この規格ページの目次
28
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
表3−球の測定に対する時間遅れ変動試験のためのX,Y及びZ軸のオフセット
測定回数 基準位置の座標に対する公称中心座標
mm
X Y Z
1 0.000 0.300 −0.150
2 0.260 −0.150 −0.150
3 −0.260 −0.150 −0.150
4 0.193 0.230 0.000
5 0.103 −0.282 0.000
6 −0.295 0.052 0.000
7 0.295 0.052 0.150
8 0.103 −0.282 0.150
9 −0.193 0.230 0.150
注記 この表における公称中心位置は,XY平面内で40°間隔に半径
0.3 mmの円形が配置されたパターンを表す。このパターンは,
XY平面内で120°間隔でZ軸高さの異なる3グループからなる。
6.10 形体寸法の測定性能試験
6.10.1 一般
通常のプロービングシステムは,二つの(平らで平行な)表面間(例えば,ウエブ,溝,段差)の距離,
円の直径(例えば,穴,ボス)及び球の直径を測定することができる。この測定結果は,小さくて,限ら
れた工作機械の加工空間におけるプロービングシステムの性能を試験するために,60 mm未満の寸法にな
るように意図して選択した基準器の校正寸法と比較する。この比較は,限られた寸法測定のトレーサビリ
ティを提供する。ただし,寸法が異なる工作物形体の寸法測定のトレーサビリティを推定するために外挿
しないのが望ましい。
注記1 二つの平らで平行な表面間の距離の測定並びに円及び球の直径の測定は,プロービングシス
テムのパラメータ設定で決定した実効スタイラスチップ直径の影響を強く受ける。
注記2 工作機械の測定空間内の異なる位置で行った測定は,結果に差が生じることがある。
6.10.2 ウエブ寸法の測定性能試験,EWEB,X,EWEB,Y,RWEB,X及びRWEB,Y
6.10.2.1 一般
相対している表面上の2点でプロービングしてウエブ又はポケットの寸法を測定することは,(厳密に
は)プロービングした2点間の距離を決定するだけの極めて単純な操作である。
6.10.2.2 試験の準備及び手順
a) 長さ寸法が約50 mmのブロックゲージを工作機械の測定空間内に配置し,MCSのYZ平面にその基準
平面を平行に合わせる。
b) プロービングシステムの組込みサイクルを用いてブロックゲージの長さSXを10回測定し,記録する。
c) CSのZX平面にブロックゲージの基準平面を平行に合わせる。
d) プロービングシステムの組込みサイクルを用いてブロックゲージの長さSYを10回測定し,記録する。
6.10.2.3 結果の解析
記録したSX値とブロックゲージの校正長さとの差の平均値としてX軸に平行なウエブ寸法の測定誤差
EWEB,Xを算出する。
記録したSX値の範囲としてX軸に平行なウエブ寸法測定の繰返し性RWEB,Xを算出する。
記録したSY値とブロックゲージの校正長さとの差の平均値としてY軸に平行なウエブ寸法の測定誤差
――――― [JIS B 6190-10 pdf 31] ―――――
29
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
EWEB,Yを算出する。
記録したSY値の範囲としてY軸に平行なウエブ寸法測定の繰返し性RWEB,Yを算出する。
6.10.3 円直径の測定性能試験,ECIR,D及びRCIR,D(ECIRcle, Diameter及びRCIRcle, Diameter)
6.10.3.1 一般
通常のプロービングシステムは,3又は4点で円を測定することができる。プロービングした表面に存
在する(可能性のある)汚れが中心位置及び直径の測定に強く影響を及ぼすことから,円を3点で測定す
る方法は,適切ではない。
この試験を実施するために選択する点数は,製造業者の説明書に従って行わなければならない。ただし,
用途を考慮しなければならない。
6.10.3.2 試験の準備及び手順
a) 穴径約25 mmの基準リングを取り付け,リング穴の軸が機械のZ軸と平行になるようにMCSに合わ
せる。
b) 基準リング穴の中心座標を1回測定する。測定した基準リングの中心にWCSデータム点を設定する。
c) 選択した点数で基準リングをプロービングしてリング直径Dを10回測定し,記録する。
6.10.3.3 結果の解析
記録したD値と基準リングの直径の校正値との差の平均値として円直径の測定誤差ECIR, Dを算出する。
記録したD値の範囲として円直径の測定の繰返し性RCIR,Dを算出する。
6.10.4 球径の測定性能試験,ESPH,D及びRSPH,D(ESPHere, Diameter及びRSPHere, Diameter)
6.10.4.1 一般
通常のプロービングシステムは,4又は5点で球を測定することができる。プロービングした表面に存
在する(可能性のある)汚れが中心位置及び直径の測定に強く影響を及ぼすことから,4点で球を測定す
る方法は,適切ではない。
この試験を行うための点数の選択は,製造業者の説明書に従って行わなければならない。ただし,用途
を考慮しなければならない。
6.10.4.2 試験の準備及び手順
a) 直径約25 mmの寸法及び形状が校正された基準球を,工作機械の測定空間内の工作物を代表する位置
に位置決めする。
b) 基準球の中心座標を1回測定する。測定した基準球の中心にWCSデータム点を設定する。
c) 選択した点数で基準球をプロービングして基準球の直径Dを10回測定し,記録する。
6.10.4.3 結果の解析
記録したD値と基準球の直径の校正値との差の平均値として球径の測定誤差ESPH,Dを算出する。
記録したD値の範囲として球径の測定の繰返し性RSPH,Dを算出する。
7 工具のプロービング
7.1 一般
工作機械の中には機械制御の下で,様々な回転工具の長さ及び/又は直径をセットするためのセンサ/
プローブシステムを備えているものがある。そのような工具設定システムは,回転しない幾何学的に精密
な工具(例えば,中実円筒)のX,Y及びZ位置を参照するため,又は破損工具を検出するために使用す
ることが多い。
マシニングセンタでは,工具設定システムは,通常,機械の加工空間の縁近く(又は工具交換装置の近
――――― [JIS B 6190-10 pdf 32] ―――――
30
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
く)に配置し,数N程度のスイッチング力を受けたときのたわみを最小にするために固く取り付ける。
注記 微小径工具の長さ設定に使われる専用工具設定システムは,スイッチング力の大きさを制限し
ている。
工具設定システムの通常のスタイラスは,円筒形又は角柱形(図8参照)をしており,その表面は耐摩
耗性がある。
スタイラスチップの心出しは,MCSに対するスタイラスチップの基準面を調整しながら,製造業者の指
示に従って実行しなければならない。
工具設定システムの操作は,製造業者の指示に厳密に従わなければならない。回転している工具を測定
しているときは,安全に対して一層の注意をしなければならない。
1 基準工具
2 円筒形スタイラスチップ
3 角柱形スタイラスチップ
----- 工作機械の動き
a) 円筒形をした工具設定システム b) 角柱形をした工具設定システム
図8−基準工具を用いた工具設定システムのパラメータ設定サイクルの例
7.2 工具設定システムのパラメータ設定
工具設定システムのパラメータ設定は,自動内蔵サイクルを適用して,通常,切削工具を代表する基準
器(例えば,直径及び長さを校正した中実の円筒形)を使って行う。
− スタイラスチップの実効寸法
− MCSに対するスタイラスチップの位置
製造業者の説明書に記載されているように,工具設定システムのタイラスと主軸の基準面との間の有効
距離の決定には,特に注意しなければならない。
その距離を決定するために,基準工具の長さを別に校正する。この校正は,工具長設定性能を確実にす
るためには不可欠であり,外部の工具設定装置を使ったり,機上で直接測定したりして行う。この直接測
定では,主軸の基準面と基準工具の最も飛び出している部分との間の距離を,変位計を使って,基準とし
てZ軸運動の表示値を読み取って行う。
7.3 工具設定の繰返し性
7.3.1 一般
工具設定システムの中には,主軸を回転させないで工具長を測定できるものと,主軸を回転させた状態
で長さと直径とを測定できるものとがある。
機械の中には,機械の加工空間に工具用のプローブを動かすための手動又はロボットで動かすシステム
を備えているものがある。それぞれの工具測定の後にこれらの機械を試験する場合には,工具プローブを
一度取り除き,再び機械の加工空間にもってくるのが望ましい。
――――― [JIS B 6190-10 pdf 33] ―――――
31
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
適切にパラメータ設定された工具設定システムの通常の用途は,相対測定になるため繰返し性試験だけ
について規定する。
7.3.2 回転させないで設定する工具長設定の繰返し性,RSET,L,N(RSETting,Length,Not-rotating)
7.3.2.1 一般
回転させないで行う回転工具の工具長設定は,通常,ドリル又はスタイラス直径よりも小さな直径の工
具に対して行い,最も長い刃を検出する。
工具長測定システムによっては,主軸のオリエンテーション機能を使って,最も飛び出している刃長を
検出し,大きな直径の回転工具の工具長設定を行うことができるものもある(製造業者の説明書を参照)。
7.3.2.2 試験の準備及び手順
必要なオフセット(適用できる場合は)をプログラミングして,センサ又はプローブの上方に主軸を位
置決めする(図9参照)。
L 工具長
o 主軸軸線オフセット
図9−回転させないで設定する工具長設定の繰返し性の測定
製造業者の提供するサイクルを使って工具長Lを10回測定し,記録する。主軸は回転してはならない。
記録したL値の範囲として工具長設定の繰返し性RSET,L,Nを算出する。
7.3.3 回転させて設定する工具長設定の繰返し性,RSET,L,R(RSETting,Length,Rotating)
回転させて試験する工具の工具長測定は,ドリル又はボールエンドミルについては,プローブ又はセン
サと接触する工具の先端の接線速度を非常に遅くして行い,また,回転速度及び送り速度を制限する他の
種類の工具については,製造業者の説明書に厳密に適合するようにして行う(図10参照)。
工具の回転は,通常の切削回転と反対でなければならない。
安全上の注意−工具の回転を伴う測定は安全性の問題に関係する。関係する安全規格に注意をするのが望
ましい。
製造業者の提供するサイクルを使って工具長Lを10回測定し,記録する。
記録したL値の範囲として工具長設定の繰返し性RSET,L,Rを算出する。
――――― [JIS B 6190-10 pdf 34] ―――――
32
B 6190-10 : 2018 (ISO 230-10 : 2016)
L 工具長
o 主軸軸線オフセット
図10−回転させて設定する工具長設定の繰返し性の測定
7.3.4 工具径設定の繰返し性,RSET,D,R(RSETting,Diameter,Rotating)
工具の回転は,通常の切削とは逆の回転にしなければならない。測定は,製造業者の説明書に従って行
わなければならない(図11参照)。
安全上の注意−工具の回転を伴う測定は安全性の問題に関係する。関係する安全規格に注意をするのが望
ましい。
L 工具長
r 工具半径
図11−回転させて設定する工具径設定の繰返し性の測定
工具設定システムの中には,工具の半径及び刃数に合わせるために主軸回転速度と測定する送り速度と
を自動的に制御しないものがある。安全問題に関わることから一層の注意が必要で,その上に次のa) c)
も考慮しなければならない。
a) 最高接線速度は,製造業者が決めなければならない。過度の接線速度は,プローブ又はセンサの性能
を劣化させる。
b) 所定の工具半径に対する主軸速度は,自動的に上記a)に適合(又はプログラム)しなければならない。
c) 測定送り速度は,自動的に適合(又は注意して選択)しなければならない。それは,プローブ又はセ
ンサとの予想された接触点,アプローチ距離及び送り速度に関しては,工具の回転非同期角度位置が
大きな測定不確かさを発生させるからである。
所定の最高接線速度Sは,式(2)及び式(3)を用いて算出しなければならない。
n=S/(2π・r・0.001) (2)
――――― [JIS B 6190-10 pdf 35] ―――――
次のページ PDF 36
JIS B 6190-10:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 230-10:2016(IDT)
JIS B 6190-10:2018の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 6190-10:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB6190-1:2016
- 工作機械試験方法通則―第1部:幾何精度試験
- JISB6190-2:2016
- 工作機械試験方法通則―第2部:数値制御による位置決め精度試験
- JISB6190-3:2014
- 工作機械試験方法通則―第3部:熱変形試験
- JISB7440-5:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第5部:シングル及びマルチスタイラス測定