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当する機能は挙げられていない。
7.2 危険なアシスト力からの保護
危険なアシスト力からユーザを保護するために,ロボットは,次のa)又はb)を満たさなければならない。
a) 8.2に従って評価したロボットの最大アシスト力は,表1の規定を満たさなければならない。
b) ロボットは,オペレータが設定可能なアシスト力の制限機能を備えなければならない。また,使用開
始直後の初期設定におけるアシスト力の最大値は,表1の規定を満たさなければならない。
注記1 b)を適用する場合の本体上の表示への要求事項は,箇条10に規定している。
注記2 オペレータが設定可能なアシスト力の制限機能は,JIS B 8446-2の5.16.1.3のa)及びJIS B
8446-2の5.16.2.3のb)の方策に相当する。この機能を,安全関連制御システムによって実現
してもよい。
注記3 アシスト力を制限する方法には,単純に出力を飽和させるカットオフによる方法,十分に低
いゲインからアシストを開始しオペレータの操作によってゲインを調整する方法,制限の設
定範囲内でアシストを達成するアルゴリズムによる方法などがある。
表1−ロボットの設計に対する最大アシスト力
単位 N・m
ロボットの設計 最大アシスト力
左右の股関節へのアシスト力が均等となる設計の場合 ≦144 a), b)
左右の股関節へのアシスト力が均等とならない設計の場合 ≦(a1+a2)/a1×72 a), c)
注a) IS B 8446-2の表1の,股関節の最大発揮力が72 N・mであることから,股関節当たりの最
大アシスト力が72 N・mを超えない場合は,JIS B 8446-2の5.16.1及びJIS B 8446-2の5.16.2
において,ユーザのグループを定めない場合であっても,本質的安全設計がなされている
とみなせる(JIS B 8446-2の5.16.1.2及びJIS B 8446-2の5.16.2.2,並びにこの規格の附属書
Eを参照)。
b) 股関節へのアシスト力が左右で均等となる場合は,72 N・m×2=144 N・mが基準値となる。
c) 1及びa2は,左右それぞれの股関節への設計上の最大アシスト力を意味している。
ただし,a1>a2とする。
7.3 動力源の喪失又は遮断からの保護
通常使用中のロボットの動力源の喪失又は遮断は,アシスト力の低下又は喪失を引き起こし,アシスト
力によって低減していた分だけユーザの腰部圧縮力を増加させるおそれがある。このリスクが受容できな
い場合は,動力源の喪失又は遮断からユーザを保護するように設計しなければならない。
内部動力源式のロボットの場合は,通常使用中のロボットの動力源の喪失又は遮断のリスクが受容可能
なレベルになるまで,次のa) c)の順に保護方策を適用しなければならない。
a) 動力源交換式のロボットの場合は,動力源が容易に外れない構造1)又はカバー等で覆われるように設
計しなければならない。
b) 動力源交換式のロボットの場合は,動力源とロボット本体との接続部に異物,じんあい(塵埃)など
が入りにくいような設計をしなければならない。
c) 動力源のエネルギー残量を監視し,受容できないアシスト力の低下又は喪失が生じる前に,アラート
によってユーザに通知しなければならない(7.7参照)。
外部動力源式のロボットの場合は,通常使用中のロボットの動力源の喪失又は遮断のリスクが受容可能
なレベルになるまで,次のd)及びe)の順に保護方策を適用しなければならない。
d) 外部動力伝導線は,人体部位の意図しない引っかかり又は周辺構造物による絡み,圧迫などに対して,
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十分な強度をもつか,又は他の方策によって保護するように設計しなければならない。
e) 動力源の性能を監視し,受容できないアシスト力の低下又は喪失が生じる前に,アラートによってユ
ーザに通知しなければならない(7.7参照)。
注記 a) e)は,JIS B 8445の5.3.3及びJIS B 8446-2の5.3.3の一部の要求事項に対応している。
注1) 容易に外れない構造とは,例えば,動力源を手で引き抜くことに耐えられる構造をいう。手で
引き抜く力の目安として,130 Nを用いてもよい。この値は,独立行政法人製品評価技術基盤
機構(NITE)の人間特性計測データベース(Human Characteristics Database)[5]における,手の
引張力に基づいている。
油圧駆動式及び空気圧駆動式のロボットの場合は,動力源が喪失又は遮断した場合に生じる,作動流体
の圧力低下速度を十分に小さくするか,又は動力源の喪失若しくは遮断に応じて,作動流体をアクチュエ
ータ内に残存させる設計を採用することによって,動力源の喪失又は遮断からのユーザの保護を実現して
もよい。ただし,この設計を,制御システム(ソフトウェアを含む。)の機能によって実現する場合は,そ
の制御システムを安全関連部とし,JIS B 9705-1に規定するパフォーマンスレベルPLb以上で実現しなけ
ればならない。
7.4 アクチュエータへの動力供給の遮断からの保護
動力源の喪失又は遮断以外の,通常使用中にアシスト力を発生させる全てのアクチュエータへの動力供
給が同時に遮断される単一の機能不全,誤動作又は故障は,アシスト力の低下又は喪失を引き起こし,ア
シスト力によって低減していた分だけユーザの腰部圧縮力を増加させるおそれがある。製造業者は,この
リスクを受容可能なレベルまで低減しなければならない。
製造業者は,次のa)又はb)を満たすことによって,この要求事項を満たしてもよい。
a) 該当する単一の機能不全,誤動作又は故障の発生確率を低減する方策として,関連する制御システム
(ソフトウェアを含む。)を安全関連部とし,JIS B 9705-1に規定するパフォーマンスレベルPLb以上
で実現する。
b) 該当する単一の機能不全,誤動作又は故障が発生した場合の保護方策として,次の全ての事項を満た
す安全関連部を備える。ただし,最終状態は静止でなくてもよい。
− 該当する単一の機能不全,誤動作又は故障を検出することで作動する。
− アシスト力を発生させる全てのアクチュエータの運動を制動する。
− 最大アシスト力を上回る制動力を,検出から0.2 s以内2) に発生できる。
− 作動中に,ユーザが手動で制動力を解除できるか,又は装着部位の運動若しくは手動で制動力に逆
らって動かせる。
− JIS B 9705-1に規定するパフォーマンスレベルでPLb以上を満たす。
注記1 ロック,摩擦ブレーキ,粘性ブレーキ,発電ブレーキなどを安全関連部としてもよい。
注記2 アシスト力を発生させる全てのアクチュエータへの動力供給が同時に遮断した場合,アシス
ト力によって低減していた分だけユーザの腰部圧縮力が増加することになり,傷害につな
(繋)がる可能性がある。このリスクは,JIS B 9705-1のリスクグラフにおいて,S1(軽傷),
F1(まれ/短時間)及びP2(回避不可能)とみなせるため,安全関連部に要求されるパフォ
ーマンスレベルはPLb以上となる。ユーザの腰部に急な負荷が掛かることによって,ユーザ
の操作する物体(人を含む。)を取り落とす可能性があるが,このリスクは,S1(軽傷),F1
(まれ/短時間)及びP1(回避可能)とみなせるため,安全関連部に要求されるパフォーマ
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ンスレベルはPLa以上となる。そのため,a)及びb)では,PLb以上のパフォーマンスレベル
を要求している。ただし,JIS B 9705-1のリスクグラフにおけるS1(軽傷)及びS2(重傷)
は,それぞれ“通常,回復可能な傷害”及び“通常,回復不可能又は死亡”とされている。
この規格が規定するロボットは低出力装着型身体アシストロボットであることから,アシス
ト力の喪失によって生じる可能性がある腰部の傷害は“通常,回復可能な傷害”と考え,S1
(軽傷)を採用した。この規格の適用範囲外となるが,高出力装着型身体アシストロボット
を腰補助用に適用した場合は,アシスト力の喪失によって生じる可能性のある腰部の傷害の
ひどさとして,S2(重傷)を採用することがより適切とならないか検討する余地がある。
注記3 アシスト力を発生させる全てのアクチュエータへの動力供給が同時に遮断された場合,ユー
ザの腰部にはその直前にアシスト力が担っていた全ての負荷が掛かる。十分早い応答速度で
安全関連部が作動し,その制動力がロボットの最大アシスト力を上回れば,急な負荷の増大
に起因する腰部への負荷を低減できると考えられる。
注記4 b)は,JIS B 8445の5.3.3.2のa)及びJIS B 8446-2の5.3.3.2のd)に対応している。
注2) 0.2 sは,腰部への急な負荷の増加に対して,人が十分な抗力を発揮するまでの応答時間の目安
である。負荷が増加する時刻を0 sとすると,背筋のEMGは約0.1 sで立ち上がり,約0.2 sで
最大となる[6]。これより早く安全関連部が作動することで,急なアシスト力の喪失によってユ
ーザの腰部に生じる危害のリスクを低減できると考えられる。
7.5 バックドライバビリティ
ロボットは,動力源の遮断された非制御時及び制御時において,バックドライバビリティをもたなけれ
ばならない。
適合性は,次の試験によって評価する。
− 非制御時のバックドライバビリティは,ロボットの軸を静止させた状態で,外力として表1の最大ア
シスト力の基準以下のトルクを与え,そのロボットの軸が外力の方向に動くかどうかで評価する。
− 片側の股関節に対応するロボットの軸に対して評価する場合は,外力として72 N・m以下のトルクを
与え,そのロボットの軸が外力の方向に動くかどうかで評価する。
− 制御時のバックドライバビリティは,ロボットの軸を静止させた状態で,ロボットに最大アシスト力
を出力させたときに,外力として最大アシスト力を超えるトルクをロボットの出力と逆方向に与え,
そのロボットの軸が外力の方向に動くかどうかで評価する。
− 片側の股関節に対応するロボットの軸に対して評価する場合は,外力としてその股関節当たりの最大
アシスト力を超えるトルクを与え,そのロボットの軸が外力の方向に動くかどうかで評価する。
注記1 制御時のバックドライバビリティの試験では,ロボットの出力するアシスト力が負の仕事を
している。
注記2 この要求事項は,JIS B 8446-2の5.10.2.3のb),5.10.4.2のb)及び5.10.5.2のb)に対応してい
る。
7.6 環境及び洗浄液に対する耐性
ロボットは,その使用環境に応じて,環境及び洗浄液に対する耐性をもたなければならない。また,ロ
ボットの意図する使用に,表2に規定する特定の用途が含まれる場合は,少なくとも表2に規定する環境
及び洗浄液に対する耐性をもたなければならない。単回使用又は複数回使用のカバーなどを,必要なとき
だけ取り付けることによって,この要求事項を満たしてもよい。
要求される環境に対する耐性への適合性は,JIS C 0920に規定する試験によって評価する。要求される
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洗浄液に対する耐性への適合性は,JIS K 5600-5-11に規定する試験を行い,JIS B 8446-2に規定する表示
の消えがないこと,及び材料のぜい(脆)性が出ないことによって評価する。
注記1 この要求事項は,JIS B 8446-2の5.11及び5.14の一部の要求事項に対応している。
注記2 試験に用いる洗浄液及びその濃度は,意図する使用に応じて選定するのがよい。CDC,
“Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities”,2008,厚生労働省,“ノロ
ウイルスに関するQ&A”,2015などが参考になる。例えば,イソプロピルアルコール,エタ
ノール,次亜塩素酸ナトリウム,四級アンモニウム塩性殺菌性洗浄溶液などが用いられる。
表2−ロボットの特定の用途に応じて要求される最低限の環境及び洗浄液に対する耐性
特定の用途 環境に対する耐性a) 洗浄液に対する耐性a)
入浴介助 IPX4,防湿 清掃及び消毒に対する耐性
排泄介助 IPX2
屋外作業 IPX3 b), c) 清掃に対する耐性
保護等級は,JIS C 0920に規定する保護等級(IPコード)による。
注a) この表は,ロボットの用途において最低限満たさなければならない耐環境性能及び耐
清掃性能を示している。意図する使用によっては,より高い保護等級,洗浄剤への耐
久性,耐腐食性,防爆性,耐塩性,温度耐性などが必要になる可能性がある。
b) 屋外作業用途では,JIS C 0920のじんあい(塵埃)試験を実施し,外来固形物の侵入
に対する保護等級をIP5X以上とすることが望ましい。
c) 屋外作業用途では,一般にIPX3以上の防雨性が必要となるが,ユーザの姿勢に従って
その姿勢が変わることが想定される場合は,IPX4以上とすることが望ましい。
7.7 アラート
ロボットは,使用上の情報によるリスク低減手段としてアラートを利用する場合,JIS B 8446-2の8.6
によるほか,視覚的信号,聴覚的信号及び触覚的信号のうち,一つ以上の信号でアラートを発しなければ
ならない。特に,一つの信号による情報伝達が十分でない場合には,補助的に他の信号を用いなければな
らない。これらの信号は,使用環境,使用する時間帯などによって適した強度が異なるため,自動,又は
ユーザが手動で強度を調節してもよい。
さらに,次のa) c)を満たすことが望ましい。
a) 視覚的信号をアラートに利用する場合は,ユーザの視界に入りやすい配置とする。また,この規格の
適用範囲であるロボットは,その構造上,ユーザが常時ロボット本体を注視できないおそれがあるた
め,補助的に聴覚的信号又は触覚的信号を用いることが望ましい。
注記1 昼間と夜間との違いなど,使用環境の照度によって適した視覚的信号の強度は異なる。
b) 聴覚的信号をアラートに利用する場合は,意図する使用環境においてユーザが聴き取れる音圧レベル
とする。
注記2 この規格のロボットは,装着によってユーザの耳と本体との位置関係が定まる。
注記3 適した聴覚的信号の強度は,病院と工場との違いなど,使用環境の暗騒音レベルによって
異なる。
c) 触覚的信号をアラートに利用する場合は,意図する使用においてユーザが気付くことができる強度,
パターンなどを採用する。アラートは,使用上の情報によるリスク低減手段であり,本質的安全設計
並びに安全防護及び付加保護方策を適用した後,更に残留するリスクを低減するために採用するのが
よい。
注記4 この規格のロボットは,その使用中にユーザの身体運動を伴うため,その意図する使用に
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おいて,触覚的信号によるアラートに気付かないおそれがある。
注記5 ユーザの操作に対するフィードバック,情報提示などについても,この要求事項を考慮し
てもよい。
7.8 感電からの保護
ロボットは,ユーザ又はオペレータを感電から保護するために,JIS B 8446-2の5.3.1を満たさなければ
ならない。特に,屋外使用を意図するロボットなど,降雨時にぬ(濡)れた手でバッテリーを交換するお
それがある場合は,そのリスクを受容可能なレベルまで低減しなければならない。
7.9 入力の遮断に対する保護
ロボットは,センサの故障などによってユーザからの入力が遮断するリスクについて,そのリスクを受
容可能なレベルまで低減しなければならない。
7.10 情報セキュリティ
通常使用中に,ロボット本体が有線又は無線の手段によって,外部との通信が可能な場合,通信の喪失・
劣化,及び通信を経由した攻撃によるリスクを受容可能なレベルまで低減しなければならない。ロボット
は,次のa) c)を満たすことが望ましい。
a) 適切な暗号化,権限,及び/又は認証の設計を行い,適切な相手とだけ通信する。
b) データの破壊,改ざん又は消去の有無を適切な頻度及び方法で確認し,これらがあった場合には,シ
ステムを起動しない,アシスト力を発生しない,アシスト力を遮断するなどの安全な状態へ移行する,
修復を試みるなどの適切な措置を取る。
c) 通信の要求を高頻度で受けても,ロボットの通常使用に影響がない設計にする。
注記 a) c)は,機密性,完全性及び可用性の維持にそれぞれ対応する保護方策の例である。
8 性能要求事項
8.1 一般
ロボットは,ユーザの身体にアシスト力を及ぼすために,最大アシスト力について8.2に適合しなけれ
ばならない。
ロボットは,そのアシスト力によってユーザの発揮力を低減し,及び/又はユーザの身体への負荷を低
減するために,アシスト力指標について8.3に適合するか,又は腰部圧縮力低減指標について8.4に適合
しなければならない。アシスト力指標及び腰部圧縮力低減指標の計算又は試験に用いる条件は,附属書A
による。アシスト力指標及び腰部圧縮力低減指標の算出方法は,附属書Cによる。
8.2 最大アシスト力
ロボットの最大アシスト力は,6.4によって評価したロボットの質量,及び9.9によってユーザマニュア
ルに記載されたロボットの偏心距離を用いて,次に規定する下限値を超えなければならない。
最大アシスト力の下限値(N・m)=偏心距離(m)×0.766 044×質量(kg)×9.806 65(m/s2)
適合性は,最大アシスト力を次の方法で測定して評価する。
内部動力源式のロボットの場合,エネルギーを通常使用における最大まで充した動力源と,エネルギ
ー残量が通常使用における最小まで低下した動力源とのそれぞれを用いて評価する。外部動力源式のロボ
ットの場合,標準の外部動力源を用いて評価する。
ロボットの軸を静止させた状態で,ロボットに最大アシスト力を2 sの間連続して出力させる。計測は,
フォースゲージを用いて出力開始から1 s後に行う。これを3回行い,最大値を評価値として用いる。
測定に重力の影響がある場合には,ゼロ点補正などによってこれを取り除く。
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JIS B 8456-1:2017の国際規格 ICS 分類一覧
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JIS B 8456-1:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB9705-1:2019
- 機械類の安全性―制御システムの安全関連部―第1部:設計のための一般原則
- JISB9961:2008
- 機械類の安全性―安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能安全
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISK5600-5-11:2014
- 塗料一般試験方法―第5部:塗膜の機械的性質―第11節:耐洗浄性