JIS A 4305:2016 エレベータ用非常止め装置 | ページ 3

                                                                                              9
A 4305 : 2016
図8−釣合おもり用スラックロープ式非常止め装置の2 : 1
ローピング系の適用構成例

8 試験方法

8.1 測定機器の精度

  試験には,特に理由のない限り,測定値に対して次の精度をもつ測定機器を用いる。測定値を記載する
桁数は,測定機器の精度に応じた桁数とする。
a) 質量,力,距離,速度 : ±1 %
b) 加速度,減速度 : ±2 %
c) 電圧,電流 : ±5 %
d) 測定機器,記録装置 : 0.01秒ごとに変化する信号を検出できる能力をもつもの
e) 加減速度のカットオフ周波数 : 30 Hz以上で測定機器からの出力などに対して適用する。
f) 長さの測定をする場合には,次による。
1) IS B 7512若しくはJIS B 7522に規定する巻尺又はこれらと同等以上のもの
2) IS B 7516に規定する直尺又はこれと同等以上のもの
3) IS B 7507に規定するノギス又はこれと同等以上のもの

8.2 次第ぎき非常止め装置の場合

8.2.1  試験装置
試験装置は,次による。試験装置の構成例を図9に示す。
a) 非常止め装置のレール把持部を設け,試験用おもりを自由落下させ,適用速度の最大値以上で非常止
め装置を作動させることができる装置とする。自由落下させた試験用おもりは,非常止め装置作動ま
での加速時に0.9 gn以上に到達するように,できるだけ低い摩擦でガイドレールで案内される。
b) 自由落下させる試験用おもりには,速度,加速度及び減速度を測定する装置を設ける。ただし,速度,
又は加速度及び減速度を演算によって算出する場合は,速度,又は加速度及び減速度のいずれかを測
定する装置を設ければよい。

――――― [JIS A 4305 pdf 11] ―――――

10
A 4305 : 2016
図9−次第ぎき非常止め装置の試験装置の構成例
8.2.2 試験手順
8.2.1の試験装置を用いて,次の試験手順で試験を3回実施する。ただし,2回は最大試験質量かつ適用
速度の最大値で,1回は最小試験質量かつ適用速度の最大値で試験を実施する。
a) 非常止め装置のレール把持部を設けた試験用おもりの質量を測定する。
b) ) の試験用おもりを自由落下させて,適用速度の最大値で非常止め装置を作動させた後,試験用おも
りが停止し,保持されるか否かを確認する。このとき,試験用おもりが加速を開始する開始点から試

――――― [JIS A 4305 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
A 4305 : 2016
験用おもりが完全に停止するまでの速度,加速度及び減速度を測定し,検査成績書に記録する。ただ
し,速度,又は加速度及び減速度を演算によって算出する場合は,速度,又は加速度及び減速度のい
ずれかを測定すればよい。
c) 平均減速度を次のいずれかの方法によって求める。
1) 非常止め装置の減速開始点から減速終了点までの時間の,減速度の時間平均値とする。ここで,非
常止め装置の減速開始点は,加速度が0 m/s2となる時点とし,減速終了点は,最初に減速度が0 m/s2
になる時点とする(図10参照)。
2) 非常止め装置の減速開始時の速度を,減速開始点から減速終了点までの時間で除した値とする。こ
こで,非常止め装置の減速開始点及び減速終了点は1) による(図10参照)。
3) ガイドレール上の制動距離及び非常止め装置の減速開始時の速度を用いて,次の式から算出した値
とする。ガイドレール上の制動距離は,次第ぎき非常止め装置の減速開始から試験用おもりが停止
するまでの距離として,レール面上に付く痕跡の平均長さを直接又は間接的に測定した値とする。
2
VS / 60
a
2gn h
ここに, a : 平均減速度(gn)
VS : 次第ぎき非常止め装置の減速開始時の速度(m/min)
h : ガイドレール上の制動距離(m)
図10−減速特性データの例(下方向の速度及び減速度を正として表した場合)
d) ) の試験を行った後,試験用おもりを上に上げ,制動子が作動前の位置に戻ることを目視確認するこ
とで非常止め装置の作動後に復旧を妨げる破損が生じるか否かを確認する。
e) ) の試験を行った後,目視によって正常な動作を妨げる変形及び破損が生じるか否かを確認する。

――――― [JIS A 4305 pdf 13] ―――――

12
A 4305 : 2016
8.2.3 構造試験
7.1に規定する構造に適合しているか否かを構造図,外形図などによって確認する。

8.3 上下2段方式の非常止め装置の場合

8.3.1  試験方法
上下2段方式の非常止め装置の試験方法は,次のいずれかによる。
a) 上下2段方式の非常止め装置を一つの試験体として,8.2.2の試験手順で試験を実施する。
b) 非常止め装置を作動させたときに,上下段のレール把持部によって生じるレール面上の痕跡が重なら
ない場合は,8.3.2によって,試験を実施する。
8.3.2 8.3.1 b) の場合の試験方法
8.3.2.1 試験装置
試験装置は,8.2.1による。
8.3.2.2 試験手順
8.3.2.1の試験装置を用いて,次のいずれかの試験手順で試験を実施する。
a) 上下段で制動力を同等に設定したレール把持部を用いる場合
1) 上下段のいずれかのレール把持部に対して,8.2.2の試験手順で試験を実施し,レール把持部の性能
を確認する。
2) 適用質量の最大値及び適用質量の最小値は,1) の試験で用いたレール把持部の適用質量の最大値及
び適用質量の最小値の2倍とする。
3) 適用速度の最大値は,1) の試験で用いた値とする。
b) 下段に制動力を大きく設定したレール把持部を用いる場合
1) 上段及び下段の両方のレール把持部に対して,8.2.2の試験手順で試験を実施し,上段及び下段のレ
ール把持部の性能を確認する。
2) 適用質量の最大値は,1) の試験で用いた上段のレール把持部の適用質量の最大値と下段のレール把
持部の適用質量の最大値とを足し合わせた値とする。
3) 適用質量の最小値は,1) の試験で用いた上段のレール把持部の適用質量の最小値と下段レール把持
部の適用質量の最小値とを足し合わせた値とする。
4) 適用速度の最大値は,1) の試験で用いた値とする。
8.3.3 構造試験
7.2に規定する構造に適合しているか否かを構造図,外形図などによって確認する。

8.4 早ぎき非常止め装置の場合

8.4.1  試験方法
早ぎき非常止め装置の試験方法は,次のいずれかによる。
a) 圧縮試験機による試験 8.4.2によって,試験する。
b) 自由落下による試験 8.4.3によって,試験する。
8.4.2 圧縮試験機よる試験方法
8.4.2.1 試験装置
試験装置は,早ぎき非常止め装置の最大吸収エネルギーを測定するために,ガイドレールの引抜き力及
びガイドレールの滑り量を計測できる装置とする。
非常止め装置に挟まれたガイドレールの引抜き力及び滑り量を測定できる引張圧縮試験装置を用いなけ
ればならない。この装置は,急激な速度変化なしで動かなければならない。

――――― [JIS A 4305 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
A 4305 : 2016
8.4.2.2 試験手順
この試験は,適用速度の最大時における最大試験質量を決定するために次の要領で試験を実施する。
a) 8.4.2.1に示す試験装置を用い,8.4.2.3によってガイドレール引抜き力及びガイドレール滑り量を計測
する。
b) 8.4.2.4によって,計測結果から非常止め装置の最大吸収エネルギーを求める。
c) 8.4.2.5によって,最大吸収エネルギーから適用速度の最大時における制動可能な質量を計算する。
d) 8.4.2.6によって,制動可能な質量から安全率を考慮した最大試験質量を決定する。
8.4.2.3 ガイドレール引抜き力及びガイドレール滑り量の計測
次の試験手順で試験を1回実施し,最大吸収エネルギーを求めるための引抜き力及び滑り量を測定する。
a) ガイドレールをレール把持部にくわえさせる。
b) ガイドレールを押し下げ(引き上げ),ガイドレールの滑り距離及び押し下げ荷重(引き上げ荷重)を
測定する。測定は,レール把持部が壊れるとき,又は滑り距離の増加に対して荷重が増加しなくなる
状態まで実施する。
8.4.2.4 試験結果の表し方とエネルギーの算出
8.4.2.3で得られる測定結果を最大引抜き力と滑り距離との関係を示すグラフで示す。非常止め装置が吸
収可能な最大吸収エネルギーは,a) 又はb) のいずれかの方法によって求める。
a) 永久変形がない場合,荷重の最大点をA,滑り距離をSとする。この非常止め装置が吸収できるエネ
ルギーKは,扇形0ASで囲まれる面積で表される[図11 a) 参照]。面積を近似的に三角形0ASとし
てもよい。
b) 永久変形及び破壊を生じた場合は,荷重が線形増加とみなせる範囲の荷重の最大点をA1,滑り距離を
S1,最大荷重をA2,滑り距離をS2とする。次の1) 及び/又は2) によってグラフを作成し,非常止
め装置が吸収できるエネルギーを求める。
1) 弾性限界に到達するまでの範囲 : 弾性限界に到達するまでに吸収できるエネルギーK1は,扇形0A1S1
で囲まれる面積で表される[図11 b) 参照]。面積を近似的に三角形0A1S1としてもよい。
2) 最大荷重に対応する値までの範囲 : 最大荷重までに吸収できるエネルギーK2は,扇形0A2S2で囲ま
れる面積で表される[図11 c) 参照]。一般的には,滑り距離(S)−荷重(F)の曲線は,上に凸の
形状を示すので,このような場合は最大吸収エネルギーを求めるに当たり,面積を近似的に三角形
0A2S2としてもよい。

――――― [JIS A 4305 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS A 4305:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 4305:2016の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7507:2016
ノギス
JISB7512:2018
鋼製巻尺
JISB7516:2005
金属製直尺
JISB7522:2018
繊維製巻尺