JIS B 8032-4:2015 内燃機関―小径ピストンリング―第4部:一般仕様 | ページ 3

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B 8032-4 : 2015
− テーパフェースリング
− 非対称バレルフェースリング
− 外周下面エッジを縮小したリング
− インターナルベベル又はインターナルステップリング
− セミインレイドリング
− スクレーパリング
− ハーフキーストンリング
− 方向性のあるオイルコントロールリング
このようなマークを必要とする全てのリングは,該当するJISの共通諸元で規定する。

6.3 付加的マーク

  ピストンリングの付加的マークは,任意選択又は使用者の要求による。このような付加的マークは,次
のものを含んでいてもよい。
− 製造業者マーク
− リング形状マーク
− 材質マーク(特別な材料の場合)
− 受渡当事者間の協定によるその他の付加的マーク

7 一般共通特性事項

7.1 リング形状

  リングには,オーバリティの度合いを指定できる。これは,レクタンギュラリング(JIS B 8032-6及び
JIS B 8032-7),スクレーパリング(JIS B 8032-8),キーストン及びハーフキーストンリング(JIS B 8032-9,
JIS B 8032-10,JIS B 8032-14及びJIS B 8032-15)に適用する。オーバリティの形態は,次による。
− 正のオーバリティ 標準でありコードなし
− 真円 コードZ
− 負のオーバリティ コードY
オーバリティの値は,表3による。
表3−オーバリティ
単位 mm
呼び径 正のオーバリティ 真円a) 負のオーバリティb)
d1 コードZ コードY
30≦d1< 60 0+0.60 −0.30+0.30 −0.600
60≦d1<100 +0.05+0.85 −0.35+0.35 −0.700
100≦d1<150 +0.10+1.10 −0.45+0.45 −0.95−0.05
150≦d1≦200 +0.15+1.35 −0.50+0.50 −1.10−0.10
注a) コーティング付きテーパフェース及びコーティングなしでラッピング仕上げ面を
もつリングに対しては,真円のリング形状が望ましい。
b) IS B 8032-3の材料分類10には適用しない。

7.2 ライトタイトネス

  リングの全外周の90 %以上は,ライトタイトとする。

――――― [JIS B 8032-4 pdf 11] ―――――

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外周面にめっき,溶射コーティング又は表面窒化処理,及び研磨仕上げをしたテーパフェースリングで
は,その全外周の95 %以上はライトタイトとする。
次に示す仕様のリングは,全外周の100 %をライトタイトとする。
− 全外周にわたり機械加工したランドをもつリング
− 全外周にわたり機械加工したランドをもつテーパフェースリング
表面処理(POなど)したリングのライトタイトネスの測定は,一般に表面処理の前に行う。表面処理
の後に測定する場合は,測定ゲージの中でリングを回転させて行う。ネガティブポイントデフレクション
のリングの場合には,合い口付近での漏光は許容できるが,その角度はJIS B 8032-2に規定する角度θの
範囲内でなければならない。

7.3 合い口隙間

  各規格群の寸法表に規定する合い口隙間とは異なる合い口隙間を選択する場合には,表4のコードを適
用し,許容差は各規格群の規定をそのまま用いる。
表4−合い口隙間
単位 mm
コード S005 S010 S015 S020 S025 S030 S035 S040 S045 S050 S055 S060 S070 S080 S090 S100
合い口 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00
隙間
s1

7.4 シングルピースリングの接線張力Ft及び直径張力Fd

    注記 各リング形状の張力は,JIS B 8032-6JIS B 8032-11,JIS B 8032-14及びJIS B 8032-15による。
また,Ft及びFdの定義は,JIS B 8032-2による。
7.4.1 寸法規格群の寸法表におけるFt及びFd値の計算
各種リングの接線張力及び直径張力は,JIS B 8032-6JIS B 8032-11,JIS B 8032-14及びJIS B 8032-15
の寸法表に示す。
接線張力及び直径張力は,次の条件において計算する。
− それぞれのリングタイプの基本形状
− 厚さ(a1)の呼び値及び幅(h1又はh3)の中心値
− 鋳鉄製リングの弾性率 : 100 GN/m2(100 GN/m2=100 000 MPa=100 000 N/mm2)
− スチール製リングの弾性率 : 210 GN/m2
− 呼び径に対する自由合い口隙間の比率[m/(d1−a1)]は,表5による。
表5−呼び径に対する自由合い口隙間の標準比率
呼び径 比率m/(d1−a1)
d1 (mm) 鋳鉄製 スチール製a)
30≦d1< 60 0.15 0.100.14
60≦d1<100
100≦d1<160 0.17−0.000 2 d1 0.11−0.13
160≦d1≦200
注a) /(d1−a1)の変動は,面圧及び厚さに依存する。

――――― [JIS B 8032-4 pdf 12] ―――――

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注記 スチール製レクタンギュラリング(ISO 6622-2)の接線張力及び直径張力の計算は,0.16±0.01
N/mm2の理論面圧を基準としている。スチール製キーストンリング(JIS B 8032-14)並びにハ
ーフキーストンリング(JIS B 8032-15)の接線張力及び直径張力の計算は,レクタンギュラリ
ング(ISO 6622-2)に用いた比率と同じ比率m/(d1−a1)を基準としている。スチール製リングの
比率m/(d1−a1)は,表5に示す鋳鉄製リングの値とは全く異なり,呼び径及び個々の厚さによ
って決まる。この厚さは呼び径の範囲ごとに段階的に設定され,呼び径に対して一定比率では
ない(例えばd1=5761 mmに対して,a1=2.1 mm)。
7.4.2 Ft及びFdの値の補正
7.4.2.1 一般
Ft及びFdの値は,次のa) c) の特性がある場合には,補正する。
a) 次の負荷特性値のいずれか又は組合せがある場合
− 外周面にコーティング
− 内周エッジ面取り
− 外周エッジ面取り
− テーパ
− インターナルステップ又はインターナルベベル
b) 弾性率が100 GN/m2以外の材料の場合
c) 呼び径に対する自由合い口隙間の比率[m/(d1−a1)]が表5と異なる場合
7.4.2.2 共通諸元に対する補正係数
共通諸元に対して必要な補正係数を,JIS B 8032-6JIS B 8032-11,JIS B 8032-14及びJIS B 8032-15の
“張力係数”に示す。
7.4.2.3 材料に対する張力補正係数
JIS B 8032-3に規定する材料に対しては,表6に示す張力補正係数を使用しなければならない。
表6−材料に対する張力補正係数
材料分類 材料に対する張力補正係数
10 0.91.0a)
20 1.11.3a)
30 1.45
40 1.6
50 1.6
注a) 材料に対する張力補正係数は,製造業者の材料規格に規定する
弾性率によって決まる。
補正係数=標準弾性率(GN/m2) /100 (GN/m2)
7.4.2.4 比率m/(d1−a1)に対する張力補正係数
材料分類3050で製造するリングは,比率m/(d1−a1)が標準である場合(表6参照)に,弾性率に関連
して接線張力及び直径張力が増加する。
このような張力の増加を抑制するために,一般的にはm/(d1−a1)の値を減少させる。表7に,標準m/(d1
−a1)比率と減少m/(d1−a1)比率に対する補正係数の推奨値を示す。

――――― [JIS B 8032-4 pdf 13] ―――――

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表7−比率m/(d1−a1)に対する張力補正係数
係数
材料分類 減少m/(d1−a1)
標準m/(d1−a1)
コード : MR
10 1 −
20 1 −
30 1 0.825
40 1 0.75
50 1 0.75
注記 減少m/(d1−a1)の実際の値を計算するためには,表7に記載
した係数を用いる。したがって,表5に示す式から算出し
たm/(d1−a1)は,表7の補正係数で補正する。
7.4.3 接線張力Ft及び直径張力Fdの補正の例
7.4.3.1 第一の例−タイプ : JIS B 8032-6 B-95×2.5-MC53/MR CR2 IW
a) 補正係数
− 1.6 : 材料小分類53
− 0.75 : 減少m/(d1−a1)の比率
− 0.85 : 外周クロムめっき CR2
− 0.78 : インターナルステップIW
b) 計算
全張力補正係数 :
1.6×0.75×0.85×0.78=0.796
JIS B 8032-6によるFt及びFdの基礎値 :
Ft=18.5 N
Fd=39.8 N
補正値 :
Ft'=0.796×18.5 N(±20 %)
=14.7 N(±20 %)
=11.817.6 N
Fd'=0.796×39.8 N(±20 %)
=31.7 N(±20 %)
=25.438 N
7.4.3.2 第二の例−タイプ : JIS B 8032-8 N-70×2 D22-MC24/MO2F
a) 補正係数
− 1.15 : 材料小分類24
− 0.86 : 外周溶射コーティング MO2F(インレイド)
b) 計算
全張力補正係数 :
1.15×0.86=0.989
JIS B 8032-8によるFt及びFdの基礎値 :

――――― [JIS B 8032-4 pdf 14] ―――――

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B 8032-4 : 2015
Ft=9.2 N
Fd=19.8 N
補正値 :
Ft'=0.989×9.2 N(±30 %)
=9.1 N(±30 %)
=6.411.8 N
Fd'=0.989×19.8 N(±30 %)
=19.6 N(±30 %)
=13.725.5 N
7.4.3.3 第三の例−タイプ : JIS B 8032-9 KB-140×4-MC42/MO4 KI
a) 補正係数
− 1.6 : 材料小分類42
− 0.83 : 外周溶射コーティング M04(外周全面)
− 0.96 : 内周面取り KI
b) 計算
全張力補正係数 :
1.6×0.83×0.96=1.275
JIS B 8032-9によるFt及びFdの基礎値 :
Ft=29.3 N
Fd=63 N
補正値 :
Ft'=1.275×29.3 N(±20 %)
=37.4 N(±20 %)
=29.944.9 N
Fd'=1.275×63 N(±20 %)
=80.3 N(±20 %)
=64.296.4 N
7.4.3.4 第四の例−タイプ : JIS B 8032-11 G-120×5-MC11/KI
a) 補正係数
− 0.9 : 材料小分類11
− 0.98 : 内周面取り KI
b) 計算
全張力補正係数 :
0.9×0.98=0.882
JIS B 8032-11によるFt及びFdの基礎値 :
Ft=24.7 N
Fd=53.1 N
補正値 :
Ft'=0.882×24.7 N(±20 %)
=21.8 N(±20 %)

――――― [JIS B 8032-4 pdf 15] ―――――

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JIS B 8032-4:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 6621-4:2003(MOD)

JIS B 8032-4:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8032-4:2015の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB8032-10:2014
内燃機関―小径ピストンリング―第10部:鋳鉄製ハーフキーストンリング
JISB8032-11:1998
内燃機関―小径ピストンリング―第11部:オイルコントロールリング
JISB8032-12:1998
内燃機関―小径ピストンリング―第12部:コイルエキスパンダ付きオイルコントロールリング
JISB8032-13:2018
内燃機関―小径ピストンリング―第13部:スチール組合せオイルコントロールリング
JISB8032-14:2014
内燃機関―小径ピストンリング―第14部:スチール製キーストンリング
JISB8032-15:2014
内燃機関―小径ピストンリング―第15部:スチール製ハーフキーストンリング
JISB8032-16:2014
内燃機関―小径ピストンリング―第16部:コイルエキスパンダ付き鋳鉄製薄幅オイルコントロールリング
JISB8032-2:2016
内燃機関―小径ピストンリング―第2部:測定方法
JISB8032-3:2015
内燃機関―小径ピストンリング―第3部:材料
JISB8032-6:2016
内燃機関―小径ピストンリング―第6部:鋳鉄製レクタンギュラリング
JISB8032-7:2018
内燃機関―小径ピストンリング―第7部:スチール製レクタンギュラリング
JISB8032-8:2018
内燃機関―小径ピストンリング―第8部:鋳鉄製スクレーパリング
JISB8032-9:2018
内燃機関―小径ピストンリング―第9部:鋳鉄製キーストンリング
JISZ2244:2009
ビッカース硬さ試験―試験方法