この規格ページの目次
23
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
注記 EPLA,Zは,基準平面の平面度偏差を含む。
記録したYLIN座標値間の差として基準平面の同定誤差ELIN,YにおけるWCSの向きを算出する。
記録したSY値とブロックゲージの校正長さとの差として実効スタイラスチップ直径の誤差EEST,Yを算出
する。
X及びY軸のWCSデータム点の同定誤差に影響するEEST,Y値の半分を算出する。
記録したコーナ座標XCOR,YCOR及びZCORとしてコーナ位置誤差ECOR,X,ECOR,Y及びECOR,Zを報告する。
6.8 工作物の加工と位置との複合試験,ECML,X,ECML,Y,ECML,Z,RCML,X,RCML,Y及びRCML,Z
(ECombined Machining and Location,X,Y,Z及びRCombined Machining and Location,X,Y,Z)
6.8.1 一般
前もって加工した工作物上の要素を同定し,引き続き行う機械加工の基準として参照するために工作物
の位置と向きとを測定する場合がある。
実際の加工と実際の測定とを比較する実用的な試験は,試験片上に穴と面とを機械加工し,その穴と面
とをプロービングシステムを使って測定する必要がある。測定した穴中心のX及びY座標は,プログラム
された穴の中心座標と一致するのが望ましい。また,測定した上面のZ座標は,プログラムされたZ座標
と一致するのが望ましい。
このような試験に影響を及ぼすと考えられる因子には,次のようなものがある。
− 機械加工による表面仕上げ
− フライス工具長の設定
− プロービング工具長の設定
− 機械の温度ドリフト(例えば,主軸の温度ドリフト)
6.8.2 試験の準備及び手順
a) フェーズ1 : 機械加工
1) 機械加工に備えて少なくとも厚さ25 mmの試験片をテーブルに固く取り付ける。試験片材料は,受
渡当事者間で協定するか,又は目的とする用途を表明しなければならない。
2) 直径約25 mmの穴を,プロービングシステムの繰返し性の値よりもよい高精度な表面仕上げ加工を
しなければならない。あらかじめ直径が1.25 mm小さい穴をドリルであけ,続けて直径が0.2 mm
小さい穴を中ぐりで仕上げなければならない。
3) 試験片の表面全体又は一部分のいずれかを適切な面削り工具を使って,プロービングシステムの繰
返し性の値よりもよく面削りする。
b) フェーズ2 : 試験
1) 主軸にあらかじめパラメータ設定の済んだプロービング工具を取り付ける。
2) 製造業者の推奨する測定サイクルを用いて穴中心を測定し,穴中心のX-Y座標,XBOR及びYBORを
記録する。
3) 製造業者の推奨する測定サイクルを用いてフライスで面削りした表面を測定し,Z座標ZPLAを記録
する。
4) 標準のプロービング工具交換の手順を実行し,合計10個の測定座標,XBOR,YBOR及びZPLAを求め
るために,上記のb) 2) から始めてこの試験手順を9回繰り返す。
事前に自動工具交換装置を使用することが分かっている場合には,プローブを主軸に戻す前に,このシ
ステムの繰返し性を含めるために工具交換装置を少なくとも一つの位置で割り出し,戻すのが望ましい。
高速フライス盤の中には,工具保持具に駆動キーが付いていないものがある。そのような場合は,主軸
――――― [JIS B 6190-10 pdf 26] ―――――
24
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
に対するプロービング工具の相対角度位置を制御できない。したがって,プロービング工具の角度位置を
相対的に15°ずつ増加させて上記の手順を補完することを推奨する。
6.8.3 結果の解析
プログラムした穴の座標と記録したXBOR座標の平均値との差をとり,X軸の加工及び位置の複合誤差
ECML,Xを算出する。
記録したXBOR座標の範囲としてX軸の加工及び位置の複合繰返し性RCML,Xを算出する。
プログラムした穴の座標と記録したYBOR座標の平均値との差をとり,Y軸の加工及び位置の複合誤差
ECML,Yを算出する。
記録したYBOR座標の範囲としてY軸の加工及び位置の複合繰返し性RCML,Yを算出する。
プログラムした座標と記録したZPLA座標の平均値との差をとり,Z軸の加工及び位置の複合誤差ECML,Z
を算出する。
記録したZPLA座標の範囲としてZ軸の加工及び位置の複合繰返し性RCML,Zを算出する。
6.9 時間遅れ変動試験
6.9.1 一般
工作機械用のプロービングシステムは,接触によるスタイラスチップのたわみには敏感であると同時に
工作機械の振動によるスタイラスチップのたわみには鈍感であることが望まれている。この相反する要求
には,プローブ固有のスイッチング技術(例えば,電気回路の短絡,ひずみゲージなど)とプロービング
システムの設計とに応じて別々の方法で対応している。振動に対して鈍感にするために,プローブ信号の
論理処理回路及び/又は工作機械CNCによるプローブ信号の論理処理に“減衰”を適用することがある。
CNCアーキテクチャの中には,工作機械の位置検出器の読取り値を格納するために非常に速いハードウエ
アレジスタを採用しているものがあるが,それ以外のCNCアーキテクチャは,PLC制御ループサイクル
の中でそのようなデータを取得できるようにしている。
注記1 プロービング送り速度を480 mm/min一定とすると,例えば,スタイラスチップは0.008 mm/ms
で移動することになるので,5 msの遅れがあると移動距離は0.040 mmにもなる。時間遅れ
は,パラメータ設定を行うときのプロービングシステムの実効スタイラスチップ直径の決定
に際して考慮することになるが,その変動は考慮しない。
注記2 ここでの主な関心事は,時間遅れの変動であるが,測定中のプロービング送り速度がプロー
ブのパラメータ設定中に適用する送り速度と異なる場合に,一定の時間遅れでもプロービン
グ誤差を引き起こす可能性があることに注意する。
通常,測定しなければならない工作物形体の位置は不明であるので,プロービングするときの実際のア
プローチ距離も不明である。実際のスタイラスチップの位置はCNC制御下にあるが,時間遅れが未知の
変数である可能性があるため,アプローチ距離の関数として時間遅れが変化する可能性がある。
CNC及びPLCとプロービングシステムとの相互作用によって時間遅れが異なり,プロービングシステ
ム全体の性能が大幅に低下する可能性がある。
注記3 測定しようとする工作物形体の位置は不明であるため,円及び球の測定に適用する接近方向
は,測定(検出)しようとする表面に対して正確には垂直にならない。したがって,時間遅
れ変動試験の結果は,プロービングシステムのソフトウエアに適用する実効スタイラスチッ
プ直径の補正方法から生じる可能性のある剰余誤差も含むことになる。
この箇条に記載する試験は,特定のプロービングシステムの一般的な性能評価のために必要とされてお
り,測定送り速度が変わらない限り,プロービングシステムの性能の再試験中に必ずしも繰り返す必要は
――――― [JIS B 6190-10 pdf 27] ―――――
25
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
ない。
6.9.2 各軸の時間遅れ変動試験,ESPT,TD,X,ESPT,TD,Y及びESPT,TD,Z(ESingle-PoinT, Time Delay variation,X,Y,Z)
6.9.2.1 試験の準備及び手順
a) 6.7.5の図7に示す試験基準器を位置決めし,その基準器の三つの面がX,Y,及びZ軸にそれぞれ直
角になるようにMCSに合わせる。
b) 三つの平面D,B及びA上の1点をプロービングして右下コーナ(図7参照)にWCSのX,Y及びZ
軸データム点を設定する。
c) 引き続いて,機械軸をX5,Y5及びZ−4に位置決めする。
d) 負方向で1点をプロービングしてXSPT,TD座標を取得し,記録する。
e) 前のX軸の位置を0.010 mm増加して機械軸を位置決めする(例えば,最初の繰返しでは,X軸は,
X5.010に位置決めする。)。
f) 10個のXSPT,TD座標の合計を取得し,記録するために,上記のd)から始まる手順を繰り返す。
g) 引き続いて,機械軸をY−5,Z−4及びX−5に位置決めする。
h) 正方向で1点をプロービングして,YSPT, TD座標を取得し,記録する。
i) 前のY軸の位置を0.010 mm減少させて機械軸を位置決めする(例えば,最初の繰返しでは,Y軸は,
Y−5.010に位置決めする。)。
j) 10個のYSPT,TD座標の合計を取得し,記録するために,上記のh)から始まる手順を繰り返す。
k) 引き続いて,機械軸をZ5,X−5及びY5に位置決めする。
l) Z負方向で1点をプロービングして,ZSPT, TD座標を取得し,記録する。
m) 前のZ軸の位置を0.010 mm増加して機械軸を位置決めする(例えば,最初の繰返しでは,Z軸は,
Z5.010に位置決めする。)。
n) 10個のZSPT,TD座標の合計を取得し,記録するために,上記のl)から始まる手順を繰り返す。
6.9.2.2 結果の解析
測定されたXSPT,TD座標の範囲として一つの軸の時間遅れ変動誤差ESPT,TD,Xを算出する。
注記1 6.2.2で試験した一つの点の面の測定に対する繰返し性RSPT,Xは,ESPT,TD,Xに含まれる。
測定されたYSPT,TD座標の範囲として一つの軸の時間遅れ変動誤差ESPT,TD,Yを算出する。
注記2 6.2.2で試験した一つの点の面の測定に対する繰返し性RSPT,Yは,ESPT,TD,Yに含まれる。
測定されたZSPT,TD座標の範囲として一つの軸の時間遅れ変動誤差ESPT,TD,Zを算出する。
注記3 6.2.2で試験した一つの点の面の測定に対する繰返し性RSPT,Zは,ESPT,TD,Zに含まれる。
6.9.3 XY面内の円測定における時間遅れ変動試験,ECIR,TD,X,ECIR,TD,Y,ECIR,TD,D及びECIR,TD,F(ECIRcle, Time
Delay variation,X,Y,ECIRcle, Time Delay variation, Diameter及びECIRcle, Time Delay variation, Form)
6.9.3.1 一般
この試験は,測定工具経路が円と一致していない場合に,プロービングシステムが円の正しい直径と位
置とを測定する能力を決定する。この試験は,XY平面内の円形基準器を測定できる一般的なプロービン
グシステムに適用する。
二次元プロービング誤差試験PFTU,2D(6.5参照)で定義されているように,直径,中心,形状誤差Fな
どの円形体を36点から計算できる先進的なシステムでは,36点を使用してこの試験を実施することを推
奨する。この試験は,形体の位置が不明な場合(例えば,部品を位置決めする場合)に,特にこのシステ
ムの二次元性能を表示するときに有用である。
――――― [JIS B 6190-10 pdf 28] ―――――
26
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
6.9.3.2 試験の準備及び手順
a) 直径及び形状が校正された穴径約25 mmの基準リングを取り付け,リング穴の軸中心線が機械のZ軸
に平行になるように基準リングをMCSに合わせる。
b) 基準リングの穴を4点でプロービングしてその穴の中心座標を測定する。測定した中心にWCSデー
タム点を設定する。
c) 基準リングの中心座標XCIR,TD及びYCIR,TD及びその直径Dを測定し,記録する。
d) 表2に従ってその形体の名目上の位置を調整して,上記のc)の手順を9回繰り返す。形体自体は,動
かさないが,その形体測定用の新しいプロービング経路は,その形体が新しいオフセット位置にある
と仮定して生成する。
6.9.3.3 結果の解析
全ての計算は,基準の測定結果を含まなければならない。
測定したXCIR,TD値の範囲として円中心位置に対するX軸の時間遅れ変動誤差ECIR,TD,Xを算出する。
注記1 6.2.3で試験した円中心位置に対する繰返し性RCIR,Xは,ECIR,TD,Xに含まれる。
測定したYCIR,TD値の範囲として円中心位置に対するY軸の時間遅れ変動誤差ECIR,TD,Yを算出する。
注記2 6.2.3で試験した円中心位置に対する繰返し性RCIR,Yは,ECIR,TD,Yに含まれる。
測定したD値の範囲として円直径測定に対する時間遅れ変動誤差ECIR,TD,Dを算出する。
注記3 6.10.3で試験した円直径測定に対する繰返し性RCIR,Dは,ECIR,TD,Dに含まれる。
36個のプロービング点を使った試験については,測定した形状の値Fの範囲として円形状誤差測定に対
する時間遅れ変動誤差ECIR,TD,Fを算出し,測定した形状の値Fの最大値としてECIR,TD,F,MAXを報告する。
注記4 6.5.3で試験した二次元プロービング誤差PFTU,2Dは,ECIR,TD,F,MAXに含まれる。
表2−XY平面上での円測定に対する時間遅れ変動試験のためのX及びY軸のオフセット
測定回数 基準位置の座標に対する公称中心座標
mm
X Y Z
1 0.000 0.300 0.000
2 0.193 0.230 0.000
3 0.295 0.052 0.000
4 0.260 −0.150 0.000
5 0.103 −0.282 0.000
6 −0.103 −0.282 0.000
7 −0.260 −0.150 0.000
8 −0.295 0.052 0.000
9 −0.193 0.230 0.000
注記 この表における公称中心位置は,XY平面内で40°間隔に半
径0.3 mmの円形が配置されたパターンを表す。
6.9.4 球測定に対する時間遅れ変動試験,ESPH,TD,X,ESPH,TD,Y,ESPH,TD,Z,ESPH,TD,D及びESPH,TD,F(ESPHere, Time
Delay variation,X,Y,Z,ESPHere, Time Delay variation, Diameter及びESPHere, Time Delay variation, Form)
6.9.4.1 一般
この試験は,測定工具経路が球形体と正確に一致していない場合に,プロービングシステムが球形体の
正しい直径と位置とを計算する能力を決定する。この試験は,球形体を測定できる通常のプロービングシ
ステムに適用する。
――――― [JIS B 6190-10 pdf 29] ―――――
27
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
この試験は,中心,直径,形状誤差Fのような球形体を計算できる進んだシステムでは,三次元プロー
ビング誤差試験PFTU,3D(6.6参照)で定義されているように,25点を使用して実施することを推奨する。
この試験は,球形体の位置が不明な場合(例えば,部品を位置決めする場合)に,特にこのシステムの三
次元性能を表示するときに有用である。
6.9.4.2 試験の準備及び手順
a) 工作機械の測定空間の中の工作物を代表する位置に,直径及び形状が校正された直径約25 mmの基準
球を位置決めする。
b) 基準球を5点でプロービングして基準球の中心座標を測定する。測定した中心にWCSデータム点を
設定する。
c) 基準球の中心座標XSPH,TD,YSPH,TD及びZSPH,TD,その直径D並びに(プロービング点25点を使った試
験については)その形状誤差Fを測定し,記録する。
d) 表3に従ってその形体の名目上の位置を調整して,上記c)の手順を9回繰り返す。形体自体は,動か
さないが,その形体測定用の新しいプロービング経路は,その形体が新しいオフセット位置にあると
仮定して生成する。
6.9.4.3 結果の解析
全ての計算は,基準の測定結果を含まなければならない。
測定したXSPH,TD値の範囲として球の中心位置に対するX軸の時間遅れ変動誤差ESPH,TD,Xを算出する。
注記1 6.2.4で試験した球の中心位置に対する繰返し性RSPH,Xは,ESPH,TD,Xに含まれる。
測定したYSPH,TD値の範囲として球の中心位置に対するY軸の時間遅れ変動誤差ESPH,TD,Yを算出する。
注記2 6.2.4で試験した球の中心位置に対する繰返し性RSPH,Yは,ESPH,TD,Yに含まれる。
測定したZSPH,TD値の範囲として球の中心位置に対するZ軸の時間遅れ変動誤差ESPH,TD,Zを算出する。
注記3 6.2.4で試験した球の中心位置に対する繰返し性RSPH,Zは,ESPH,TD,Zに含まれる。
測定したD値の範囲として球の直径測定値に対する時間遅れ変動誤差ESPH,TD,Dを算出する。
注記4 6.10.4で試験した球径測定に対する繰返し性RSPH,Dは,ESPH,TD,Dに含まれる。
25個のプロービング点を使った試験については,測定した形状誤差Fの範囲として,球の形状誤差測定
については時間遅れ変動誤差ESPH,TD,Fを算出し,測定したFの最大値としてESPH,TD,F,MAXを報告する。
注記5 6.6.3で試験した三次元プロービング誤差PFTU,3Dは,ESPH,TD,F,MAXを含む。
――――― [JIS B 6190-10 pdf 30] ―――――
次のページ PDF 31
JIS B 6190-10:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 230-10:2016(IDT)
JIS B 6190-10:2018の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 6190-10:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB6190-1:2016
- 工作機械試験方法通則―第1部:幾何精度試験
- JISB6190-2:2016
- 工作機械試験方法通則―第2部:数値制御による位置決め精度試験
- JISB6190-3:2014
- 工作機械試験方法通則―第3部:熱変形試験
- JISB7440-5:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第5部:シングル及びマルチスタイラス測定