JIS C 4604:2017 高圧限流ヒューズ | ページ 10

                                                                                             43
C 4604 : 2017
圧は生じないので,結果的に,回復電圧の過渡現象は生じない。
ただし,一般的にI1より低いI2を用いる試験系列2では,力率の変化量は顕著でなく,電流ゼロでの回
路の起電力は,ステップ状の電圧とかなりの過渡現象を誘起させるに十分な値となる。I2の値は,力率の
変化を最小にする状態を実現するように意図的に選択するため,最大のステップ状の電圧では,I1ではな
く,むしろI2で生じる。電流がゼロになった後の最初の数ミリ秒において,熱いアークの生成物は,電気
伝導状態にあり,熱放射は過渡電圧の時定数に比べて遅いため,この電気伝導性は減少する。ヒューズ試
験において,この電気伝導性によって,付加的に回復電圧の過渡現象が減衰する。ただし,減衰量は,次
の式で表す回路の特性インピーダンスに比例する。
L/ C =2πf0L
結果的に,低い固有周波数よりも,高い固有周波数の過渡現象が有効に減衰する。より低い周波数の過
渡現象はより長く持続し,これらは商用周波回復電圧を受けるため,特に商用周波回復電圧の最大まで持
続する場合,切れるヒューズリンクに余分な電圧ストレスを生じさせる。この特別なストレスが再点弧の
原因となり,不具合を引き起こす。試験の規定には,この状況を考慮しなければならない。
上記の考察は,次のようにまとめられる。
溶断後の最初の数ミリ秒を除いて,ヒューズのアーク電圧は,回路の過渡回復電圧状態によって大きな
影響を受けない。
実際の回復電圧において,どの過渡現象も遮断電流の値に依存して生じる。最も大きな過渡現象は,試
験系列2の試験電流I2で予想され,最低の固有周波数での過渡現象がより有害である。試験電流I1がI2に
比べてかなり高い場合,通常,過渡現象は発生しない。
ヒューズの過渡回復電圧特性と遮断器の過渡回復電圧特性とが同じであることが望ましかったので,
JIS C 4603に規定する標準値を採用することとした。ただし,上記の要素を留意した場合,試験に関して,
次に示す決定を考慮しなければならない。
試験系列1 過渡現象は,実際の回復電圧には生じないので,固有過渡回復電圧条件は意味をもたず,そ
のため,規定しない。過渡回復電圧条件がアークのピーク電圧に影響し得るような例外的な
場合については,別途,規定する。
試験系列2 低周波過渡現象はより有害であることが示されたので,代表的な固有低周過渡回復電圧を作
成する適切な値を,IEC 62271-100に規定する回路パラメータから導出した(表14参照)。単
一周波数振動を仮定して,これらの値は,IEC 62271-100における対応する電圧についての最
低周波数の1/41/3となっている。さらに,ピーク電圧の形は,振幅係数が1.5に基づいてい
る。
試験系列3 この規格には,過渡回復電圧の条件を既定していない。一方,6.6.1.2には,振動性の過渡現
象を完全に抑制するため,抵抗で回路のリアクタンスを短絡することを規定している。ただ
し,抵抗値が規定した値であっても,特に非常に低い固有周波数のとき,抑制できないこと
が経験的に分かっている。したがって,試験回路の固有周波数のいかんにかかわらず,これ
らの値を,少なくとも臨界減衰を得る値に修正してきている。

――――― [JIS C 4604 pdf 46] ―――――

44
C 4604 : 2017
附属書C
(参考)
開閉装置用油密性ヒューズの温度上昇試験に関する推奨配置
(適用範囲外のため,対応国際規格の記載を不採用とした。)
附属書D
(参考)
既存の各国規格で規定する限流ヒューズリンクの形状及び寸法
(海外のヒューズに関する情報のため,対応国際規格の記載を不採用とした。)

――――― [JIS C 4604 pdf 47] ―――――

                                                                                             45
C 4604 : 2017
附属書E
(規定)
40 ℃を超える周囲温度で使用するための
特定のタイプのヒューズリンクに関する要求事項
E.1 この附属書を適用するヒューズリンクのタイプ
E.1.1 一般
この附属書は,特定のタイプのヒューズリンクについてだけ適用する。それ以外のタイプについては,
周囲温度40 ℃を超える用途で使用する場合であっても,構成,用途及び使用実績を考慮することで,この
附属書の要求事項の一部又は全ての適用を除外してもよい。
E.1.2 適用対象のヒューズリンクのタイプ
この附属書が対象とするヒューズは,次による。
a) 3.3.10で定義する有機ヒューズリンクのバックアップヒューズ及びジェネラルパーパスヒューズリン
ク。
b) 全てのタイプのフルレンジヒューズリンク
E.1.3 適用外となるヒューズリンク
次のヒューズは,この附属書の対象外とする。
a) 有機ヒューズリンクではないバックアップヒューズ及びジェネラルパーパスヒューズリンクは,最大
適用温度(MAT)遮断試験要求事項の適用から除外する。
b) ストライカ引外し式開閉器にだけ使用する有機ヒューズリンクは,MAT遮断試験要求事項の適用から
除外する。
c) ヒューズ自体以外に特別な熱源をもたない機器にだけ使用する有機ヒューズリンクのバックアップヒ
ューズリンク(例えば,IEC 62271-105又は同様の規格を適用する開閉器とヒューズとの組合せにお
けるヒューズリンク)は,MAT遮断試験要求事項の適用から除外する。
E.2 概要
2.1に規定する通常使用条件では,最大周囲温度は,40 ℃と規定している。ただし,特定のタイプのヒ
ューズリンクは,その上限値を大幅に上回る周囲温度での使用を想定している。例えば,かなりの熱を発
生する変圧器のタンク,及びその他の機器の内部での使用,並びに強い日光が当たったり周囲温度が高か
ったりするような状況での使用がある。この附属書では,関連するヒューズリンクのタイプ及びそのよう
な用途で使用するヒューズに適用する特別な要求事項を規定する。そのような用途で使用するヒューズリ
ンクについてこの附属書に従った試験が必要な場合,ヒューズには,E.3で規定する最大適用温度(MAT)
を適用する。その温度が試験を行う温度となる。特定の用途における最大温度が分かっている場合には,
適切に試験したヒューズ(すなわち,使用時に予想される最大温度と同等以上のMATをもつヒューズ)
を選択できる。
特定の用途では,MATの温度の状態は,例えば変圧器の過負荷,機器の不具合など,異常がある状態で
だけ起こる可能性があることに留意することが望ましい。そのような場合,ヒューズには適切なMATが
割り当てられていても,表6に規定する最大温度を超えることなく,MATの温度で連続使用することは適
切ではない場合がある。実際に,幾つかの典型的なMATの値は,表6に規定する最大温度よりも高い場

――――― [JIS C 4604 pdf 48] ―――――

46
C 4604 : 2017
合がある。
この附属書を適用するヒューズは,典型的な使用条件についての定格電流の低減を必要とする可能性が
高い(40 ℃を超える周囲温度でのヒューズの定格電流の低減に関する情報については,IEC/TR 62655:2013
のAnnex Aを参照し,製造業者に相談する。)。
E.3 定義
最大適用温度,MAT
ヒューズリンクに対して製造業者が指定した温度。ヒューズリンクと接する周囲媒質の温度で,ヒュー
ズリンクがその事故電流遮断性能を損なうことなく耐えられることが分かっている最大温度である。MAT
は,40 ℃を超える周囲温度での使用のために設計されたヒューズにだけ用いる。
E.4 推奨MAT定格
40 ℃を超える温度で使用するヒューズリンクについて,製造業者は,MATの値についての情報を提供
する。この値は,R20シリーズ(45,50,56,63,71,80,90,112,125又は140)から選択することが
望ましい。推奨値は,71 ℃,112 ℃及び140 ℃とする。
E.5 使用条件
この附属書の要求事項は,次の使用条件を網羅することを意図している。
a) ヒューズリンクの周りに空気の流れがある,屋外に取り付けるヒューズ。ヒューズリンクのMAT定
格は,ヒューズを冷却する空気の温度に基づいている。
b) ヒューズリンクの周りに比較的自由な空気の流れがあるような,大きな装着容器の内部に取り付ける
ヒューズ。ヒューズリンクのMAT定格は,装着容器内部の,ヒューズを冷却する空気の温度に基づ
いている。
c) 比較的小さな装着容器の内部に取り付けるヒューズリンク。ヒューズリンクのMAT定格は,小さな
装着容器の外側の,それらを冷却する空気及び液体の温度に基づいていることに留意する。
注記 空気以外のガスを冷却に用いる場合がある。
d) ヒューズリンクの周りに比較的自由な液体の流れがあるような,大きな装着容器の内部に取り付ける
ヒューズリンク。ヒューズリンクのMAT定格は,ヒューズを冷却する液体の温度に基づいている。
E.6 追加の遮断試験要求事項
E.6.1 試験方法
遮断試験の方法は,6.3,6.6.1及び次のa) c)による。
この附属書に別途規定がない限り,6.6に規定する試験に加えて,次の試験を行う。
注記 特定のヒューズの設計の場合,かつ,特定の遮断の状態では,もっと低い温度での試験はより
煩雑となるため,周囲温度40 ℃以下で6.6の試験を行う必要がある。他の設計の場合,かつ,
他の遮断の状態では,高温での試験はより煩雑となるため,高温での試験も必要となる。
a) 試験系列1 追加試験は不要。
注記 通常,高温試験での失敗は,構成部品の温度の上昇に関係するため,また,(おおよその最大
アークエネルギーを求めるための)試験系列2の試験は,高温を発生させる傾向にあるため,
試験系列1は不要とみなす。

――――― [JIS C 4604 pdf 49] ―――――

                                                                                             47
C 4604 : 2017
b) 試験系列2 有機ヒューズリンクのバックアップヒューズ,ジェネラルパーパスヒューズ及びフルレ
ンジヒューズについては,表13の試験に加え,試験系列2の試験を3回,製造業者が指定する最大周
囲温度(MAT)にしてヒューズに対して行う。追加試験は,同一シリーズの中の最大の電流定格にだ
け適用する。
c) 試験系列3
1) 有機ヒューズリンクのバックアップヒューズ ある有機ヒューズリンクのバックアップヒューズに
ついて,6.6.1.1に従って40 ℃未満の周囲温度で行う試験系列3の試験において,溶断時間が100 s
を超えた場合,追加で2回,MATの温度で試験系列3の試験を行う。この追加試験は,溶断時間が
100 sを超える同一シリーズの最大電流定格についてだけ適用する。
2) 全てのジェネラルパーパスヒューズ 追加試験不要。ただし,周囲温度が40 ℃を超える場合,試験
系列3の試験電流では,1 h以内にヒューズが溶断する可能性がある。使用者の要望がある場合,こ
の状態に対処するための時間−電流特性を提示してもよい(IEC/TR 62655:2013の5.1.1.2.8参照)。
3) 全てのフルレンジヒューズ 表13に規定する試験は,E.6.3に規定する試験に置き換える。
E.6.2 試験手順
試験手順は,6.6.2,6.6.3及び次による。
ほとんどの場合,この附属書に規定する高温試験は,製造業者がヒューズの定格とした温度(MAT)に
設定した恒温槽などで定温環境中に置いたサンプルについて行う。ヒューズ本体の温度が一旦安定した場
合,それ以降の試験中は,空気循環用のファンを止める。
一般的に,この附属書に従って試験を行う場合,ヒューズリンクは,ヒューズリンクを取り付けて用い
る実際の機器に取り付けられるわけではない(例えば,MAT状態にするために恒温槽を使用する場合)。
このような場合,できるだけ使用状態に近い形でヒューズリンクを取り付けることが望ましいが,そのよ
うな取付状態が全ての面で6.3及び6.6の全要求事項を満たすわけではないことは認識されている。ただ
し,この附属書の試験は,6.6の試験の追加として行うものであるため,このことは許容可能とみなす。
この附属書に従って試験することが必要なヒューズリンクが,小さな装着容器[E.5 c)を参照]内での使
用を意図したものである場合,使用状態と同等な状態にするために,適切な小さな試験用容器(FEP)内
で試験する。ヒューズリンク又はFEPに割り当てたMATが40 ℃を超える場合,ヒューズ及び装着容器は,
FEPを冷却する周囲媒質(例えば,空気)が割り当てたMATと同等以上の温度にすることができるよう,
炉内又はより大きな容器内に取り付ける。上記のように,補助的加熱装置を用いてもよい。一般的に,FEP
が使用するヒューズリンクと同等又はより厳しい条件で試験する場合は,個々のFEPの試験を行う必要は
ない。
E.6.3 フルレンジヒューズ : 試験系列3の試験
40 ℃を超える周囲温度での使用を意図しているフルレンジヒューズについては,E.6.2に詳しく規定し
ているように,適用状態と同等な状態になるよう設計した加熱された装着容器内で試験系列3の試験を行
う。
試験電流I3は,製造業者が指定するMATにおいてヒューズリンクを溶断し得る最も小さい電流として
選択する。I3を決定する試験装置の配置及び方法の詳細は,E.7で規定する。
その後,2段階の遮断試験を6.6.3.1のc)又はd)に従って行う。高電圧電流I3は,E.7の加熱試験によっ
て決定する。低電圧電源は,不必要に試験時間が長引かないよう,溶断の間中I3より大きい値に設定して
もよい。ただし,その結果として溶断時間が1 h未満にならないようにする。1 h経過した場合,溶断を促
すために低電圧電流を元の値から最大15 %上げてもよい。

――――― [JIS C 4604 pdf 50] ―――――

次のページ PDF 51

JIS C 4604:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60282-1:2009(MOD)
  • IEC 60282-1:2009/AMENDMENT 1:2014(MOD)

JIS C 4604:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4604:2017の関連規格と引用規格一覧