JIS Z 8828:2019 粒子径解析―動的光散乱法 | ページ 6

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Z 8828 : 2019 (ISO 22412 : 2017)
B.3 沈降
DLS法が妥当な結果をもたらすためには,沈降速度は拡散速度よりもはるかに遅い必要がある。この条
件が満たされているかは,相関曲線を見ることで確認でき,ランダムなブラウン運動の場合には,単調な
減衰を示す。高い頻度で相関関数が増加することは,非ランダム運動,すなわち粒子の沈降を示す。
相関関数の安定的な減衰状態は,試料の分散安定性が手早く確認できる指標でもある。
B.4 粒子数の変動
測定体積中の粒子数は一定である必要がある。これは,大きな粒子又は低濃度の試料を測定する場合に
は当てはまらない。相関関数の切片が1以上及び高い頻度で相関関数が増加することは,自己相関関数の
設定中に粒子数が変動していることを示す(これは他の測定条件の設定と異なる場合がある。)。
B.5 粗大粒子及びダスト
短い時間間隔(例えば,0.1秒間間隔)で計測した散乱強度の時間平均信号(カウントレート)において,
高いカウントレートの大きな変動が計測された場合,大きな粒子の存在を示しており,試料中に僅かに存
在する粗大粒子の沈降又は粉じんの混入の可能性を示している。試料を通過するレーザ光中に輝点が出現
する場合も,一般に粗大粒子の存在を示す。粗大粒子が粉じんの混入によるものである場合,分散媒を使
用前に更に清浄化(ろ過及び/又は蒸留)する。これらの粗大粒子が元の試料の一部であると結論付けら
れた場合,ユーザーは広い粒子径分布に起因する精度の低い結果を受け入れるか,又はろ液若しくは上澄
み液を再度測定するかである。どのような処理を行っても試験報告書に記載する必要がある。
B.6 異なる拡散
非球形粒子は,散乱光強度のゆらぎに対する回転拡散成分及び平行移動拡散成分の両方に寄与する。そ
れぞれの割合は,計測角度に依存する。報告された流体力学的直径は,これらの拡散成分に依存する可能
性がある[20]。
B.7 蛍光
蛍光粒子は,入射光の一部を吸収し,より長波長の光を再放射する。この再放射された光が検出器の感
度波長内である場合,無相関の信号量を増加させる。狭帯域バンドパスフィルタは,この影響を最小に抑
えるのに使用できる。

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附属書C
(参考)
オンライン測定
一般に,DLS法は静止状態の試料に適用する。流れは,粒子に余分な動きを加えるため,測定される見
掛けの拡散係数に付随的な寄与を与える可能性がある。この基本的な問題があるにもかかわらず,オンラ
イン測定可能なDLS装置が市販されており,意味ある値を測定した実施例が報告されている。オンライン
システムを使用する場合,次の問題を考慮する必要がある。
− 大きな粒子は付随的な動きとして,バルク流れの影響を最も受けやすく,相関関数の減衰が速くなる。
したがって,信頼性の高い測定可能な最大粒子径が制限される。
− 乱れのある流れ,又はセル壁面近傍の流れの一般的な状態である乱流は,その流れの影響を計算でき
ない場合がある。
− 定常状態ではない状態[例えば,フィールド フロー フラクショネーション(FFF)で観察されるよ
うな粒子数の変動]では,粒子数の少ない状態での測定結果(例えば,FFF溶出信号の散乱強度分布
のすそ近く)は,粒子数の多い状態での測定結果(例えば,FFF溶出信号分布の中心付近)と比べて
信頼性が低くなる。
− 定常状態から逸脱する状況では,粒子濃度の変化が影響を与える場合もある。
− 粒子移動による問題は,多分散試料で一層顕著になる。
− 試料は非常に希薄であることが多いので,散乱強度の弱い散乱体の測定も影響を受ける可能性がある。
流れ系で測定したい者には,これらの潜在的な影響が測定結果の精度に及ぼさない保証を得るために,
材料,粒子径範囲及び粒子濃度範囲について,オンラインシステムの妥当性を慎重に確認することを求め
る。すなわち,オンラインシステム(可能ならば分画採取後も)と静的システムの結果とを比較すること
を強く推奨する。

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附属書D
(参考)
推奨する試料調製方法
D.1 一般
試料の調製は,溶媒の清浄化,セル洗浄,溶液及び懸濁液の調製の三つの手順がある。はじめの二つの
手順(溶媒の清浄化及びセル洗浄)について,この附属書で詳細を記載する。最後の手順(溶液及び懸濁
液の調製)は,それぞれの試料に依存するため,D.5に一般的な指針を記載する。D.6にはポリスチレンラ
テックス粒子の水懸濁の調製を詳細に記載する。
DLS法測定における主要な問題の一つはダストである。ダストとは,測定に好ましくない影響を与える
散乱体に付けられた一般名である。ダストの存在は,平均粒子径の結果に重大な偏りを与える。
ダストは,ろ過,蒸留又は遠心分離によって溶媒から除去できる。ろ過は,安価な使い捨てフィルタを
利用できるため,最も簡便な方法である。しかし,液体の脱イオン化又は微量な不純物を除去するために
は,蒸留が必要になることもある。ろ過膜との相互作用によって,ろ過を用いることができない場合には,
遠心分離によってダストを除去する。この場合,遠心分離した後の上澄みを測定セルに移す。
次の箇条では,溶媒を清浄化するための方法を幾つか記載する。最初に最も簡単な方法から試し,用途
に合った最適な方法を選ぶのがよい。分散した粒子を変化させずに,ダストを含まない試料を調製するこ
とができれば,この附属書に記載した以外の方法を用いて差し支えない。
D.2 ろ過
D.2.1 水
少量の水のろ過には,直径25 mm,孔径0.2 μmの使い捨てろ紙を取り付けた容積20 mLの注射器を利
用する。ルアーロック付きの注射器を選ぶ。注射針が必要な場合は,孔径が大きなもの(18ゲージ)を使
用する。小さな口径の針先から水を噴霧すると,水が液滴となり,表面積が増加するため,空気中の多く
のダストが液中に取り込まれる。水を静かに流出させるようにし,噴霧してはならない。
ろ過の初期段階では,ろ紙が目詰まりするような粗い粒子を除去するために,注射器及び注射針を数回
洗浄し,粒子を洗い流す。可能ならば,ろ過した溶媒に粒子として混入する残留物(ポリマーコーティン
グ剤など)が付着していないろ紙を使用する。不可能ならば,このような残留物を除去するため,使用前
にろ紙を数回洗浄する。水が多くのダストを含む場合は,予備ろ過も検討する。予備ろ過は,孔径の小さ
なろ紙の寿命を長くする。
大量の液体をろ過するときには,大きなろ過面積をもつ孔径0.2 μmのろ紙を装した直径47 mm又は
より大きな直径のろ紙ホルダを使用する。ろ紙ホルダを水供給口に接続する。ろ紙上に付着した粒子を除
去するため,最低20 mLの水をろ紙に通す。これは,ろ紙表面の残留物を洗い落とす一方で,ろ紙の寿命
も低下させる。ろ過の間は,空気とろ液との接触面積が大きくならないように,ろ液をセル又は希釈容器
に注ぐ。
D.2.2 有機溶媒
使用する溶媒が,プラスチック製のろ紙ホルダ及びろ紙材質に影響を与えないならば,水に対して示し
たD.2.1と同じ浄化方法を用いる。影響を与えるならば,ステンレス製のろ紙ホルダ及び使用する溶媒に
適した材質のろ紙を用いる。溶媒に適したろ紙の選択指針は,ろ紙の製造メーカから入手できる。

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少量の溶媒をろ過するときには,ガラス製の注射器に接続された直径13 mm又は25 mmのステンレス
製のろ紙ホルダ及びろ紙を使用する。また,溶媒に溶解しない材質のOリングを選ばなければならない。
ろ紙に孔をあけないように,先の平らなピンセットを用いてろ紙を取り扱う。
D.3 清浄化
D.3.1 水
残留イオンは,散乱体(粒子)に化学的及び相互作用的な影響を与える場合がある。イオンは,試料を
安定化する場合もあるが,凝集を引き起こす場合もある。粒子形状の変化が拡散係数に影響する場合は,
結果として,DLS法による測定結果に影響する。
市販の純水製造装置も利用が可能である。これらの装置は,イオンを除去し,微量な有機物を吸着し,
0.2 μmの粒子までろ過できる交換式のカートリッジで構成されている。この装置は,簡便に利用でき,小
型,安全で,かつ,維持管理が簡単である。
別の方法として,イオン交換カートリッジ,沸騰フラスコ,凝縮器,容器及び孔径0.2 μmのろ紙を順に
接続し,これに水を通して浄化する方法がある。イオン交換カートリッジ入口までの配管,及び冷却水の
配管に用いるポリ塩化ビニル(PVC)製のチューブを除いて,全てポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
製チューブを使用する。いずれの接続部にもグリースを使用してはならない。
組立後は,測定試料を調製するときに使用する純水を得る前に,装置に数リットルの純水を流し,捨て
る。
D.3.2 有機溶媒
非極性溶媒では,通常,脱イオンカラムは不要である。プラスチック製のろ紙ホルダを47 mmのPTFE
製ホルダに,ろ紙を溶媒に対して適切なものに交換する。溶媒に接触するPVC製の配管を,全てPTFE製
に交換(第2候補はふっ素樹脂ゴム)する。可燃性の溶媒を蒸留するときには十分に注意する。
D.4 測定セルの洗浄
D.4.1 一般
必要なセル洗浄の程度は測定条件に依存する。個別に包装された使い捨ての清浄なセルを用いる場合は
一番簡単な方法は,ろ過された圧縮空気でダストを吹き飛ばすだけである。セルの先端部分をもち,光が
通過する部分に指紋を付けてはならない。
D.4.2 洗剤及び水
厳密なセルの洗浄方法を,次に示す。簡単な方法から試していき,用途に合った最適な方法を選択する。
精製水でセルを十分すすぐ。セルの内側及び外側を,研磨剤を含まない洗剤で洗う。このとき,僅か数μm
の引っかききずが問題となるため,ブラシは使用せず,洗剤と水とをセルに入れ,セルを勢いよく振る。
さらに十分に洗浄するには,希薄な洗剤水で満たした小型の超音波洗浄槽(出力40 W程度)にセルを
浸し,数分間,超音波洗浄を行う。可能ならば加熱する。セルにきずが付くのを避けるため,セルどうし
及びセルと洗浄槽の壁とが当たらないようにする。超音波洗浄槽の洗浄液は,こまめに交換する。
精製水で十分に洗浄する。セルを逆さまにして乾燥させるか,セルの内側にダストが付着しないように
カバーを掛ける,又は粒子が存在していないHEPAフィルタ付きベンチ内でセルを清浄にし,その清浄な
状態を保つ。
D.4.3 酸
試料粒子がときどきセル壁面に吸着することがある。また,油滴,微生物などが付着して,洗剤及び水

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だけでは完全に洗浄できないことがある。セルに付着した水が一様に乾燥しない場合,及びセルから水が
一様な液膜となって流れない場合は,次の洗浄処理を考慮する。
濃硫酸にセルを1時間浸す。PTFEで被覆されたピンセットを用いて,セルを取り出す。精製水ですす
ぎ,洗剤液で超音波洗浄を行った後,ろ過した水で数回すすぐ。カバーを掛けて乾燥する。
ラテックス試料が残ったまま乾燥させると,ガラス又は石英セル表面に強固な膜ができることがある。
この膜の除去にも,濃硫酸による洗浄が極めて有効である。
D.5 溶液及び懸濁液の調製
最も重要なことは,全て(セル及びその蓋,希釈瓶及びその蓋,分注用のピペット又は注射器,緩衝液,
界面活性剤溶液調製用のガラス器具など)を精製及びろ過した溶媒ですすぐことである。また,緩衝液及
び界面活性剤溶液は,精製及びろ過した溶媒で調製する。
使い捨てのプラスチック製ピペットからダストを除去するには,通常は圧縮空気を使うだけで十分であ
るが,カバーを掛けずに放置したため油及びダストが付着したガラス製ピペットに対しては,この方法で
は不十分である。
ダストの再混入を防止するために,試料調製の最終段階で使用する溶媒が,室内の空気と接触する機会
を最小にする。室内空気との接触を可能な限り避けるため,直接接続して溶媒を供給する。光を散乱する
バクテリアが増殖するため,ろ過水は,長時間保存してはならない。可能であれば,少量の新鮮な溶液を
毎日調製するか,不可能な場合は,使用前にろ過する。
可能ならば,フラスコ,瓶又はセル中に溶液を噴霧することを避ける。溶媒が,清浄で滑らかな表面を
つたって流れるようにすると,再混入するダストを減らすことができる。
一度調製した試料は,決して強く振ってはならない。試料を振るとダストを含む空気が取り込まれると
ともに,空気が溶液に溶け込む。目に見えない小さな気泡は,測定したい試料粒子よりも,大きな散乱を
与える。試料をゆっくりと回すのが最善である。濃縮された試料の液滴に希釈液を加える方が,希釈液に
液滴を滴下するより,一様な濃度の試料液を迅速に作ることができる。
分子溶液を作るときには,専門の文献を参考にする。光を散乱し,誤った結果を導き出すゲル及びその
他の超分子には注意する必要がある。
粒子が凝集したままで,あきらかに均一な懸濁液にならない場合は,数滴のエタノールを試料に滴下し
てぬらした後,水に分散させる。
界面活性剤は過剰に使用しない。臨界ミセル濃度(一般的には体積分率10−410−5 %)を超えると,界
面活性剤は凝集を促進する場合がある。
D.6 ラテックス懸濁液の調製
DLS法の測定を初めて行う場合は,電子顕微鏡又はDLS法で測定された粒子径が約100 nmで,粒子径
分布が狭いポリスチレンラテックス粒子を選ぶとよい。この試料の水懸濁液はよく光を散乱するため,装
置の調整にも用いることができる。また,最大切片Bmaxを決定することもできる[7.3 c)参照]。
このようなポリスチレン粒子は,数種類,市販されている。購入後,1年以上経過した試料は,使用し
てはならない。これらのラテックス試料は,製造元が推奨する温度で密閉容器中に保存する。
塩化ナトリウム濃度10 mmol/L(=0.6 g/L)の溶液200 mLを調製する。使い捨ての孔径0.2 μmのろ紙
でこの溶液をろ過する。ろ過した溶液で,容積25 mLの容器及びねじ込み式の蓋,又は使用する試料セル
及びその蓋を十分にすすぐ。これらには使用するまでカバーを掛ける。

――――― [JIS Z 8828 pdf 30] ―――――

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  • ISO 22412:2017(IDT)

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JIS Z 8828:2019の関連規格と引用規格一覧