JIS C 61000-4-2:2012 電磁両立性―第4-2部:試験及び測定技術―静電気放電イミュニティ試験 | ページ 8

34
C 61000-4-2 : 2012 (IEC 61000-4-2 : 2008)
単位 mm
図C.4−ターゲットの構造図(4/5)(8 ステンレス製のカバー部品)

――――― [JIS C 61000-4-2 pdf 36] ―――――

                                                                                             35
C 61000-4-2 : 2012 (IEC 61000-4-2 : 2008)
図C.5−ターゲットの構造図(5/5)

――――― [JIS C 61000-4-2 pdf 37] ―――――

36
C 61000-4-2 : 2012 (IEC 61000-4-2 : 2008)
附属書D
(参考)
人体と金属との間の放電及びESD発生器からの放電による放射電磁界
D.1 意図的及び意図的でない電磁界を引き起こす過程に関する概説
D.1.1 一般
この規格及びそれ以前の版で規定した電流波形では,人体(手持ちの小さな金属を経由)からのESDを
扱う。人体からの放電は,ESD発生器からの放電と同様に,強電磁界を発生する原因となる。
D.1.2で人体による放電のプロセスを概説し,D.1.3でESD発生器によって起こるプロセスを概説する。
D.1.2 人体によるESD
人体からEUTへのESD現象では,次の現象が連続して生じる。
a) 手持ちの金属部分がEUTの金属表面に近接して,電流が流れる前は,静電界が存在する。電流が流れ
ず(又は僅かな電流が流れる。),かつ,関連した磁界も存在しない。
b) 手持ちの金属部分とEUTとの間で放電が始まると,静電界は,両者のギャップ間で急降下する。ギャ
ップ間電圧は,初期電圧から50 ps5 ns程度で降下して約25 V40 Vになる。降下時間は,アーク
放電に関連するパラメータ,電圧などに依存する。この電界の初期降下は,強い過渡的な電磁界を引
き起こす一連の現象の初期段階となる。
c) 電流は人が持つ金属部分及びEUTに流れ始める。流れ始めの電流は,光速で面拡散し,約0.8 ns以内
に,人の腕に達する。電流は,EUT及び腕に拡散し続けることによって,EUT及び人体の両方に電流
密度の複雑なパターンを発生させ,放射及び抵抗によって,反射し減衰する。
d) 放電プロセスが継続しているとき,電流の最も高い周波数成分は,主に放射によって急速に減衰する。
時間の経過に従って,電流は滑らかに(すなわち,より少ない高周波成分で)流れ,最終的に,人体
はEUTと新しい静電的な平衡状態に達する。しかし,人体が完全に放電する前に,アークが消えるこ
とがあるので,人体の残留電荷は,0ではないこともあり得る。手及び金属物を更にEUTに近付ける
と,高速な立上りの2回目のESDが,連続するESDに導かれて低電圧で発生する(これは,低電圧
で見られる特性である。)。
e) 各々の連続した放電では,手,人体又はEUTの幾つかの観測点に,放電前の電荷密度,放電段階での
急速充電電流,及び放電後の僅かな残留電荷が観測される。
f) アンテナ理論では,変化する電荷密度及び変化する電流が,電磁界放射を引き起こすことが知られて
いる。極めて近傍では,直接電流及び電荷が電磁界を決定し,かつ,より遠方では,電流及び電荷の
時間微分が電磁界を決定する。極めて近傍(近傍界)及びより遠方(遠方界)での電磁界との間の変
遷領域は,より複雑となる。測定及びシミュレーションによって次のことが示されている。
− 最初の数nsで最も妨害を引き起こす。
− ESDの過渡的な電磁界は,アーク点から10 cmの距離では遠方界になる。
g) 上記によって,電流及び電荷の時間微分値は,電子システムの異常(非破壊的誤作動)に関して極め
て重要であることが明らかである。
h) 人体放電においては,電流及び電荷の時間微分値は,アークにおける電圧の絶縁破壊時間によって決
まることに注意することが重要である。したがって,放電時の電流立上り時間が,高周波成分を決定
する。

――――― [JIS C 61000-4-2 pdf 38] ―――――

                                                                                             37
C 61000-4-2 : 2012 (IEC 61000-4-2 : 2008)
上記によって,人体−金属ESDの過渡電磁界は,ESDプロセスの重要な部分であることは明らかであ
る。理想的なESD発生器は,それらを定量的な形で再現する。人体−金属ESDの電磁界強度などは,よ
く知られている。
D.1.3 ESD発生器
次のステップは,現状のESD発生器で起こるプロセスを解析し,比較することである。大部分のESD
試験は,再現性上の理由で,放電電極先端を接触状態で実行するので,次の事項は,ESD発生器の接触放
電に限定する。
a) SD発生器の放電電極先端は,(ほとんどの場合)EUT接地部分に接触させる。
b) 放電に先立って,ESD発生器内でコンデンサに電荷が充電される。通常の設計では,充電プロセスに
よって,ほとんどの静電界は,ESD発生器のコンデンサに閉じ込められている。その結果,放電前の
近傍静電界は,同一電圧で充電された人体の同じ点で測定した静電界よりはるかに小さい。
c) 放電は,ESD発生器内部のリレーを閉じることによって開始する。この特殊なリレーの設計によって
は非常に良い放電電流の再現性が得られるが,リレーは内部にあり,ESD発生器がEUTに接触する
点にはないので,放電電流の始まりは,人体ESDと全く異なる。
d) リレー接点での電圧の降下時間は,100 ps未満と極めて速く,全ての方向及び全ての放電電極に接触
した金属部,並びに近接した他の金属部分に,リレーからの電流の波が進行する。電流は光速(誘電
体内は速度が落ちる)で伝搬する。この電流波形の立上り時間は,電圧の降下時間と等しい。
e) 電圧の降下時間は,100 ps未満であるが,この規格は,ターゲットに接触している点で測定した0.8 ns
±25 %の電流立上り時間を要求している。これを達成するために,リレー内の非常に短い立上り時間
ではなく,この規格で規定している放電電極先端での立上り時間を実現するESD発生器を設計する。
f) 過渡電磁界は,全ての電流の時間微分及び電荷密度の時間微分に起因する。ESD発生器からの放電と,
金属を持った人体からの放電との重要な相違点に注意する。人体の放電に対し,アーク電流の立上り
時間は,最速のプロセスであり,それは過渡電磁界のスペクトルを決定する。しかしながら,接触放
電におけるESD発生器では,高周波のスペクトルはリレー接点の電圧降下によって決まるため,放電
電極先端における電流立上り時間によるものではない。
g) SD発生器内で変化する全ての電流は,過渡電磁界の原因となるため,放電点における0.8 ns±25 %
の立上りの電流の発生とともに,ESD発生器のリレー接点における100 psの立上りの電流によっても
過渡電磁界が発生する。ESD発生器におけるリレー接点での高速な現象による過渡電磁波は,一般に
不要な電磁界である。放電点における同じ電流立上り時間及びピーク値をもつ等価な人体−金属放電
による放射電磁界よりも高周波数成分が増加する。
上記によって,電流の高速な立上りによる過渡電磁界放射は,ESD発生器の設計に大きく依存する。こ
の電磁界の放射は,十分抑制される場合もあれば,ESD発生器の過渡電磁界に影響を与える場合もある。
ESD試験中の誤作動が,使用する特定のESD発生器に強く依存する可能性については,この規格では規
定していない。
D.2 ESD試験に対するEUTの応答
ESD試験中の広範囲な電気的妨害に対するEUTの応答を試験する。その範囲には,次を含む。
− 誘電体の絶縁破壊に対する電圧
− 印加点から離れたギャップに対する二次絶縁破壊
− 電圧降下(RI drop)に対する電流

――――― [JIS C 61000-4-2 pdf 39] ―――――

38
C 61000-4-2 : 2012 (IEC 61000-4-2 : 2008)
− 誘導負荷による電圧降下(L di/dt drop)に対する磁界
− 誘導電圧に対する電磁界(電磁界は遠方界及び近傍界の双方があり得る。)
この観点から,ESD試験は,これらの複数の試験を一つに集約することで放射電磁界試験(EMS)とは
異なる。
ESD試験での異なる妨害によるEUTの故障の幾つかの例を,次に示す。
− 集積回路(IC)に対するダメージを引き起こすコネクタピンへの放電
この例では,IC内で消費したエネルギー,最大電流,又はIC内で移動する電荷は,ダメージのしき
い値をほとんど決定する。
− 火花がICに到達可能なプラスチックきょう体内のギャップ間の放電
この場合,ESD試験は,プラスチックの継ぎ目の間のギャップにおける誘電体の絶縁破壊強度を決定
する。
− シャーシの中にあるシステムが,誤作動を引き起こす原因となる,シャーシへの放電
この例では,システムのICとの直接結合,又はプリント基板配線若しくは配線と結合するESD現象
の過渡電磁界のほとんどが,システムの論理機能を誤作動させるような電圧又は電流を発生させる。
ESD発生器内の電流から電磁界への結合のメカニズムは,ある程度離れた距離(例えば,20 cm)でも,
電流時間微分の影響が強い。さらに,電磁界とEUTの配線,プリント基板配線又はICとの間の結合は,
電界及び磁界の微分の関数である。要約すると,電磁界発生及び誘導プロセスにおける時間微分は,印加
電流に寄与する。そのため放電電極での電流とは異なるパルス波形が生じ,かつ,プリント基板配線には
その電磁界によって誘導される別の電圧が発生する結果となる。配線内の誘導電圧は,通常は規格で規定
した初期ESD電流より一層狭い時間幅をもち,リンギングが現れることもある。
特定のESD発生器の設計では,過渡電磁界(特に300 MHzを超える周波数領域でエネルギーをもつ電
磁界成分)の依存性によって,プリント基板配線,配線又はIC内部の誘導電流が,その設計に強く影響を
受けることを考慮する必要がある。このことは,同じEUTを異なるESD発生器で試験したとき,ESD発
生器の製造業者が,放電リレー内の高速電圧降下による不要電磁界の発生を最小にするような予防措置を
講じていない場合,試験結果(ほとんどの場合は,破壊ではなく誤作動)は大きく変動することを意味す
る。主に1 GHz以上の高周波電磁界に対してEUTが敏感である場合にだけ,このような試験結果におけ
る違いが起こることに注意する。
D.3 ESD関連現象の過渡電磁界
充電電圧5 kV,立上り時間850 psをもつ人体と金属との間のESD過渡電磁界を測定した。理想的なESD
発生器は,5 KVの接触モード試験に対し,それらの電磁界を再現する。データを取得するために,広帯域
(1.5 MHz1.5 GHzで±1 dB)の電磁界センサを,放電ポイント(すなわち,目標位置)から0.1 mの距
離にある垂直基準面上に設置した。

――――― [JIS C 61000-4-2 pdf 40] ―――――

次のページ PDF 41

JIS C 61000-4-2:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61000-4-2:2008(IDT)

JIS C 61000-4-2:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 61000-4-2:2012の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC60050-161:1997
EMCに関するIEV用語