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注記 このインダクタには,単一コイルのものは不適切である。インダクタは,直径12.7 mmで,有
効長15.9 mmの絶縁ボビンに電線を3 000回5 000回巻いたコイルを8個直列に接続して構成
することが望ましい。
4.1.8 断続開閉器 断続開閉器(図1のB)は,モータ駆動形又は電子制御形のものとし,表1に規定す
る過酷度の初期の3段階の周期で,一次回路の断続条件が設定できる開閉器とする。点弧時間の精度は,
±0.008秒とする。
4.1.9 計時装置 計時装置(図1のTT)は,精度が±1秒のストップウォッチ又は電子式タイマとする。
4.1.10 開閉器 開閉器(図1のCS)は,電極装置を収納する試験容器の扉を閉じたときには,通常は開
放する。扉を閉じた状態で開閉器は閉じて変圧器TVを回路に接続し,電極に高電圧を印加する。試験容器
の扉が開いたときには,開閉器が常に開になり変圧器の二次側の電圧を遮断し,試験者の安全を確保する。
4.1.11 高電圧スイッチ及びバイパススイッチ 高電圧スイッチ(図1のSL)は,4.4.1に規定する開放作
動電圧を調整するときには,開いて変圧器の二次側回路を開放する。また,バイパススイッチ(図1のSB)
は,4.4.2に規定する二次電流を調整するときには開き,試験を行うときには閉じて電流計Aをバイパスす
る。
警告 これらのスイッチは,試験電圧(二次側開放電圧)15 kVに耐えられるもので,適切な長さの
絶縁性のハンドルを用いるなどによって操作し,試験者の安全を確保する。
4.2 電極及び電極の配置
4.2.1 電極
電極は,直径2.4 mm±0.05 mmの棒状のタングステン製とし,亀裂及び表面の不整があってはならない。
電極の長さは,20 mm以上とする。電極は,先端を研磨した後に,電極の先端が規定する向きとなるよう
に,適切な柄に取り付けることが望ましい。電極の先端は,研削及び研磨によって,軸に対して30°±1°
の角度をなすだ(楕)円形の平面となるように加工する。このとき,だ円形の長径は4.8 mm±0.1 mmと
なる。適切な柄に固定した電極の一例を,図2に示す。
注記1 電極の素材として,タングステン溶接棒が適切であることが経験的に知られている。
注記2 電極の先端を規定の寸法及び形状に仕上げるためには,研磨工程において電極を固定するた
めの鋼製のジグが有用である。
4.2.2 電極の配置
規定の形状に加工した電極を用い,電極と試験片とを適切な角度に保持し,アークを試験片の上面に点
弧させる。試験ごとに,試験片の上面が同じ高さになるように配置する。各電極をそれぞれ調整し,試験
片に対して個々に0.5 N±0.05 Nの力で圧着する。試験片には空気の流れが当たらないようにし,試験中に
煙又はガスが発生する場合には,燃焼生成物が排出できるようにする。
2本の電極は,図3に示すように,試験片の上に置き,その中心軸が同一垂直平面内にあって,共に水
平面に対して35゜±1゜の角度をなすように配置する(したがって,2本の電極の中心軸がなす角度は110゜
±2゜となる。)。先端部平面のだ円の短軸を水平に保ちながら,電極の先端の間隔を6.35 mm±0.1 mmに
調整する。
試験片の上面よりもやや高い位置から,アークが明瞭に観察できるようにする。
4.2.3 電極のクリーニング及び研磨
4.2.3.1 クリーニング
クリーニングは,次による。
a) 電極は,各試験終了後にアセトン,エタノールなどの溶剤を染み込ませた実験室用無じんティッシュ
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ペーパで拭いて,汚れなどを取り除く。クリーニングの仕上げとして,電極を脱イオン水に浸した後,
乾いた実験室用無じんティッシュペーパで拭いて乾燥させる。
b) 上記のクリーニングを行った後にも,電極に余分な燃焼生成物が固着又は残留していることがあるの
で,アーク電流40 mAで約1分間連続の空放電(試験片なし)を行うと効果的である。
注記 空放電を行ったときには,試験を行う前に電極を十分に放冷することが望ましい。
4.2.3.2 研削・研磨
電極の先端部は,初期のだ円平面の形状に維持する。規定するだ円面を維持していることを確認するた
め,15倍に拡大して観察し,表面が平滑で縁端部にぎざぎざなどがないことを確認する。また,だ円の長
径方向を測定して,4.5 mm以下の場合には再研磨を行い,電極の先端を規定の寸法及び形状に加工する。
上記の事項に適合しない場合には,電極を研削・研磨する必要がある。
4.3 試験容器
試験時の気流の影響を避けるために,試験容器は強制換気を行わない。試験容器の寸法は,300 mm×
150 mm×100 mm以上とする。
4.4 調整
4.4.1 開放作動電圧
電圧(二次側)は,回路を開放状態とし,12.5 kVとなるように調整する。その電圧は,電圧計VLで測
定し,開放状態における変圧器の一次側と二次側との電圧比を用いて換算する。
4.4.2 二次電流の調整
間隔を正確に調整した二つの電極を,セラミック板の上に設置する。試験容器の扉を閉じる。装置に電
源を投入してアークを点弧させ,可変抵抗R10,R20,R30及びR40をそれぞれ調整し,電流を表1に規定す
る値に合わせる。
注記 アーク電流30 mA以上(表1に規定する過酷度の段階30 及び過酷度の段階40)において調整
を行うときに,セラミック板が割れることがある。そのような場合には,空中放電によって調
整することが望ましい。
5 試験片
5.1 材料の標準的な比較のためには,各材料の試験片について,5回以上試験する。
5.2 試験片の厚さは,3.0 mm以上,3.4 mm以下とする。これと異なる厚さの試験片を用いる場合には,
報告書に記載する。
5.3 各試験片は,次の要件を満たすような大きさとする。試験は平たんな面上で行い,電極の位置は試
験片の縁端から6 mm以上,かつ,先に行った試験箇所から12 mm以上離れた箇所とする。薄い材料を試
験する場合には,必要枚数を重ね合わせ可能な限り規定値に近い厚さとし,確実に締め付けて固定する。
5.4 成形又は注型した部品を試験する場合には,最もアークにさらされる可能性のある部位を選択して
試験する。部品の比較試験は,同様の部位で行う。
注記 成形時の流れによって生じた異方性をもつ試験片又は部品では,その向きによって異なった試
験結果を生じることがある。ただし,流れの向きを知ることは多くの場合困難なため,5.1に規
定する“5回以上の試験” を行う場合にそれぞれ異なる向きで試験を行い,耐アーク性の最も
低い値を試験結果とすることが望ましい。
5.5 ほこり,湿気,指紋などは,適切な方法によって試験前に取り除く。
注記 クリーニングの方法によっては,材料に影響を与える場合があるので注意が必要である。
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6 試験片の状態調節
特に指定がない場合,試験片は23 ℃±2 ℃及び相対湿度(50±5)%の標準雰囲気(JIS C 2142に規定
する標準雰囲気Bに適合)の大気中で, 24時間以上保持する。
7 試験手順
7.1 試験片の取付け
試験片を電極装置に取り付け,電極の間隔を6.35 mm±0.10 mmに調整する。
注記 試験片を設置したとき,試験箇所の裏側が試験片台に密着する場合,熱の放散が妨げられて試
験結果に影響を与えるおそれがある。これを避けるために,試験片台の中央付近に適切な大き
さの放熱孔を設けることが望ましい。
7.2 試験の実施
試験装置を起動し,アークの発生,トラック(炭化導電路)の形成及び進行並びに試験中の試験片の状
態を監視する。過酷度の段階切替え直後に破損が生じる場合が多いので,特にその時点では慎重な監視が
必要である。
警告 アークを監視する場合,試験者は,紫外線防護用眼鏡を着用,又は紫外線遮蔽用器具を用いる
ことが望ましい。
アークの発生を監視して,アークが平たんで試験片表面に近接していることを確認する。アークの弧状
の上端と試験片表面との距離が約2 mmを超えている場合,アークが電極の先端にとどまらずに電極に沿
って上昇するとき又は不規則に揺動するときには,試験装置の回路定数が適正でないか,又は試験片から
ガス状の生成物が過剰に放出されている兆候と考えられるので,報告書に記載する。
注記1 アークの高さが約2 mmを超えていないことを確認するには,セラミック板などの上に電極
を配置し,電極の手前に厚さ約2 mmの絶縁材料の板を置く。表1に規定する過酷度の段階
1/8でアークを発生させて,絶縁板の手前の水平方向から観察して,アークの弧状の先端が絶
縁板上に見えないことを確認することが望ましい。
注記2 漂遊容量が非常に大きい場合,アークの形状が乱れて試験片表面に接近するので,注意が必
要である。
7.3 過酷度の増大及び試験の停止
3.1で定義する破損が起こるまで,表1に規定する各過酷度の1分間の試験時間が終了するごとに,アー
クの過酷度を逐次増大する。破損を確認したときには,直ちにアーク電流を遮断し,計時装置も停止させ
る。5回の各試験について,破損発生までの時間を秒単位で記録する。
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表1−試験の段階(過酷度の序列)
電流 時間周期a) 通算時間
過酷度の段階
mA 秒
1/8 10 断続点弧(1/4秒 点弧,7/4秒 消弧) 60
1/4 10 断続点弧(1/4秒 点弧,3/4秒 消弧) 120
1/2 10 断続点弧(1/4秒 点弧,1/4秒 消弧) 180
10 10 連続点弧 240
20 20 連続点弧 300
30 30 連続点弧 360
40 40 連続点弧 420
注a) 試験初期の3段階では,後続の4段階よりも穏やかな条件とするために断続アークを規定し
ている。アーク電流が小さくなるとアークが不安定となり,揺動する傾向があるため,10 mA
未満の電流は使用しない。
8 試験結果
8.1 試験結果の表記
この試験の結果は,破損に至るまでの時間とし,秒単位で表す。
注記 過酷度が次の段階に移った後,数秒以内で材料が破損することが多い。材料の耐アーク性を比
較する場合,同じ時間差(秒数)のときには,同一過酷度の段階内で破損に至る時間よりも,2
段階にわたる時間の方をより重視することが望ましい。例えば,同じ4秒差であっても,同じ
過酷度の段階に属する174秒と178秒との差よりも,過酷度の段階の異なる178秒と182秒と
の差の方が大きいと判定する。
8.2 破損の形態
破損には,次の5種類の一般的な形態がある。
a) 多くの無機絶縁体は白熱し,同時に導電性を帯びる。ただし,冷却すると元の絶縁状態に戻る。
b) ある種の有機化合物は,その材質内に目に見えるような導電路を形成することなく,炎を発して燃焼
する。
c) ある種の有機化合物は,いわゆる“トラッキング”によって破損が目視できるものがある。すなわち,
アークが消滅したときには,電極間に細い筋状の導電路が形成されている。
d) ある種の材料は,表面の炭化が進行して電流通過に十分な導電路が形成され,破損に至る。
e) ある種の材料は,トラッキングを起こさずに,溶融によって孔があく。この場合も破損とみなす。
9 報告
報告は,次の項目について記載する。
a) 試験した材料の仕様並びに試験片の形状及び試験時の厚さ
b) 試験片のクリーニング及び状態調節の条件の詳細
c) 耐アーク性の中央値,最大値及び最小値
d) 特別な観察事項,例えば,燃焼及び軟化の状態
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図1−電気回路(概念図)の例
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JIS C 2135:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61621:1997(MOD)
JIS C 2135:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定 > 17.220.99 : 電気及び磁気学に関するその他の規格
JIS C 2135:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC2134:2007
- 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
- JISC2134:2021
- 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
- JISC2136:2017
- 過酷な環境条件下で用いる固体電気絶縁材料―耐トラッキング性及び耐浸食性試験方法
- JISC2137:2006
- 電気絶縁材料の耐トラッキング性試験方法―回転円板浸せき試験
- JISC2142:2016
- 固体電気絶縁材料―試験前及び試験時における標準状態