JIS C 6183-1:2019 光スペクトラムアナライザ―第1部:試験方法 | ページ 2

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C 6183-1 : 2019
ここに, ut : 被試験器の合成標準不確かさ
uto : 標準試験条件における不確かさ
uti : 各動作条件に対する不確かさの寄与
i : 各動作条件に対する添字
p : 動作条件の数
また,式(1)で算出した不確かさの値を式(2)に代入して,拡張不確かさを算出する。被試験器の精度(誤
差の限界)を表示する場合は,拡張不確かさの値を用いる。
U k tu (2)
ここに, U : 拡張不確かさ
k : 包含係数
約95 %の信頼の水準に対してはk=2となる。約99 %の信頼の水準を選択する場合,k=3となる。この
kの値は,ISO/IEC Guide 98-3:2008の記載に沿って,その有効性を確認することが望ましい。有効でない
場合,より大きい包含係数を,これらの信頼の水準を達成するために用いることが望ましい。

5.3 確度の算出方法

  被試験器の確度の評価方法は,まず標準試験条件における不確かさ及び確度の試験で指示値のかたより
及び不確かさを求め,次に各動作条件に対する不確かさ及び確度の試験で被試験器の不確かさの寄与を求
める。次に,これらのかたより及び不確かさの値を式(3)に代入することによって動作誤差の限界を算出し,
被試験器の確度とする(A.6を参照)。
p
εtu
Dto k ut Dto k uto2 ut2i (3)
εtl i 1
ここに, εtu : 動作誤差の上限
εtl : 動作誤差の下限
Dto : 被試験器のかたより
k : 包含係数
ut : 被試験器の合成標準不確かさ
uto : 標準試験条件における不確かさ
uti : 各動作条件に対する不確かさの寄与
i : 各動作条件に対する添字
p : 動作条件の数
包含係数kの値は,求めるべき確度の信頼の水準に応じて適切に選択するとともに,その値を明記する。
なお,かたより補正ができる場合は,式(3)の第1項を除いてよい。
注記1 式(3)で算出した誤差の限界値の区間は,式(2)で算出した拡張不確かさと同じになる。
注記2 かたよりDtoは,各被試験器ごとに固有の値をもつ。Dtoを被試験器ごとのばらつきとみなし,
同一光スペクトラムアナライザ製品群の仕様値として確度を評価する場合は,式(A.14)又は
式(A.15)によって誤差の限界値を算出してもよい。ただし,対象となる光スペクトラムアナ
ライザ製品の台数が少なく,製品ごとのDtoの分布を精度よく求められない場合は,評価結
果が不正確となる可能性があるため,十分な注意が必要である。

6 波長の不確かさ及び確度の試験

6.1 波長の不確かさ及び確度の試験の概要

  波長の不確かさを決める要因は,標準試験条件下での被試験器固有のかたより及び測定の不確かさ,並

――――― [JIS C 6183-1 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
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びに動作条件(波長依存特性及び温度依存特性)に依存した不確かさである。前者を標準試験条件におけ
る波長の不確かさ及び確度の試験で求め,後者を動作条件における波長の不確かさ及び確度の試験で求め
る。波長の不確かさは,各試験の結果を式(1)及び式(2)に代入して算出する。また,試験結果を式(3)に代入
することによって,被試験器に対する確度(動作誤差の限界)を求めることができる。
なお,6.2及び6.3で規定する波長の不確かさは,特に記載がない限り,1回の測定によって得た測定値
に対するものである。

6.2 標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験

  図1に,標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験の試験系を示す。試験は,標準試験条件
で行う。
光源 被試験器
光ファイバ
図1−標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験の試験系
標準試験条件における波長の不確かさ及び確度の試験の装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 被試験器にその校正用光源の設定がある場合には,その光源を用いる。設定がない場合は,
スペクトル半値幅が,被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭く,かつ,被試験器の波長不確
かさに対して十分高い波長安定度をもつ光源を用いる。光源は,表1に示すレーザ又は波長安定化
単一縦モード半導体レーザであることが望ましい。
表1−推奨光源
光源 真空中波長
nm
488.122
Arレーザ
514.673
632.991
He−Neレーザ 1 152.590
1 523.488
b) 試験
1) 図1の試験系で,被試験器のスペクトル分解能Rを可能な限り小さい値に設定し,光源のスペクト
ル分布が表示できるように被試験器の波長掃引範囲を設定した後,測定データの波長読取間隔λsmp
が式(4)を満足するように波長掃引幅S及び測定データの表示ポイント数Nを調整する。このとき,
λsmpはSをNで除した値となる。
R
λsmp ≦ (4)
10
2) 被試験器によって波長λ0の光源のスペクトル分布を求め,そのピーク波長を測定する。この測定を
1 nm)
10回以上繰り返して行い,i番目のピーク波長の測定値をλ1i(nm)として,式(5)によって平均
を算出する。

――――― [JIS C 6183-1 pdf 7] ―――――

6
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m
1
λ1 λ1i

(pdf 一覧ページ番号 )

                            mi1
ここに, m : 繰返し測定の回数
3) 式(6)及び式(7)によって,百分率のかたよりDλt(%)及びばらつきに伴う百分率不確かさuλtd(%)
を算出する。
λ1λ0
Dλt 100 (6)
λ0
m
1 2 100
uλ td (λ1i
λ1) (7)
m 1 i 1 λ0
4) 波長について被試験器の標準試験条件での標準不確かさuλto(%)は,式(8)で算出する。
2
uλto uλtdusx2 (8)
ここに, usx : 光源の波長の百分率不確かさ(%)
なお,光源の波長の不確かさusxが,ばらつきに伴う不確かさuλtdの1/10未満の場合は,usxは無
視しても構わない。
注記 複数回(例えば,m回)の測定結果の平均を測定値とする場合には,式(8)のばらつきに伴う
不確かさuλtdの値を,uλtd /mに置き換えて算出したuλtoの値を,標準試験条件での標準不確
かさとする。

6.3 動作条件における波長の不確かさ及び確度の試験

6.3.1  動作条件における波長の不確かさ及び確度の要因
動作条件において波長不確かさ(確度)に寄与する要因として,次の2項目による不確かさを評価する。
a) 波長依存特性
b) 温度依存特性
注記 複数回の測定結果の平均を測定値とする場合も,ここで評価した不確かさを,そのまま動作条
件における不確かさとして用いてもよい。
6.3.2 波長依存特性
図2に,波長依存特性の試験系を示す。試験は,標準試験条件で行う。
光源 被試験器
光ファイバ
波長計
図2−波長依存特性の試験系
波長依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置

――――― [JIS C 6183-1 pdf 8] ―――――

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1) 光源 スペクトル半値幅が,被試験器の設定スペクトル分解能より十分狭く,かつ,その波長安定
度が,被試験器の波長不確かさに対して十分よい光源を用いる。光源は,表1に示すレーザ又は波
長安定化単一縦モード半導体レーザであることが望ましい。
2) 波長計 光源の波長を測定するもので,波長試験の精度に対して十分な性能をもつものを用いる。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した波長範囲内で上限及び下限の近傍の波長を含み,なるべく等
間隔となるように配置した5点以上の波長を発生可能な光源(波長可変光源又は複数の光源のセッ
ト)を用意し,そのj番目の波長をλ0j(nm)とする。
2) 波長λ0jが不明の光源の場合,波長計を用いて各光源の波長を測定する。波長λ0jが十分な精度で既
知の光源を用いる場合は,その値をそのまま光源の波長として用いる。
3) 番目の光源を被試験器に接続し,被試験器によって測定したピーク波長をλ1j,i(nm)とする。この
測定を10回以上繰り返して行い,式(9)によって百分率のかたよりDλt,λj(%)を算出する。

1 100
Dλt,λj λ0 j
λ1 j,i (9)
mλ i 1 λ0j
ここに, mλ : 繰返し測定の回数
4) 3) の測定を,用意した全ての波長に対して実施する。各波長におけるかたよりDλt,λj( j=1, 2,···)
の値から,式(10)によって,波長依存性に伴う不確かさuλt,λ(%)を算出する。
1
uλt, λ max
j

(pdf 一覧ページ番号 )

                                     (| Dλt, λj |)
3

なお,繰返し測定の回数mλは,mλ≦100の範囲で,測定のばらつきに伴うDλt,λjの不確かさuλtd /
が,不確かさの寄与uλt,λに比べて十分小さくなるように設定する。
6.3.3 温度依存特性
図3に,波長不確かさの温度依存特性の試験系を示す。試験は,温度を除き標準試験条件で行う。
光源 被試験器
光ファイバ
恒温槽
図3−温度依存特性の試験系
温度依存特性の試験における装置及び試験手順は,次による。
a) 装置
1) 光源 6.2 a) による。
b) 試験手順
1) 被試験器に対して製造業者が設定した使用温度範囲の上限及び下限を含み,等間隔に配置した5点
以上の試験温度を設定し,そのj番目の温度をTjとする。
2) 被試験器の温度がj番目の試験温度となるように恒温槽の温度を設定し,波長λ0の光源のスペクト
ル分布を被試験器によって測定したときのピーク波長をλTj,iとする。この測定を10回以上繰り返し

――――― [JIS C 6183-1 pdf 9] ―――――

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て行い,式(11)によって百分率のかたよりDλt,Tj(%)を算出する。
mT
1 100
Dλt, Tj λ0
λTj,i (11)
mT i 1 λ0
ここに, mT : 繰返し測定の回数
3) 2) の測定を,設定した全ての温度に対して実施する。各温度におけるかたよりDλt,Tj( j=1, 2,···)
の値から,式(12)によって,波長依存性に伴う不確かさuλt,T(%)を算出する。
1
uλt, T max
j

(pdf 一覧ページ番号 )

                                     (| Dλt,Tj |)
3
なお,繰返し測定の回数mTは,mT≦100の範囲で,測定のばらつきに伴うDλt,Tjの不確かさ
mが,不確かさの寄与uλt,Tに比べて十分小さくなるように設定する。
uλtd /T

6.4 波長不確かさの合成

  6.2及び6.3で算出した波長不確かさの測定結果を式(1)に代入し,合成波長不確かさuλt(%)の算出式と
して,式(13)を得る。
2 2 2
uλt uλtouλt,
λ uλt,
T (13)

6.5 確度

  波長のかたより及び不確かさの算出結果を式(3)に代入すれば,波長の確度を規定する誤差の上限ελtu(%),
下限ελtl(%)の算出式として,式(14)を得る。
ελtu 2 2 2
Dλtk uλt Dλtk uλtouλt,
λuλt,
T (14)
ελtl
包含係数kの値は,求めるべき確度の信頼水準に応じて適切に選択するとともに,その値を明記する。

7 パワーレベルの不確かさ及び確度の試験

7.1 パワーレベルの不確かさ及び確度の試験の概要

  パワーレベルの不確かさを決める要因は,標準試験条件下での被試験器固有のかたより及び測定の不確
かさ,並びに動作条件(波長依存特性,偏光依存特性,直線性及び温度依存特性)に依存した不確かさで
ある。前者を標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験で求め,後者を動作条件にお
けるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験で求める。パワーレベルの不確かさは,各試験の結果を式(1)
及び式(2)に代入して算出する。また,試験結果を式(3)に代入することによって,被試験器に対する確度(動
作誤差の限界)を求めることができる。
なお,7.2及び7.3で規定するパワーレベルの不確かさは,特に記載がない限り,1回の測定によって得
た測定値に対するものである。

7.2 標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験

  図4に,標準試験条件におけるパワーレベルの不確かさ及び確度の試験の試験系を示す。試験は,標準
試験条件で行う。

――――― [JIS C 6183-1 pdf 10] ―――――

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JIS C 6183-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧

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