JIS K 0095:1999 排ガス試料採取方法

JIS K 0095:1999 規格概要

この規格 K0095は、煙道,煙突,ダクトに排出される排ガス中の特定ガス状成分を分析するための試料ガス吸引採取方式及び試料ガス非吸引採取方式について規定。

JISK0095 規格全文情報

規格番号
JIS K0095 
規格名称
排ガス試料採取方法
規格名称英語訳
Methods for sampling of flue gas
制定年月日
1973年7月1日
最新改正日
2015年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 10396:1993(MOD)
国際規格分類

ICS

13.040.40, 71.040.40
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
環境測定 I-1 2021, 環境測定 I-2 2021, 環境測定 II 2021
改訂:履歴
1973-07-01 制定日, 1976-03-01 確認日, 1979-03-01 改正日, 1984-05-01 確認日, 1988-03-01 改正日, 1994-03-01 改正日, 1999-10-20 改正日, 2005-06-20 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
ページ
JIS K 0095:1999 PDF [32]
K 0095 : 1999

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS K 0095 : 1994は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,対応する国際規格との整合性を図った。
JIS K 0095には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) 装置に用いる材質
附属書1(参考) 試料ガス採取の制約
附属書2(参考) ガス発生源の性質
附属書3(参考) ガス濃度・流速及び温度分布の測定

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS K 0095 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 0095 : 1999

排ガス試料採取方法

Methods for sampling of flue gas

序文 この規格は,1993年に第1版として発行されたISO 10396, Stationary source emission−Sampling for the
automated determination of gas concentrationsを元に作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,対応国際規格に対して,
規定項目,規定内容を追加し,またその一部を不採用にした。主な相違点を次に示す。
規定項目の追加 対象ガス成分,用語,試料ガス採取口,装置(取付具,捕集部,気液分離部,安全トラ
ップ,真空計,試料ガス分岐管,採取管),化学分析(非自動計測)による場合の試料採取。
規定内容の追加 材質,導管(寸法,材質),導管の空冷除湿,水分の除去手順,保守点検方法。
対応国際規格の不採用 引用規格,一次ろ過材の捕集粒径,材質(一部の材質の耐熱温度),二次ろ過材
の捕集粒径,吸引ポンプの運転温度,分析器への試料ガス配管,校正方法,ガス濃度・流速・温度の予備
調査,非吸引法の装置。
なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,煙道,煙突,ダクト(以下,ダクトという。)に排出される排ガス中の特定ガ
ス状成分を分析するための試料ガス吸引採取方式及び試料ガス非吸引採取方式について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。発効年(又は発行年)を付記していない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 2238 鋼製管フランジ通則
JIS B 2239 鋳鉄製管フランジ通則
JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS Z 8808 排ガス中のダスト濃度の測定方法
3. 定義 この規格で用いる主な定義は,JIS K 0211によるほか,次による。
a) 排ガス 工場及び事業所において燃料,その他の物の燃焼に伴って,又は各種製造の工程などにおい
てダクトに排出されるガス。

――――― [JIS K 0095 pdf 2] ―――――

2
K 0095 : 1999
b) 試料ガス 分析に供する排ガスのことで,採取管を用いて採取し,ろ過材を通過したガス。
c) 採取点 ダクト内で排ガスを採取する点で,ダクト内に挿入した採取管の先端の位置。
d) 採取口 採取管を挿入するためにダクト壁面を貫通して開けられたあな。
e) 採取管 排ガスを採取するために採取口に挿入する管。
f) ろ過材 排ガスを採取するとき,ダスト及びミストを除くために用いる材料。
g) 導管 試料ガスを採取するとき,採取管と捕集部又は前処理部とを接続する管。
h) 捕集部 試料ガスを化学分析によって分析するとき,容器に直接又は吸収液に吸収させて,試料ガス
を捕集する部分。
i) 前処理部 排ガスを連続分析によって分析するとき,試料ガスを分析計に導入する前に除湿その他の
処理を行う部分。
j) 凝縮可能性成分 試料採取条件を調整する装置において考慮すべき水分。
k) 腐食性 試料ガスを採取するとき,ガス流によって装置,部品,その他露出表面を腐食させる傾向。
l) 反応性ガス発生源 ガス流中に不安定なガス成分を含むか,又は使用する装置で条件が変われば,他
の化学物質を生成する可能性のあるもの。
m) ガス濃度 排ガス中の乾きガスの単位体積当たりの測定対象成分の質量濃度(mg/m3で表示する。)。
乾きガスの体積比率はppmで表示する。
n) 湿りガス 飽和点又はそれに達しないガス。微細な水滴を含むこともある。
o) 化学分析 吸収瓶又は捕集容器に捕集された試料ガスの分析方法のうち,滴定法,吸光光度法,ガス
クロマトグラフ法,イオンクロマトグラフ法など連続分析以外の分析方法の総称。
p) 連続分析 自動計測器(以下,計測器という。)による分析。
q) 試料の完全性 採取口から捕集部又は計測器との間で,空気の漏れ込みや試料ガス中で,物理的,化
学的変化を生じさせない。
4. 原理 試料ガスの採取方式を次に示す。
a) 試料ガス吸引採取方式 この方式は,捕集部に試料ガスを吸引捕集した後,化学分析を行うものと,
試料ガス中の水分を除去した後,連続分析で測定するものとがある。両者とも,試料ガス中の干渉成
分の除去及び分析対象成分を捕集部又は分析計まで保持する必要がある。
b) 試料ガス非吸引採取方式 この方式は,現場採取方式である。連続分析計において,試料ガスを採取
せずに,検知部を一次ろ過材で保護して後,排ガス流に暴露させ測定するものと,赤外線又は紫外線
をダクト内に貫通させて,その変化量から分析対象成分濃度を測定するものとがある。
備考 a),b)両者の測定値は,湿りガス換算である。
5. 試料ガスの採取位置,採取点及び採取口
5.1 採取位置 採取位置は,次による。
a) 試料ガスの採取位置には,ダクトの屈曲部分,断面形状の急激に変化する部分などを避け,排ガスの
流れが比較的一様に整流され,作業が安全かつ容易な場所を選ぶ。ただし,空気のダクト内への漏れ
込みの著しいところ,及びダクト内にダストがたい積したり,落下の著しいところは避ける。
b) 採取位置の周辺には,必要に応じて適切な高さに,作業を行うに十分な広さで安全な足場を設け,安
全かつ容易に足場に到達できる設備を設ける。

――――― [JIS K 0095 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
K 0095 : 1999
5.2 採取点 試料ガスの採取点は,採取位置に選定したダクト断面内にJIS Z 8808の5.3(測定方法)に
よって選ぶ。ただし,各採取点における分析結果の相違が少なく,ガス濃度の変動が採取位置断面におい
て±15%以下の場合には,任意の一点を採取点として差し支えない。
5.3 採取口 採取口は,次による。
a) 採取口は,ダクト内の排ガス流に対してほぼ直角に採取管を挿入できるような角度とする。
b) 採取口には,例えば,化学分析用の場合は,JIS G 3452に規定する1B (25A) 程度の太さ,長さ100
150mmの管を溶接するなどして固定する。連続分析計の場合は,JIS B 2238及びJIS B 2239に規定す
る呼び径100程度のフランジ(1)を用いる。
c) 採取口に用いる管の材質は,炭素鋼,ステンレス鋼又はプラスチック製(2)とする。
d) 採取管を挿入していないときは,採取口にふた(蓋)をしておく。
e) 連続分析による場合には,必要に応じて近接した位置に化学分析用の採取口を設ける。
排ガス中のダスト濃度測定用の大口径採取口を化学分析用の採取口として用いる場合には,径違い
管又はふたに加工を施して,ガス状成分が容易に採取できるようにする。
f) ダクト内が正圧の場合には,ふたを開くとき排ガスの噴出による危険防止に十分注意する。
注(1) フランジは,排ガスの温度及び採取管の荷重などを考慮して,JIS B 2238及びJIS B 2239に規定
した中から,呼び径及び呼び圧力を決める。
(2) プラスチック製を用いる場合には,採取口及び取付け部分は120℃程度の加熱にも耐えられる
材質のものを用いる。
5.4 その他の要因 一点試料採取の場合は,ダクト全断面での試料採取方法と異なり,試料採取位置及
び採取点の選定,採取装置の選択並びに保温・加熱を適切に実施し,除湿,漏れ試験などを確実に行い,
試料の完全性を保持するよう十分注意する。
6. 試料採取装置
6.1 装置の構成
6.1.1 試料ガス吸引採取方式 試料ガス吸引採取方式は,次による。
a) 化学分析による場合
b) 連続分析による場合
1) 単一成分測定の場合
2) 多成分同時測定の場合
6.1.2 試料ガス非吸引採取方式 試料ガス非吸引採取方式は,次による。

――――― [JIS K 0095 pdf 4] ―――――

4
K 0095 : 1999
6.2 材質 採取管,導管,接手管及びろ過材並びに試料ガス分岐管の材質は,排ガスの組成,温度など
を考慮して,次の条件を満たすものを選択する。
a) 化学反応,吸着作用などによって,排ガスの分析結果に影響を与えないもの。
b) 排ガス中の腐食性成分によって,腐食されにくいもの。
c) 排ガスの温度,流速に対して,十分な耐熱性及び機械的強度を保てるもの。
使用例を表1に示す。
表1 採取管,導管,接手管及びろ過材並びに試料ガス分岐管の材質と使用例
部品 採取管・分岐管 導管 接手管 ろ過材
材質 ほ シ ス チ セ 四 ほ シ ス 四 硬 ふ シ ク 無 シ 焼 ス 焼 多 四
う リ テ タ ラ ふ う リ テ ふ 質 っ リ ロ ア リ 結 テ 結 孔 ふ
け カ ン ン ミ っ け カ ン っ 塩 素 コ ロ ル カ ガ ン ス 質 っ
い ガ レ ッ 化 い ガ レ 化 化 ゴ ー ブ カ ウ ラ レ テ セ 化
酸 ラ ス ク エ 酸 ラ ス エ ビ ム ン レ リ ー ス ス ン ラ エ
ガ ス 鋼 ス チ ガ ス 鋼 チ ニ ゴ ー ガ ル 鋼 レ ミ チ
ラ (4) レ ラ (4) レ ル ム ン ラ (4) ス ッ レ
ス ン ス ン 樹 ゴ ス 鋼 ク ン
樹 樹 脂 ム ウ (4) ス 樹
脂 脂 ー 脂

最高使用温度 ℃(3) 400 1 000 800 800 1 000 200 400 1 000 800 200
70 180 150 80 400 1 000 400 700 700 1 000 200
測定 硫黄酸化物 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
成分 窒素酸化物
一酸化炭素
硫化水素
シアン化水素
酸素
アンモニア ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
塩素 ○○ ○ ○○ ○○ ○ ○ ○
塩化水素 ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○
ふっ化水素 ○ ○○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
メルカプタン○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○
注(3) 四ふっ化エチレン樹脂を短時間使用する場合には260℃。
(4) IS G 3459及びJIS G 4303に規定するステンレス鋼の材質には,SUS 304 (18Cr-8Ni),SUS 316 (18Cr-12Ni2.5Mo),
SUS316L(18Cr-12Ni-2.5Mo-低C)などがあり,測定対象成分及び共存成分に応じて選択する。
備考 1) ○印は,使用例を示す。

――――― [JIS K 0095 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS K 0095:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10396:1993(MOD)

JIS K 0095:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 0095:1999の関連規格と引用規格一覧