JIS B 7440-5:2013 製品の幾何特性仕様(GPS)―座標測定機(CMM)の受入検査及び定期検査―第5部:シングル及びマルチスタイラス測定 | ページ 3

                                                                                              9
B 7440-5 : 2013 (ISO 10360-5 : 2010)
固定マルチプロービングシステムにおいては,次のとおり。
− マルチスタイラス形状誤差PFTNは,最大許容マルチスタイラス形状誤差PFTN, MPEを超えてはならない。
− マルチスタイラス寸法誤差PSTNは,最大許容マルチスタイラス寸法誤差PSTN, MPEを超えてはならない。
− マルチスタイラス位置誤差PLTNは,最大許容マルチスタイラス位置限界PLTN, MPLを超えてはならない。
推測によるプロービングシステムのパラメータ設定を行う回転式プロービングシステムにおいては,次
のとおり。
− マルチスタイラス形状誤差PFTIは,最大許容マルチスタイラス形状誤差PFTI, MPEを超えてはならない。
− マルチスタイラス寸法誤差PSTIは,最大許容マルチスタイラス寸法誤差PSTI, MPEを超えてはならない。
− マルチスタイラス位置誤差PLTIは,最大許容マルチスタイラス位置限界PLTI, MPLを超えてはならない。
実測によるプロービングシステムのパラメータ設定を行う回転式プロービングシステムにおいては,次
のとおり。
− マルチスタイラス形状誤差PFTEは,最大許容マルチスタイラス形状誤差PFTE, MPEを超えてはならない。
− マルチスタイラス寸法誤差PSTEは,最大許容マルチスタイラス寸法誤差PSTE, MPEを超えてはならない。
− マルチスタイラス位置誤差PLTEは,最大許容マルチスタイラス位置限界PLTE, MPLを超えてはならない。
最大許容マルチスタイラス形状誤差PFTj, MPE,最大許容マルチスタイラス寸法誤差PSTj, MPE,及び最大許
容マルチスタイラス位置限界PLTj, MPLは,受入検査においては製造業者が指定し,定期検査においては使
用者が指定する。
誤差及び値,並びにそれらに対応する最大許容誤差及び最大許容限界は,マイクロメートル単位で表記
する。
注記 マルチスタイラスプロービングの性能は,形状に関係する誤差(PFTj),寸法に関係する誤差
(PSTj),及び位置に関係する値(PLTj)に大まかに分類できる。これらの異なる組合せは,異
なる計測タスクに対する不確かさにとって重要である。例えば,形状及び寸法の測定結果は,
単一の幾何形体の測定において,座標測定機のシステムが複数のスタイラスチップの実効直径
を扱うことができるかの情報を含み得る。附属書Cを参照。
回転システムについては,推定若しくは実測によるか,又はいずれか一方の(パラメータ設定)方法だ
けが要求される。

5.4 マルチスタイラスプロービング構成

  規定された最大許容誤差及び最大許容限界が適用されるプロービングシステム構成(スタイラス,スタ
イラスエキステンション,スタイラスシステムの質量など)に関する仕様限界は,受入検査の場合は製造
業者が,定期検査の場合は使用者が指定する。
いずれの場合も使用者は,仕様限界の範囲でプロービングシステムの構成要素,及び必要に応じて6.3
又は6.4の要求事項を自由に選択してもよい(5.5参照)。
製造業者は,使用可能と認めるスタイラスのリストを提示することによって,単一の幾何形体の測定に
おいて異なる呼び直径をもつスタイラスの使用を排除してもよい。
注記1 ここにおけるプロービングシステム構成の仕様限界は5.2のそれとは異なる。
注記2 複数の角度位置で使用する回転式プロービングシステムは,たとえそれがシングルスタイラ
スであっても,マルチスタイラスプロービングシステムとみなす。

5.5 スタイラス

  箇条6で規定する検査に用いるスタイラスは,その座標測定機に用いることを座標測定機の製造業者が
認めたものでなければならない。すなわち,同じ材質で作られており,同じスタイラスシャフトの直径及

――――― [JIS B 7440-5 pdf 11] ―――――

10
B 7440-5 : 2013 (ISO 10360-5 : 2010)
び呼び長さ,並びに同じスタイラスチップの品質をもたなければならない。しかし,検査手順に用いるも
のと厳密に同じスタイラス長さを使用することはできないことから,6 mm又は10 %のいずれか大きい方
だけ呼び長さから異なるものを用いてもよい。

5.6 環境条件

  測定に影響を与える設置場所の温度条件,湿度及び振動のような環境条件の最大許容限界は,受入検査
の場合には製造業者が指定し,定期検査の場合には使用者が指定する。
いずれの場合にも,使用者は,この規格の検査を環境条件が製造業者のデータシート(ISO
10360-1/Corrigendum 1参照)に明記されたとおりの範囲内で実施してもよい。
使用者は,座標測定機の設置環境が,製造業者の提供したデータシートに明記された環境に適合してい
ることに責任をもつ。
環境が仕様に適合しない場合,使用者は,この規格の最大許容誤差及び最大許容限界の検証を要求する
ことはできない。

5.7 操作条件

  箇条6で規定する検査においては,製造業者の提供した手順書に従って座標測定機を操作しなければな
らない。製造業者の手順書に関連する具体的な部分は,次の事項である。
a) 測定機の起動及び暖機時間
b) スタイラスシステム構成及び組立
c) スタイラスチップ,検査用標準球,及び校正球の清掃手順
d) プロービングシステムのパラメータ設定
e) 製造業者からの指定がある場合の操作手順書に記載された校正球の位置
測定又は検査結果に影響を与える可能性のある,表面の残留皮膜を除去するために,全てのスタイラス
チップ,校正球,及び検査用標準球は,プロービングシステムのパラメータ設定の前に清掃しなければな
らない。
注記 プロービングシステムのパラメータ設定及び検査の際に,プロービングシステムの熱平衡をほ
ぼ達成していることが極めて重要である。

6 受入検査及び定期検査

6.1 一般

  この箇条では,製造業者の仕様及び手順に従って実施する受入検査並びに使用者の仕様及び手順に従い
実施する定期検査について規定する。

6.2 シングルスタイラスプローブ構成

6.2.1  適用
6.2は,シングルスタイラスプローブ構成並びに固定マルチプローブ,固定マルチスタイラス,及び回転
式プロービングシステムをもつ座標測定機に適用する。マルチプローブの一つ,マルチスタイラスの一つ,
又は回転式プローブの一姿勢には,この検査を適用してもよい。これらの検査の方法は,6.2.4.1を参照す
る。
6.2.2 評価原理
評価の原理は,シングルスタイラスを用いて,検査用標準球を25点プロービングを行うことで測定し,
プロービングシステムの形状誤差を算出することである。形状誤差の算出のため,25点に対する最小二乗
球当てはめを行う。この解析は,シングルスタイラス形状誤差PFTUを算出する。

――――― [JIS B 7440-5 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
B 7440-5 : 2013 (ISO 10360-5 : 2010)
これらの検査結果は,スタイラス長さに大きく依存するため,一連のスタイラス長さについて試みる(図
1参照)。座標測定機の製造業者が,そのプロービングシステム(5.2参照)に使用可能であると規定した
長さについてだけ検査しなければならない。
MPE(PFTU)
シングルスタイラス長さ lU
lU=20 mm
lU=30 mm
lU=50 mm
lU=100 mm
図1−シングルスタイラス構成の仕様書の例
6.2.3 測定器具
検査用標準球は,呼び直径が10 mm以上50 mm以下でなければならない。検査用標準球は,形状を校
正したものでなければならない。附属書B(6.3.3参照)に記載された検査を実施する場合は,検査用標準
球は,直径を校正したものでなければならない。検査用標準球の形状誤差は,PFTU, MPEの20 %を超えない
ことが望ましい。座標測定機のプロービングシステムのパラメータ設定のための校正球は,検査用標準球
として用いてはならない。
6.2.4 手順
6.2.4.1 スタイラス長さは,使用者が20 mm,30 mm,50 mm,及び100 mmの中から選択しなければな
らない(図1参照)。使用可能なスタイラスシステムとして製造業者が指定するスタイラス長さのうち一
つだけを使用者が選択し,検査する。特に指定がない場合,スタイラス部品は,座標測定機のプロービン
グシステムへの使用が許されたものでなければならない(5.2参照)。スタイラス長さの許容限界について
は,5.5参照。
スタイラス姿勢は,特に指定がない場合,ラム軸に対して平行にしなければならない。
スタイラスの姿勢変化は,検査結果に大きく影響するおそれがある。
デュアルラム座標測定機の場合,それぞれのラムに対して単一動作モード検査及び,両方のラムによる
複合動作モード検査の,二つの独立した検査を実施することが望ましい(JIS B 7440-2参照)。
6.2.4.2 製造業者が指定する通常の操作手順に従って,プロービングシステムの設定及びパラメータ設定
をする(5.2,5.5及び5.7参照)。
6.2.4.3 検査用標準球の位置は,測定領域内で使用者が設定しなければならない。プロービングシステム
と校正球との干渉を防ぐため,検査中に校正球をテーブルからはずしてもよい。検査用標準球は,たわみ
による誤差を最小とするため,しっかりと固定することが望ましい。
6.2.4.4 検査用標準球を25点測定し,記録する。測定点は,検査用標準球の表面を少なくとも半球をカ
バーする範囲において,十分に均等に分布しなければならない。目標点配置は,使用者が自由に決めるこ
とができる。特に指定がない場合には,次の目標点配置が望ましい(図2参照)。
− スタイラスシャフトの方向によって決まる極の1点

――――― [JIS B 7440-5 pdf 13] ―――――

12
B 7440-5 : 2013 (ISO 10360-5 : 2010)
− 極の下22.5度の等間隔の4点
− 極の下45度であり,前記のグループに対して22.5度回転した等間隔の8点
− 極の下67.5度であり,前記のグループに対して22.5度回転した等間隔の4点
− 極の下90度であり(すなわち,赤道上),前記のグループに対して22.5度回転した等間隔の8点

図2−プロービング目標点
6.2.5 検査結果の導出
6.2.5.1 25点の全ての測定点から最小二乗球当てはめを行う。
6.2.5.2 25個の測定点のそれぞれに対して,最小二乗球の中心からの距離Rを計算する。最小二乗球の中
心からの距離Rの範囲,すなわち,見かけの球形状誤差であるRmax−Rminを記録する。この差の絶対値は,
シングルスタイラス形状誤差PFTUである。
注記 この検査をJIS B 7440-2の検査に先立って行うときは,附属書Bも参照する。

6.3 固定マルチプローブシステム及び固定マルチスタイラスプロービングシステム

6.3.1  評価原理
評価の原理は,5種類の異なった固定スタイラスを用いて,検査用標準球の形状,寸法及び位置を測定
することである。それぞれのスタイラスが検査用標準球上の25点をプロービングする。したがって,全部
で5本のスタイラスでは,合計125点をプロービングする。スタイラス交換システム又はプローブ交換シ
ステムを座標測定機の製造業者が供給している場合は,それぞれのスタイラスを使用する前に各1回,合
計5回の交換をしなければならない。それぞれのスタイラスで得た25点のグループに対して最小二乗球当

――――― [JIS B 7440-5 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
B 7440-5 : 2013 (ISO 10360-5 : 2010)
てはめを行う。すなわち,全部で5個の球に対して当てはめを行う。
当てはめを行った5個の中心座標(X,Y及びZ)の範囲を計算する。これら三つの範囲の最大のもの
が固定マルチスタイラス位置誤差(PLTM又はPLTN)である。さらに,125点全てを用いて最小二乗球に当
てはめ,形状誤差及び寸法誤差を調べる。この解析によって,マルチスタイラス寸法誤差(PSTM又はPSTN)
及びマルチスタイラス形状誤差(PFTM又はPFTN)を得る。
マルチスタイラスシステムを使用した場合,これらの検査の結果は,スタイラスシステムに大きく依存
するため,一連のスタイラス長さについて試みる(図3及び図5参照)。座標測定機の製造業者が,その
スタイラスシステムに使用可能であると指定した長さについてだけ検査しなければならない。
マルチプローブシステムを使用した場合,これらの検査の結果は,プローブチップオフセット長さに大
きく依存するため,一連のプローブチップオフセット長さについて試みる(図4参照)。座標測定機の製
造業者が,そのプロービングシステムに使用可能であると指定したプローブチップオフセット長さについ
てだけ検査しなければならない。
固定マルチスタイラスプロービン MPE(PFTM) MPE(PSTM) MPL(PLTM)
グシステムスタイラス長さ l
l=10 mm
l=20 mm
l=30 mm
l=50 mm
l=100 mm
l=200 mm
l=400 mm
図3−固定マルチスタイラスプロービングシステムの仕様書の例
固定マルチプローブチップ MPE(PFTN) MPE(PSTN) MPL(PLTN)
オフセット長さ lO
lO=50 mm
lO=100 mm
lO=200 mm
lO=400 mm
図4−固定マルチプローブシステムの仕様書の例
図3及び図4において,座標測定機に使用可能なスタイラス長さ又はチップオフセット長さについてだ
け,最大許容誤差及び最大許容限界を記入することが望ましい。使用不可能なものについては,空欄のま

――――― [JIS B 7440-5 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS B 7440-5:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10360-5:2010(IDT)

JIS B 7440-5:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 7440-5:2013の関連規格と引用規格一覧