JIS C 1509-1:2017 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様 | ページ 2

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C 1509-1 : 2017 (IEC 61672-1 : 2013)
よるほか,次による。
注記 物理量は,SI単位で表す。
3.1
音圧(sound pressure)
変動する瞬時の大気の圧力と静圧との差。
注記 音圧は,パスカル(Pa)で表す。
3.2
音圧レベル(sound pressure level)
音圧の2乗平均の,基準値の2乗に対する比の常用対数の10倍の値。
注記1 音圧レベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 基準値は,20 μPaである。基準音圧ともいう。
3.3
周波数重み付け特性(frequency weighting)
周波数の関数として与えらえる,表示装置上に指示する周波数重み付きレベルとそれに対応する一定振
幅の正弦波入力信号のレベルとの差。
注記 周波数重み付け特性は,デシベル(dB)で表す。
3.4
時間重み付け特性(time weighting)
音圧信号の2乗値に重みを付ける,ある規定された時定数で表す時間に対する指数関数。
3.5
サウンドレベル,周波数重み付き音圧レベル(sound level, frequency-weighted sound pressure level)
周波数重み付き音圧信号の2乗の時間重み付けレベル又は時間平均レベル。
注記 サウンドレベルは,デシベル(dB)で表す。
3.6
時間重み付きサウンドレベル(time-weighted sound level)
ある周波数重み付き音圧信号の時間重み付けした2乗の値の,基準音圧の2乗に対する比の常用対数の
10倍の値。
注記1 時間重み付きサウンドレベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 時間重み付きサウンドレベルの量記号は,例えば,周波数重み付け特性A,周波数重み付け
特性C,時間重み付け特性F及び時間重み付け特性Sは,LAF,LAS,LCF及びLCSである。
注記3 観測時刻tにおけるA特性F時間重み付きサウンドレベルLAF (t) は,式(1)で表すことができ
る。
t
1 F pA2 e t F
d
LAF t 10 lg 2 (1)
p0
ここに, τF : 時間重み付け特性Fの時定数(s)
ξ : −∞で表すある過去の時刻から観測時刻tまでの積分変数
pA(ξ) : 時刻ξにおける瞬時A特性音圧信号
p0 : 基準値20 μPa

――――― [JIS C 1509-1 pdf 6] ―――――

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C 1509-1 : 2017 (IEC 61672-1 : 2013)
注記4 図1は,式(1)に示す処理を図示したものである。
記号の説明
a : 周波数重み付き入力信号
b : 2乗演算
c : −1/τを実軸上の極とする低域通過フィルタ演算(時間重み付け)
d : 常用対数演算
e : 基準値20 μPaの2乗を基準とするデシベル(dB)で表した結果
図1−時間重み付きサウンドレベルを求めるための原理的手順
注記4A A特性時間重み付きサウンドレベルは,“騒音レベル”又は“A特性音圧レベル”ともいう。
また,C特性時間重み付きサウンドレベルは,“C特性音圧レベル”ともいう。
3.7
時間重み付きサウンドレベルの最大値(maximum time-weighted sound level)
ある時間内の,時間重み付きサウンドレベルの最も大きな値。
注記1 時間重み付きサウンドレベルの最大値は,デシベル(dB)で表す。
注記2 時間重み付きサウンドレベルの最大値の量記号は,例えば,周波数重み付け特性A,周波数
重み付け特性C,時間重み付け特性F及び時間重み付け特性Sは,LAFmax,LASmax,LCFmax及
びLCSmaxである。
3.8
ピーク音圧(peak sound pressure)
ある時間内の,音圧(正又は負)の最も大きな値。
注記1 ピーク音圧は,パスカル(Pa)で表す。
注記2 ピーク音圧は,正又は負の瞬時音圧である。
3.9
ピークサウンドレベル(peak sound level)
ある周波数重み付きピーク音圧信号の2乗の値の,基準値の2乗に対する比の常用対数の10倍の値。
注記1 ピークサウンドレベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 基準値は,20 μPaである。
3.10
時間平均サウンドレベル,等価サウンドレベル(time-averaged sound level,equivalent continuous sound level)
明示した時間内の,ある周波数重み付き音圧の2乗の時間平均値の,基準音圧の2乗に対する比の常用
対数の10倍の値。
注記1 時間平均サウンドレベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 例えば,A特性時間平均サウンドレベルLAeq,Tは,式(2)で表す。
t
2
1T pA d
tT
LAeq,T10 lg 2 (2)
p0

――――― [JIS C 1509-1 pdf 7] ―――――

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C 1509-1 : 2017 (IEC 61672-1 : 2013)
ここに, ξ : t−Tから観測時刻tまでの積分変数
T : 平均時間
pA(ξ) : 時刻ξにおける瞬時A特性音圧
p0 : 基準値20 μPa
注記3 原理的に,時間平均サウンドレベルの算出には,時間重み付けは含まれていない。
注記3A A特性時間平均サウンドレベルは,“等価騒音レベル”ともいう。
3.11
音響暴露量(sound exposure)
ある時間内又はある継続時間の事象についてのある周波数重み付き音圧信号の2乗の時間積分値。
注記1 ある一つの事象についてその事象が積分区間に完全に入るように測定した場合には,積分区
間を特に明示して報告する必要はないが,その事象の性質を明記することは有用である。あ
る指定した時間にわたって積分した音響暴露量の場合には,積分時間を報告する必要があっ
て,適切な下付き文字で表し,例えば,EA,1hと記す。
注記2 例えば,A特性音響暴露量(騒音暴露量)EA,Tは,式(3)で表す。
t2
EA ,T pA2 t dt

(pdf 一覧ページ番号 )

                               t1
ここに, pA2(t) : ある時刻t1からt2までの積分時間TのA特性2乗音圧
注記3 音圧の単位がパスカル(Pa),時間の単位が秒(s)の場合,音響暴露量の単位は,平方パス
カル秒(Pa2s)である。
注記4 作業場所における騒音暴露の測定などにおいて,平方パスカル秒(Pa2s)よりも,平方パス
カル時(Pa2h)を単位とする音響暴露量が用いられる。
3.12
音響暴露レベル(sound exposure level)
音響暴露量の基準値に対する比の常用対数の10倍のレベル。
注記1 音響暴露レベルは,デシベル(dB)で表す。
注記2 A特性音響暴露レベルLAE,Tと対応するA特性時間平均サウンドレベルLAeq,Tとの関係は,式
(4)で表すことができる。
t2
pA2 t dt
t1 EA,T T
LAE,T 10 lg 2 10 lg LAeq,T10 lg (4)
pT
0 0 E0 T0
ここに, EA,T : 時間Tにおける平方パスカル秒で表したA特性音響暴露
量[式(3)参照]
E0 : (20 μPa)2×(1 s)=400×10−12 Pa2s;音響暴露量の基準値
T : t2−t1;秒で表した測定時間
T0 : 1 s;音響暴露レベルの測定時間の基準値(基準時間)
注記3 測定時間TにわたるA特性時間平均サウンドレベルLAeq,Tとその時間内に発生するA特性音
響暴露量EA,T又はA特性音響暴露レベルLAE,Tとの関係は,式(5)及び式(6)で表すことができ
る。
1.0LAeq ,T
EA ,Tp02T 10 (5)

――――― [JIS C 1509-1 pdf 8] ―――――

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C 1509-1 : 2017 (IEC 61672-1 : 2013)
EA,T T
10 lg
LAeq ,T LAE,T 10 lg (6)
p02T T0
注記3A 式(5)において,音圧の単位がパスカル(Pa),時間の単位が秒(s)の場合,A特性音響暴露
量の単位は,平方パスカル秒(Pa2s)である。作業場所における騒音暴露の測定などにおい
ては,平方パスカル時(Pa2h)を単位とする音響暴露量が用いられる。
注記3B 式(6)において,A特性音響暴露レベルは,デシベル(dB)で表す。
注記3C A特性音響暴露レベルは,“騒音暴露レベル”ともいう。
3.13
マイクロホン(microphone)
音響振動を電気信号に変換する電気音響変換器。
(IEC 60050-801 801-26-01参照)
3.14
マイクロホンの基準点(microphone reference point)
マイクロホンの位置を表すために指定するマイクロホン上又はその近傍の点。
注記 マイクロホンの基準点は,マイクロホンの振動膜面上の中心である。
3.15
基準方向(reference direction)
サウンドレベルメータの指向特性及び周波数重み付け特性を求めるために,指定するマイクロホンの基
準点に向かう向き。
注記 基準方向は,対称軸となす角度によって指定できる。
3.16
音の入射角(sound-incident angle)
音源の音響中心と,マイクロホンの基準点を結ぶ直線及び基準方向とのなす角度。
注記 音の入射角は,度(°)で表す。
3.17
相対指向特性(relative directional response)
入射する正弦音波の任意の周波数にて,マイクロホンの主軸を含む平面上のある入射角におけるサウン
ドレベルから,基準方向から同一音源,及び同一周波数で入射されたときのサウンドレベルを減じたもの。
注記 相対指向特性は,デシベル(dB)で表す。
3.18
指向係数(directivity factor)
サウンドレベルメータにおいて,マイクロホンに対する音のあらゆる入射角度について等しい感度をも
つ理想の指向特性との比。
注記 指向係数は,無次元である。
3.19
指向指数(directivity index)
指向係数の常用対数の10倍の値。
注記 指向指数は,デシベル(dB)で表す。
3.20
相対周波数重み付き自由音場特性(relative frequency-weighted free-field response)

――――― [JIS C 1509-1 pdf 9] ―――――

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C 1509-1 : 2017 (IEC 61672-1 : 2013)
対象とする周波数において,基準方向から入射する平面進行正弦音波に対するサウンドレベルメータの
時間重み付き又は時間平均,周波数重み付きサウンドレベルの指示値から,サウンドレベルメータが存在
しない状態でのマイクロホン基準位置における時間重み付き,又は時間平均サウンドレベルを減じたもの。
注記1 相対周波数重み付き自由音場特性は,デシベル(dB)で表す。
注記2 相対周波数重み付き自由音場特性を,JIS C 1508では自由音場感度レベルという。
注記2A 混乱を生じないときは,自由音場特性又は自由音場レスポンスレベルが用いられる場合があ
る。
3.21
相対周波数重み付きランダム入射特性(relative frequency-weighted random-incidence response)
対象とする周波数において,ランダム入射音に対するサウンドレベルメータの時間重み付き又は時間平
均,周波数重み付きサウンドレベルの指示値から,サウンドレベルメータが存在しない状態でのマイクロ
ホン基準位置における時間重み付き,又は時間平均サウンドレベルを減じたもの。
注記1 相対周波数重み付きランダム入射特性は,デシベル(dB)で表す。
注記2 相対周波数重み付きランダム入射特性を,JIS C 1508ではランダム入射感度レベルという。
注記2A 混乱又は疑義を生じない場合は,ランダム入射特性が用いられる場合がある。
3.22
レベルレンジ(level range)
サウンドレベルメータのある設定で測定できるサウンドレベルの公称範囲。
注記 レベルレンジは,デシベル(dB)で表す。例えば,50 dB110 dBレンジ。
3.23
基準音圧レベル(reference sound pressure level)
サウンドレベルメータの電気音響性能を試験するために指定する音圧レベル。
注記 基準音圧レベルは,デシベル(dB)で表す。
3.24
基準レベルレンジ(reference level range)
サウンドレベルメータの電気音響性能を試験するために指定するレベルレンジ。基準レベルレンジには,
基準音圧レベルを含む。
注記 基準レベルレンジは,デシベル(dB)で表す。例えば,50 dB110 dBレンジ。
3.25
校正点検周波数(calibration check frequency)
音響校正器が発生する正弦波音圧の公称周波数。
3.26
レベル直線性偏差(level linearity deviation)
ある周波数の信号において,サウンドレベルメータの指示するレベルと直線性に基づくレベルとの差。
注記 レベル直線性偏差は,デシベル(dB)で表す。
3.27
直線動作範囲(linear operating range)
各レベルレンジのある周波数において,レベル直線性偏差がこの規格に規定する受容限度値を超えない
サウンドレベルの範囲。
注記 直線動作範囲は,デシベル(dB)で表す。

――――― [JIS C 1509-1 pdf 10] ―――――

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JIS C 1509-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61672-1:2013(IDT)

JIS C 1509-1:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1509-1:2017の関連規格と引用規格一覧