JIS B 6190-10:2018 工作機械試験方法通則―第10部:プロービングシステムの測定性能評価方法 | ページ 5

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B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
6.7 工作物の位置及び向きの試験,EPLA,Z,ELIN,Y,ECOR,X,ECOR,Y及びECOR,Z(EPLAne,Z,ELINe,Y及びECORner
coordinates,X,Y,Z)
6.7.1 一般
工作機械上でのプロービングは,多くの場合にMCSの中で工作物を参照し,主軸の軸平均線に対して
工作物を配置するために行う。この試験は,プロービングシステムの能力を評価することを意図している。
MCSに対するWCSの同定は,次の順序で実行するのが最もよい。
a) CS基準平面の同定
b) 基準平面内におけるWCSの向きの同定
c) CSデータム点の定義
この順序で実行されないステップ(時間を節約することによって正当化されることもある。)が幾つかあ
ると,実際の状況に対応していない場合,不適切なWCSを同定してしまうことがある。
6.7.1.1 WCS基準平面の同定
工作物は,マシニングセンタのテーブルに取り付ける(又はテーブルに取り付けた支持台に固定する。)。
次のように仮定する場合は,WCS基準平面(XY平面に平行であると仮定)を同定する必要はない。
a) テーブル(又は工作物の支持台)は,平らでX及びY軸の運動に平行になっている(工作機械のXY
座標平面を定義する。)。
b) 工作物の底面は,その基準平面に平行になっている。
c) 工作物とテーブル(又は支持台)との接続に影響を及ぼす外乱要素(引っかききず,ほこり,切りく
ずなど)がない。
上記の条件の幾つかが満足されない場合には,物理的に工作物自体を調整する代替手段として工作物の
基準平面の測定が基準平面の同定に欠かせない。
一般的なプロービングシステムは,3点をプロービングして(名目上は平らな)工作物の基準平面を測
定することができる。その他高性能のプロービングシステムは,表面の数学モデルと測定された表面の点
とを比較し,最小二乗法を適用して,(既知の)表面上で複数のプロービングを行い,工作物の基準平面を
決めることができる。
6.7.1.2 基準平面内におけるWCSの向きの同定
一般的なプロービングシステムは,(名目上)平らな表面上の二つの測定点を通る線又は二つの円筒状若
しくは球状をした工作物形体の中心座標を通る線を決め,基準平面でのWCSの向きを調整する。
工作物基準平面が工作機械のXY座標平面に(測定又は補正されて)平行になるように調整されていな
い場合は,線を測定してもその基準面でのWCSの向きを正しく同定していないことに注意しなければな
らない。
6.7.1.3 WCSデータム点の位置
一般的なプロービングシステムは,次のa) c)を組み合わせることによってデータム点の位置を合わせ
ることができる。
a) 平面上の1点をプロービングして個々の軸のデータム点を設定する。
b) 二つの平面間のコーナ上又は穴若しくはボスの中心上にX及びY軸データム点を設定する。
c) 球の中心座標又は三つの平面が交差しているコーナ上にX,Y及びZ軸データム点を設定する。
6.7.1.4 WCSの同定に及ぼすプロービングシステムの特性の影響
6.7.1.4.1 WCSの同定に影響を及ぼす主なプロービングシステムの特性
WCSの同定に影響を及ぼす主なプロービングシステムの特性は,次による。

――――― [JIS B 6190-10 pdf 21] ―――――

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a) プロービングシステムの繰返し性(6.2参照)
b) 主軸の軸平均線に対するスタイラスチップのオフセット誤差(6.3参照)
c) プロービング工具位置の繰返し性(6.4参照)
d) プロービング誤差(6.5及び6.6参照)
e) 実効スタイラスチップ直径(6.10参照)
f) プロービング信号と工作機械の位置検出器の読取りとの間の時間遅れの変動(6.9参照)
g) プローブのパラメータ設定
h) 温度ドリフト
表1は,プロービング戦略を定義するのに役立つ幾つかの共通の測定項目に及ぼす主な特性の影響の概
略を示す。
注記1 表1には,プロービングの繰返し性及び時間遅れの変動は記載されていない。その理由は,
実際的な意味でそれらが全ての測定項目に影響を及ぼすからである。
注記2 空白のセルは,測定項目に及ぼす特性の影響が非常に弱いか小さいことを示す。
注記3 WCSの同定手順は,中間プロービング工具を交換しないで実行するものと仮定をしている。
表1−測定項目に及ぼすプロービングシステム特性の影響
測定項目 スタイラスチップ プロービング工具 プロービング誤差c) 実効スタイラスチ
オフセットa) 取付けの繰返し性b) ップ直径d)
1点による表面検出 X,Y 強い 強い X,Y 強い 強い
基準XY平面の角度
2点による線の角度
2中心を通る線の角度
2点による線の位置 X,Y 強い 強い 強い 強い
平面上のコーナの位置 X,Y 強い X,Y 強い 強い 強い
3平面の交差するコーナの X,Y 強い 強い 強い 強い
位置
穴又はボスの中心位置 X,Y 強い 強い 中間
球の中心位置 X,Y 強い 強い 中間
注a) 6.3参照
b) 6.4参照
c) 6.5及び6.6参照
d) 6.10参照
6.7.1.4.2 表1の分析及び最良の手順
表1の分析及び最良の手順は,次による。
a) 工作物平面上の最少3点をプロービングしてWCS基準平面を同定する。
b) 2点(利用できる場合は,もっと多くの点)を通る線又は二つの円の中心を通る線をプロービングし
て基準平面内でWCSの向きを同定する。
c) 穴又はボスの中心座標としてWCSのX及びY軸のデータム点を決める。
d) 単一軸の繰り返し求めた測定値の平均としてWCSのZ軸のデータム点を決める(したがって,スタ
イラスチップのアライメント,プロービング工具位置の繰返し性,及びZ方向に対する仮想的に僅か
なプリトラベル変動の影響を最小化する。)。
このWCSのZ軸のデータム点は,WCS基準平面によっても決めることができる。この形体を使用する

――――― [JIS B 6190-10 pdf 22] ―――――

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場合は,Z軸のデータム点用にプロービングを追加する必要はない。
6.7.2 試験の準備
図6に示すものと同様の基準器を選択する。この図に示す基準器は,一辺約50 mmの立方体で,穴径は
約25 mmとなっている。面A,B及びDは,できれば研削仕上げされているものが望ましく,基準器の幾
何学的な特性は,座標測定機(CMM)であらかじめ測定し,分かっていることが望ましい。
例示する基準器は,プロービングシステム性能の定期的な再検査にも利用する。
基準器は,工作機械の測定空間内の工作物を代表する位置に位置決めし,MCSに対して三つの方向に故
意に約1°傾けて取り付ける。
プロービングシステムの中には,XY平面のアライメント能力だけを提供するものがある。そのような
場合は,基準器の上面Aを工作機械のXY平面に平行にし,その一つの側面をMCSに対して約1°傾け
て取り付けなければならない。その場合は,6.7.3に規定する試験手順のステップa)を実行してはならない。
単位 mm
ZWCS
A C
YWCS
a 2
1 3
5 4
ZWCS
A 平面 A 6 7
XWCS
B 平面 B YWCS B
D
C 穴 C
D 平面 D XWCS
a 直線 L
17 WCS位置及び向きのパラメータ設定のための測定点
図6−基準器のWCSの位置及び向きの例
6.7.3 試験手順
工作物の形体は,プロービングシステムの用途に応じた点数でプロービングし,次の手順を適用して同
定しなければならない。
a) フェーズ1 : WCS の向き及び位置の同定
1) 基準器の平面AをプロービングしてWCSの基準平面を設定する(図6参照)。
2) 基準器の平面B上のプロービング線Lによって基準平面におけるWCSの向きを設定する(図6参
照)。
注記1 最良の方法として,平面Bを一つの平面としてプロービングし,平面Aと平面Bとを交差
させ,基準平面AにおけるWCSの向きとして交線(直線)を用いることを推奨する。

――――― [JIS B 6190-10 pdf 23] ―――――

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3) 穴Cをプロービングし,WCSのX及びY軸のデータム点を設定する(図6参照)。
4) 穴Cをプロービングし,WCSのX及びY軸のデータム点を再び設定する。
注記2 この繰返し操作は,プロービング信号と工作機械の位置検出器の読取りとの間の時間遅れの
影響を最小化するために必要である(6.9参照)。
注記3 最良の方法として,穴Cを円筒としてプロービングし,平面Aと円筒の軸とを交差させ,X
及びY軸のデータムとして交点を求めることを推奨する。
5) CSのZ軸のデータム点を設定するために面Aを使用する。
b) フェーズ2 : WCSの位置及び向きのパラメータ設定
1) 次の四つの座標でZ軸方向において4点でプロービングする平面AのZ軸座標(ZPLA)を取得し,
記録する[(X−20,Y−20),(X−20,Y20),(X20,Y20),(X20,Y−20)],(図6の測定点14)。
2) 次の二つの座標でY軸方向における基準器の平面Bをプロービングする2点のY軸座標(YLIN)を
取得し,記録する[(X−20,Z−10),(X20,Z−10)],(図6の測定点5及び6)。
3) プロービングシステムの製造業者の説明書に従って穴Cの中心のX及びY軸座標(XBOR,YBOR)を
測定し,記録する。
4) 3平面D,B及びAのそれぞれ1点をプロービングしてコーナのX,Y及びZ軸座標(XCOR,YCOR,
ZCOR)を測定し,記録する(図6の測定点7,6及び4)。
6.7.4 結果の解析
記録したZPLAの値の範囲としてWCS基準平面の同定誤差EPLA,Zを算出する。
注記 EPLA,Zは,基準平面の平面度偏差を含む。
記録した座標YLINの差として基準平面の同定誤差ELIN,YにおけるWCSの向きを算出する。
記録したコーナ座標(XCOR,YCOR,ZCOR)と,以前の測定,例えば,CMM測定から分かるコーナ座標と
の差としてコーナ位置誤差(ECOR,X,ECOR,Y,ECOR,Z)を算出する。
6.7.5 工作物の位置及び向きの代替試験
6.7.5.1 試験の準備及び手順
工作物の位置及び向きの試験は,約50 mmの校正された長さをもつ標準のブロックゲージを用いて行う
こともできる(図7参照)。この代替試験は,そのブロックゲージの一つのコーナにWCSデータム点を決
める。そのため,コーナ位置誤差ECOR,X,ECOR,Y及びECOR,Zは評価しない。また,前の試験(6.7.2参照)
における穴の中心上のWCSデータに対応する一つのコーナと比較して,そのコーナ上のWCSのX及びY
軸データム点の同定誤差に差が生じることがある。これは,コーナ上のWCSデータム点の同定誤差への
実効スタイラスチップ直径の誤差の影響によるものである。その一方で,穴の周りにプロービング点を対
向して選択すると,そのような誤差の影響は,穴の中心上にWCSデータム点をとる場合に最小化できる。
ただし,実効スタイラスチップ直径の誤差は,ブロックゲージの校正長さの測定から求め,WCSデータム
点の同定誤差を決定するときに考慮する(6.7.5.2参照)。
ブロックゲージは,工作機械の測定空間内の工作物を代表する位置に位置決めし,MCSに対して三つの
方向に約1°故意に傾けて取り付ける。
プロービングシステムの中には,XY平面のアライメント能力だけを提供するものがある。そのような
場合は,ブロックゲージの上面を工作機械のXY平面に平行にし,MCSに対してその一つの側面を約1°
傾けて取り付けなければならない。その場合は,次の試験手順a) 1) を実行してはならない。
次の手順を応用してプロービングシステムの用途に対応する点の数でプロービングして工作物形体を同
定しなければならない。

――――― [JIS B 6190-10 pdf 24] ―――――

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a) フェーズ1 : WCSの向き及び位置の同定
1) ブロックゲージの平面AをプロービングしてWCSの基準平面を設定する(図7参照)。
2) ラップ仕上げされた平面の一つであるブロックゲージの平面B上のプロービング線Lによって基準
平面におけるWCSの向きを設定する(図7参照)。
注記1 最良の方法として,平面Bを一つの平面としてプロービングし,平面Aと平面Bとを交差
させ,基準平面AにおけるWCSの向きとして交線(直線)を用いることを推奨する。
3) 3平面D,B及びAのそれぞれの上の1点をプロービングして前面の右上部コーナ(図7参照)の
WCSのX,Y及びZ軸データム点をそれぞれ設定する。
4) 前面の右上部コーナでWCSのX,Y及びZ軸データム点を再び設定する。
注記2 この繰返し操作は,プロービング信号と工作機械の位置検出器の読取りとの間の時間遅れの
影響を最小化するために必要である(6.9参照)。
注記3 最良の方法として,n点で平面Bと平面Dとをプロービングし,平面A,B及びDを交差さ
せ,WCSのX,Y及びZ軸のデータム点として交点を用いること推奨する。
b) フェーズ2 : WCSの位置及び向きのパラメータ設定
1) 次の四つの座標でZ軸方向における4点のプロービングする平面AのZ軸座標ZPLAを取得し,記
録する[(X−5,Y5),(X−30,Y5),(X−30,Y45),(X−5,Y45)],(図7の測定点14)。
2) 次の二つの座標でY軸方向におけるブロックゲージの平面Bをプロービングする2点のY軸の座
標(YLIN)を取得し,記録する[(X−30,Z−4),(X−5,Z−4)],(図7の測定点5及び6)。
3) 3平面D,B及びA上のそれぞれ1点をプロービングして前面の右上部のコーナのX,Y及びZ軸
の座標XCOR,YCOR,ZCORをそれぞれ測定し,記録する(図7の測定点7,6及び4)。
4) プロービングシステムの組込みサイクルを使って校正されたブロックゲージの寸法SYを測定する。
単位 mm
ZWCS
YWCS
2
3
1
ZWCS
a 5 4
A 平面 A
YWCS
B 6 7 A
B 平面 B
D
D 平面 D
XWCS
a 線 L XWCS
17 WCS位置及び向きのパラメータ設定のための測定点
図7−ブロックゲージを用いたWCS位置及び向きの代替試験
6.7.5.2 結果の解析
記録したZPLA値の範囲としてWCS基準平面の同定誤差EPLA,Zを算出する。

――――― [JIS B 6190-10 pdf 25] ―――――

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  • ISO 230-10:2016(IDT)

JIS B 6190-10:2018の国際規格 ICS 分類一覧

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