JIS B 8008-10:2006 往復動内燃機関―排気排出物測定―第10部:圧縮点火機関の過渡状態における排気煙濃度の現地測定での試験サイクル及び試験方法 | ページ 7

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B.5.1 全般 ここでは,負荷加速試験の試験結果の解析方法を規定する。この試験で使用する不透過率メ
ータの多くは,本体の10.2に示すアルゴリズムに基づき,X=0.5秒のベッセル平均排気煙濃度を出力する。
これらの不透過率メータに対しては,本体の10.2.2の式(11)に用いる(tp2+te2)の値を0.25とし,X=1.0秒の
排気煙濃度を求める信号処理が必要である。0.5秒のベッセルアルゴリズムによらない,信号処理前の排気
煙濃度を解析するには,不透過率メータの(tp2+te2)の値を用いる。
B.5.2 ピーク排気煙濃度,PSV B.4.3の手順を3回繰り返し,個々の加速で得られた1秒平均排気煙濃度
の最大値(PSV)を求める。解析する排気煙濃度データが,負荷が増加する期間に確実に対応するよう注意す
る(本体の10.1.1参照)。PSVaは,負荷が増加する期間に得られた,1秒ベッセル平均排気煙濃度の最大
値3個の平均とする。
ベッセル平均値の計算方法は,本体の10.2に示されている。ピーク排気煙濃度のための,式(11)でのX
の値は1秒とする。
B.6 結果報告 3回の試験から得られたピーク排気煙濃度PSV1,PSV2,PSV3,並びにこれらの平均値PSVa
を排気煙濃度として報告する。3回の試験時間(負荷増加時間)も報告する。附属書B図1及び附属書B
図2のa) d)の時間はB.4.3.4.1及びB.4.3.5.1を参照する。

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附属書C(規定)試験サイクルF機関の試験方法
C.1 全般 試験サイクルF機関は,主にけん(牽)引車用などに用いられ,車輪のスリップを避けるため
回転/負荷調整レバーに対する機関の応答がオフロード機関(C1)のそれほどは速くないので,機関の慣性
モーメント(無負荷)を加速する試験は適当でない。これらの機関では,加速時には回転/負荷調整レバ
ーは急速ではなく,時間ベースの負荷増加率で操作する。これらの機関は,JIS B 8008-4の試験サイクルF
に対応する。
機関の管理又は制御システムの異なるセッティングをもつ機関は,それらを代表する機関において排気
煙濃度が最も高い場合を試験することで,一つのエンジンファミリ又はエンジングループに含めることが
できる。
試験は,通常,定置式の装置及び計測器を備えた試験台に機関を設置して実施する。しかし,可能な場
合には,定置式試験装置[例えば,負荷バンク(load bank system)]において,機関搭載状態のままで発生
出力を吸収することができる。
C.2 適用範囲 この附属書に示す排気煙試験サイクルは,JIS B 8008-4のFサイクルに該当する機関に適
用する。
この附属書は,定格出力1 500 kWまでの機関に適用できる。
C.3 用語及び定義 この附属書の用語の定義は,次による。
C.3.1 過渡負荷試験(test under transient load) 負荷時の加速モード及び定格速度で最大負荷のモードから
なる試験方法によって機関を運転する手順。
C.3.2 負荷加速時間(acceleration time under load) 機関をアイドル回転速度から定格回転速度まで加速す
るのに要する時間。加速中,機関の負荷は,機関出力が加速負荷曲線に合うように制御される。
備考 負荷加速時間は,機関の管理又は制御システムによって制御される。
C.3.3 加速負荷曲線(acceleration load curve) 使用中の実負荷曲線を代表し,ほぼトルクが回転速度の二乗
にほぼ比例する水動力計固有の負荷曲線。
備考 試験を発電機で行う場合には,トルクが回転速度の二乗に比例する関係を用いるものとする。
C.3.4 ピーク排気煙濃度PSVa(peak smoke value) 過渡負荷試験の加速モードで得られた1秒ベッセル平
均排気煙濃度の最大値(PSV)3個の平均値。
C.4 試験方法
C.4.1 全般 機関は,実用している機関の管理又は制御システムで試験する。
C.4.2 機関の準備運転 製造業者の推奨に従って,機関の状態を安定させるために定格出力で暖機運転を
行う。
備考 この準備運転段階は,現在の測定が以前の試験の影響を受けないようにするとともに,安定的
な状態を作り出すとみなせる。
C.4.3 過渡負荷試験

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C.4.3.1 全般 過渡負荷試験は,C.4.2に示す機関の準備運転に引き続き速やかに行うものとする。過渡負
荷試験では,機関をローアイドルから負荷をかけて加速する。定格回転速度における負荷曲線の終点は機
関の定格出力とする。
C.4.3.2 過渡負荷時における加速時間 この試験における加速時間は,実用している機関の管理又は制御シ
ステムによって制御され,したがって,実際の使用状態での機関の運転条件に適応するものである。過渡
負荷時の機関の排気煙濃度は,加速時間が減少すると増加するため,エンジンファミリ又はエンジングル
ープ内で異なる加速時間をもつ機関の承認は,最も加速時間の短い機関を代表機関として試験することに
よって可能となる。
C.4.3.3 過渡負荷試験の施行
C.4.3.3.1 全般 過渡負荷試験は,試験結果の再現性を改善するために,予行サイクルから試験を始める。
予行サイクル後に,3回の負荷加速サイクルを行う。負荷加速サイクルに続いて,最大負荷回転速度で安
定運転を行う。その手順を,C.4.3.3.2及びC.4.3.3.3に示す(附属書C図1参照)。
C.4.3.3.2 予行サイクル
a) 機関は,負荷/回転速度調整レバーを最も低い位置(ローアイドル回転速度)に保持し,最も低く安
定に運転できる負荷で40秒±5秒間運転する。
b) ローアイドル回転速度から負荷/回転速度調整レバーを,最大負荷/回転速度の位置に急速に動かし,
機関の管理又は制御システムで許容される時間内でその定格回転速度の95 %に到達するまで機関を
加速する。
c) 機関が定格回転速度の95 %に達してから20秒以内に,最大定格負荷/回転速度で機関が整定するよ
う動力計に必要な負荷をかける。
備考 整定時間内にオーバーシュートが起こることがある。
d) 定格回転速度及び定格最大出力で60秒±5秒間運転する。
e) 機関の負荷を下げ,負荷/回転速度調整レバーをローアイドルの位置に戻す。
C.4.3.3.3 試験方法 3回連続して矛盾のない測定結果が得られるまでC.4.3.3.2のa) e)を繰り返す。
C.4.3.4 試験の妥当性判定基準−過渡負荷試験 試験の結果は,次に示す試験サイクル判定基準に適合した
場合において有効である。
3回の連続した過渡負荷試験における,最大1秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値と最小値との差は,
不透過率5 %を超えてはならない。
試験の妥当性判定基準には,このほかに本体の5.1.2及び7.3.4の規定がある。
C.5 結果の解析
C.5.1 一般 ここでは,過渡負荷試験の試験結果の解析方法を規定する。この試験で使用する不透過率メ
ータの多くは,本体の10.2に示すアルゴリズムに基づき,X=0.5秒のベッセル平均排気煙濃度を出力する。
これらの不透過率メータに対しては,本体の10.2.2の式(11)に用いる(tp2+te2)の値を0.25とし,X=1.0秒の
排気煙濃度を求める信号処理が必要である。0.5秒のベッセルアルゴリズムによらない,信号処理前の排気
煙濃度を解析するには,不透過率メータの(tp2+te2)の値を用いる。
C.5.2 ピーク排気煙濃度,PSVa C.4.3.3.2を3回繰り返し,その期間に得られた1秒平均排気煙濃度の最
大値を求める。解析する排気煙濃度データが,負荷が増加する期間に確実に対応するよう注意する(本体
の10.1.1参照)。PSVaは,負荷が増加する期間に得られた,1秒ベッセル平均排気煙濃度の最大値(PSV)3
個の平均とする。

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ベッセル平均値の計算方法は,本体の10.2に示されている。ピーク排気煙濃度のための,式(11)でのX
の値は1.0秒とする。
C.6 結果報告 3回の試験から得られたピーク排気煙濃度PSV1,PSV2,及びPSV3,並びにこれらの平均
値PSVaを排気煙濃度として報告する。3回の試験時間(負荷増加時間)も報告する。
c) 20
d) 60±5
定格回転速度




速 e) 機関の管理又は制御システム
度 による時間
b) 機関の管理又は制御
システムによる時間
a) 40+5
ローアイドル
時間(秒)
アイドル位置
全開位置
アイドル位置へ復帰
備考 a) e)についてはC.4.3.3.2を参照
附属書C図 1 過渡負荷試験

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附属書D(参考)加速試験方法に関する注意事項
この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな
い。
JIS B 8008-9の試験方法は,特に,機関の認証又は型式認定を含む,規制値に対する機関の台上測定を
目的としている。JIS B 8008-9の試験はエンジンファミリの“ペアレントエンジン”で実施し,その試験
結果を規制値と比較する。これに対し,この規格は,市場での機関の排気煙濃度が新しい機関に対する規
制値を相当に超えるような“高排気煙濃度機関”を確認する方法として用いる。
しかし,認証又は型式認定時に得られた排気煙濃度に照らして,特定の機関が異常であることを検知で
きる識別性のより高い試験を,規制が望んでいることは知られている。概念的には,使用過程での加速時
間での排気煙濃度と,認証又は型式認定に定められた加速時間での排気煙濃度(実際又は補間値)との比
較をすることで,異常を検出することが可能である。例えば,認証又は型式認定試験時の無負荷加速時間
が1秒の場合,排気煙濃度は無負荷加速時間の3倍,6倍,9倍,すなわち1,3,6,9秒で決定する。も
し使用過程での加速時間が4秒であれば,認定時の無負荷加速時間の3倍及び6倍の排気煙濃度を直線補
間した4秒での値がこの試験の認証又は型式認定時の排気煙濃度となる。ただし,この方法で認証又は型
式認定時の排気煙濃度を活用するためには,排気煙濃度のばらつきを考慮する必要がある。
考慮すべき機関のばらつきには2種類あり,一つは定格出力のばらつき,もう一つは同一定格出力での
機関のばらつきである。エンジンファミリの中には複数の機関定格出力があり,排気煙濃度は,定格出力
ごとに多少変化する。したがって,ある定格出力での試験結果が,他の定格出力での試験結果と正確に一
致することは難しい。第二に,生産のばらつきによって,同一定格出力の機関でも排気煙濃度は異なる。
使用過程での検査プログラムでJIS B 8008-9の結果を活用するためには,統計的に有効なJIS B 8008-9の
結果のサンプルが必要である。使用過程での機関の良否を判断するためには,ファミリの各定格出力及び
同一定格出力の異なる機関のばらつきを把握する必要がある。これがないと,使用過程の検査プログラム
の信用性は低下する。このプログラムは,特定の認証試験用機関によって,排気煙濃度が高いが正常な生
産公差内にある機関が不合格とならないように設定されなければならない。
最後に,測定のばらつきも考慮しなければならない。この規格の条件での測定は,JIS B 8008-9の台上
での測定に比べ,正確さに欠けることを注意しなければならない。したがって,認証又は型式認定のため
に決められた規制値は,使用過程の検査プログラムには低すぎる場合もある。もし,台上と使用過程との
排気煙濃度規制値に差があって,その補正が必要な場合は,その適正値を決めるために追加試験データが
必要となる。
また,例えば,13シリンダ機関のように,一つの排気管につながるシリンダ数が少ない機関では,測
定が困難になると予想される。この原因は,測定手順,測定精度及び測定変動に対する排気圧力及び排気
流量の変動の影響による。
附属書A,附属書B及び附属書Cに示す制限事項は尊重しなければならない。附属書に示す制限事項を
外れて機関の排気煙濃度試験を行うには,別の試験方法又は測定手順が必要になることがある。通常の大
きさを外れた場合の計器精度の検証作業は進行中である。これは,この規格の将来の改正版で考慮する。
附属書A,附属書B及び附属書Cに示す試験方法は,現地(すなわち,機械に搭載された機関)で運転

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JIS B 8008-10:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 8178-10:2002(MOD)

JIS B 8008-10:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8008-10:2006の関連規格と引用規格一覧