JIS C 6704:2017 人工水晶 | ページ 9

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C 6704 : 2017
附属書F
(参考)
水晶の座標系に関するこの規格とIEEE規格との相違
F.1

まえがき

  IEEE(米国電気電子学会)は1987年に,水晶の規格であるIEEE Std 176-1978を改正してIEEE Std
176-1987(以下,IEEE規格という。)とした。IEEE規格に規定する水晶の結晶軸の取り方は,この規格
での水晶の結晶軸の取り方とは異なる。
F.2 この規格とIEEE規格との相違点
この規格とIEEE規格との主な相違点を,次に示す。
a) この規格では,右水晶は右手直交座標系を,左水晶は左手直交座標系を用いるが,IEEE規格では,
右水晶及び左水晶において右手直交座標系を用いる。
b) この規格の右水晶をZ軸に対して180°回転すると,IEEE規格の右水晶になる。この規格の左水晶を
Y軸に対して180°回転すると,IEEE規格の左水晶になる。
c) この規格では,左水晶の材料定数(弾性定数及び圧電定数)は全て,右手系水晶の材料定数と同じに
なる。IEEE規格では,右水晶と左水晶とで弾性定数は同じになるが,圧電定数の符号は全て反対に
なる。
d) この規格では,弾性定数c14の符号及び圧電定数e11の符号は負,かつ,圧電定数e14は正の値である。
一方,IEEE規格では,c14,e11及びe14は,全て正の値である。
e) この規格では,右水晶のATカットの表現は+35°回転Yカットとなるが,IEEE規格では,−35°
回転Yカットとなる。
現在,国際的な学術論文ではIEEE規格で水晶の材料定数などを表現するので,この規格とIEEE規格
との違いによる材料定数及び水晶の座標系による混乱が生じないように注意する。
左水晶に右手座標系を採用する方法として,Z軸を反転する方法とX軸を反転する方法とが考えられる。
X軸を反転する方法を採用した場合,Z軸に対して180°回転すると,IEEE規格の左水晶になる。
IEEE規格の左水晶及び右水晶の座標系を図F.1に,この規格の左水晶及び右水晶の座標系を図F.1Aに
示す。

――――― [JIS C 6704 pdf 41] ―――――

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C 6704 : 2017
a) 左水晶 b) 右水晶
図F.1−IEEE規格の左水晶及び右水晶の座標系

――――― [JIS C 6704 pdf 42] ―――――

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C 6704 : 2017
a) 左水晶 b) 右水晶
図F.1A−JISの左水晶及び右水晶の座標系

――――― [JIS C 6704 pdf 43] ―――――

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C 6704 : 2017
附属書G
(参考)
分散型赤外分光光度計とフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)との
α値測定における整合性
G.1 はじめに
従来,α値(赤外線吸収係数)測定のための主な測定器は,分散型赤外分光光度計であったが,附属書
Eの測定方法にも記載する分散型赤外分光光度計は,一般的には最近の10年ではもう販売されていない。
水晶の赤外線の吸光度を測定するために,今,入手可能な測定器は,フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)
である。
IEC 60758(第4版)及びこれに対応するJIS C 6704の改正時に,分散型赤外分光光度計及びFT-IRを
用いてα値を測定し,FT-IRでも分散型赤外分光光度計と同等の測定結果が得られた。FT-IRには,シング
ルビーム方式とダブルビーム方式とがあるが,この測定ではダブルビーム方式のFT-IRを用いた。ダブル
ビーム方式では一つの光線を参照光として用い,同時にサンプルの測定信号を較正する。これによって,
ベースラインの変動を補正することができる。一般的に普及しているFT-IRはシングルビーム方式だが,
ベースラインの安定性はダブルビーム方式よりも劣っていると考えられている。
今回,標準的なシングルビーム方式のFT-IRでもα値測定に適用できることを確認するため,改めて検
証試験を実施した。
G.2 測定
附属書Eのラウンドロビン試験で用いたのと同じ水晶サンプルを,分散型赤外分光光度計及びFT-IRで
測定した。この実験において,四つの会社で商業的に入手可能なFT-IR機器を用いた。それらの結果を慎
重に検討した。満足な条件を決定するための基準値は,附属書Eのラウンドロビン試験において実行され
た測定の許容値に対して,3 585 cm−1で±12.5 %,3 500 cm−1で±9 %であった。このため,次のとおり,
FT-IR測定のための測定条件を再考した(4.2.6.2及び附属書E参照)。
a) サンプルを,次の条件に置く。
− 光がサンプルから出る面を,焦点面から5 mm以内に置く。
− 焦点を,サンプルとアパーチャとの間に置く。
b) T-IRの走査スピードは,範囲1.0 cmから4.0 cmまで−1の波数の分解能を維持するように調整する。
c) アパーチャサイズは,直径25 mmとする。
d) 光は,Y軸と平行になるように位置合わせをする。サンプルのX軸は,上に向ける。
e) T-IRシステムのための積算回数は,18回以上とする。
f) アパーチャは,サンプルと焦点面との間で,基準波数で光量が最大になるように設置する。
g) サンプルを取り除いた状態で,基準波数及び吸収を測る全ての波数での透過率の読みが100 %になる
ように装置を補正する。
h) 基準波数は,3 800 cm−1±3 cm−1又は3 979 cm−1±3 cm−1とする。
i) サンプルチャンバーの空気は,常に乾燥した空気を供給する。

――――― [JIS C 6704 pdf 44] ―――――

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C 6704 : 2017
G.3 結果
IEC/TC49の日本国内委員会は5社の水晶メーカの人工水晶のラウンドロビン試験を行った。α値を測定
するために,1999年にラウンドロビン試験で用いたものと同じサンプルで,様々なα値をもつ五つのサン
プルが準備された。このテストで得られた平均値,最大値及び最小値を,今回の実験の仕組みに当てはめ
てみた。測定値が参考値の最高点と最小の値との間の範囲内にプロットされるような許容範囲を定義した。
波数3 500 cm−1の参考値αと今回の測定値α´との相関グラフを,図G.1のa) d) に示す。点線は推奨
された参考値を表し,実線は測定値を表す。測定値α´は,参考値の最大値と最小値との間にプロットされ
ている。全ての測定結果が,許容範囲にあるので,FT-IRシステムを用いる測定システムは,G.2に記載す
る条件に対して十分正確である。
また,波数3 585 cm−1の参考値αと今回の測定値α´との相関グラフを,図G.1のe) h) に示す。測定
値α´は,参考値の最大値と最小値との間にプロットされている。全ての測定結果は,3 500 cm−1の方法と
同様に,許容範囲にある。正確な測定は,波数3 500 cm−1と同じ方法で行った。
3 585 cm−1の吸光ピークは,非常に鋭く,狭いので,低い解像度によっては検出しづらい。したがって,
3 585 cm−1を用いる測定は,分散型赤外分光光度計を用いる最も難しい方法のうちの一つである。
現状では,従来のα値を得るために,3 500 cm−1の波長が選ばれている。これは,この吸光ピークがか
なり浅く,α値を測定しやすいからである。システムを測定しているFT-IRの波数解像度は理論上非常に
高いため,3 585 cm−1のスペクトルで測定するピークが非常に鋭く,測定値α´は,幾つかの測定後に僅か
なエラーをもっていた。全ての測定値は,小さな許容値の参考値内にあり,また,この結果は,分散型赤
外分光光度計と一致する。これらの結果は,現在入手可能なFT-IRは値の決定のために使用可能であるこ
とが確認されたことを示している。
0.20 0.20
0.15 0.15
測定値
測定値
0.10 0.10
y=1.010 3x−0.001 4 y=1.004 5x−0.004 6
0.05 0.05
0.00 0.00
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.00 0.05 0.10 0.15 0.20
参考値 参考値
a) α3 500メーカA 積層回数20回 b) α3 500メーカB 積層回数18回
図G.1−参考値αと測定値α´との相関

――――― [JIS C 6704 pdf 45] ―――――

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JIS C 6704:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60758:2016(MOD)

JIS C 6704:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6704:2017の関連規格と引用規格一覧