JIS A 1485:2006 発泡プラスチック断熱・保温材中のフロン含有率の測定方法―加熱抽出・ガスクロマトグラフ法

JIS A 1485:2006 規格概要

この規格 A1485は、硬質ウレタンフォーム,吹付け硬質ウレタンフォーム,押出法ポリスチレンフォームなどのフロン発泡プラスチック断熱・保温材中のフロン類の含有率を加熱抽出-ガスクロマトグラフ法で測定する方法について規定。

JISA1485 規格全文情報

規格番号
JIS A1485 
規格名称
発泡プラスチック断熱・保温材中のフロン含有率の測定方法―加熱抽出・ガスクロマトグラフ法
規格名称英語訳
Method for measuring halocarbons in foamed plastics for thermal insulation -- Thermal extraction/gas chromatography
制定年月日
2006年12月20日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

91.100.60
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2006-12-20 制定日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS A 1485:2006 PDF [13]
                                                                                   A 1485 : 2006

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人建材試験センター(JTCCM)/財団法
人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業標
準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS A 1485には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)分析試料作製時におけるフロン放散量の測定・補正方法
附属書2(参考)分析試料作製時におけるフロン放散量の測定方法

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS A 1485 pdf 1] ―――――

A 1485 : 2006

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1. 適用範囲・・・・[1]
  •  2. 引用規格・・・・[1]
  •  3. 定義,記号及び単位・・・・[1]
  •  3.1 定義・・・・[1]
  •  3.2 記号及び単位・・・・[2]
  •  4. 測定原理・・・・[2]
  •  5. 試料の採取及び作製方法・・・・[3]
  •  5.1 試料の採取・・・・[3]
  •  5.2 試料の移送及び保管・・・・[3]
  •  5.3 試料の採取記録・・・・[3]
  •  5.4 分析試料の作製方法・・・・[3]
  •  6. 加熱抽出装置・・・・[4]
  •  6.1 管状炉・・・・[4]
  •  6.2 抽出管・・・・[4]
  •  6.3 捕集バッグ・・・・[4]
  •  6.4 流量計・・・・[4]
  •  6.5 密栓(キャップ)・・・・[4]
  •  6.6 配管(不活性材料)・・・・[5]
  •  6.7 温度計・・・・[5]
  •  7. 測定方法・・・・[5]
  •  7.1 分析試料のフロン抽出手順・・・・[5]
  •  7.2 ガスクロマトグラフ分析法による定性・定量分析・・・・[6]
  •  8. 測定結果の算出・・・・[7]
  •  8.1 捕集バッグ中のフロン濃度・・・・[7]
  •  8.2 分析試料中の補正前フロン含有率・・・・[7]
  •  8.3 試料中のフロン含有率・・・・[7]
  •  9. 測定精度・・・・[7]
  •  10. 報告・・・・[7]
  •  附属書1(規定)分析試料作製時におけるフロン放散量の測定・補正方法・・・・[9]
  •  附属書2(参考)分析試料作製時におけるフロン放散量の測定方法・・・・[10]

――――― [JIS A 1485 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
A 1485 : 2006

発泡プラスチック断熱・保温材中のフロン含有率の測定方法−加熱抽出・ガスクロマトグラフ法

Method for measuring halocarbons in foamed plastics for thermal insulation −Thermal extraction / gas chromatography

序文

 フロン類を発泡剤とした発泡プラスチック断熱・保温材は,優れた断熱特性を示すことから,省エ
ネルギーなどのために建物,配管設備,機器類などの断熱・保温材として多く使用されているが,フロン
類は,種類によってはオゾン層破壊,地球温暖化という環境問題との関連が指摘されている。この規格は,
このような環境問題を背景に,フロン類を使用した断熱材,保温材におけるフロンの種類を特定し,その
含有量を簡便にかつ精度よく測定できるようにすることを目的としている。

1. 適用範囲

 この規格は,硬質ウレタンフォーム,吹付け硬質ウレタンフォーム,押出法ポリスチレン
フォームなどのフロン発泡プラスチック断熱・保温材(以下,断熱材という。)中のフロン類の含有率を加
熱抽出−ガスクロマトグラフ法で測定する方法について規定する。
備考1. 測定対象とするフロン類は,主にCFC-11 (CCl3F),CFC-12 (CCl2F2),HCFC-141b (CH3CCl2F),
HCFC-142b (CH3CClF2),HFC-134a (CH2FCF3),HFC-227ea (CF3CHFCF3),
HFC-245fa (CF3CH2CF2H),HFC-365mfc (CF3CH2CF2CH3)などの化学的に安定でガスクロマト
グラフによる分析ができるものとする。
2. この規格で測定可能なフロン類の含有率は,0.115 %程度である。

2. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0095 排ガス試料採取方法
JIS K 0114 ガスクロマトグラフ分析通則
JIS K 0123 ガスクロマトグラフ質量分析通則
JIS K 0512 水素
JIS K 1107 窒素
JIS Z 8401 数値の丸め方

3. 定義,記号及び単位

3.1 定義

 この規格で用いる主な用語は次による。
a) 試料 建物などに施工された断熱材から採取したもの。
b) 分析試料 試料からフロンを抽出するため,分析用に作製したもの。
c) 試料ガス 分析装置に供することができるように調製したもの。

――――― [JIS A 1485 pdf 3] ―――――

2
A 1485 : 2006
d) セル 樹脂と発泡剤によって形成された気泡。
e) 抽出管 分析試料を入れ,加熱して断熱材中のフロンを排出させる容器。

3.2 記号及び単位

 記号及び単位は,表1による。
表 1 記号及び単位
記号 名称 単位
C1 捕集バッグ中のフロン濃度 mg/L
A 捕集ガス中のフロンのピーク面積 −
F 標準ガスで求めた検量線の傾き(As/Cs) 1/mg/L
Cs 標準ガスの濃度 mg/L
As 標準ガスのピーク面積 −
Cm 測定フロン含有率(補正前フロン含有率) %
V1 捕集バッグで捕集したガス体積 L
M 分析試料の質量(浮力などの補正後) mg
Mm 分析試料の質量の天びんによる測定値 mg
Me 表面放散フロンの質量 mg
C 試料中のフロン含有率 %
ΔC 表面から放散したフロンの分率 %
f 空気の浮力補正係数 −
ρ 空気の密度 g/cm3
dx 分析試料の密度 g/cm3
dm 分銅の密度 g/cm3

4. 測定原理

 この規格で規定する断熱材中のフロン含有量を測定する方法は,加熱抽出−ガスクロマト
グラフ法と称し,その測定方法の概要を図1に示す。
建物などに施工された断熱材から試料を採取し,適切な大きさの分析試料を作製する。分析試料を抽出
管に入れ,抽出管を管状炉(電気炉)内に設置して窒素気流下で加熱して発泡樹脂のセルを溶融・破壊し,
内包されているフロンを樹脂及びセル中から抽出する。抽出したフロンは捕集バッグ(テドラーバッグ)
に導き,捕集する。次いで捕集バッグから試料ガスを採取し,ガスクロマトグラフによってフロンを定性・
定量分析する。測定したフロン濃度から捕集したフロン量を求め,あらかじめ測定した分析試料の質量と
の比によって,試料中のフロン含有率を算出する。

――――― [JIS A 1485 pdf 4] ―――――

                                                                                              3
A 1485 : 2006
図 1 測定方法の概要(加熱抽出−ガスクロマトグラフ法)

5. 試料の採取及び作製方法

5.1 試料の採取

 試料は,断熱材を施工した建物,建築設備,機器及び施工前の製品から次のような事
項に注意して採取する。
a) 現場などから採取する場合には,現状を乱さないようにして,採取する試料中のフロン放散を少なく
するため圧力及び熱がかからないように注意する。試料の採取は,鋭利なカッターなどを用いて行う。
b) 試料の大きさは,測定対象の断熱材を代表できる十分な大きさとし,断熱材の厚さは現状のままとす
る。
備考1. 断熱材の種類,断熱の施工法,施工状態などによって採取の方法が異なるが,試料はできる
だけ施工されている状態を維持できるような方法で採取するようにする。大きさは,100 mm
角程度を最小とする。
2. 採取した試料が含水している場合は,室温においてデシケータ中で一夜放置し,乾燥させる。

5.2 試料の移送及び保管

 採取した試料を採取場所から測定場所まで搬送する場合は,押しつぶされな
いように適切な容器に入れて行う。また,試料の保管に当たっては通常の室温とし,直射日光及び水分の
影響のない条件とする。
なお,保管期間は,一般に採取後1か月以内とする。

5.3 試料の採取記録

 採取した試料は識別のために,必要な項目を記録する。
備考 識別のための必要な項目の例を次に示す。
− 建物,配管設備,機器などの名称,用途,建設地など
− 施工年,建物のしゅん(竣)工年
− 建物などの採取部位,場所
− 断熱材の種類,断熱工法,断熱施工厚さなど断熱材にかかわる事項
− 面材の有無及び面材の種類
− 試料の大きさ,採取方法など
− 採取年月日

5.4 分析試料の作製方法

 試料からの分析試料の作製方法は,次による。
なお,分析試料の作製は,試料作製時の瞬時フロン放散を完了させるため,試料によるがフロン抽出工
程の13時間前に行うようにする。
5.4.1 切断方法 分析試料を作製する場合には,鋭利なカッターで圧力・温度を与えないように切断する。
なお,カッターに油が付着している場合は,油を洗浄して使用する。

――――― [JIS A 1485 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS A 1485:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 1485:2006の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0095:1999
排ガス試料採取方法
JISK0114:2012
ガスクロマトグラフィー通則
JISK0123:2018
ガスクロマトグラフィー質量分析通則
JISK0512:1995
水素
JISK1107:2005
窒素
JISZ8401:2019
数値の丸め方