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B 1757-4 : 2013
b) 単一円周ピッチ偏差(fpi),
累積円周ピッチ偏差(Fpi)
5.3 測定子先端形状
球基準器を測定する測定子先端は,球又はそろばん玉形状とする。測定子の形状精度は,測定精度に直
接影響を及ぼすので,高精度なものでなければならない。磨耗によって測定子先端の形状が変化すること
があるので,注意を要する。
5.4 球基準器の取付け
5.4.1 一般
球基準器の基準軸が被評価装置の回転軸(Z軸)と一致するように,球基準器を被評価装置に設置する。
回転軸に対する基準軸の取付け誤差は,被評価装置の精度評価に大きな影響を与えるので,取付け誤差
をできるだけ小さくする。
5.4.2 両センタ支持
基準器が両センタで支持する構造の場合,基準器の取付けは容易である。しかし,両センタを結ぶ軸を
基準器の中心軸として測定すると,測定不確かさが大きくなるので注意を要する。
球基準器の基準軸の回転軸からの偏心は,被評価装置の精度評価に含まれる。偏心量(片振幅)がec,
測定点における仮想歯車の圧力角がαの場合,累積円周ピッチ偏差の最大値の変化量は,2ec/cosαとなる。
したがって,評価結果は偏心の影響を大きく受けるので,偏心はできるだけ小さくすることが望ましい。
要求する最大の累積ピッチ測定誤差(Fmp)を超えないようにするためには,式(1)が成り立つようにする
とよい。
Fmp cos
ec (1)
2
具体的に計算をすると,歯車の諸元を,モジュール2.5 mm,圧力角20°,基準円半径50 mmの平歯車
に設定し,要求する精度が3級のピッチ精度であれば,JIS B 1702-1の累積ピッチ誤差の許容値Fpは,9.5
この平歯車のピッチを測定する必要があるならば,ec<4.5 歴 階
を取り付ける必要がある。要求する最大の累積ピッチ測定誤差(Fmp)の1/10の精度が必要ならば,ec<0.45
5.4.3 センタなし
基準器のセンタがない構造の場合,球基準器の基準軸が被評価装置の回転軸と一致するように,球基準
器を被評価装置に設置する。必要ならば取付けジグを用いる。球基準器の基準軸を,被評価装置の回転軸
に限りなく近づけることが可能である。
5.5 ピッチ用球の測定位置
測定位置の赤道からのずれ Q虔 ッチ偏差又は累積円周ピッチ偏差の変化が,要求する
単一ピッチ測定誤差又は累積ピッチ測定誤差を超えないようにするためには,式(2)が成り立つようにする
とよい(図9参照)。
ΔZm 2rcFmp (2)
5.4.2と同じ歯車諸元及びピッチ用球半径6.35 mmの球基準器について具体的に計算をすると,要求する
精度が3級のピッチ精度であれば, Zm 347 0 ッチ測定誤差又は累積ピッチ
測定誤差の1/10の精度であっても, ΔZm 110 測定位置が赤道から多少ずれて
も,単一ピッチ測定誤差又は累積ピッチ測定誤差にはほとんど影響がないといえる。
――――― [JIS B 1757-4 pdf 11] ―――――
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B 1757-4 : 2013
ΔZm
測定位置 測定断面
赤道
データム面 90°
図9−測定子の測定位置
5.6 ピッチ測定
単一ピッチ測定誤差又は累積ピッチ測定誤差の測定は,1個の測定子で,角度割り出し装置を使用して
行うものとする。このとき,球基準器の基準軸を回転軸とする仮想インボリュート円筒歯車を想定し,ピ
ッチ用球を,その仮想インボリュート円筒歯車の歯とみなして単一円周ピッチ偏差又は累積円周ピッチ偏
差を測定する。仮想インボリュート曲線の基礎円上で測定する方法(5.6.1参照),及び任意の半径の測定
円上で測定する方法(5.6.2参照)がある。ただし,単一円周ピッチ偏差及び累積円周ピッチ偏差(5.2参
照)だけが校正された球基準器を使用する場合,校正に用いた仮想インボリュート円筒歯車と同じ歯車諸
元及び測定円において測定しなければならない。仮想のインボリュート円筒歯車の計算方法については,
附属書A参照。
5.6.1 基礎円上でのピッチ測定
仮想インボリュート曲線の基礎円を測定円とする場合(図10参照),測定子先端の曲率中心と測定対象
のピッチ用球の中心とを結ぶ線(作用線ともいう。)が,基礎円に接する点において単一円周ピッチ偏差及
び累積円周ピッチ偏差を測定する。測定子の感度は,作用線方向にあるものとする。測定子先端の曲率中
心は,次のように位置決めする。
X軸方向 : rb
Y軸方向 : ±rp
複号は,+が左面,−が右面の測定に対応する。
Z軸方向 : ピッチ用球の赤道位置。
測定円半径R及び仮想インボリュート曲線の基礎円半径rbは,式(3)によって求める。
2
R rb C2 rc (3)
ここで,Cは全ピッチ用球の中心距離の代表値であり,rcは測定平面上のピッチ用球断面円半径の代表
値である。校正された全ピッチ用球の校正値の平均値又は設計値を用いる。
――――― [JIS B 1757-4 pdf 12] ―――――
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X
測定点
ピッチ用球の中心
測定子先端の曲率中心
rc
基礎円接線(作用線)
C
基礎円
rb = R
Y
O
注記1 破線は,仮想のインボリュート円筒歯車。
注記2 測定子の感度方向は,ピッチ用球の中心を通る基礎円接線の方向とする。
図10−基礎円上でのピッチの測定例
5.6.2 任意の半径の測定円上でのピッチ測定
球基準器の基準軸を回転軸とする仮想のインボリュート円筒歯車を想定し,半径Rの測定円上で,仮想
インボリュート曲線の法線方向,すなわち基礎円の接線方向に,ピッチ用球のピッチを測定する(図11
参照)。このとき,測定子先端の曲率中心,及びピッチ用球の中心は,同じ基礎円接線上にあるものとする。
測定子先端の曲率中心を,次のように位置決めする。
X軸方向 : rb
Y軸方向 : ±(rb tan α+rp) 又は ±(R sin α+rp)
複号は,+が左面,−が右面の測定に対応する。
αは,測定点における仮想歯車の圧力角である。
Z軸方向 : ピッチ用球の赤道位置。
測定円半径Rは,式(4)によって求める。
br
R (4)
cos
基準円上でピッチ測定を行う場合,測定点における仮想歯車の圧力角αは正面圧力角αtとなり,測定円
半径Rは式(5)によって求める。
rb 2 2 2
R rc sint C rccos t (5)
cos t
ここで,Cは全ピッチ用球の中心距離の代表値であり,rcは測定平面上のピッチ用球断面円半径の代表
値である。校正された全ピッチ用球の校正値の平均値又は設計値を用いる。
――――― [JIS B 1757-4 pdf 13] ―――――
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B 1757-4 : 2013
測定点
X
測定子先端の曲率中心
ピッチ用球の中心
rc
基礎円接線(作用線)
R C
rb
測定円 α
基礎円
Y
O
注記1 破線は,仮想のインボリュート円筒歯車。
注記2 測定子の感度方向は,ピッチ用球の中心を通る基礎円接線の方向とする。
図11−測定子を基礎円接線方向にオフセットした状態でのピッチの測定例
6 評価
6.1 評価項目
6.1.1 単一ピッチ測定誤差
各ピッチ用球の左右面に対応する単一円周ピッチ偏差の測定値と,その校正値との差から単一ピッチ測
定誤差を算出する。球基準器の測定平面上の各ピッチ用球の断面円半径(rci),各ピッチ用球の中心距離(Ci)
及び単一角ピッチ偏差(fθi)が校正されているとき,測定した歯車諸元に対する単一円周ピッチ偏差の校
正値を計算することができる(6.2参照)。
6.1.2 累積ピッチ測定誤差
各ピッチ用球の左右面に対応する累積円周ピッチ偏差の測定値と,その校正値との差から累積ピッチ測
定誤差を算出する。球基準器の測定平面上の各ピッチ用球の断面円半径(rci),各ピッチ用球の中心距離(Ci)
及び累積角ピッチ偏差(Fθi)が校正されているとき,測定した歯車諸元に対する累積円周ピッチ偏差の校
正値を計算することができる(6.3参照)。
6.2 単一円周ピッチ偏差の計算
式(6)に従って校正された測定平面上の各ピッチ用球の断面円半径(rci),各ピッチ用球の中心距離(Ci)
及び単一角ピッチ偏差(fθi)から測定した歯車諸元に対する単一円周ピッチ偏差の校正値を計算する。複
号は,(+)が左面の測定,(−)が右面の測定に対応する。
2 2
1 r2 C-(i1) rc(i-1) 1r2 Ci
2 2
rci
fpi r fθicos cos (6)
2r C-(i1) 2r Ci
――――― [JIS B 1757-4 pdf 14] ―――――
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B 1757-4 : 2013
6.3 累積円周ピッチ偏差の計算
式(7)に従って校正された測定平面上の各ピッチ用球の断面円半径(rci),各ピッチ用球の中心距離(Ci)
及び累積角ピッチ偏差(Fθi)から測定した歯車諸元に対する累積円周ピッチ偏差の校正値を計算する。複
号は,(+)が左面の測定,(−)が右面の測定に対応する。
2 2
1r2 C(iz) rc(i
z) 1r2 Ci
2 2
rci
Fpi r Fθicos cos (7)
2r C(iz) 2r Ci
――――― [JIS B 1757-4 pdf 15] ―――――
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JIS B 1757-4:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.200 : 歯車
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.040 : 線及び角度の測定 > 17.040.30 : 測定機器
JIS B 1757-4:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0102:1999
- 歯車用語―幾何学的定義
- JISB1702-1:2016
- 円筒歯車―精度等級―第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項