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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
附属書C
(参考)
標準器の方向調整
C.1 一般
座標測定機で測定した長さを,検査用の長さの校正値と比較するために,検査用の長さの方向は,適切
に調整する必要がある。検査用の長さの校正証明書に方向調整要領の指示が記載されている場合は,長さ
測定に先立って,その指示に従う。校正証明書に方向調整要領の指示が記載されていない場合は,製造業
者が方向調整手順を決定する。
C.2 平行平面ゲージ
平行平面ゲージには,次の方向調整手順が有用である。
ゲージの測定面の一つを,多点でプロービングする。その後(最小二乗当てはめ)基準平面を計算する。
その平面に垂直な方向が,基準(ゲージの軸)方向である。例えば,ブロックゲージの両測定面では,ゲ
ージ測定面の各々について,ゲージを校正したときの測定点にできるだけ近い位置で,各1点を測定する。
この2点間長さを算出する。次に,基準(ゲージの軸)方向にこの長さを投影する。投影された長さをゲ
ージの校正値と比較する。
ゲージ表面の大きさと比較して非常に長い幾つかのゲージ(例えば,校正された検査用の長さがゲージ
表面の大きさの10倍大きい)では,ゲージの測定に使用しない側面上の点を測定することによって基準方
向を設定してもよい。例えば,ブロックゲージの長い2面上の測定点で,基準(ゲージの軸)方向を設定
することができる。また,校正証明書に方向調整手順が指示されていなければ,この方向調整方法は,ス
テップゲージにも適用するのがよい。
それぞれのゲージ表面で測定された単一点は,参照方向に投影された2点間長さを構成するために使用
する。投影された長さを,ゲージの校正値と比較する。
C.3 ボールプレート及びボールバー
双方向法で測定する場合の,ボールプレート及びボールバーを方向調整する一つの方法は,プローブ接
近方向をゲージの軸(すなわち,球の中心点を結ぶ線)に合わせることである。ゲージの軸は,2個の球
の中心点と中心点とを結ぶ軸線として定義する。方向調整が難しいため,この方式の校正された検査用の
長さは,プローブの近接動作がコンピュータ制御される座標測定機だけに使用するものとする。
双方向法で測定する場合の,ボールプレート及びボールバーの方向調整のもう一つの方法は,それぞれ
の球を4点で測定することである。1点は球の表面上で,ゲージの軸と交差する点(すなわち,終端点),
及び他の3点は,球の中心点を通り,ゲージの軸と直交する平面上で,90度ごとの球の表面上の位置(す
なわち,赤道面上の点)に設定する。これらの3点は,ボールプレート/ボールバーの方向調整に役立つ
(図C.1を参照)。
いずれの場合も,ボールプレート及びボールバーの双方向測定は,校正された中心間距離と,各球の校
正された直径の半分とを加算した校正された検査用の長さを定義する。
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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
図C.1−ボールバーの双方向測定に用いる4点/球のプロービング配置
単一方向法(球中心点から球中心点)で測定したボールプレート及びボールバーは,各球についてそれ
ぞれ幾何学的に唯一の中心点があるので,特別な方向調整方法を通常は必要としない。
ボールプレート及びボールバーを使用するとき,測定中のプロービング点配置を,図B.2に示すプロー
ビング点配置と同様にしなければならない。このプロービング配置が,ゲージの校正証明書に記載された
プロービング点配置と異なる場合は,不確かさを加えなければならない。これが達成できない場合は,図
B.2のプロービング点配置を使用する。
双方向測定用ボールバーの測定では,コンピュータ制御の座標測定機だけを使用するのがよい。通常,
双方向測定を実施する前に,2個の球を測定することによってゲージの軸を最初に決定するアーティファ
クトの方向調整手順に従うものとする。
ある種の多球のボールバーの場合は,全ての球に共通の測定軸は存在しない。2個の隣接している球中
心点間距離だけが校正されている場合がある。隣接しない2個の球間の距離は,基準値は空間的な距離の
合計とみなされる。間に介在する球の幾何学的配置によって,それに関連して追加される測定不確かさを
考慮に入れるのがよい(図C.2を参照)。
図C.2−多球ボールバーの球間距離の評価
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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
附属書D
(規定)
低熱膨張係数をもつアーティファクトの補正計算
D.1 一般
幾つかの状況で,熱膨張を考慮する補正計算は,座標測定機の検査を容易にするために有利である。
ここで,鋼製の部品を測定するのに,測定物の熱膨張を考慮する方法のない鋼製の大形の座標測定機を
使用することを想定する。そのような大形の座標測定機は,長い校正された検査用の長さが必要であり,
“ノーマルCTE”をもつアーティファクトを使用する場合は,検査用の長さ全長にわたって熱的に平衡し
ていることが重要である。不均衡な温度環境による影響を低減するために,低熱膨張係数のアーティファ
クトを使用してもよい。
しかし,低熱膨張係数のアーティファクトの測定長さには,“ノーマルCTE”をもつ座標測定機との間
の補正されない熱膨張による大きな差異が生じ得る。したがって,鋼の測定物を測定する場合には,鋼製
座標測定機の熱膨張と相殺されて,誤差の要因とならない大きな寸法測定誤差(例えば,E0の値)が観察
されることになる。その結果,低熱膨張係数アーティファクトの校正長さに,温度補正を行い,それが鋼
であるかのように扱うと有利な場合がある。
そのような温度補正を組み込むには,校正された温度計を用いて,個々の検査(E0及びE150)の最初に
低熱膨張係数アーティファクトの温度を1回測定する必要がある。この温度は,既知の熱膨張係数,α=11.5
×10−6/℃の鋼製アーティファクトと等価な“等価寸法”を計算するために用いる。この温度補正は,低熱
膨張係数アーティファクトの校正値を,測定された温度における,11.5×10−6/℃の熱膨張係数の“等価な
寸法”のように変更する効果がある。上記の例では,この手順の利点は,鋼製の座標測定機で,“等価な鋼”
のアーティファクトを測定して,その結果,熱膨張による誤差の影響を受けないことになる。
注記 D.2の要求事項に従って,低熱膨張係数のアーティファクトへの温度補正は,測定者が実施す
る。この温度補正は,アーティファクトの再校正と等価であり,6.3.4及び6.5.3で規定した座
標測定機の測定結果の手動による計算修正の禁止に違反しない。
D.2 要求事項
受入検査又は定期検査のために温度補正手順を実施するとき,幾つかの問題がある。
− 温度補正計算は,測定物の熱膨張補正機能を保有していない座標測定機にだけ許される。
− 温度補正計算は,熱膨張係数が2×10−6/℃以下のアーティファクトにだけ許される。
− 全ての測定の前にアーティファクトの実際の熱膨張係数は,その校正証明書に記載されていなければ
ならない。
− 温度補正は,厳密に11.5×10−6/℃の熱膨張係数とするのがよく,それ以外の熱膨張係数を使用しては
ならない。
− 温度補正計算は,E0検査のために1回だけ,またE150検査のために(新たな温度測定で)1回だけ実
施することができる。その都度,温度測定はそれぞれの検査の開始前に行う。
− 低熱膨張係数のアーティファクトの温度は,校正された温度計で測定し,座標測定機に附属するいか
なる温度測定システムも使用しない。
− この温度補正は,6.3.3.3に規定するように,低熱膨張係数をもつアーティファクトを用いることを条
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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
件とし,6.3.3.3に規定する異なる寸法での追加の試験を実施する。
− 温度補正のための温度測定は,環境温度と平衡に至った“ノーマルCTE”をもつ鋼製ブロックゲージ
の表面,又は熱的に鋼製ブロックゲージと等価な鋼試験片で行う。
− 温度補正手順を実施する場合,検査用の長さの熱膨張係数及び温度補正に用いた熱膨張係数の両方を,
検査結果のデータシートに,例えば,“検査用の長さの熱膨張係数は,0.5×10−6/℃であり,数学的に
11.5×10−6/℃に補正する。”のように明示する。
注記 低熱膨張係数のアーティファクトを使用するとき,校正された検査用の長さの温度勾配の影響
は大幅に低減される。しかし,通常のアーティファクト(例えば,鋼製)を用いる場合は,こ
れらの影響は,長さ測定誤差として現れることがある。
――――― [JIS B 7440-2 pdf 29] ―――――
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B 7440-2 : 2013 (ISO 10360-2 : 2009)
附属書E
(参考)
GPSマトリックス
E.1 一般
GPSマトリックスモデルの詳細な記述は,ISO/TR 14638を参照する。
E.2 規格及びその利用についての情報
この規格は,直線長さ測定における座標測定機の性能が製造業者の仕様に適合するかを検証する受入検
査法について規定している。また,この規格は,座標測定機の性能が使用者の仕様に適合するかを検証す
る定期検査についても規定している。
E.3 GPSマトリックスモデルにおける位置付け
この規格は,図E.1に示すようにGPS基本規格マトリックスのうち,サイズ,距離,半径,角度,形状,
姿勢,位置,振れ及びデータムの規格チェーンのリンク番号5に関係する。
E.4 関連規格
関連規格は,図E.1に示す規格チェーンに含まれる規格である。
GPS GPS共通規格
原理 GPS基本規格マトリックス
規格 リンク番号 1 2 3 4 5 6
サイズ ×
距離 ×
半径 ×
角度 ×
データムに無関係な線の形状 ×
データムに関係する線の形状 ×
データムに無関係な面の形状 ×
データムに関係する面の形状 ×
姿勢 ×
位置 ×
円周振れ ×
全振れ ×
データム ×
粗さ曲線
うねり曲線
断面曲線
表面欠陥
エッジ
図E.1−GPSマトリックスモデル内の位置
――――― [JIS B 7440-2 pdf 30] ―――――
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JIS B 7440-2:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10360-2:2009(IDT)
JIS B 7440-2:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.040 : 線及び角度の測定 > 17.040.30 : 測定機器
JIS B 7440-2:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0641-1:2020
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品及び測定装置の測定による検査―第1部:仕様に対する合否判定基準
- JISB0672-1:2002
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―形体―第1部:一般用語及び定義
- JISB7440-1:2003
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第1部:用語
- JISB7440-5:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第5部:シングル及びマルチスタイラス測定