JIS C 4901:2013 低圧進相コンデンサ(屋内用) | ページ 2

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から切り離しできる装置を組み込んだコンデンサ。
3.12
保安機構付きコンデンサ(capacitor with safety mechanism)
蒸着電極コンデンサの安全性を高めるため,コンデンサの内部に異常が生じた場合,異常部を電源から
切離しができる機能を素子にもたせたコンデンサ。
3.13
保護接点付きコンデンサ
コンデンサの安全性を高めるため,コンデンサの内部に異常が生じた場合,これを検知して動作する接
点を取り付けたコンデンサ。
3.14
定格電圧,UN(rated voltage of a capacitor)
コンデンサの端子間に連続印加できる正弦波電圧の実効値。
3.15
回路電圧,U
コンデンサと直列リアクトルとを組み合わせた設備を接続する回路の線間電圧であって,コンデンサの
定格電圧及び定格容量の算出基準となる電圧。
3.16
定格周波数,fN(rated frequency of a capacitor)
コンデンサの仕様上決められた周波数。
3.17
定格静電容量,CN(rated capacitance of a capacitor)
20 ℃におけるコンデンサの全静電容量の設計静電容量。
3.18
定格容量,QN(rated output of a capacitor)
定格静電容量に定格周波数の定格電圧を印加したときの無効電力。次の式によって求める。
QN=2πfNCNUN2×10−9
ここに, QN : 定格容量(kvar)
fN : 定格周波数(Hz)
CN : 定格静電容量(μF)
UN : 定格電圧(V)
3.19
定格設備容量,Q
コンデンサと直列リアクトルとを組み合わせた設備の,定格電圧及び定格周波数における設計無効電力。
3.20
定格電流,IN(rated current of a capacitor)
定格静電容量又は定格容量に定格周波数の定格電圧を印加したときの電流の実効値。7.6の式によって
表す。
3.21
周囲温度(ambient air temperature)
コンデンサを設置する場所の空気温度。

――――― [JIS C 4901 pdf 6] ―――――

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3.22
最高周囲温度
コンデンサを支障なく用いることができる周囲温度の高温側の限度。
3.23
最低周囲温度
コンデンサを支障なく用いることができる周囲温度の低温側の限度。
3.24
冷却空気温度(cooling air temperature)
コンデンサ容器からほぼ0.1 m離れて,底から高さ2/3の点で測定した運転中の空気温度。ただし,コ
ンデンサを間隔0.2 m以下で並置している場合には,コンデンサ間の中央で測定した運転中の空気温度。
3.25
最高許容電圧(maximum permissible a.c. voltage of a capacitor)
コンデンサの端子間に連続印加しても実用上支障を生じない定格周波数の過電圧限度。瞬間的過電圧は
含まないが,電源電圧の変動による過電圧を含む。
注記 “実用上支障を生じない”とは,寿命を著しく短縮するほどに至らないことをいい,性能など
は,必ずしも定格状態における規定値と合致しなくてもよい。
3.26
%リアクタンス
コンデンサリアクタンスに対するリアクトルリアクタンスの比を百分率(%)で表したもの。
3.27
最大許容電流(maximum permissible a.c. current of a capacitor)
コンデンサの端子間に連続して流しても実用上支障を生じない合成電流の実効値の限度。
最大許容電流には,次のような電流が含まれる。
− 回路の高調波電流によって増加する電流。
− 最高許容電圧以下の一時的な過電圧によって増加する電流。
− 定格静電容量に対するプラス側許容差に起因して増加する電流。
3.28
相間不平衡率
三相コンデンサの端子間最小静電容量(μF)に対する端子間最大静電容量(μF)の比率。次の式によっ
て求める。
CL
= 100
CS
ここに, α : 相間不平衡率(%)
CS : 端子間最小静電容量(μF)
CL : 端子間最大静電容量(μF)
3.29
損失率(capacitor losses)
コンデンサの容量値(kvar)に対するコンデンサ損失(kW)の比率。
3.30
受電設備

――――― [JIS C 4901 pdf 7] ―――――

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受電のために施設する電気工作物。
3.31
受渡検査(routine tests)
出荷前に全てのコンデンサに対して行う検査。
3.32
形式検査(type tests)
代表するコンデンサが,規定する要求事項に合致していることを証明するために行う検査。
3.33
使用者(purcharser)
コンデンサの使用者,発注者,購入者又はそれらの総称。

4 使用状態

4.1 標準使用状態

  標準使用状態は次のとおりとし,特に指定がない場合,コンデンサはこの状態で用いる。
a) 最高周囲温度 最高周囲温度は,45 ℃とする。ただし,24時間の平均温度は35 ℃以下で,1年間の
平均温度は25 ℃以下とする。
注記 コンデンサを設置すると周囲温度に影響を与える場合には,その冷却空気温度は,これらの
温度よりも5 ℃以下となるようにすることが望ましい。
b) 最低周囲温度 最低周囲温度は,−25 ℃又は−5 ℃とする。
c) 相対湿度 相対湿度は,85 %以下とする。
d) 標高 標高は,2 000 m以下とする。

4.2 特殊使用状態

  特殊使用状態とは,4.1に規定する標準使用状態以外,及び次のいずれかの状態をいう。コンデンサをこ
の特殊使用状態で用いる場合,その使用条件は,使用者と製造業者との協議による。
a) 急激な温度変化を受ける頻度の高い場所で用いる場合。
b) 著しい潮風を受ける場所で用いる場合。
c) 著しい湿潤な場所で用いる場合。
d) 過度のじんあいがある場所で用いる場合。
e) 爆発性,可燃性,腐食性,及びその他有害ガスのある場所又は同ガスの襲来のおそれがある場所で用
いる場合。
f) 異常な振動又は衝撃を受ける場所で用いる場合。
g) 水蒸気又は油蒸気中で用いる場合。
h) その他の特殊な条件下で用いる場合。

5 過負荷使用条件

  過負荷使用条件は,次による。
a) 最高許容電圧 最高許容電圧は,表1による。ただし,定格電圧の1.15倍を超える電圧の印加は,コ
ンデンサの寿命を通じて200回を超えてはならない。

――――― [JIS C 4901 pdf 8] ―――――

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表1−最高許容電圧及び許容時間
定格電圧倍数 許容印加時間
1.10 24時間のうち8時間以内
1.15 24時間のうち30分以内
1.20 5分以内
1.30 1分以内
b) 最大許容電流 最大許容電流は,定格電流の1.3倍とする。ただし,静電容量の実測値が許容差の範
囲内でプラス側のものは,その分だけ更に電流の増加を認める。

6 種類

  種類は,絶縁構造,密閉構造,保安構造,放電抵抗器内蔵及び相数によって分け,表2による。
表2−種類
素子 構造 蒸着電極コンデンサ
記号 SH
絶縁構造の別a) E形,N1形,N2形
密閉構造の別 構造 密閉(1)b) 密閉(2)c)
記号 SH(1) SH(2)
保安構造の別 保安装置内蔵,保安機構付き,保護接点付き
放電抵抗器内蔵の別 放電抵抗器内蔵,放電抵抗器内蔵なし
相数の別 単相,三相,単相・三相両用
注a) 箇条9を参照。
b) 密閉(1)とは,ケースによって密閉し,コンデンサ素子を外気から保護したものをいう。
c) 密閉(2)とは,開口部があるケースと充剤とによって密閉したもの,及びケースを省略し樹脂
による包囲又はモールドすることによって,コンデンサ素子を外気から保護したものをいう。

7 定格

7.1 定格周波数

  定格周波数は,50 Hz,60 Hz又は50 Hz/60 Hz共用とする。

7.2 相数

  相数は,単相,三相及び単相・三相両用とする。

7.3 定格電圧

  定格電圧は,200 V,234 V,400 V及び468 Vとする。
なお,200 V及び400 Vは,負荷となる主要電気機械器具に直結して用いるものに適用し,234 V及び
468 Vは主として受電設備用に適用する。
受電設備に用いるコンデンサは,直列リアクトル6 %を接続することを標準とし,その定格電圧は,直
列リアクトルによる電圧上昇を考慮して,次の式によって求める。
UN LU
1 / 100
ここに, UN : 定格電圧(V)
U : 回路電圧(220 V又は440 V)
L : 組み合わせて用いる直列リアクトルの%リア
クタンスであり,L=6とする。

――――― [JIS C 4901 pdf 9] ―――――

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7.4 定格静電容量

  定格静電容量は,マイクロファラッド(μF)で表し,表3による。
なお,定格電圧が200 V及び400 Vの場合に適用し,定格周波数は50 Hz/60 Hz共用とする。
表3−定格静電容量
定格電圧 定格周波数 相数 定格静電容量a)
V Hz μF
200 50/60共用 単相 10 15 20 30 40 50 75 100
三相 10 15 20 30 40 50 75 100
600 700 750 800 900 1 000
単相・三相両用 150 200 250 300 400 500
400 単相 5 7.5 10 15 20 25 30 40 50
三相 75 100 125 150 200 250
単相・三相両用
注a) 定格静電容量の値及び相数は,受渡当事者間の協定によって,任意の組合せを選択してもよい。

7.5 定格容量

  定格容量は,キロバール(kvar)で表し,次の式によって求め,表4による。
なお,定格電圧が234 V及び468 Vの場合に適用し,相数は三相とする。
Q
QN
1 L/ 100
ここに, QN : 定格容量(kvar)
Q : 定格設備容量(kvar)
L : 組み合わせて用いる直列リアクトルの%リアクタ
ンスであり,L=6とする。
表4−定格容量
回路電圧 定格電圧 定格周波数 相数 定格設備容量及び定格容量a)
V V Hz kvar
220 234 50/60共用 三相 定格設備容量 10/12 15/18 20/24 25/30 30/36
定格容量 10.6/12.816.0/19.121.3/25.526.6/31.9 31.9/38.3
50又は60 定格設備容量 50 − − − −
定格容量 53.2 − − − −
440 468 50/60共用 定格設備容量 10/12 15/18 20/24 25/30 30/36
定格容量 10.6/12.816.0/19.121.3/25.526.6/31.9 31.9/38.3
50又は60 定格設備容量 50 75 100 150 −
定格容量 53.2 79.8 106 160 −
注a) 定格設備容量及び定格容量の10.6/12.8などは,10.6 kvar(50 Hz)/12.8 kvar(60 Hz)のように50 Hz及び60 Hz
の定格を表す。

7.6 定格電流

  定格電流は,次の式によって求める。
a) 定格静電容量で表したコンデンサの場合
単相 IN=2πfNCNUN×10−6

――――― [JIS C 4901 pdf 10] ―――――

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JIS C 4901:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60831-1:2002(MOD)
  • IEC 60831-2:1995(MOD)

JIS C 4901:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4901:2013の関連規格と引用規格一覧