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C 8500 : 2017
消費財の品質評価(SMMP)に関わる一般事項について,附属書Eに参考として記載する。
一次電池の容量の求め方として,D.2.3に詳述する放電試験方法が確立されているが,消費者の実使用に
おける容量と,放電試験方法によって得られる容量とは必ずしも一致しない。
容量に影響を与える次のa) d) の要因の中で,長時間連続の大電流,高いカットオフ電圧,及び低い温
度で使用することが,大きく容量を低下させる最も悪い条件になる。
a) 外部電気回路又は機器から要求される電流
b) 電流要求頻度(連続使用又は間欠使用)
c) 機器が正常に動作する最低電圧(カットオフ電圧)
d) 使用温度
電気的又は化学的に導き出される一次電池の容量は,電池の性能を完全な形で表すことはできないが,
電池を機器に使用するときに,使用者に対して電池性能の目安を示す値として有用である。JIS C 8515に
規定する放電試験条件は,市場に存在する様々な電池使用機器の電気的使用条件をそのまま再現するもの
ではないことに注意する必要がある。また,電池性能は,上記条件a) d) のうち,一つ又はそれ以上の複
合的な影響を受ける可能性がある。
5.1.1及び5.25.7Bは,ISO/IEC Guide 36:1982(1998廃止),SMMPを参考にしている。
5.1.1 測定機器
5.1.1.1 電圧測定
電圧測定機器の確度は,0.25 %以下で,精度は,有効数字丸め幅の50 %以下とする。測定機器の入力抵
抗は,1 MΩ以上とする。
5.1.1.2 寸法測定
寸法測定器は,JIS B 7507に規定する測定長200 mm以下で最小読取値0.05 mmのノギス又はこれと同
等以上の精度をもたなければならない。また,測定許容差が小数点以下2桁の場合には,JIS B 7502に規
定するマイクロメータ又はこれと同等以上の精度をもたなければならない。
5.2 放電試験
5.2.1 一般
放電試験は,次のいずれかの方法による。
− 応用試験
− 放電出力試験
いずれの試験も,放電負荷は,6.4による。
負荷及び試験の条件設定は,5.2.2及び5.2.3による。
5.2.2 応用試験
5.2.2.1 一般
応用試験は,次による。
a) 機器の平均消費電流及び平均作動電圧から,相当する負荷抵抗を計算によって求める。定電流又は定
電力の負荷については,その応用試験の出力要求パターンが示す定電流又は定電力をそのまま用いれ
ばよい。
b) 使用対象となる標準的な機器の計測データから,機器の作動終了電圧,及び相当する負荷抵抗,電流
負荷又は定電力値を求める。
c) ) の作動終了電圧,相当する負荷抵抗値などは,データの中央値を採用する。
d) 機器の計測データが二つ以上のグループになる場合,試験条件は,二つ以上あってもよい。
――――― [JIS C 8500 pdf 11] ―――――
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応用試験は,放電負荷又は放電サイクルのいずれか又は両方を用い,実際よりも加速した条件にするこ
とがある。負荷及び間欠時間は,次の要因を考慮して決めるとよい。
− 機器に応じた電池の放電効率
− 機器によって決まる典型的な放電サイクルのパターン
− 30日を超えない試験の合計時間
注記1 特定の例では,定電流試験又は定電力試験がより的確な場合もあるが,試験設備の簡易化及
び信頼性確保の観点から定抵抗試験を選択している。
今後は,この負荷条件の見直しを必要に応じ,効果的に実施する必要がある。実際,ある
機器の特定分野では,時代とともに技術が進歩し,それに伴いその負荷特性も変更又は追加
されるため,この見直しは重要である。また,機器ごとの作動終了電圧を正確に決定するこ
とは,困難である。1種類の機器の中でも,その特性は大きく異なることがあるため,最良
の放電条件を選択する必要がある。
5.2.2に規定する応用試験は,上記の制約を考慮した上で選択しており,一次電池の性能評
価に最適である。
注記2 試験項目数の増加をできる限り抑えるために,一次電池の形式別に80 %の需要を占める用途
に対し,その応用試験を設定することが望ましい。
5.2.2.2 二つ以上の負荷のある応用試験
二つ以上の負荷のある応用試験では,特に規定がない限り,重負荷のほうから試験を開始する。
5.2.3 放電出力試験
放電出力試験における負荷抵抗値は,試験期間が約30日間になるように選択するのがよい。
一次電池の全容量を放電するために,これを超える期間が必要な場合には,その延長時間が最短になる
ように,6.4に規定する負荷抵抗の中から,より大きい値の抵抗を選択する。
注記 負荷抵抗値が大きくなると放電電流は小さくなり,これに伴い放電時間は長くなり,一次電池
の全容量を放電することが容易になる。
5.3 最小平均持続時間(MAD)の適合性判定
一次電池の適合性を確認するために,JIS C 8515に規定する応用試験又は放電出力試験のいずれかを選
択することが望ましい。
適合性の判定は,次による。
a) 試験する電池の試料数は,8個とする。
b) 8個の試験値を用いて平均値を求める。
c) 求めた平均値が最小平均持続時間(以下,MADという。)以上で,かつ,MADの80 %未満の試験値
を示した電池が1個以下のとき,これらの電池は,特性値に適合する。
d) 求めた平均値がMAD未満のとき,及び/又はMADの80 %未満の試験値を示した電池が2個以上あ
るとき,これらの電池は特性値に不適合とはせず,別の8個の試料を用いて試験を繰り返し,1回目
の試験と同じ方法で平均値を求める。
e) 2回目の試験の平均値がMAD以上で,かつ,MADの80 %未満の試験値を示した電池が1個以下のと
き,これらの電池は,特性値に適合する。
f) 2回目の試験の平均値がMAD未満のとき,及び/又はMADの80 %未満の試験値を示した電池が2
個以上あるとき,これらの電池は特性値に不適合とし,3回目の試験は行わない。
g) 基準への適合性の判定に当たっては,初度の放電試験終了後に条件付き適合としてもよい。
――――― [JIS C 8500 pdf 12] ―――――
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注記 一次電池の放電特性は,JIS C 8515に規定している。
5.4 最小平均持続時間(MAD)の計算方法
MADの計算方法は,附属書Fによる。
注記 附属書Fは,MADを審議する場合に考慮する基本的な考え方の一つを示している。
5.5 開路電圧
開路電圧は,試験前に,試料を温度20±2 ℃,相対湿度(55±20)%に8 h以上保管し,5.1.1.1に規定
する電圧測定機器を用いて測定する。
5.6 寸法
寸法は,5.1.1.2に規定する寸法測定器を用いて測定する。
5.7 漏液及び変形
試験前に,試料を温度20±2 ℃,相対湿度(55±20)%に8 h以上保管する。
規定の条件で放電出力試験を終了した後,更に同一条件で,閉路電圧が公称電圧の40 %を最初に下回る
まで放電2) を継続する。次に,4.1.3,4.2.2及び4.2.3に規定する要求事項に適合するか否かを調べる。
注記 高温貯蔵時の漏液及び変形は,次の環境条件に一次電池を30日間貯蔵し,その間に4.1.3,4.2.2
及び4.2.3に規定する要求事項に適合するか否かを調べるのがよい。
− 電池系A,L,P,S及びZの一次電池並びにマンガン乾電池の場合は,温度45±2 ℃,相
対湿度70 %以下。
− 電池系B,C,E,F及びGの一次電池の場合は,温度60±2 ℃,相対湿度70 %以下。
注2) 過放電と呼ぶ。
5.7A 端子
端子の試験は,目視によって形状を確認して適合性を判定する。
5.7B 外観
外観の適合性の判定は,目視による。
6 品質特性-放電試験条件
6.1 貯蔵及び放電条件
放電試験前の環境条件は,特に規定がない限り,表3による。表3に規定する放電条件を,標準試験条
件とする。
表3−貯蔵及び標準試験条件
試験 貯蔵 放電
温度 相対湿度 期間 温度 相対湿度d)
℃ % ℃ %
−
20
初度放電試験 20±2 a) 55±20 製造後,最大60日間 20±2 5+
5 40
−
20
貯蔵後放電試験 20±2 a) 55±20 12か月間 20±2 5+
5 40
−
20
高温貯蔵後放電試験b) ) 45±2 55±20 13週間 20±2 5+
5 40
注a) 短期間の場合には,貯蔵温度は20±5 ℃の範囲内でもよい。
b) この試験は,受渡当事者間の協定で要求する場合に実施する。品質特性の要求事項は,受渡当事者間の
協定による。
c) 一次電池は,包装を解いて貯蔵する。
d) 電池系Pの電池の場合には,相対湿度(55±10)%とする。
――――― [JIS C 8500 pdf 13] ―――――
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6.2 貯蔵後の放電試験開始
貯蔵終了から貯蔵後放電試験の開始までの期間は,14日間を超えてはならない。
この期間,標準試験条件に電池を保管しなければならない。
高温貯蔵後の放電試験開始前には,標準試験条件に電池を1日以上保管しなければならない。
6.3 放電試験条件
6.3.1 一般
JIS C 8515に規定する放電試験条件で,閉路電圧が最初に終止電圧を下回るまで電池を放電する。放電
出力は,持続時間,アンペア時又はワット時で表してもよい。
6.3.2 適合
二つ以上の放電出力試験をJIS C 8515で規定している場合,それらの要求事項に適合しなければならな
い。
6.4 負荷抵抗
全ての外部回路を含む放電負荷抵抗の値は,JIS C 8515による。抵抗値の許容誤差は±0.5 %でなければ
ならない。
新たに試験方法を規定する場合,放電負荷抵抗値(Ω)は,できる限り表4に規定する数値から選択す
る。
表4−負荷抵抗
単位 Ω
1.00 1.10 1.20 1.30 1.50 1.60 1.80 2.00
2.20 2.40 2.70 3.00 3.30 3.60 3.90 4.30
4.70 5.10 5.60 6.20 6.80 7.50 8.20 9.10
負荷抵抗は,これらの10n倍(nは,正又は負の整数)でもよい。
6.5 放電時間
放電及び放電休止の時間は,JIS C 8515による。新たに試験方法を規定する場合,1日当たりの放電時
間は,できる限り表5に規定する時間から選択する。その他の放電時間は,JIS C 8515による。
表5−放電時間(推奨値)
1 min 5 min 10 min 30 min 1h
2h 4h 12 h 24 h(連続) −
6.6 試験条件の許容差
試験条件の許容差は,特に規定がない限り,表6による。
――――― [JIS C 8500 pdf 14] ―――――
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表6−試験条件の許容差
試験パラメータ 許容差
温度 ±2 ℃
負荷 ±0.5 %
電圧 ±0.5 %
相対湿度 電池系P以外の電池 :
20 %
−
+
40
電池系Pの電池 : ±10 %
時間確度 0<放電時間td≦2 s tdの±5 %
2 s<放電時間td≦100 s ±0.1 s
放電時間td>100 s tdの±0.1 %
6.7 “電池系Pの電池”の活性化
電池系Pの電池は,電気的試験を行う前に,空気孔シールを除去した後10 min以上放置(活性化)しな
ければならない。
7 サンプリング及び品質保証
抜取検査方式又は製品品質指数の採用は,受渡当事者間の協定によるのがよい。
特に協定がない場合,抜取検査方式及び品質適合評価については,JIS Z 9015の規格群及びISO 21747
を参照。
8 電池の包装
電池の包装,出荷,貯蔵,使用及び廃棄の方法は,附属書Gによる。
――――― [JIS C 8500 pdf 15] ―――――
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JIS C 8500:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60086-1:2015(MOD)
JIS C 8500:2017の国際規格 ICS 分類一覧
JIS C 8500:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7502:2016
- マイクロメータ
- JISB7507:2016
- ノギス
- JISC8513:2015
- リチウム一次電池の安全性
- JISC8513:2020
- リチウム一次電池の安全性
- JISC8514:2018
- 水溶液系一次電池の安全性
- JISC8515:2017
- 一次電池個別製品仕様
- JISZ9015:1980
- 計数調整型抜取検査(供給者を選択できる場合の購入検査)