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Z 9290-1 : 2014 (IEC 62305-1 : 2010)
0 : 空気の透磁率(真空)(4π×10−7 H/m)
l : 導体の長さ(m)
d : 平行導体の直線部分の距離(m)
図D.1−電磁機械力の計算のための2本の導体の一般的な配置
図D.2に,90度の角度をもつ左右対称のコーナ部分の導体配置で,クランプがコーナの近隣に設けてあ
るようなLPSにおける例を示す。この形状における応力図を図D.3に示す。水平導体に加わる軸方向の力
は,クランプを外側に引っ張る方向に向かう。電流波高値100 kA,垂直導体の長さ0.5 mを想定した場合
の水平導体に沿う力の計算上の値を図D.4に示す。
図D.2−LPSにおける代表的な導体の配置
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Z 9290-1 : 2014 (IEC 62305-1 : 2010)
図D.3−図D.2の形状に加わる応力の図解
電流波高値 : 100 kA,垂直導体 : 0.5 m
図D.4−図D.2の水平導体に沿う単位長さ当たりの力
D.4.2.1.2 電磁機械力の影響
加わる力の大きさということでは,電磁力の瞬時値は,電流の瞬時値の2乗i(t)2に比例する。LPSの機
械構造物内に発生する応力は,弾性変形δ(t) と弾性係数kとの積で表し,この二つの影響を考慮すること
が望ましい。すなわち,機械的な固有周波数(LPS構造物の弾性的反応に関係する)及びLPS構造物の恒
久的な変形(可塑的反応に関係する)が最も重要なパラメータである。さらに,多くの場合において,構
造物中での摩擦力も非常に重要である。
雷電流に基づく電磁力が引き起こす弾性体であるLPS構造物の振動振幅は,2階の微分方程式で表現で
きる。重要な要因は,雷電流の継続時間とLPS構造物の自然な機械的振動周期との比である。LPSの適用
における代表的な状況は,加わる力の振動周期(雷電流の継続時間)よりも更に長い構造物の自然の振動
周期にある。このような場合には,最大機械的応力は電流の停止後に発生し,加わる機械力よりも小さい。
ほとんどの場合,最大機械的応力は無視できる。
可塑的な変形は,応力が材料の弾性限界を超えると発生する。LPS構造体を構成する材料がアルミニウ
ム又は焼きなました銅のように柔らかい場合には,電磁力によってコーナ部及びループにおける導体が変
形する。LPS構成部材は,これらの力に耐えるように,かつ,本質的に,弾性的な反応をするように設計
することが望ましい。
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Z 9290-1 : 2014 (IEC 62305-1 : 2010)
LPSの構造に加わる全機械的応力は,加わる力の時間積分,すなわち,雷電流に関連した比エネルギー
による。全機械的応力は,また,雷電流の波形及び継続時間(建築物等の固有振動周期と比較)にも関連
する。これら全ての影響するパラメータを,試験中に考慮しなければならない。
D.4.2.2 音響的衝撃波によるダメージ
雷電流がアークを形成すると,衝撃波を形成する。衝撃の大きさは,電流波高値と電流の立ち上がりし
ゅん(峻)度に依存する。
一般的に,音響的衝撃波による損傷は,LPSの金属部分にはないが,周辺の物体への損傷の原因となる
ことがある。
D.4.3 複合的影響
実際には,熱的な影響及び機械的な影響は同時に発生する。構成部材(突針,クランプなど)の材料の
加熱が材料を軟化するのに十分な場合,大きな損傷が発生する可能性がある。極端な場合には,導体は瞬
時に溶融し,周辺にも損傷を及ぼす。金属の断面が,全般的な活動を十分安全に取り扱う場合には,機械
的な信頼性だけの確認が必要である。
D.4.4 火花放電
一般的には,火花放電は,可燃性の環境又は可燃物のある場所だけが重要である。多くの場合,LPS構
成部材において火花放電は重要ではない。
二つのタイプの火花放電が起こり得る。すなわち,熱的な火花放電及び電圧による火花放電である。熱
的な火花放電は,大電流が二つの導電性材料間の接合部分に加わると発生する。多くの熱的な火花放電は,
接合圧力が低すぎる場合に,主として高い電流密度及び不十分な接合面の圧力によって,接合部内部の端
部の近傍で発生する。熱的な火花放電の強度は,比エネルギーに依存するので,雷の最も危険な段階は第
1雷撃である。電圧による火花放電は,電流が複雑な経路を形成する場合に現れ,これはそのようなルー
プ内で誘起した電圧が,金属部品間の絶縁破壊電圧を超えたときに発生する。誘起電圧は,雷電流のしゅ
ん(峻)度と自己インダクタンスとの積に比例する。したがって,電圧による火花放電に対して最も危険
な落雷は,後続負極性雷撃である。
D.5 LPS構成部材の課題及び試験パラメータ
D.5.1 一般事項
LPSは,幾つかの異なる構成部材から成り立っており,それぞれの構成部材は,システムの中で特定の
機能をもっている。構成部材の特性及び構成部材がさら(曝)される特定の応力は,それらの性能を確認
するための実験室での試験を設定する場合,特別な考慮を必要とする。
D.5.2 受雷部
受雷部への影響は,機械的及び熱的影響(D.5.3に示すように,雷撃を受けた受雷部導体に雷電流のほと
んどが流れ込むことによる。)の両者によって発生する。また,ある場合には,受雷部への影響は,特に,
構造体利用の薄い金属屋根又は壁表皮面(孔があいたり,裏面の温度上昇が発生したりする可能性がある。)
及びつ(吊)り下げ形状(カーテンウォールなど)の受雷部導体のようなLPS構成部材において,アーク
による侵食の影響によって発生する。
アークによる侵食の影響では,主に二つのパラメータを考慮することが望ましい。すなわち,長時間継
続電流の電荷及びその継続時間である。
電荷量がアークの根の部分のエネルギー注入を支配する。特に,長い継続時間の雷撃は侵食に大きく影
響し,短い継続時間の雷撃の影響は無視できる。
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Z 9290-1 : 2014 (IEC 62305-1 : 2010)
電流の継続時間は,材料への熱の伝達現象において重要な役割を果たす。試験中に適用する電流の継続
時間は,長時間雷撃と同等でなければならない(0.5秒1秒)。
D.5.3 引下げ導線
雷が引き起こす引下げ導線への影響は,次の二つの主な項目に分割できる。
a) 抵抗加熱による熱的な影響
b) 雷電流が近隣の引下げ導線に分割した箇所及び電流が向きを変えた時点における磁気的な相互作用に
関係した機械的影響(与えられた角度で配置した導体間の接合又は折れ曲がり)
多くの場合には,これらの二つの現象は独立して起こるため,各々の影響を確認するために分割して試
験することができる。この方法は,機械的特性が大きくは変化しない雷電流によって,全ての加熱試験に
適用可能である。
D.5.3.1 抵抗加熱
種々の断面積及び材料の違いによる,導体の雷電流による加熱に関連した計算及び計測は,幾人かの著
者が公表している。構想及び方程式に関する主な成果を,D.4.1.1にまとめている。そのため,一般的には,
導体の温度上昇に関連して導体の状態を確認するための試験は必要ない。
試験を要求する全ての場合において,次の検討を考慮しなければならない。
a) 考慮する主な試験パラメータは,比エネルギー及び雷電流継続時間である。
b) 比エネルギーは,雷電流に基づくジュール加熱による温度上昇を決定する。考慮する数値は,第1正
極性雷撃から得た値である。既存のデータは,正極性の雷撃を考慮して得ている。
c) 雷電流継続時間は,当該導体周辺の状態に関連して,熱交換過程において決定的な影響を及ぼす。通
常,雷電流は短時間のため,加熱過程は断熱現象と捉えることができる。
D.5.3.2 機械的影響
D.4.2.1に記載したように,機械的な相互作用は雷電流を流す導体間で発生する。その力は,導体を流れ
る電流値の積(又は,曲がった1本の導体の場合には,電流の2乗)に比例し,導体間の距離に反比例す
る。
導体がループ又は曲がっている場合は,目に見える影響が起こり得る。そのような導体に電流が流れる
と,ループを拡張したり,曲部を延伸したりする機械的な力が発生し,これを外側に曲げようとする。こ
の力が電流の大きさの2乗に比例する。電流の2乗に比例する電磁力とLPSの弾性特性に依存した応力と
の間の明確な識別をすることが望ましい。固有振動数が相対的に低いLPSでは,LPSに生じる応力は,電
磁機械力よりも極めて小さい。この場合には,断面積が現行の規格を満足する限りにおいては,実験室に
おいて直角に曲がった導体の機械的な状態を確認する必要はない。
実験室での試験を要求する全ての場合(特に,柔軟な材料)において,次の検討をしなければならない。
第1雷撃の三つのパラメータ,すなわち,電流継続時間,雷電流の比エネルギー,及び堅固なシステムで
は電流の波高値を検討する必要がある。
LPSの固有振動数の周期と比べる雷電流の継続時間は,変位に関してシステムの機械的反応の種類を,
次のように決定する。
a) 雷電流の継続時間がLPSの固有振動の周期よりも短い場合(雷電流によって,LPSが応力を受ける通
常の場合),システムの質量及び伸縮性は,変形及び機械的な応力を防ぎ,関連する機械的応力は,基
本的には,雷電流の比エネルギーに関連する。雷電流の波高値は,影響を制限する。
b) 雷電流の継続時間が固有振動の周期以上の場合,システムの変位は,加えた応力の波形に対してより
敏感である。この場合,雷電流の波高値及び比エネルギーを,試験で再現しなければならない。
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Z 9290-1 : 2014 (IEC 62305-1 : 2010)
雷電流の比エネルギーが,LPSの弾性変形及び塑性変形を引き起こす応力を決定する。考慮する数値は,
第1正極性雷撃から得た値である。
堅固なシステムは,高い振動周波数をもち,雷電流の最大値がLPSの変位長を決定する。考慮する数値
は,第1正極性雷撃から得た値である。
D.5.3.3 接続部品
LPSの近隣導体間の接続部品は,非常に強い応力が発生した場合に,機械的及び熱的な弱点となる可能
性がある。
導体が直角になるような方法で設置した接合部の場合は,応力の主な影響は機械力に関連しており,そ
の力は,導体一式を引き伸ばそうとし,そして接続した構成部材と導体との間の摩擦力に逆らって接合部
分を引き離すように作用する。種々の部品の接合点で,アークの発生の可能性がある。さらに,小さな接
触面での電流の集中によって発生する加熱の影響は,非常に重要である。
実験室の試験は,複雑な相乗作用が発生した場合には,影響を個々に分離するのは困難であることを示
している。機械的な強さは,接合部分の局所溶融の影響を受ける。接続部品間の相対的変位は,アークの
進展及びそれによる激しい発熱を助長する。
有効なモデルがない場合,実験室での試験は,最も危険な状態における固有の雷電流のパラメータとで
きるだけ同等であることが望ましい。すなわち,雷電流の固有のパラメータを単独の電気試験によって実
施しなければならない。
この場合には,雷電流の波高値,比エネルギー及び継続時間の三つのパラメータを考慮する。
雷電流の波高値は,最大の力を決定する,すなわち,電磁力によって引張力が摩擦力を超えた後では,
LPSの最大の変位長を決定する。考慮する数値は,第1雷撃に関連する数値である。正極性の値を考慮し
て,既存のデータを取得する。
雷電流の比エネルギーは,電流が小さな領域に集中する接合面での加熱を決定する。考慮する数値は,
第1雷撃に関連する数値である。正極性の値を考慮して,既存のデータを取得する。
雷電流の継続期間は,摩擦力の限度を超過した後に,構造物の最大変位を決定し,材料への熱伝達現象
において重要な役割を果たす。
D.5.3.4 接地極
接地極の真の課題は,化学的腐食及び電磁機械力以外の力による機械的損傷に関連する。実用面では,
アーク根における侵食は重要ではない。代表的なLPSが,受雷部に対し複数の接地極を保有することを検
討しなければならない。雷電流は,幾つかの接地極に分流する。このため,アーク根における影響は少な
い。次の二つの主な試験パラメータを考慮することが望ましい。
a) 電荷量は,アーク根における注入エネルギー量を決定する。特に,長時間雷撃がこの構成部材に対し
最も厳しいため,第1雷撃の影響は無視できる。
b) 雷電流の継続時間は,材料への熱伝導現象において重要な役割を果たす。試験中に加える雷電流の継
続時間は,長時間雷撃のそれと同等であることが望ましい(0.5秒1秒)。
D.6 サージ防護デバイス(SPD)
D.6.1 一般事項
雷によって発生するSPDにおける応力の影響は,当該SPDの種類,特に,ギャップの有無に依存する。
D.6.2 スパークギャップをもつSPD
雷によるスパークギャップの影響は,次の二つの主要な項目に分ける。
――――― [JIS Z 9290-1 pdf 50] ―――――
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JIS Z 9290-1:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62305-1:2010(IDT)
JIS Z 9290-1:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 9290-1:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ9290-3:2019
- 雷保護―第3部:建築物等への物的損傷及び人命の危険
- JISZ9290-4:2016
- 雷保護―第4部:建築物等内の電気及び電子システム