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Z 9290-1 : 2014 (IEC 62305-1 : 2010)
表D.1−種々のLPS構成部材及びLPLのための試験値の計算において
考慮すべき雷脅威のパラメータの要約
構成部材 主要な課題 雷パラメータ 注記
LPL QLONG(C) T
雷撃接触部分の
I 200
受雷部 侵食(例えば, 1 s未満(単一の
II 150
金属薄板) QLONGを印加)
III・IV 100
W/R
LPL T JIS Z 9290-3に
kJ/Ω
よる寸法決め
抵抗加熱 I 10 000
W/Rを断熱状態 によって試験
II 5 600
受雷部及 で印加 は不要
III・IV 2 500
び引下げ
I W/R
導線 LPL
kA kJ/Ω
機械的影響 I 200 10 000
II 150 5 600
III・IV 100 2 500
I W/R
LPL T
kA kJ/Ω
複合的影響
2 ms未満
接続部品 (熱的,機械的, I 200 10 000
IとW/Rを
アーク) II 150 5 600
単一パルス
III・IV 100 2 500
で印加
LPL QLONG(C) T 寸法決めは,通
常,機械的・化
雷撃接触部分の I 200
接地極 1 s未満(単一の 学的な側面か
侵食 II 150
QLONGを印加) ら決定する(腐
III・IV 100
食など)。
I W/R di/dt 単一のパルス
LPL QSHORT(C)
kA kJ/Ω kA/μs において,I,
QSHORT,W/Rを
スパーク 複合的影響
印加する(継続
ギャップ (熱的,機械的, I 200 100 10 000 200
時T<2 ms)。
内蔵SPD アーク) II 150 75 5 600 150
di/dtは,別のパ
III・IV 100 50 2 500 100
ルスで印加で
きる。
LPL QSHORT(C)
エネルギー的
I 100
影響
II 75 二つの側面で
(過負荷)
酸化亜鉛 III・IV 50 の確認が必要
バリスタ I である。
LPL T
内蔵SPD 誘電特性 kA 分割した試験
(フラッシオー I 200 2 ms未満 を考慮できる。
バ,ひび割れ) II 150 (Iを単一パル
III・IV 100 スで印加)
D.3 雷電流分流
表D.1に示すパラメータは,雷撃点での雷電流に関連している。実際,接地への電流の流れは,複数の
経路があり,通常,幾つかの引下げ導線及び構造体利用導体が,外部LPSを構成している。さらに,種々
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の引込線・管類を被保護建築物等に引き込んでいる(例えば,水道及びガス配管,並びに電力及び通信線)。
LPSの特定の部材に流入する実際の雷電流パラメータの決定には,雷電流分流を考慮しなければならない。
できれば,LPSの特定の場所において,構成部材に流れる電流の大きさ及び波形を,可能な範囲で求める
ことが望ましい。個々の評価ができない場合,雷電流パラメータは,次の手順によって計算する。
外部LPSにおける分流の評価に対し,分流係数kcを採用する(JIS Z 9290-3の附属書C参照)。この係
数は,最悪の条件下での外部LPSの引下げ導線に流れる雷電流分流の概算値の計算に使用する。
被保護建築物等に接続した外部導電性部材,電力線及び通信線が存在する場合の雷電流分流の計算は,
附属書Eで考慮したke及びke' の近似値を使用する。
上記の手順は,接地への特別な電流経路を流れる電流波高値の評価に適用できる。電流の他のパラメー
タの計算は,式(D.1)式(D.4)のとおりである。
Ip k I (D.1)
Qp k Q (D.2)
W 2 W
k (D.3)
R p R
di di
k (D.4)
dt p dt
ここに, x : 全雷電流に関連した量の値[電流波高値I,電荷量Q,
比エネルギー(W/R),電流の波頭しゅん(峻)度(di/dt)
などを表す。]。
x p : 接地への特別な経路pを考慮した値[電流波高値Ip,電
荷量Qp,比エネルギー(W/R) p,電流の波頭しゅん(峻)
度(di/dt) pなどを表す。]。
k : 分流係数
kc : 外部LPSに対応した分流係数(附属書C参照)
ke,ke' : 被保護建築物等に引き込む外部導電性部材,
電力線及び通信線が存在した場合の分流係数
(附属書E参照)
D.4 発生可能な損傷の原因となる雷電流の影響
D.4.1 熱的影響
雷電流に関連する熱的な影響は,導体抵抗中を流れる電流又はLPSへ流れ込む電流によって発生する抵
抗加熱に関係する。熱的影響は,雷撃点におけるアーク根及びアークの成長に関係するLPSの中で分離し
た全ての部分(例えば,スパークギャップ)において発生する熱にも関連する。
D.4.1.1 抵抗加熱
抵抗加熱は,雷電流の大部分が流れるLPSのあらゆる構成部材において発生する。導体の最小断面積は,
周囲に火災の原因となるような過熱を防止できなければならない。D.4.1で示す熱的な面以外に,大気の状
態及び/又は腐食にさらされる部分について,機械的強さ及び耐久性の基準を考慮しなければならない。
雷電流による導体の過熱の評価は,人間の傷害,及び火災又は爆発のリスクの理由で,問題が発生する可
能性がある場合に必要となる。
雷電流が流れた場合の導体温度上昇の評価のための指針を,次に示す。
解析の手順は,次のとおりである。
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電流によって導体内で熱として消費する瞬時電力は,式(D.5)のように表す。
Pt i t (D.5)
そのため,全ての雷電流によって発生する熱エネルギー(W)は,式(D.6)に示すとおり,雷電流が通過
する当該LPS構成部材の抵抗(R)に雷撃の比エネルギー[ i2(t) dt]を乗じたものである。この熱エネル
ギーは,ジュール(J)又はワット・秒(W・s)によって,次の式(D.6)で表現する。
2
W R i td (D.6)
落雷においては,落雷の高い比エネルギーの段階は,継続時間が短いので建築物等で発生する発熱につ
いて大きくは発散しない。そのため,この現象は断熱現象と考える。
LPSの導体温度は,次の式(D.7)で算出できる。
W
1 R
0
0 exp 2
1 (D.7)
q CW
ここに, θ−θ0 : 導体の温度上昇(K)
α : 抵抗の温度係数(1/K)
W/R : 落雷電流の比エネルギー(J/Ω)
ρ0 : 周囲温度における導体の抵抗率(Ωm)
q : 導体の断面積(m2)
γ : 金属の密度(kg/m3)
CW : 熱容量(J/kgK)
式(D.7)に示した物理的パラメータの特性値を,LPSに使用する種々の材料について,表D.2に示す。
表D.2−LPS構成部材に使用する代表的な材料の物理特性
材料
特性
アルミニウム 軟鉄 銅 ステンレス鋼a)
ρ0(Ωm) 29×10−9 120×10−9 17.8×10−9 700×10−9
α(1/K) 4.0×10−3 6.5×10−3 3.92×10−3 0.8×10−3
γ(kg/m3) 2 700 7 700 8 920 8 000
θs(℃) 658 1 530 1 080 1 500
Cs(J/kg) 397×103 272×103 209×103 −
CW(J/kgK) 908 469 385 500
Cs : 溶融潜熱(J/kg)
θs : 溶融温度(℃)
注a) オーステナイト,非磁性
この式を適用して,W/R及び導体の断面積を関数とした,種々の材料で製作した導体の温度上昇値を,
表D.3に示す。
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表D.3−W/R及び導体の断面積を関数として各種導体の異なる断面積の温度上昇
単位 K
材料
アルミニウム 軟鉄 銅 ステンレス鋼a)
断面積
W/R W/R W/R W/R
(mm2)
(MJ/Ω) (MJ/Ω) (MJ/Ω) (MJ/Ω)
2.5 5.6 10 2.5 5.6 10 2.5 5.6 10 2.5 5.6 10
4 − − − − − − − − − − − −
5.5 − − − − − − − − − − − −
8 − − − − − − 309 − − − − −
10 566 − − − − − 169 541 − − − −
14 207 − − − − − 75 201 464 − − −
16 147 454 − 1 114 − − 56 143 309 − − −
22 69 182 415 316 − − 28 68 133 1 326 − −
25 52 132 283 211 912 − 22 51 98 938 − −
38 21 50 97 70 202 533 9 21 39 343 901 −
50 12 28 52 37 96 211 5 12 22 188 460 938
60 8 19 35 25 61 126 4 8 15 128 304 595
100 3 7 12 9 20 37 1 3 5 45 102 188
注a) オーステナイト,非磁性
代表的な雷撃は,短時間継続雷撃(波尾長が数百s)で,高い電流波高値をもつ。このような環境では,
表皮効果も考慮することが望ましい。しかし,LPS構成部材に関連した多くの実際の場合では,材料特性
(LPS導体の透磁率)及び幾何学的形状(LPS導体の断面積)は,導体の温度上昇における表皮効果の影
響を無視できるレベルになっている。
この加熱に最も関係する雷放電の構成要素は,第1帰還雷撃である。
注記 帰還雷撃とは,雷雲底部から進展したステップトリーダの地表への接近によって,地表物から
発生する上向き放電(ステップトリーダ先端に向かって進展する)が結合し,リーダ路を通り
多量の電荷が地表から雷雲に向かって進行する現象であり,主放電とも呼ばれる。第1帰還雷
撃は,帰還雷撃中の最初の雷撃である(図A.3参照)。
D.4.1.2 雷撃接触箇所の熱的損傷
雷撃接触箇所の熱的損傷は,アークの拡大が起こるLPSの全ての構成部材(例えば,受雷部システム,
スパークギャップなど)において認められる。
金属の溶融及び侵食がこの接触箇所で発生する。実際,アークの根の部分に大きな熱の注入があると同
時に高い電流密度に基づく抵抗加熱の集中がある。ほとんどの熱的なエネルギーは,金属表面又はその近
傍で発生する。アークの根に直接接触する領域で発生する発熱は,伝導によって金属が吸収できる量を超
えており,その超過分は光の放射又は金属の溶融若しくは蒸発において失われる。これらの過程の重要性
は,電流波高値及び継続時間に関係する。
D.4.1.2.1 一般事項
雷撃点における金属表面の熱的影響の計算のために,幾つかの論理モデルを開発している。簡略化のた
めに,この規格では,陽極又は陰極電圧降下モデルだけについて記述する。このモデルの適用は,薄い金
属の表面において特に効果的である。全ての場合において,雷撃点において注入した全てのエネルギーは,
金属中での熱の拡散を無視すると,導体材料の温度上昇,溶融又は蒸発に費やされる。別のモデルでは,
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雷撃点損傷の雷電流の継続時間への依存性について紹介している。
D.4.1.2.2 陽極又は陰極の電圧降下モデル
アーク根における注入エネルギーWは,式(D.8)のとおり,陽極・陰極の電圧降下ua,cに雷電流の電荷量
Qを乗じると仮定する。
W ua,c
ua,c t i t dt it (D.8)
0 0
陽極又は陰極の電圧降下ua,cは,ここで考慮する電流の範囲領域において,ほとんど一定で,雷電流(Q)
がアーク根におけるエネルギー変換に対して,主として影響する。
ua,cは,数十Vの値である。
単純化したやり方では,アーク根において発生する全てのエネルギーは,金属の温度上昇及び溶融だけ
に使用されるとみなす。式(D.9)はこの仮定を使用しているが,この場合,溶融体積の過見積りになる。
Q
ua, c 1
V (D.9)
CW s u Cs
ここに, V : 溶融した金属の体積(m3)
ua,c : 陽極及び陰極における電圧降下(一定であると仮定)
(V)
Q : 雷電流の電荷量(C)
γ : 金属の密度(kg/m3)
CW : 比熱(J/kgK)
θs : 溶融温度(℃)
θu : 周囲温度(℃)
Cs : 溶融潜熱(J/Kg)
この方程式に示す,LPLに使用する種々の金属の物理的パラメータの特性値を,表D.2に記載する。
基本的に,考慮する電荷量は,帰還雷撃の電荷量と継続する雷電流との合計である。実験室における経
験によって,帰還雷撃の電荷量は,継続雷電流の影響に比較してさほど重要ではないことが明らかである。
D.4.2 機械的影響
雷電流が引き起こす機械的な影響は,電流波高値及び継続時間に依存するとともに,影響を受けた機械
的構造体の弾性的特性,及びLPS部品間に作用する摩擦力にも依存する。
D.4.2.1 磁気的な相互作用
電磁力は,電流の流れる2本の導体間に発生する,また,電流の流れる導体が1本の場合には,コーナ
又はループで発生する。
電流が回路を流れるときに,回路の様々な箇所で発生する電磁力の大きさは,雷電流の波高値又は回路
の幾何学的な形状に依存する。しかし,これら電磁力の機械的な影響は,それらの大きさだけではなく,
電流波形,継続期間はもちろん,設備の幾何学的形状にも依存する。
D.4.2.1.1 電磁機械力
図D.1に示すような長さl,及び距離d(長くて,小さなループ)の平行導体に流れ込む電流iによって
発生する電磁機械力は,式(D.10)を用いて概算が可能である。
l
Ft 0
i2 t 2 10 7
i2 t (D.10)
2π d
ここに, F(t) : 電磁機械力(N)
i : 電流(A)
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- 規格番号
- 規格名称
- JISZ9290-3:2019
- 雷保護―第3部:建築物等への物的損傷及び人命の危険
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム