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1 kT 4πnsin θ 2
xDLS (A.19)
a1 3πη λ0
ここに, k : ボルツマン定数
T : 絶対温度
η : 分散媒の粘度
n : 分散媒の屈折率
θ : 散乱角
λ0 : レーザ光の真空中での波長
多分散指数PIは,a1及びa2から式(A.20)によって求める。
PI=2a2/a12 (A.20)
切片Bの値は,a0及びAから式(A.21)によって求める。
B=[exp(2a0) ]/A (A.21)
この値は,与えられた実験条件において得られる最大値Bmaxと比較する。B/Bmax<0.8となれば,自己相
関関数の測定結果を破棄する。
近似計算の残差は,式(A.22)によって与えられ,近似の指標として用いることができる。
s/(m−4) (A.22)
ここに, s : 式(A.18)で計算されるフィッティングの残差
m : データ数
球形単分散粒子では,残差は0.8以下になることが望ましい。球形単分散粒子以外は,一般的に規則性
が存在しないので目的に応じた残差を指標とすることが望ましい。
A.2 周波数解析
周波数解析では,散乱光の検出器からの出力は,デジタル高速フーリエ変換(FFT)で処理される。FFT
では,周波数パワースペクトルが計算される。単分散系において,パワースペクトルP(ω)は,ヘテロダイ
ン光検出器で検出された変動信号から式(A.23)で与えられる(参考文献[18]参照)。
2ω0
Pω IR IS (A.23)
ω2 ω20
ここに, IR : 入射光強度
IS : 散乱光強度
ω0 : 特性周波数
ω : 角周波数
ホモダイン法では,パワースペクトルの振幅は散乱光強度の2乗IS2に比例し,散乱光強度の2乗値は,
試料濃度に比例する。この検出方法では,散乱していない入射光は散乱光と混じり合っていないと仮定し
ている。すなわち,I0≪〈IS〉の条件が成立すると仮定している。このことは迷光及びヘテロダイン光混合
がなく,検出方法が純粋なホモダインであることを示している。また,検出器にノイズがなく,測定セル
又は光学素子からの迷光又は散乱光がないことも仮定している。
ヘテロダイン法では,入射レーザ光の一部を検出した散乱光と混合する。ヘテロダイン検出のパワース
ペクトルにはホモダインの成分が常に含まれる。パワースペクトルを純粋なヘテロダインとして取り扱う
には,ホモダイン成分をヘテロダイン成分より十分に小さくしなければならない。I0≫〈IS〉のときにヘテ
ロダインとなる。高濃度,すなわち,〈IS〉が大きい場合でも,I0≫〈IS〉となるようにする。両成分が混
合した場合は,ヘテロダインでの特性周波数ω0のパワースペクトルとホモダインでの特性周波数2ω0のパ
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ワースペクトルとが組み合わさったパワースペクトルとなる。特性周波数ω0は,式(A.24)で与えられるよ
うに,粒子径xに反比例し,パワースペクトルの半値幅となる。
1 16πkT
ω0 sin 2 θ (A.24)
x 3λ2η
図A.2に,ヘテロダイン法でのパワースペクトルを示す。粒子径が特性周波数に反比例することが明ら
かである。
A : 強度,任意の単位
f : 周波数,Hz
図A.2−ヘテロダイン法におけるいろいろな粒子のパワースペクトル
測定された応答ベクトルr は,ローレンツ行列Lに体積で重み付けられた粒子径分布のベクトルvを乗じ
ることで得られる[式(A.25)]。粒子径分布は,個々の粒子の応答の重み付き総和である。
r =L・v (A.25)
式(A.25)の逆変換から粒子径分布v 爰 くことは,パワースペクトルであるローレンツ関数に悪条件が
含まれるため,困難である。
多分散系のヘテロダイン法では,周波数微分値の積で正規化されたパワースペクトルは,特性周波数の
分布関数と式(A.26)で示すように関係付けられる。
2ω0
P ω dωI0 IS dω (A.26)
ω2 ω20
式(A.27)及び式(A.28)を用いて,周波数(座標)を対数座標に変換することで式(A.29)を得る。
xln ω (A.27)
x0 lnω0 (A.28)
1
P x dx I0 IS (x−x0 )
dx (A.29)
(x−x0 )
e e−
対数変数に変換すると,単一粒子径に対するパワースペクトルの形は同一で,対数周波数軸を移動させ
ただけである。粒子径分布をもつ場合,対数周波数軸でのパワースペクトル強度は,粒子径分布に対応す
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る応答行列が寄与した強度分布をもつ。応答関数の強度は,粒子径の6乗に比例する散乱光強度とノイズ
との重みをもっている。図A.3に,大きさの異なる三つの粒子の応答関数を示す。応答関数は,対数軸特
性周波数ω0でピークをもつ。式(A.25)の行列は,式(A.30)中の応答関数Rのコンボリューションになる。
対数座標軸パワースペクトル
1.0
600 nm 60 nm 6 nm
0.8
0.6
強度
0.4
0.2
0.0
1 5 9 1317212529333741454953576165697377
対数間隔周波数チャンネル
図A.3−対数座標軸パワースペクトル
r
n R xm−xn v xn (A.30)
対数座標軸周波数パワースペクトル[式(A.30)]の逆変換は,式(A.25)の逆変換と比較して非常に単純に
なっており,線形反復法を使用することで粒子径分布に変換することが可能である[19]。
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附属書B
(参考)
考えられる測定誤差の概要及びその影響を最小にする方法
B.1 概要
様々な要因が,DLSの結果に影響を与える可能性がある。この附属書は,有効な結果を得るために,幾
つかの影響とそれらを最小にする方法について記載している。
B.2 高濃度懸濁液の測定
B.2.1 概要
未知試料を測定する場合,見掛けの測定粒子径に濃度の影響が現れる限界試料濃度を予想することは不
可能である。そのため,試料濃度を数桁変化させて測定を行う方法を推奨する。高濃度試料では,多重散
乱,粒子間相互作用及び他の影響(例えば,非球形効果)が測定した粒子径に影響を与える可能性がある。
この場合,これらの影響のない粒子径を求めるには,見掛けの測定粒子径を無限希釈試料濃度へ外挿する
方法が必要である。品質管理的には特定の試料と分散剤との組合せに対して許容できる最大試料濃度を決
定するのがよい。したがって,使用する装置で初めての試料を測定する場合,こうした妥当性確認の手順
を行う必要がある。試料を希釈することによって,試料の化学的又は電気二重層の広がりの変化から,粒
子径が変わる可能性があることに注意しなければならない。しかし,見掛けの粒子径が,適切な濃度まで
希釈して測定した結果と一致しなくても,決めた限界試料濃度でストークス−アインシュタインの式から
計算した見掛けの粒子径は,品質管理の目的に使用することができる。
粒子間相互作用及び多重散乱による影響を避けるために,幾つかの濃度で測定を行い,系統的な濃度依
存性が認められる場合は,得られた結果を無限希釈に外挿することが推奨される。
B.2.2 多重散乱
DLS測定では,粒子で1回だけ散乱した光が測定されると仮定している。高濃度では,ある粒子で散乱
された光が検出器に到達する前に,別の粒子で再び散乱される。これは,さらなる位相因子が追加され,
光強度変動のスペクトルを広げることを意味する。粒子が速く動くように観察されるため,小さな直径の
粒子として検出される。
この多重散乱の影響を最小にするため,幾つかの方法が用いられる。
一つの方法は,入射及び散乱の光路長を最小にする光学系を採用することである。後方散乱光学系を含
めて,試料内に最小光路長を形成する幾つかの方法がある。後方散乱光学系は,設計上光路長を短くする
ことができる。長い光路長では不透明になる試料でも,短い光路長では多重散乱を無視することができる。
別の方法は交差相関法を用いることであり,原理的に多重散乱の影響を除去する。実際には多重散乱の
影響を最小にするにすぎず,除去はしていない。その結果,単一の散乱光が測定できなくなる程の高濃度
が測定の上限濃度となる。後方散乱光学系と同様,光路長を短くするとより高濃度まで測定できる。
B.2.3 粒子間相互作用
拡散係数から流体力学的直径に変換する式は,個々の粒子の運動が,相互に他の粒子の影響を受けない
と仮定している。低濃度では,通常この条件が満たされるが,高濃度では,DLSによって測定された粒子
径は正しい粒子径とは異なる。粒子間相互作用が明確に現れるのは,大きな多分散性,複数のピーク,及
びより大きな見掛けの粒子径が出現する場合である。
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高濃度試料の場合,DLS法では個々の粒子の拡散係数ではなく,多数の粒子集合体の拡散を測定する。
すなわち,粒子径,粒子濃度,散乱角及びレーザ波長に依存する2種類の拡散係数に分類できる。散乱ベ
クトルの逆数q−1と平均粒子間距離hとの比によって,いずれの状態の拡散が求まるかが決まる(図B.1
参照)。
q−1q−1>h/(2π)の場合,粒子集合体の協同拡散が測定される。
1 自己拡散
2 協同拡散
図B.1−拡散に及ぼす平均粒子間距離と散乱ベクトルの逆数との比の影響
両方の状態は,自己拡散係数DS及び協同拡散係数DCという拡散係数で表現する。両方の拡散係数は,
濃度依存性をもつが,その依存性は異なる。
したがって,希薄分散液試料の場合,各粒子の自己拡散係数が観測される。粒子濃度が増加した場合及
び/又は比較的大きな粒子で,平均粒子間距離が,散乱ベクトルより小さくなる場合,自己拡散の代わり
に粒子の協同拡散が観察される。
その結果,測定した拡散係数から,ストークス−アインシュタインの式を用いて計算した見掛けの粒子
径は,粒子の濃度に依存する。
上記の説明では,特に並進拡散係数を求めるためにストークス−アインシュタインの式を使用すること
は,球形粒子だけに適用できる。非球形粒子の場合,測定された拡散係数は,並進及び回転の拡散係数の
重ね合わせになることに注意する必要がある。
要約すると,拡散に重要な影響を与える粒子間相互作用力は,純粋な流体力学的抵抗から粒子の表面電
位によって生じる静電気反発力及びファンデルワールス引力までの幾つかの相互作用がある。さらに,こ
うした相互作用が同時に起こる可能性もある。したがって,粒子間相互作用が存在する状態で測定した拡
散係数は,個々の粒子の特性を表すのではなく,粒子懸濁液全体の粒子特性を表している。
粒子間相互作用の影響の現れ方は,系特有である。長距離相互作用は,低粒子濃度でも大きな影響を与
えるが,まれには,高粒子濃度でも粒子が相互作用の影響を受けずに拡散する場合がある。しかし,個々
の粒子及び流体システムにおいて,粒子間相互作用が問題となる粒子濃度があり,正しい粒子径を求める
ためには,希釈が必要になる限界粒子濃度が存在する。
さらに,異なる希釈程度で試料を測定することで,多重散乱の有無を調べることもできる。
B.2.4 制限拡散
制限拡散とは,他の粒子の存在が粒子の自由な拡散を妨げる現象である。一例としてポリマーネットワ
ーク中の粒子の拡散が挙げられる。高試料濃度における粒子径計算に溶媒粘度を用いた場合,又は平均粒
子径の濃度依存性が試料の見掛け粘度の濃度依存性と同じ場合には,多峰性(粒子径頻度分布図でピーク
を複数回観察できる。)又は多分散性は変化しないが,粒子径は大粒子径側へ移動する現象が現れる。
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JIS Z 8828:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 22412:2017(IDT)
JIS Z 8828:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 19 : 試験 > 19.120 : 粒度分析.ふるい分け
JIS Z 8828:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8819-1:1999
- 粒子径測定結果の表現―第1部:図示方法
- JISZ8819-2:2019
- 粒子径測定結果の表現―第2部:粒子径分布からの平均粒子径及びモーメントの計算