JIS Z 9015-0:1999 計数値検査に対する抜取検査手順―第0部:JIS Z 9015抜取検査システム序論 | ページ 13

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サンプルサイズを減らす一番簡単な方法は,前の方のサンプル文字を使用することだと思うかもしれな
い。この方法は確かにサンプルサイズを減らすことができるであろうが,他方ではAQLにおける合格の
確率を減らすという副作用をもたらしかねない。これはよい仕事をした生産者にペナルティーを与える結
果になることを意味する。こういう結果が不満足なことは明らかなので,ゆるい検査に対する特別な表が
必要である。これが主抜取表2−C*である。
参考 ゆるい検査の対応英語はreduced inspectionであり,元の意味は減少検査に近い。
ゆるい検査の導入に関しては,強制的要素はないことに注意する必要がある。切替えルールで必要とな
ったときにきつい検査を使用するのは,この抜取検査スキームでは本質的なことであるが,しかしゆるい
検査は完全なオプションなので,たとえゆるい検査への切替えの条件を満足したとしても,消費者がそう
希望するか又は契約にその使用を規定してある場合を除けば,消費者はゆるい検査を導入する必要はない。
切替えルール[9.3.3*]は,観測された品質が非常に良く,しかもそういう状態が続きそうだという場合以
外は,ゆるい検査が導入されないように設計してある。ゆるい検査を使用できるかどうかを確かめるため
には,最近の検査結果から切替えスコアを計算し,それが30以上になっていなければならない。
切替えスコアの計算は,なみ検査の下で初検査を受けたどのロットから始めてもよいが,なみ検査開始
の時点から始める方がよい。切替えスコアは引き続くロットの初検査の後に更新する。
1回抜取方式で合格判定個数が2以上のとき,もしAQLが1段厳しかったとしてもロットが合格になっ
ていたはずならば切替えスコアに3を加え,そうでなければ切替えスコアを0に戻す。したがって,1段
厳しいAQLに対する抜取方式が必要になる。切替えスコアが30以上になるには,連続10ロット以上が
なみ検査で全部合格している必要がある。
1回抜取方式で合格判定個数が0又は1のとき,ロットが合格ならば切替えスコアに2を加え,そうで
なければ切替えスコアを0に戻す。1段厳しいAQLに対する抜取方式はサンプルサイズが異なるので使用
できない。切替えスコアが30以上になるには,連続15ロット以上がなみ検査で全部合格している必要が
ある。
2回抜取方式を使用しているとき,第1サンプルでロットが合格になったならば切替えスコアに3を加
え,そうでなければ切替えスコアを0に戻す。また多回抜取方式を使用しているとき,第3サンプルまで
にロットが合格になったならば切替えスコアに3を加え,そうでなければ切替えスコアを0に戻す。した
がって,1回抜取方式で合格判定個数が1のとき,代わりに対応する2回又は多回抜取方式を使用すれば,
連続10ロットがなみ検査で合格すれば切替えスコアが30になる可能性がある。
例33. ある製品が製造され,次の条件で検査されてきた。AQLは10(不適合品パーセント),ロット
サイズは4 000,検査水準はIの1回抜取方式である。
サンプル文字Jに対するなみ検査の抜取方式及びAQL6.5%に対する抜取方式は,次のように
なる。
なみ検査の抜取方式 AQL6.5%に対する抜取方式
サンプルサイズ n=80(アイテム) n=80(アイテム)
合格判定個数 Ac=14(不適合品) Ac=10(不適合品)
不合格判定個数 Re=15(不適合品) Re=11(不適合品)
表9は,検査工程の仮想的な結果を示す。表の初めの部分では,なみ検査を使用しているが,長期間の
連続ロットから抜き出したものなので,ロット番号は1から始まってはいない。結果は良く,各サンプル
中の不適合品は合格判定個数よりかなり少なかった。ロット番号51からのサンプルの検査後,検査員はゆ
るい検査へ切り替えてもよいかどうか調べようと決めた。最近の10ロットの検査結果から切替えスコアを

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計算したら21であった。ロット番号44で切替えスコアが0に戻っていたからである。21は少なすぎるの
でゆるい検査へ切り替えることはできない。
次の4ロットの結果が良かったので,ロット番号55の検査後,もう1度ゆるい検査へ切り替えてもよい
かどうか調べようと決めた。切替えスコアの続きを計算したら33であり,30以上という条件は満足され
ている。生産進度は安定しているので,ゆるい検査への切替えを所管権限者に申請することにした。この
供給者はJIS Z 9902による審査登録を受けているので,この申請は半自動的に承認されるであろう。
表9 仮想検査工程からの15ロットの抜取検査結果
Ac
ロット番号 ロットサイズ サンプルサイズ Re 不適合品 合否 切替えスコア 次ロットに対する処置
41 4 000 80 14 15 7 合 − なみ続行
42 4 000 80 14 15 5 合 3 なみ続行
43 4 000 80 14 15 7 合 6 なみ続行
44 4 000 80 14 15 11 合 0 なみ続行
45 4 000 80 14 15 9 合 3 なみ続行
46 4 000 80 14 15 7 合 6 なみ続行
47 4 000 80 14 15 9 合 9 なみ続行
48 4 000 80 14 15 8 合 12 なみ続行
49 4 000 80 14 15 6 合 15 なみ続行
50 4 000 80 14 15 5 合 18 なみ続行
51 4 000 80 14 15 8 合 21 なみ続行
52 4 000 80 14 15 4 合 24 なみ続行
53 4 000 80 14 15 3 合 27 なみ続行
54 4 000 80 14 15 1 合 30 なみ続行
55 4 000 80 14 15 3 合 33 ゆるいへ移行
備考 AQL=10(不適合品パーセント),検査水準I(例33.参照)。
合=合格。
なお,AQL=6.5%に対してはAc=10,Re=11である。
“生産進度が安定している”という条件については,少し説明が必要である。これは業種ごとに異なる
からである。最近の実績記録が非常に良いので,現在の品質もほとんど確実に良いであろうという論拠が
崩れるような生産の中断がないこと,これがこの要求条件の中身である。特定の場合に対する正確な意味
は,それが変わると製品の品質に悪影響を与えることがあるすべての要素を検討した上での技術的判断に
基づいて決める。
参考 JIS Z 9900シリーズによる審査登録を受けているかどうかは,この技術的判断に影響を与える。
ゆるい検査はオプションなので,もし希望すれば,かつ生産が不規則になったり停滞したり,又はこれ
以外の条件からなみ検査に復帰する必要が生じたならば,なみ検査に復帰してもよい。ゆるい検査で1ロ
ットでも不合格になれば,必ずなみ検査に復帰する。
ゆるい検査に対するサンプルサイズの数列は,なみ検査に対するものと同じであるが,2段階低くなっ
ている。斜めの線に沿って同じ数字が並んでいるのも同様である。
ゆるい検査に対しては,OC曲線が与えてないことに注意する必要がある。これは良く考えた上のこと
である。OC曲線を与えない理由は二つある。第1の理由は,OC曲線全体に目を向けるという誤った方向
へ導きやすいからである。ゆるい検査は,過去の実績から不適合品パーセントがAQLより良いことが分
かっており,しかも良い品質が続くだろうと考える十分な理由がある場合にだけ使用できるので,OC曲
線の右端の方は全く不適切だからである。

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第2の理由は,OC曲線の縦軸はロットの合格の確率であるが,ロットが不合格になったら直ちになみ
検査に復帰するので,これはあまり意味がないからである。
例34. 表10は,表9の例の続きである。ロット番号56から75まで20ロットがゆるい検査で合格となった。
付表2−C*からゆるい検査の抜取方式は,次のようになる。
サンプルサイズ n=32(アイテム)
合格判定個数 Ac=8(不適合品)
不合格判定個数 Re=9(不適合品)
ロット番号81までは,各サンプル中の不適合品は8個以下で,ゆるい検査が続いたが,ロット番号82
の9個の不適合品のためロットは不合格となり,なみ検査に復帰することになった。たった3ロット後に,
なみ検査で最後の5ロット以下中2ロット(ロット番号83及び85)が不合格となったので,きつい検査
に移行しなければならなかった。ゆるい検査はオプションであり,ロット番号76,77,78の3ロットから
のサンプルの合計96個中の不適合品の合計が14個になりAQL10%の達成が怪しくなったことは,ロット
番号79からなみ検査に復帰するかどうか検討するようにという検査員への警告だったのかもしれない。
表10 仮想検査工程からの10ロットの抜取検査結果
ロット番号 ロットサイズ サンプルサイズAc Re 不適合品 合否 次ロットに対する処置
76 4 000 32 8 9 5 合 ゆるい続行
77 4 000 32 8 9 2 合 ゆるい続行
78 4 000 32 8 9 7 合 ゆるい続行
79 4 000 32 8 9 3 合 ゆるい続行
80 4 000 32 8 9 1 合 ゆるい続行
81 4 000 32 8 9 4 合 ゆるい続行
82 4 000 32 8 9 9 否 なみへ復帰
83 4 000 80 14 15 17 否 なみ続行
84 4 000 80 14 15 12 合 なみ続行
85 4 000 80 14 15 15 否 きついへ移行
備考 AQL=10(不適合品パーセント),検査水準I(例34.参照)。
合=合格 否=不合格
生産者の品質水準がAQLより良いときには,ゆるい検査は使用できる唯一の手順ではないことに注意
する必要がある。場合によっては,スキップロット抜取検査手順(JIS Z 9015-3参照)の方が有利かもし
れない。生産者の工程品質管理が満足で,その品質がAQLより有意に良いときには,間接検査を適用で
きるであろう。そうすれば購入者は合否判定抜取検査の代用として生産者の検査結果を利用することがで
きる。

3.16 2回及び多回抜取方式

  2回及び多回抜取方式の付表からの選び方は,原則として1回抜取方式と類似しているが,ただし,主
抜取表ならば付表2*の代わりに付表3*又は付表4*を使用するし,拡張表ならば付表10*の該当ページの適
切な部分を使用する。
拡張表を使用するときに注意を要するのは,この表には累計サンプルサイズだけしか与えてないので,
サンプルサイズを間違えないことである。しかしながら,この抜取方式ではすべて毎回のサンプルサイズ
が第1サンプルサイズと同じになっているので覚えやすい。
合格判定個数が0又はサンプルサイズが2の1回抜取方式に対しては,2回抜取方式は使用できない。
合格判定個数が0又はサンプルサイズが2,3又は5の1回抜取方式に対しては,多回抜取方式は使用でき

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ない。代わりの方法は,1回抜取方式を使用するか又は要求されたAQLに対して利用可能な次に大きいサ
ンプルサイズを使用するかである。
例35. AQLが0.40(不適合品パーセント)でサンプル文字がGならば,付表3−A*は星印なので下方
の備考を見ると二つの方法がある。付表2−A*の方を見れば,抜取方式は次のようになるであ
ろう。
サンプルサイズ n=32(アイテム)
合格判定個数 Ac=0(不適合品)
不合格判定個数 Re=1(不適合品)
また付表3−A*の方でAQLが0.40の列の下方を順に見れば,サンプル文字Kに対する2回
抜取方式が見つかるであろう。
第1 第2 累計
サンプルサイズ 80 80 160
合格判定個数 0 1
不合格判定個数 2 2
もし,拡張表を使っても同じ代案が見つかるであろう。
付表9*には,2回及び多回抜取方式に対する平均サンプルサイズ (ASS) 曲線が与えてあるが,これは1
回抜取方式の代わりに2回又は多回抜取方式を使用する価値があるかどうかを決めるのに使用できるであ
ろう[12.5*]。
この曲線は,対応する1回抜取方式の合格判定個数によって分けてある。必要に応じて多少近似してあ
るが,それは全部の抜取方式に対して正確に適用することはできないからである。各曲線の横軸は,n×不
適合品率となっている。ここに,nはその1回抜取方式のサンプルサイズ (n0) である。どの特定の場合に
対しても,この尺度をnで割れば不適合品率の尺度に変換できる。
縦軸は同じ値nである。各図の上端の直線は,したがって,1回抜取方式のサンプルサイズを示し,2
回及び多回抜取方式の効率はその曲線と上端の直線との関係から判断できるであろう。
抜取検査を実施するときには,提出される品質がAQLより良くてなみ検査を使用することが最も多い
ということに注意する必要がある。こういう場合にこの曲線が一番役に立つ部分は,基線上の矢印より左
側である。矢印のない図は,きつい検査及び/又はゆるい検査だけに使用するものである。
付表9*では,2.22で説明した検査の打切りを仮定していない。
例36. サンプル文字KでAQLが2.5(不適合品パーセント)の1回抜取方式を使用することになってい
る。すなわち,
サンプルサイズ n=125(アイテム)
合格判定個数 Ac=7(不適合品)
不合格判定個数 Re=8(不適合品)
2回又は多回抜取方式によって起こり得る変化について検討してみる。
付表9*中の適切な図は,合格判定個数Ac=7と表示されているものである。もし望むならば,下部の尺
度を125(サンプルサイズ)で割り,100倍すれば不適合品パーセントの尺度が得られる。3, 6, 9及び12
という数字は不適合品パーセントで2.4%,4.8%,7.2%及び9.6%になる。しかしながら,探している情報
を見つけるためにはこういう計算は不要である。
もし望むならば,同様に左側の尺度を125の0.25倍,0.5倍及び0.75倍と読み替えることができる。
この例に対する曲線を見れば,次のようなことが分かるであろう。

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a) 2回抜取方式の平均サンプルサイズは常に1回抜取方式より小さく,また多回抜取方式の平均サンプ
ルサイズは常に1回抜取方式より小さい。
b) もし品質が完壁ならば,2回抜取方式の平均サンプルサイズは1回抜取方式の約2/3,多回抜取方式の
平均サンプルサイズは1回抜取方式の約1/4である。
c) QLの所では,この比はそれぞれ約7/10及び6/10まで上がる。
d) 2回抜取方式の平均サンプルサイズの最大値は1回抜取方式の9/10より少し大きく,多回抜取方式の
平均サンプルサイズの最大値は1回抜取方式の8/10より少し大きい。

3.17 限界品質及び孤立ロット

  JIS Z 9015-1の抜取検査スキームでは,一連のロットが合否判定抜取検査に提出されると仮定している
ので,OC曲線の上端部の方が重要である。しかしながら,もし製品が単独の孤立ロット又は連続ロット
でもごく少数のロットから成る場合には,OC曲線の下端部の方もまた重要である。それは一連の良いロ
ットの中に悪いロットが一つだけ検査に提出された場合にそのロットが合格する確率を示すからである。
一連のロットの中から単独のロットを購入する場合には,これは特に重要である。
付表6−A*,付表6−B*,付表6−C*,付表7−A*,付表7−B*及び付表7−C*が設計されたのはこうい
う場合のためである[12.6*]。付表6−A*,付表6−B*及び付表6−C*はそれぞれなみ検査,きつい検査及び
ゆるい検査に対してそれぞれ不適合品パーセントで表した消費者危険品質 (CRQ) を示し,また付表7−
A*,付表7−B*及び付表7−C*は100アイテム当たりの不適合数で表したCRQを示す。この場合に二つに
分けてあるのは,OC曲線の下端部では両者はかなり違った結果を与えるからである。
なお,CRQはOC曲線に対応する値であり,LQはそれを求めるための目標値と考えればよい。
CRQの表にある数値は,拡張表中のOC曲線の表からも読みとることができるが,まとめて示した方が
便利である。
付表にある数値は1回抜取方式に対するものであるが,2回及び多回抜取方式に対しても近似的に適用
できる。
例37. 孤立ロットを検査することになっている。もしロットの品質が1.0%(不適合品パーセント)と
いうように良ければ高い合格の確率を必要とするが,もしロットの品質が4.0%(不適合品パー
セント)というように悪ければ合格の確率は,わずか10%にすることが望ましいと決まった。
こういう条件の下で,表中で利用できる最小のサンプルサイズを求める。
付表6−A*のAQL=1.0の列で,4.0以下の数値を上から下へ順に探す。この条件を満足する
最初のサンプル文字はMで,CRQの値は3.71%(不適合品パーセント)である。拡張表を見れ
ば,求める抜取方式とOC曲線が得られる。すなわち,
サンプルサイズ n=315(アイテム)
合格判定個数 Ac=7(不適合品)
不合格判定個数 Re=8(不適合品)
ここでOC曲線の意味を復習しよう。3.71%(不適合品パーセント)というCRQ値は,もしロットの不
適合品パーセントが3.71%ならば合格の確率は10%だという意味であって,ロットの不適合品パーセント
が3.71%になる確率が10%だという意味ではない。
CRQの値は常にAQLの値より大きく,場合によってはかなり大きいことが分かるであろう。しかしサ
ンプルサイズが大きくなれば,CRQの値とAQLの値との差は小さくなる。
孤立ロットの場合には,連続シリーズのロットとは違って,もしサンプルサイズがロットサイズの1/5
以上ならCRQの値は近似的なものと考えた方がよい。こういう条件下では,真値は表に示されている値

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