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ならない。
6.4.4 装置の構成
気体圧力による装置の構成例を,図2に示す。6.4.2に規定する気体の入ったボンベを圧力源として使用
する。また,圧力源の圧力が校正に必要な圧力とならない場合は,圧縮機を装置内に導入する。標準器及
び被校正器に印加する圧力は,圧力調整器,圧力調整バルブ及び開放バルブで制御する。高圧気体を扱う
設備は,安全が確認されたものを使用する。
図2−気体圧力による校正の装置例
6.4.5 校正の準備
校正の準備は,JIS B 7547-1の6.6(校正の準備)によるほか,a) d) による。
a) 配管及び使用する装置内から液体を全て除去する。
b) 配管及び使用する装置に対し,それらの使用最大圧力を超える圧力が印加されることを防ぐため,装
置内に圧力逃し弁などを設置することが望ましい。ただし,被校正器と標準器との間には配置しない。
c) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合には,使用前に液槽に液体を充する。
d) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合には,ピストンとシリンダとの隙間から滴下
した(溜)まった液体を排出する。
6.4.6 測定
測定は,JIS B 7547-1の6.8(測定)によるほか,次による。
a) 圧力調整の際に,急激な加圧及び減圧は行わない。特に,液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器とし
て用いる場合は,急激な減圧を行うと,液槽内の液体が配管内に飛散するおそれがあるため,注意す
る。
b) 圧力調整を行った後は,気体の断熱変化によって温度が変化している可能性があるため,圧力媒体の
温度が安定するまで待ち時間を設ける(参考文献[3]を参照)。
c) 液体潤滑型重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合は,圧力調整後にピストン降下速度が測定に
適した値になっていることを確認してから測定を行う。
――――― [JIS B 7547-2 pdf 6] ―――――
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6.4.7 記録
記録は,JIS B 7547-1の6.9(記録)による。
6.4.8 校正値の算出
校正結果の算出は,JIS B 7547-1の6.10(校正値の算出)による。
6.4.9 不確かさ評価
不確かさ評価は,JIS B 7547-1の箇条7(校正の不確かさ評価)による。
6.5 液体圧力を気体圧力に変換する校正方法
6.5.1 一般
標準器に液体を用い,被校正器に気体を用いる場合の校正方法について規定する。液体圧力を気体圧力
に変換するために圧力媒体変換装置を利用する場合と差圧計を利用する場合がある。
6.5.2 使用する圧力媒体の選択
使用する圧力媒体は,a) 及びb) の要件を満たさなければならない。
a) 標準器で用いる液体は,JIS B 7547-1の4.1.11(圧力媒体)のb)(液体)による。
b) 被校正器で用いる気体は,JIS B 7547-1の4.1.11(圧力媒体)のa)(気体)による。
6.5.3 標準器
標準器は,JIS B 7547-1の6.2.2(標準器の要件)によるほか,液体を用いて校正を受けていなければな
らない。
6.5.4 装置の構成
圧力媒体変換装置を利用する場合の装置構成例を図3に,差圧計を利用する場合の装置校正例を図4に
示す。標準器と被校正器との間に,圧力媒体変換装置又は差圧計を設置する。6.5.2に規定する圧力媒体を
圧力源として使用する。また,被校正器側における圧力源の圧力が校正に必要な圧力とならない場合は,
圧縮機を装置内に導入する。標準器及び被校正器に印加する圧力は,それぞれの圧力媒体に適した圧力調
整器などで制御する。被校正器側の高圧気体を扱う設備は,安全が確認されたものを使用する。
図3−圧力媒体変換装置(液体−気体)を利用した校正の装置例
――――― [JIS B 7547-2 pdf 7] ―――――
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図4−差圧計を利用した校正の装置例
6.5.5 校正の準備
校正の準備は,JIS B 7547-1の6.6(校正の準備)によるほか,次による。
a) 圧力媒体変換装置を利用する場合
1) 圧力媒体変換装置の内部において,下側から液体が,上側から気体が供給されるように,二つの接
続口を標準器側及び被校正器側にそれぞれ適切に配置する。
2) 圧力媒体変換装置に圧力媒体を入れる際は,まず,被校正器側の圧力を大気開放しておき,液体を
目標とする界面の高さまで導入する。その後,圧力媒体変換装置内の残りの空間に被校正器側で使
用する気体を満たす。
3) 圧力媒体変換装置が一方の圧力媒体で完全に満たされて逆側の配管まで侵入することがないように
注意する。圧力媒体変換装置の標準器側の配管に遮断バルブを設け,圧力媒体の導入時及び加圧·
減圧時にこの遮断バルブを閉めることによって,圧力媒体の混入を防ぐことが望ましい。
4) 被校正器のゼロ点測定のための圧力開放口は,被校正器側の配管に設置する。
5) 圧力媒体変換装置内の,気体と液体との界面の高さを測定する。
b) 差圧計を利用する場合
1) 差圧計を利用し,液体圧力と気体圧力とが均圧になる状態を実現して校正を行う場合,差圧計のゼ
ロ点が圧力(ライン圧力)に依存することがあるため,事前に評価する。ゼロ点のライン圧力依存
性の評価は,差圧計を校正システムに設置する前に行う。差圧計の二つの圧力接続口に接続した配
管を導通させ,二つの圧力室に等しい圧力を印加したときの差圧計の出力値からライン圧力依存性
を評価する[JIS B 7547-1の5.3.4(ライン圧力による影響)も参照。]。
2) 差圧計の出力値を用い,液体圧力と気体圧力との差を補正して校正を行う場合,使用する差圧計の
ゼロ点のライン圧力依存性及びスパンのライン圧力依存性,並びに出力値の直線性について事前に
評価をしておく。
3) 二つの圧力室の大きさが異なる場合,大きい圧力室に液体による圧力を,小さい圧力室に気体によ
る圧力を印加することが望ましい。
――――― [JIS B 7547-2 pdf 8] ―――――
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4) 差圧計に液体を入れる際は,内部に気泡が残らないように注意する。二つの圧力室が上下に配置さ
れている場合は,内部の気泡を除去しやすくするため,上側の圧力室に液体を入れることが望まし
い。
6.5.6 測定
校正作業は,JIS B 7547-1の6.8(測定)によるほか,次による。
a) 圧力媒体変換装置を利用する場合
1) 圧力調整の際には,二つの圧力媒体の界面の位置をあらかじめ設定した範囲内に保つように,液体
及び気体の両方をそれぞれの圧力調整器を用いて加圧する。圧力媒体変換装置と標準器との間に遮
断バルブを設置している場合は,遮断バルブを閉じた状態で標準器側及び被校正器側の圧力をそれ
ぞれ調整し,両者が目的の圧力に到達した後で遮断バルブを開く。
2) 圧力調整の際は,急激な加圧及び減圧は行わない。特に,圧力媒体変換装置内の液体が気体用配管
内に飛散するため,急激な減圧は行わない。
3) 液体と気体との界面では気体の一部が圧力に応じて液体に溶け込み,測定システム全体の圧力が安
定するまでに通常よりも長い時間がかかることがあるため,圧力調整を行った後,圧力が安定する
まで待ち時間をおいてから測定を行う。
4) 標準器として重錘形圧力天びんを用いる場合は,ピストン降下速度が測定に適した値になっている
ことを確認してから測定を行う。
b) 差圧計を利用する場合
1) 圧力調整の際には,差圧計に過大な差圧がかからないように,液体及び気体の両方をそれぞれの圧
力調整器を用いて加圧する。差圧計の特性変化を避けるため,加圧及び減圧の際,可能な限り同じ
側を高く保つように操作を行う。液体圧力の側を高く保つことが望ましく,加圧時は先に標準器側
の圧力を上昇させ,減圧時は先に被校正器側を減圧する。
2) 測定を開始する前に,標準器側及び被校正器側の開放バルブを大気に開放し,差圧計のゼロ点を調
整しておく。
3) 差圧計内部の圧力室が数立方センチメートルなどと小さい場合は,特に気体の温度変化に伴う圧力
変化が大きいため,圧力が安定するまで待ち時間をおいてから測定を行う。
4) 差圧計の出力値を用いて液体圧力と気体圧力との差を補正して校正を行う場合,補正する圧力差は,
目標とする不確かさに対して無視できる値とする。一般的には1/10以下が望ましい。
6.5.7 記録
記録は,JIS B 7547-1の6.9(記録)によるほか,次による。
a) 圧力媒体変換装置を利用する場合は,圧力媒体変換装置内の液体と気体との界面の高さを記録する。
b) 差圧計を利用する場合は,差圧計の受圧面の高さを記録する。
6.5.8 校正値の算出
校正結果の算出は,JIS B 7547-1の6.10(校正値の算出)による。ただし,ヘッド差の補正値について
は,圧力媒体変換装置を利用する場合はA.1を,差圧計を利用する場合はA.2を用いる。
6.5.9 不確かさ評価
不確かさ評価は,JIS B 7547-1の箇条7(校正の不確かさ評価)によるほか,次による。
a) 圧力媒体変換装置を利用する場合 ヘッド差補正の不確かさを,A.1によって求める。
b) 差圧計を利用する場合 差圧計を利用する場合は,1)5) の不確かさを評価する。
1) ヘッド差補正の不確かさ ヘッド差補正の不確かさを,A.2によって求める。
――――― [JIS B 7547-2 pdf 9] ―――――
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2) ライン圧力依存性に起因する不確かさ JIS B 7547-1の7.2.9(ライン圧力による不確かさupl)によ
って求める。
3) 差圧計の分解能に起因する不確かさ JIS B 7547-1の7.2.5(読取り分解能又は表示安定性による不
確かさud)によって求める。
4) 均圧状態と判断する圧力範囲に起因する不確かさ 均圧状態を実現して校正を行う場合,均圧状態
と判断する圧力範囲に起因する不確かさは,次の式によって求める。
δpe
upe
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ここに, δpe : 均圧状態と判断する圧力範囲の幅
5) 差圧計の直線性に起因する不確かさ 差圧計の出力値によって補正を行う場合,差圧計の直線性に
起因する不確かさは,次の式によって求める。
ldpc
upc
3
ここに, ld : 差圧計の出力値の直線性
δpc : 補正する圧力差
6.6 液体圧力による校正方法(1種類の液体を用いる場合)
6.6.1 一般
標準器及び被校正器の両方で液体を用いて校正を行い,校正後に被校正器内の液体を除去する方法を規
定する。
6.6.2 使用する液体の選択
使用する液体は,被校正器の種類及び構造,並びに校正後の使用方法に応じて選択し,JIS B 7547-1の
4.1.11(圧力媒体)によるほか,次の要件を満たさなければならない。
a) 校正環境下で高い揮発性をもつ。液体の常温での蒸気圧が絶対圧力1 kPa以上であることが望ましい。
b) 使用する液体及び校正後の除去方法については,受渡当事者間で合意を得る。
6.6.3 標準器
標準器は,JIS B 7547-1の6.2.2(標準器の要件)によるほか,次の要件を満たさなければならない。
a) 重錘形圧力天びんを標準器として用いる場合
1) 校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合には,液体の粘性の違いなどによって,動作感度,
ピストン降下速度,自由回転時間などが異なる場合があるため,使用する媒体においてそれらの特
性が評価されている。
2) 校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合は,ピストン·シリンダの有効断面積への影響が
評価されている。その影響量が大きい場合には補正を行う。
b) その他の圧力計を標準器として用いる場合
1) 校正を受けたときと異なる圧力媒体を用いる場合は,元の液体を完全に除去し,液体が混合しない
ようにする。
2) 圧力計の感圧部の形状及び姿勢によっては,液体の密度の違いによって校正値が異なる場合がある
ため,校正を受けたときと異なる液体を用いる場合は,校正値への影響量が評価されている。その
影響量が大きい場合には補正を行う[JIS B 7547-1の7.2.2(印加した圧力の不確かさus)b) 参照]。
6.6.4 装置の構成
液体圧力用の装置は,図2に示した各機器及びバルブを液体用に変更する。圧力源(気体),圧縮機,及
――――― [JIS B 7547-2 pdf 10] ―――――
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JIS B 7547-2:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.100 : 力,重さ及び圧力の測定
JIS B 7547-2:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7547-1:2020
- 圧力計の特性試験方法及び校正方法―第1部:一般用
- JISB7610:2012
- 重錘形圧力天びん
- JISZ8103:2019
- 計測用語