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B 8673-1 : 2011 (ISO 21018-1 : 2008)
B.7 自動粒子計数器
B.7.1 概要
自動粒子計数器の場合には,機器内の狭い通路に照射し(例えば,低出力のレーザ)サンプルを分析す
る。単一の粒子が光線を通り抜けるとき,検出器(通常流れの反対側)の受光量は,粒子の投影面積に比
例して減少する。その結果,発生する電圧パルスを分析し,記録する。粒径とパルス電圧との関係は,JIS
B 9932又はJIS B 9935を用いて校正する。分析時間は,センサを通過させるサンプルの量に依存する(JIS
B 9934及びISO 21018-4参照)。
B.7.2 特長
このモニタ機器には,次の特長がある。
a) 複数の分析方法が使用できる。
− 高圧又は低圧箇所からのオンライン分析
− システムに恒久的に設置したインライン
− 油タンク又は容器からの吸引分析
− サンプル容器からのオフライン分析
b) 1.0 μm3 000 μmの幅広い粒径に対応できる(機種によって異なるがモニタ機器のダイナミックレン
ジは,通常50100である。)。
c) 標準的な分析時間は215分間であり,分析方法によって異なる。
d) 自動で機能し,オンライン装置では操作者を常時必要としない。
e) 希釈を必要とせずに幅広い粒子濃度に対応できる。
f) 通常よりも多量のサンプルを測定し,統計的処理を施すことによって,非常に清浄なサンプルでも正
確に測定することができる。
B.7.3 限界
このモニタ方法は,次の限界がある。
a) 液体は,透明で均質でなければならない。
b) 液体に境界面が存在する場合は,誤差を生じる(例えば,油中の水,気泡,相溶性のない液体同士の
混合,乳化形液体)。
c) 非常に汚染された液体は,誤った結果となるので,分析前に希釈する必要がある。
d) 検出下限以下の粒子が多量に存在することによって正確な測定に影響を及ぼす。
e) オフライン分析は“制御された”環境を必要とする。
f) 200 μmを超える大きな粒子は,センサ部を閉塞させる。
g) 分析結果は,液体の状態に影響を受ける(例えば,ゲル,濁りの存在)。
B.8 光学顕微鏡による計数法
B.8.1 概要
サンプル中の粒子は,減圧ろ過によってサンプル中の粒子をメンブレンフィルタ(1 μm以下の孔径)に
捕捉する。メンブレンフィルタの孔径は,液体の状態及び測定する粒子の最小径にもよるが,一般には1.2
μmである。一般にメンブレンフィルタには,手動計測を助けるために3.1 mmの正格子が印刷されている。
無地のメンブレンフィルタは,画像解析法に使用する。
乾燥後,光学顕微鏡を用いて上からの光若しくは落射光で直接分析するか又はメンブレンフィルタを透
明にして透過光で分析する。そして,接眼レンズの計数線で粒子の最も長い辺を計測するか(手動の計測),
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又は粒子が占有するピクセル数から計測(画像解析)し,粒径を算出する。これらの方法は,校正履歴が
はっきりとしている対物ミクロメータを用いて校正する。
手動計測においては,時間短縮のために統計的な計数法を用いる。メンブレン上に印刷された格子の中
から,任意に選択した格子中に存在する個々の粒子の大きさ及び数を測定し,選択した格子の数とメンブ
レン上の格子の総数との比から,メンブレンフィルタを通過した総サンプル量中に含まれる粒子の数を粒
子の大きさごとに計算する。画像解析法を用いた自動計数法は,メンブレンフィルタの全面積を分析する。
異なる粒径を計数する場合には,顕微鏡レンズの倍率を変更する(JIS B 9930参照)。
B.8.2 特長
このモニタ機器には,次の特長がある。
a) この方法は,基準となる方法として存在し,ほとんどの計数法はこの方法を参照している。
b) 2 μm以上の幅広い大きさの粒子に適用できる。
c) 粒子を観察するため,計数上の潜在的な問題点が分かる。
d) 手動計測は,設備費用を抑えることができる。
e) 必要があれば,粒子の種類に関する情報も分かる。
f) ろ過が可能であれば,液体の状態に影響を受けない。
g) 画像解析法によって自動化が可能で,分析者による計数誤差を減少させることができ,精度を高める
ことができる。
B.8.3 手動計測の限界
このモニタ方法は,次の限界がある。
a) 高い技能を必要とする。
b) 6種の粒径範囲を分析するために必要な時間は,30分である。
c) 管理された分析環境を必要とする。
d) オフライン分析専用である。
e) 粒子は,シルト,ゲルなどで不明瞭になる。
B.8.4 画像解析法の限界
このモニタ方法は,次の限界がある。
a) 画像解析法は,共存(重なり)及び粒子の焦点のずれによる誤差を考慮し,手動編集を行う必要があ
る。これは分析時間を増加させる原因になる。
b) より代表的な結果を得るためには,他の倍率での分析を必要とする。
B.9 走査形電子顕微鏡(SEM)
B.9.1 概要
粒子を含むメンブレンフィルタから小片(通常1 cm2)を切り取り,専用のアルミニウム台に載せ,導
電性の層(金,銀又は炭素)で蒸着する。この標本を真空にしたSEMの試料室に置き,電子を衝突させ
る。電子は,標本を光らせて(ちょうど光学顕微鏡の光子のように),画像がディスプレイ上に映し出され
る。この画像は,画像解析法(B.8参照)と同様の方法で電子的に処理して,同様の結果を求めることが
できる。
標本表面に電子線の焦点を合わせたときに原子はイオン化し,物質特有のX線を発生させる。このスペ
クトルの分析によって,粒子の構成元素を識別し,量を測定することができる(ISO 16232-7及びISO
16232-8参照)。
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B 8673-1 : 2011 (ISO 21018-1 : 2008)
B.9.2 特長
このモニタ機器には,次の特長がある。
a) 高分解能である(0.01 μmの粒子まで検出することができる。)。
b) 画像解析法を用いた場合は,粒径と粒子数とを計測できる。
c) 粒子の構成元素を分析できる。
d) 被写界深度の限界がほとんどない高解像度画像が得られる。
e) 適切なソフトウェアとともに使用すると,粒子の種類及び大きさの分布を表示できる。
B.9.3 限界
このモニタ方法は,次の限界がある。
a) この方法は,実験室だけで使用できる。
b) 高価な装置であると同時に,分析に時間を要する。標準的な分析時間は13時間である。
c) 熟練した技能者が必要である。
d) 電子の物質内への浸透に限界(5 μm程度)がある。
B.10 薄膜アブレシブ法
B.10.1 概要
このモニタ機器は,油圧システムの補助流路(オンラインで)に取り付け,ノズルからの比較的速い速
度(25 m/s)の流れをセンサ内の2枚の金属片の一方に向ける。2番目の金属片は,1番目の金属片の反対
側にある。センサは,真空下で塗布した薄い伝導性薄膜を用いてブリッジ回路を構成し,電気的に接続す
る。前面の(有効な)センサと接触する粒子が伝導性薄膜をそぎ落とし,金属片の抵抗を変化させる。抵
抗の変化は,粒子の濃度,硬度及びアブレシブ性に比例する。モニタ機器は時間とともに変化する抵抗及
び発生周期を記録し,これを“アブレシブ性”として表示する。大きい単一の粒子も検出できる。
B.10.2 特長
このモニタ機器には,次の特長がある。
a) 粒子の硬度及び研磨性の情報を提供する。
b) オンライン用及びインライン用のモニタ機器である。
B.10.3 限界
このモニタ方法は,次の限界がある。
a) 粒子の大きさ,数量及びJIS B 9933に規定した清浄度コードを求めることはできない。
b) 油圧の分野では,あまり使わない。
c) 結果は,液体の粘度に依存する。
d) 結果は,粒子の硬度で変化する。
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B 8673-1 : 2011 (ISO 21018-1 : 2008)
参考文献 [1] JIS B 8673-3 油圧−作動油の清浄度モニタ方法−第3部 : フィルタ目詰まり法
注記 対応国際規格 : ISO 21018-3,Hydraulic fluid power−Monitoring the level of particulate
contamination of the fluid−Part 3: Use of the filter blockage technique(IDT)
[2] JIS B 9930 油圧−作動油汚染−光学顕微鏡を用いた計数法による微粒子測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 4407,Hydraulic fluid power−Fluid contamination−Determination
of particulate contamination by the counting method using an optical microscope(IDT)
[3] JIS B 9931 質量法による作動油汚染の測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 4405,Hydraulic fluid power−Fluid contamination−Determination
of particulate contamination by the gravimetric method(MOD)
[4] JIS B 9934 油圧−光遮へい原理を用いた自動計数法による微粒子測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 11500:1997,Hydraulic fluid power−Determination of particulate
contamination by automatic counting using the light extinction principle(IDT)
[5] JIS Z 8832 粒子径分布測定方法−電気的検知帯法
注記 対応国際規格 : ISO 13319,Determination of particle size distributions−Electrical
sensing zone method(MOD)
[6] ISO 12103-1,Road vehicles−Test dust for filter evaluation−Part 1: Arizona test dust
[7] ISO 16232-7,Road vehicles−Cleanliness of components of fluid circuits−Part 7: Particle sizing
and counting by microscopic analysis
[8] ISO 16232-8,Road vehicles−Cleanliness of components of fluid circuits−Part 8: Particle nature
determination by microscopic analysis
[9] ISO 21018-4,Hydraulic fluid power−Monitoring the level of particulate contamination of the
fluid−Part 4: Use of the light extinction technique
注記 ISOで審議中
JIS B 8673-1:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 21018-1:2008(IDT)
JIS B 8673-1:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.100 : 流体動力システム > 23.100.60 : ろ過器,シール及び流体の汚れ
JIS B 8673-1:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0142:2011
- 油圧・空気圧システム及び機器―用語
- JISB9932:2015
- 油圧―液体用自動粒子計数器の校正方法
- JISB9933:2000
- 油圧―作動油―固体微粒子に関する汚染度のコード表示
- JISB9933:2021
- 油圧―作動油―固体微粒子に関する汚染度のコード表示
- JISB9935:2001
- 油圧―液体用オンライン式自動粒子計数システム―校正方法及び妥当性確認方法
- JISB9936:2001
- 油圧―微粒子分析―運転中のシステム管路からの作動油試料採取方法
- JISB9937:2001
- 油圧―作動油試料容器―清浄度の品質及び管理方法