)程度の精度で測定できる者でなけ
ればならない。
注(21) 読み取った値が,他の多数の人の読み取った値の平均と十分によく合致すること。
10. 標準電球
10.1 標準電球 標準電球は口金を下にして,タングステン製リボン線条の中央部を鉛直に保ち,直流で
点燈する。
校正しようとする高光温計の直前に附属の補助レンズを取り付け,5cmくらい離して指定の見定め方向
(図5参照)から測定する。
10.2 標準電球の種類 標準電球の種類を表6及び図5に示す。
表6 標準電球の種類
種類 使用温度範囲 ℃ 点燈電流(22) 点燈電圧(22) 用途
ガス入 10002000 818 15
大形 精密用
真空 9001600 411 0.54
ガス入 10001800 2.54.5 13
小形 一般用
真空 9001500 0.92.5 0.43
注(22) 点燈電流及び点燈電圧は大体の値であり,電球個個に相違する。
標準電球としては大形のほうが精度が良い。ガス入標準電球は点燈中に電球内のガスに対流を生じて誤
差の原因となりやすいから,線条を特に正しく鉛直に支持する必要がある。真空標準電球は,所定の温度
に達するのに長時間を要するから,特に注意を必要とする(23)。
注(23) 大形電球が定常状態になるまでの経過時間と温度誤差との関係の例を図6に示す。小形電球は,
大形電球のおよそ半分の時間で定常状態に達する。
――――― [JIS Z 8706 pdf 13] ―――――
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図5 標準電球(例)
図6 通電後の経過時間と誤差
――――― [JIS Z 8706 pdf 14] ―――――
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10.3 標準電球の条件 用途及び校正しようとする輝度温度範囲に応じ,表6によって適当な種類の標準
電球を選ぶ。
なお,標準電球の構造及び特性(24)についての注意事項は次による。
(1) 線条の見定め位置を示す切込みを備え,また線条のどちら側をどの方向から見定めるべきかを明らか
にできること。
(2) 線条の見定め位置の付近で,輝度温度の誤差が小さいこと。
(3) 見定め位置,見定め方向又は線条の鉛直支持の条件が多少満たされていなくても,誤差が小さいこと。
(4) リボン線条の位置はガラスの中心から外し,ガラス面で反射して生ずる線条の虚像が線条自身と重な
らないこと。
(5) 通電後,所要の輝度温度に達して定常状態になるまでの時間が短いことが望ましい。
(6) 周囲温度による特性の変化が小さいこと。
(7) 長時間使用しても特性の変化が小さいこと。
注(24) 標準電球の特性については,現在広く利用されている例を参考3.に示す。
10.4 標準電球支持装置 標準電球を所定の姿勢(25)に確実に支持するのに適した支持装置を用いる。支持
装置は標準電球の方向及び傾角(26)を調整できることが必要である。方向は,標準電球の見定め方向と光高
温計の光軸とが一致するように調整する。傾角は,標準電球の近くにつり下げたおもり付きの糸と線条と
が平行であることを肉眼で判定して,鉛直に調整する。
注(25) 口金を下にして,線条を鉛直に保つ。
(26) 特にガス入標準電球では,傾角の影響に注意する必要がある(参考図4及び参考図5参照)。
10.5 標準電球点燈回路 標準電球点燈回路は,図7に示すとおり,電源〔電池(27)又は直流安定化電源(28)〕,
標準電球(29),標準の抵抗器又は分流器,電位差計又はディジタル電圧計及び可変抵抗器を接続した回路で
あって,各部の電気的接触及び絶縁が良好でなければならない。電流の大体の値を知るためには電流計を
回路に入れることもある。可変抵抗器は標準電球に流す電流を所要の範囲で十分に細かく変えられること
が必要である。
注(27) 電池の容量は,長時間の使用に耐えるよう,大形電球用で600Ah以上,小形電球用で100Ah以
上を用いる。
(28) 直流安定化電源は,交流を整流した定電流電源を用いる(又は定電圧電源でもよい)。最小点燈
電流の0.1%より良い安定度が必要である。
(29) 標準電球の線条に流す電流が,常に線条の上側から下側に流れるように結ぶ。
図7 標準電球点燈回路(例)
――――― [JIS Z 8706 pdf 15] ―――――
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JIS Z 8706:1980の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.200 : 熱力学及び温度測定 > 17.200.20 : 温度測定機器
JIS Z 8706:1980の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8710:1993
- 温度測定方法通則