JIS A 1904:2015 建築材料の準揮発性有機化合物(SVOC)の放散測定方法―マイクロチャンバー法 | ページ 5

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A 1904 : 2015
附属書JA
(規定)
分析方法に関する概要
この附属書は,マイクロチャンバー試験におけるSVOC分析条件などに関する規定である。
これらは,今後集積される新たな知見及びそれらに基づく国際的な評価作業の進捗に伴い,将来必要が
あれば変更されるべきものである。
JA.1 分析方法
JA.1.1 加熱脱着法
捕集管を加熱脱着装置を取り付けた,ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)又は水素炎イオン化
検出器付きガスクロマトグラフ(GC/FID)に取り付け分析する。加熱脱着装置は,捕集管の加熱部と,ト
ラップ管及びクライオフォーカスの再捕集部の冷却・加熱部,又はそのどちらかが組み込まれたものとする。
注記 加熱脱着法については,JIS A 1965,JIS A 1966及びJIS K 0123を参照するとよい。
捕集管が加熱脱着装置に装着されると流路と接続され,捕集管を加熱する。脱着する測定対象物質を再
捕集部に濃縮した後,再捕集部を加熱して濃縮した対象物質をガスクロマトグラフに直結して導入できる
装置であり,キャピラリーカラムの前段に内径0.5 mm程度の中空細管,又は内径2 mm以下の細管に適切
な吸着剤など充したものを取り付け,この部分を液体窒素,ペルチェ素子などで冷却でき,かつ,250 ℃
以上に急速加熱できるもの,又はこれと同等以上の性能をもつものとする。
SVOC成分は高沸点で吸着を起こしやすい性質をもつため,加熱脱着装置からガスクロマトグラフまで
のトランスファーラインは不活性処理をされたものを用い,極力短くすることが望ましい。DEHPなどの
沸点が300 ℃を超えるSVOC成分に対して数ngの定量下限を確保するためには,表JA.1又は表JA.2に
示す条件例での測定に加えて,装置の状態管理及びブランクレベルの管理を行う。
表JA.1−加熱脱着条件例(液体水素窒素トラップ方式)
脱着温度 ℃ 250300
脱着時間 min 1015
冷却トラップ時の温度 ℃ −100−150
冷却トラップ加熱温度 ℃ 250300
トランスファーライン温度 ℃ 250300
表JA.2−加熱脱着条件例(ペルチェ素子冷却トラップ方式)
脱着温度 ℃ 280300
脱着時間 min 1015
冷却トラップ時の温度 ℃ −205
冷却トラップ加熱温度 ℃ 280320
トランスファーライン温度 ℃ 250300
バルブ系温度 ℃ 250300
JA.1.2 溶媒脱着法
捕集材としてガラスビーズなどを用いた捕集管を使用し,捕集管から溶媒によって溶出させ,ガスクロ

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マトグラフ/質量分析計(GC/MS),又は水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC/FID)に導
入し分析する。溶媒脱着の条件例を,表JA.3及び表JA.4に示す。
表JA.3−溶媒脱着条件例
脱着溶媒 ヘキサン
脱着溶媒量 2 mL
GC注入口 スプリットレス
注入量 2 μL
表JA.4−GC/MSの条件例
カラム メチルシリコン系
5 %フェニルメチルシリコン系
内径0.250.32 mm,膜厚0.10.5 μm,長さ30 m
カラム温度(昇温条件) 50 ℃(5 min) − (10 ℃/min) − 320 ℃(5 min)
キャリヤーガス ヘリウム
キャリヤーガス流量 0.801.0 mL/min
検出モード(イオン範囲) SCAN(30450)
イオン化モード EI
JA.2 検量線
回収率が80 %以上で再現が確認された状況で,チャンバー回収率を含む検量線の作成を行う。対象物質
の標準液を段階的に各濃度作製し,その12 μLをマイクロチャンバーに注入する。7.5と同様な操作によ
って捕集管に捕集した対象物質を箇条11に従って分析する。得られたクロマトグラムのピーク面積,又は
ピーク高さと注入量との関係線を作成する。化合物によって検出感度が異なるので,標準溶液の濃度は,
適宜調製する。
JA.3 キャピラリーカラム
SVOC成分を分析する場合には,内径0.250.32 mm,長さ1560 mの溶融シリカ製であって,内面に
メチルシリコン又は5 %フェニルメチルシリコンを0.10.5 μmの膜厚で被覆したものを使用する。測定対
象が,沸点の高い化合物の場合,検量線の直線性の範囲を確保するために,極性が低く膜厚の薄いものを
選択し使用する。
JA.4 ブランク試験
ブランク試験は,次による。
a) 操作ブランク 試験操作自身による汚染を確認するために,試験体を設置しない状態で操作を行い,
操作ブランク値を測定する。
b) 捕集管ブランク 捕集管ブランクの測定を実施することが望ましい。SVOC成分,特にフタル酸エス
テル類の分析は,ブランクを極力小さくすることが,精度を確保するうえで重要になる。そのため,
使用するチャンバー及び測定装置の汚染が起因する操作ブランク,また,捕集管の汚染が起因となる
捕集管ブランクの管理については,細心の注意を払う。

――――― [JIS A 1904 pdf 22] ―――――

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参考文献 JIS A 1965 室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenax TA吸着剤を用いた
ポンプサンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラフィーに
よる定量
JIS A 1966 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガ
スクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング
JIS K 0123 ガスクロマトグラフィー質量分析通則

――――― [JIS A 1904 pdf 23] ―――――

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附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
ISO 16000-25:2011,Indoor air−Part 25: Determination of the emission of
JIS A 1904:2015 建築材料の準揮発性有機化合物(SVOC)の放散測定方法−マイク
ロチャンバー法 semi-volatile organic compounds by building products−Micro-chamber method
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条(V) JISと国際規格との技術的差
国際規格 ごとの評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
番号
箇条番号 内容 箇条番号 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 の評価
4 記号及 規格で用いる記号 4 規格で用いる記号及び単 変更 技術的差異はない。
び単位 及び単位を規定。 位を規定。
5 原理 本文中に概念図を 変更
Annex B(informative)に 技術的な差異はない。 JISが先行していたため,ISO規
記載している。 記載。 格に整合させた場合,混乱を招く
ことが予想されるため現状のま
まとした。
6 器具 6.4.1 供給空気の清 6.8 JISとほぼ同じ 変更 粒子を取り除いた清浄空気と JISが先行していたため,ISO規
浄装置について規 した。 格に規定されていない項目だが
定している。 削除せず残す(追加)こととした。
6.4.2 温度・湿度制 6.9 JISとほぼ同じ 変更 JISに純水の定義があるため,
御装置について規 引用した。
定している。
6.5.4 オーブン温度 6.13 250 ℃ 変更 温度範囲が異なる。
を300 ℃程度とす
る。
6.6 分析装置を規定 − − 追加 分析装置に関する規定を追加
している。 した。
7 試験条 7.2 標準温度を 8 8.1 23±2 ℃ 変更 温度範囲が異なる。 ISO規格では欧州・北アメリカで
件 28 ℃とする。 は23 ℃と規定されており,JIS
A1
(28±1.0) ℃ の場合の規定温度は28 ℃とし
904
た。
: 2
0 15
5

――――― [JIS A 1904 pdf 24] ―――――

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A1
5
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条(V) JISと国際規格との技術的差
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国際規格 ごとの評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
04
番号
: 2
箇条番号 内容 箇条番号 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
0
及び題名 の評価
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13 報告書 e) 試験条件に報告 − − 追加 附属書B,附属書C及び附属 JISが先行していたため,ISO規
項目を追記してい 書JAを逸脱した場合には試験 格に整合させた場合,試験結果に
る。 結果に影響を与えるため追記 影響を与えるため追加した。
した。
附属書B マイクロチャンバ Annex B JISと同じ 変更 ISO規格は,参考としているがISO規格では,マイクロチャンバ
(規定) ー形状の例及び標 が,JISでは,規定とした。 ーの形状を規定していないが,国
準的試験条件を規 内の状況(測定結果に少なからず
定。 も影響を与える)を踏まえて附属
書(規定)とした。
附属書D 製品の保存,試験体 Annex D − 追加 JISが先行していたため,ISO規
製品の保存,試験体を抜き出す
(参考) を抜き出すための ための詳細事項などを参考と 格化の際に簡略化されたが重要
詳細事項などを追 して記載した。 な項目なので削除せず残す(追
記している。 記)こととした。
附属書JA 分析方法に関する − − 追加 JISとして本文中に具体的な分JISが先行していたため,ISO規
(規定) 規定。 析条件例を記述した。 格に整合させた場合,混乱を招く
ことが予想されるため附属書(規
定)として残す(追加)こととし
た。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 16000-25:2011,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加·················· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更·················· 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD··············· 国際規格を修正している。

――――― [JIS A 1904 pdf 25] ―――――

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JIS A 1904:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 16000-25:2011(MOD)

JIS A 1904:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 1904:2015の関連規格と引用規格一覧