JIS Z 9003:1979 計量規準型一回抜取検査(標準偏差既知でロットの平均値を保証する場合及び標準偏差既知でロットの不良率を保証する場合) | ページ 2

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4. 検査の手順
手順 ロットの平均値を保証する場合 ロットの不良率を保証する場合
1 測定方法を定める 測定方法を定める
SU,,SLの一方又は両方を規定する
2 m0,m1を指定する p0,p1を指定する
3 ロットを形成する ロットを形成する
4 ロットの標準偏差 定する ロットの標準偏差 定する
5 試料の大きさと合格判定値を求める 試料の大きさと合格判定値を求める
6 試料をとる 試料をとる
7 試料の特性値xを測定し,平均値xを計算する 試料の特性値xを測定し,平均値xを計算する
8 合格・不合格の判定を下す 合格・不合格の判定を下す
9 ロットを処置する ロットを処置する
5. ロットの平均値を保証する場合の検査の実施
5.1 測定方法の決定 検査単位の特性値xの測定方法を具体的に定める。
5.2 m0,m1の指定 この規格による抜取検査を実施するには,まず品物を渡す側と受け取る側が合議の
うえm0,m1を決める。この際 戰 鉗
なお,この規格では,懿 0.05, 拿 0.10の場合の求め方を示す。 懿 0.05, 拿 0.10以外の場合は参考5
によって求めることができる。
5.3 ロットの形成 同一条件で生産されたロットをなるべくそのまま検査ロットに選ぶ。ロットがはな
はだしく大きい場合には小ロットに区切って検査ロットとしてもよい。
5.4 定 ロットの標準偏差 堰 識 ,又は品物を渡す側と受け取る側との
間の協定で決められている場合にはその値を用いる。
えられていない場合には過去の検査データから推定した いる。各ロットから抜き取った
試料の大きさnが等しい場合は次のとおりとする。nが等しくない場合は参考3による。
(1) 最近の1020ロットの検査データについて,次の式により,ロットごとの不偏分散Vを計算する(2)。
2
2 2 2 x1 x2 xn
x1 x2 xn
V n
n 1
注(2) IS Z 9004〔計量規準型一回抜取検査(標準偏差未知で上限又は下限規格値のみ規定した場合)
(抜取検査その4)〕による検査データが利用できる場合には Se V を計算する段階としてV
がわかっているから,この値を用いればよい。
(2) (1)で求めた不偏分散Vの平均値Vを計算する。
V
V
l
ここに, 囿 ロットごとの不偏分散の合計
l : ロットの数
n1
(3) ロット内のばらつきが安定しているかどうか調べる(3)。それにはF分布表(表1)から F (0.01) を
n1
求め,V・ F (0.01) を計算し,lロットについてこの値を超えるVがなければ,ロット内のばらつ

――――― [JIS Z 9003 pdf 6] ―――――

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きが安定していたと判定する。
n1
表1
F (0.01) の値(4)
n-1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 12 15 20 24 30 40 60 120
n1 6.63 4.61 3.78 3.32 3.02 2.80 2.64 2.51 2.41 2.32 2.18 2.04 1.88 1.79 1.70 1.59 1.47 1.32
F
(0.01)
n1
注(3) ここではロット内のばらつきが安定しているかどうかを F
(0.01) を用い,危険率1%で調べているが,当事
者間の協定によって更に小さい危険率を使ってもよい。
(4) 求めるn−1の値が表にない場合はFはn−1の逆数に比例して変化するものとしてFの値を補間して求める。
例 : n−1=18にたいするFの値を求めるには
1 1
15 18
F18 .001 .204 .204 .188 .193
1 1
15 20
(4) ロット内のばらつきが安定していれば
定値=V
を標準偏差 地 定する。
(5) 引き続きこの抜取検査方式を使う場合は,ロットの標準偏差が指定した値とはなはだしい差異がない
ことを(3)の手順を準用して確かめなければならない。
(6) 長期にわたって連続してこの抜取検査方式を使う場合は,最近の20ロット以上の検査データから
推定値を求め, 鉦 新する。
例 : (1) ある繊維製品のロットからとった大きさn=5の試料について水分を測定したら
1.51%,1.43%,1.39%,1.51%,1.39%
であった。不偏分散は次のようにして求める。
2
.151 .143 .139 .151 .139 .7232
.1512 .1432 .139 2 .1512 .139 2 10.469 3
V 5 5 .0003 68
5 1 5 1
このようにしてl=17ロットからn=5の試料についてVを求めた結果を次の表に示す。
試料 V 試料 V
1 0.003 68 9 0.007 33
2 0.006 50 10 0.002 12
3 0.006 50 11 0.006 75
4 0.004 42 12 0.003 35
5 0.002 13 13 0.000 78
6 0.001 87 14 0.003 97
7 0.002 88 15 0.006 33
8 0.006 05 16 0.003 37
17 0.011 32
(2) これから不偏分散の平均値Vは次のようにして求める。
.0079 35
V .0004 668
17
(3) 分布表から F4 (0.01) =3.32であるから
V・ F 4 (0.01) = (0.004 668) (3.32) =0.0154 98

――――― [JIS Z 9003 pdf 7] ―――――

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17ロット中Vがこの値を超えるものはないから,ロット内のばらつきは安定している。
(4) 定値=
V .0004 668 .0068 3% 地 定する。
5.5 試料の大きさと合格判定値の求め方 5.2で指定したm0,m1から試料の大きさと合格判定値を求め
るには,特性値が低いほうが好ましい場合には(1)により,高いほうが好ましい場合には(2)による。
なお,特性値が低すぎても高すぎても好ましくない場合は,高いほうの側,低いほうの側のそれぞれに
ついて(1)又は(2)を準用することができるが,詳細は参考6に示す。この規格では表によって求める手順を
示す。
なお,図によって求めることもできる(参考4参照)。
(1) 試料の大きさnと上限合格判定値XUとを求める場合は,次による(図3参照)。
図3 特性値が低いほうが好ましい場合
m1 m0
(a) を計算し,小数以下3けたに丸める。
m1 m0 m1 m0
(b) 付表1を用い, の列で(a)で求めた の値を含む行を求める。
(c) その行のn及び係数G0を読みとり,
XU=m0+G0 算する。
(d) (c)で求めたnとXUについて検査費用などを検討した結果,その値が適当ならばそのまま採用し,
不適当と認めたときはm0,m1の値を修正してnとXUを求めなおす。
例 : ドラムかん詰固形かせいソーダ中の酸化鉄分Fe2O3は低いほうが好ましい。ロットの平均値
が0.004 0%以下ならば合格とし,それが0.005 0%以上ならば不合格とするようなnとXUと
を求める。この場合,ロットの標準偏差は 0.000 6%とする。 懿 0.05, 拿 0.10として抜取
検査方式を求めるには,
(a) 0=0.004 0%,m1=0.00 50%; 0.000 6%
m1 m0 .0005 0 .0004 0
.1667
.0000 6
m1 m0
(b) 付表1の の列で1.667を含む行を探していくと,上から3番目に1.4631.689
の行がある。
(c) この行からn=4,G0=0.822が求められる。
試料の大きさn=4
上限合格判定値XU=m0+G0

――――― [JIS Z 9003 pdf 8] ―――――

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=0.004, 0+0.822×0.0006=0.0045%
(2) 試料の大きさと下限合格判定値XLとを求める場合は,次による(図4参照)。
図4 特性値が高いほうが好ましい場合
m0 m1
(a) を計算し,小数点以下3けたに丸める。
m1 m0 m0 m1
(b) 付表1を用い, の列で求めた の値を含む行を求める。
(c) その行のn及び係数G0を読みとり,
XL=m0−G0 算する。
(d) (c)で求めたnとXLについて検査費用などを検討した結果,その値が適当ならばそのまま採用し,
不適当と認めたときはm0,m1の値を修正してnとXLを求めなおす。
例 : 鋼材の引張強さは大きいほうが好ましい。いま平均値が46kgf/mm2 [{451.1MPa}] 以上のロットは
通し,それが43kgf/mm2 [{421.7MPa}] 以下のロットは通さないようなnとXUとを求める。この場
合,ロットの標準偏差は 4kgf/mm2 [{39.2MPa}] とする。 懿 0.05, 拿 0.10として抜取検査方式
を求めるには
(a) 0=46kgf/mm2 [{451.1MPa}], m1=43kgf/mm2 [{421.7MPa}], 4kgf/mm2 [{39.2MPa}]
m0 m1 46 43
.075
4
m1 m0
(b) 付表1の の列で0.75を含む行を探していくと,上から15番目に0.7320.755の行
がある。
(c) この行からn=16,G0=0.411が求められる。
試料の大きさ n=16
下限合格判定値XL=m0−G0 46−0.411×4
=44.4kgf/mm2 [{435.42MPa}]
5.6 試料のとり方 検査ロットの中から5.5で決めた大きさnの試料をJIS Z 9031(ランダム抜取方法)
の3.によってランダムに試料を抜き取る。
5.7 試料の試験 大きさnの試料について5.1で定めた測定方法により特性値 定し,平均値Xを求
める。
5.8 ロットの判定 ロットの合否判定は次による。
(1) 特性値が低いほうが好ましい場合

――――― [JIS Z 9003 pdf 9] ―――――

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5.7で求めたxと5.5(1)で求めたXUとを比較し,
堀 瀰 ットを合格とし,
堀 瀰 ットを不合格とする。
(2) 特性値が高いほうが好ましい場合
5.7で求めたあと5.5(2)で求めたXLとを比較し,
最堀 瀰 ットを合格とし,
XLならばロットを不合格とする。
5.9 ロットの処置 合格又は不合格と判定されたロットはあらかじめ決めた約束にしたがって処置する。
どのような場合でも,不合格となったロットをそのままで再提出してはならない。
6. ロットの不良率を保証する場合の検査の実施
6.1 品質の基準の設定 検査単位の特性値 湮 定方法を具体的に定め,上限規格値SU,下限規格値SL
の一方又は両方を定める。
6.2 p0,p1の指定 この規格による抜取検査を実施するには,まず品物を渡す側と受け取る側が合議の
うえp0,p1を決める。この場合, 戰 鉗
なお,この規格では 懿 0.05, 拿 0.10の場合の求め方を示す。 懿 0.05, 拿 0.10以外の場合は参考5に
よって求めることができる。
6.3 ロットの形成 同一条件で生産されたロットをなるべくそのまま検査ロットに選ぶ。ロットがはな
はだしく大きい場合は小ロットに区切って検査ロットとしてもよい。
6.4 定 ロットの標準偏差 堰 識 ,又は品物を渡す側と受け取る側との
間の協定で決められている場合にはその値を用いる。
えられていない場合には,過去の検査データから推定した いる。
各ロットから抜き取った試料の大きさnが等しい場合は,次のとおりとする。nが等しくない場合は参
考3による(5.4の例参照)。
(1) 最近の1020ロットの検査データについて,次の式によりロットごとの不偏分散Vを計算する(2)。
2
2 2 2 x1 x2 xn
x1 x2 xn
V n
n 1
注(2) IS Z 9004〔計量規準型一回抜取検査(標準偏差未知で上限又は下限規格値のみ規定した場合)(抜取検査
その4)〕による検査データが利用できる場合には Se
V を計算する段階としてVがわかっているから,
この値を用いればよい。
(2) (1)で求めた不偏分散Vの平均値Vを計算する。
V
V
l
ここに 囿 ロットごとの不偏分散の合計
l : ロットの数
n1
(3) ロット内のばらつきが安定しているかどうか調べる(3)。それにはF分布表(表1参照)から F (0.01)
n1
を求め,V・ F (0.01) を計算し,lロットについてこの値を超えるVがなければ,ロット内のばら

――――― [JIS Z 9003 pdf 10] ―――――

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