JIS B 7440-2:2013 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第2部:長さ測定 | ページ 5

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
附属書B
(規定)
校正された検査用の長さを実現するアーティファクト
B.1 一般
経済的な利用可能性及び実現性のために,アーティファクトが同じ測定量(校正された検査用の長さ)
を作るように調整されている場合に,座標測定機を検査する際に,種々のタイプのアーティファクトの使
用を許可することがこの規格の目的である。
この規格の手順に従って測定される校正された検査用の長さは,座標測定機の3種類の誤差を検出する
ように設計されている。
1) 検査用の長さの二つの端点の間での座標測定機に付随する幾何学誤差及び温度誤差
2) スタイラスチップ径誤差
3) 校正された検査用の長さのそれぞれの端での単一プロービング点によって評価される繰返し誤差
B.2及びB.3は,校正された検査用の長さとして使用できる通常のアーティファクトについて規定して
いる。
特に大きな座標測定機を検査する場合には,これらのアーティファクトが利用できなかったり,十分な
長さがなかったりすることがある。この場合には,受渡当事者間の合意によって,校正された検査用の長
さを作るために,他の手段を用いることができる。
これらは,より長いアーティファクトを形成するためにつなぎ合わされた長さ標準又はレーザ干渉測長
器に基づく他の形式の校正された検査用の長さを含む。後者の場合には,接触プロービングがないことに
付随する問題が説明されていなければならない(B.3参照)。全ての場合に,手順を文書化し,これらの技
術に付随する不確かさを慎重に考慮しなければならない。
空気の屈折率に関して補正されたレーザ干渉測長器の熱膨張係数は,ゼロとなる(α=0)。したがって,
それが校正された検査用の長さを作るために使われる場合には,それは,低熱膨張係数材料と考えられ,
6.3.3.3の要求事項に従う。さらに,レーザ干渉測長器が測定物(材料)の温度センサーを備えている場合
には,レーザ干渉測長器の測定ソフトウェアにおいて,測定物の熱膨張係数をゼロに設定しなければなら
ない。レーザ干渉測長器を温度補正機能をもった座標測定機で使う場合は,座標測定機のソフトウェアに
おいて測定物の熱膨張係数をゼロに設定しなければならない。
レーザ干渉測長器を,校正された検査用の長さを作るために使用するとき,座標測定機は,測定物表面
へのプロービングなしに,呼び座標値によって指定される点に位置決めできなければならない。この場合,
座標測定機は指定された位置に正確に到達しないことがある。座標測定機が実際の位置を報告している限
り,これは必ずしも指示誤差を生じることにはならない。結論として,それぞれの検査用の長さに関して,
座標測定機によって報告された点Aと点Bとの座標間の空間距離を評価し,レーザ干渉測長器の指示した
距離と比較しなければならない。誤差の計算のために使用する座標測定機の座標は,プロービングプロセ
スの間に考えられる全ての補正を含むことを保証しなければならない。
ステップゲージ,マルチボールバー,ボールプレート及びレーザ干渉測長器のように,“ゼロ点”に対し
て相対的に多くの長さを生成することができるアーティファクトがある。例えば,ステップゲージは,“A”
から“B”への長さ,“A”から“C”への長さというように長さを測定することができる。また,レーザ
干渉測長器は,最初の位置から一連の位置までの変位(それぞれ異なる長さ)を測定することができる。

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
ブロックゲージとの等価性を保つために,参照位置,すなわち,“ゼロ点”は校正された検査用の長さが作
られるたびに,再測定しなければならない。すなわち,“A”から“B”までの長さ及び“A”から“C”ま
での長さは,それぞれ新しく測定されたそれ自身の“A”をもたなければならない。同様に,レーザ干渉
測長器の場合,初期位置は,校正された検査用の長さを作るために使われるそれぞれの変位に関して再測
定しなければならない。
B.2 双方向測定
B.2.1 一般
校正されたゲージの双方向測定が校正された検査用の長さを実現する。双方向測定は,ゲージのそれぞ
れの端で1点をプロービングすることと,これらのプロービング点に正反対の方向からアプローチするこ
とを含む(図B.1参照)。内側及び外側の双方向測定は測定線上で混在してはならない。可能な双方向測定
の方法の幾つかを次に示す。
a) ブロックゲージ b) ステップゲージ c) ボールバー d) レーザ干渉測長器
(端点から端点への測定)
PD : プロービング方向
1 : 位置1
2 : 位置2
図B.1−それぞれの方向で1点をそれぞれプロービングする双方向測定の例
B.2.2 ブロックゲージ
校正されたブロックゲージを2点法で測定することによって,校正された検査用の長さを作ることがで
きる。ブロックゲージの校正された位置でプロービングすることが望ましい。方向調整手順については,
附属書Cを参照。
B.2.3 双方向法で測定するステップゲージ
校正されたステップゲージを双方向2点法(図B.1参照)で測定することによって,校正された検査用
の長さを作ることができる。方向調整手順については,附属書Cを参照。
B.2.4 双方向法で測定するボールバー及びボールプレート
ボールバー及びボールプレートを使って,それぞれの球の校正直径の半分の値を校正された球の中心間
の長さに加えた値に等しい校正された検査用の長さを作ることができる。ゲージは双方向2点法で(ブロ
ックゲージと同様に)測定する。方向調整手順については,附属書Cを参照。
B.2.5 双方向法で測定する接触プロービングをもつレーザ干渉測長器
レーザ干渉測長器とブロックゲージとを使って,校正された検査用の長さを作ることができる。校正さ
れた検査用の長さは,ブロックゲージの校正長さと校正されたレーザ干渉測長器とによって記録された変
位の合計である。ブロックゲージは,初期位置で1点で測定する。次の位置で,ブロックゲージの反対側
の面を1点で測定する(図B.1参照)。

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
B.3 単一方向測定(双方向測定によって補足しなければならない)
B.3.1 一般
この規格の目的において,単一方向測定とは,双方向測定でない全ての測定のことである。その測定は,
単一方向で測定されるステップゲージ,ボールプレート及びボールバーの球の中心間距離及びある種のレ
ーザ干渉測長器を含む(図B.2参照)。
この規格の検査の目的のための校正された検査用の長さを作るために,単一方向測定は,双方向測定と
組み合わせる必要がある。校正された単一方向長さと双方向2点法で測定した校正された双方向長さ(通
常は短いブロックゲージ)の算術和を使って,校正された検査用の長さを作ることができる。
a) ステップゲージ b) ボールバー(上面図) : c) ボールプレート(上面図) : 一
一つの球につき,5点の目標点 つの球につき,5点の目標点
は位置を示している。 は位置を示している。
d) 単一方向の接触式プロービング e) レーザ干渉測長器でラム位置
をした位置をレーザ干渉測長器 を直接測定する場合
で測定する場合
PD : プロービング方向 1 : 位置1
RMD : ラムの移動方向 2 : 位置2
図B.2−単一方向測定の例
B.3.2 単一方向測定と短いブロックゲージの測定とから合成した校正された検査用の長さ
検査対象のそれぞれの測定線(E0検査に関して7本の測定線,E150検査に関して4本の可能な線のうち
から2本の線がある。)に関して,校正された短いブロックゲージ(特に指定がない場合は,通常25 mm)
をB.2.2に規定するように双方向法で測定する。
ブロックゲージは,測定線の方向に向けなければならない。すなわち,ブロックゲージの軸は検査対象
の測定線とほぼ同じ方向になければならない。ブロックゲージの位置は,検査対象の測定線にできるだけ
近くしなければならない。しかし,固定を簡単にするために,ブロックゲージを座標測定機の定盤の表面
の近くに設置してもよい。
例えば,検査中の測定線が座標測定機の空間対角である場合,ブロックゲージは空間対角の方向に向け
なければならない。しかし,対角線の下で,定盤の表面近くに固定してもよい。
短いブロックゲージは計3回測定し,指示誤差は測定順に記録しなければならない。特別なE150検査の
場合には,同じ測定線を,正反対を向いたプローブ姿勢で測定するとき,3回の短いブロックゲージの測
定は,一つのプローブ姿勢で測定した後,反対のプローブ姿勢で測定しなければならない。

――――― [JIS B 7440-2 pdf 23] ―――――

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
測定線について,5種類の長さのそれぞれに関して,校正された単一方向長さを3回ずつ測定し,測定
順に指示誤差を記録する。単一方向長さの特別な場合の詳細をB.3.3に示す。
測定線について,5種類の校正された検査用の長さの指示誤差を作るために,3回の単一方向指示誤差の
それぞれに,測定順に対応する双方向指示誤差を(通常の算術的な方法で)加える。これは,測定線につ
き,計15回の単一方向測定と3回の短いブロックゲージの双方向測定を含む。
注記1 検査結果は,短いブロックゲージの位置の影響を受ける。例えば,ブロックゲージを座標測
定機の定盤の近くに置くことは,ラムが一杯に伸びている場合には座標測定機の挙動のため
に検査における座標測定機の性能が変化することがある。座標測定機の性能の表現は,測定
線の中央に短いブロックゲージを置くことで近似される。しかし,短いブロックゲージの安
定した固定が困難となる問題を生じることがある。検査者は,以上のことを考慮することが
望ましい。
短いブロックゲージに代わる代替方法は,校正された直径(指定のない場合は,通常25 mm)の小さな
球を次に示すように双方向法で測定することである。2点は測定線に対して平行な球の直径の反対の点に
位置しなければならない。他の2点は,球中心を通り,測定線に直交する平面と球の交線上に位置し,90
度離れていなければならない。この方法で測定した直径は,短いブロックゲージの双方向測定に相当する。
この代替方法は,受渡当事者間の合意に基づいて用いることができる。協定しない場合は,短いブロッ
クゲージを使わなければならない。
注記2 球の形状及び直径の不確かさによって,測定結果の不確かさが大きくなることに注意する。
B.3.3 単一方向測定用のアーティファクト
B.3.3.1 単一方向法で測定するステップゲージ
ステップゲージの単一方向測定は,ゲージ表面を(同じ目標接触点で)3回の離散点で測定し,座標値
は,平均化しなければならない。
長さは,座標値の平均値を使って決定する。測定は,単一方向法(図B.2参照)で行わなければならな
い。方向調整手順については,附属書Cを参照。
短いブロックゲージの誤差と合成するとき,検査結果を双方向2点法の場合の結果と等価とするために,
単一方向ステップゲージのゲージ表面での3回の平均が必要である。
B.3.3.2 単一方向法で測定するボールプレート及びボールバー
ボールプレート及びボールバーのような球面のゲージ表面をもつアーティファクトの単一方向測定は五
つのプロービング点でそれぞれの球を測定し,最小二乗当てはめによってそれぞれの球の中心を計算し,
それらの中心間距離から決定する。
点のサンプリング戦略を,図B.2に示す。
B.3.3.3 単一方向法で測定する接触プロービングをもつレーザ干渉測長器
単一方向測定は,校正されたレーザ干渉測長器とゲージ表面とを使って作ることができる。ゲージ表面
の形状は,平面又は球面である。
測定は,座標測定機によって接触プロービングされるゲージ表面の変位をレーザ干渉測長器によって測
定することを含む。ゲージ表面は,一般的に,レトロリフレクタを取り付けた往復台及び滑り移動台と一
緒に動く。
ゲージ表面が球面である場合には,球の中心位置は,B.3.3.2に規定するように5点で測定しなければな
らない。ゲージ表面が平面である場合には,平面は,それぞれの位置で3点でプロービングし,B.3.3.1に
規定するように座標値は,平均化する。最初と最後の位置の両方で,プロービング方向は同じである

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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
(図B.2参照)。
B.3.3.4 単一方向法で測定する接触プロービングのないレーザ干渉測長器
特に大きな座標測定機の場合などには,プロービングシステムをレトロリフレクタに置き換え,レーザ
干渉測長器を使って座標測定機の変位を測定すると便利な場合がある。
レーザ干渉測長器によるそれぞれの変位測定は,単一方向測定であるとみなせる(図B.2参照)。
接触プロービングなしに使われるレーザ干渉測長器で検査する座標測定機に関しては,干渉測定は,座
標測定機の幾何誤差を適切に補償できないかもしれない。結果的に,これは接触プロービングの場合に生
じる指示誤差よりも大きな指示誤差を生じる。そのような場合,接触プロービングを含む校正された検査
用の長さが採用されることが望ましく,誤差の補償を活性化する外部トリガーが問題を多少とも解決する
ことがある。

――――― [JIS B 7440-2 pdf 25] ―――――

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  • ISO 10360-2:2009(IDT)

JIS B 7440-2:2013の国際規格 ICS 分類一覧

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