この規格ページの目次
4
C 8704-2-1 : 2019
蓄電池の電圧表示に用いる電圧(V)。
3.24
型式検査(performance inspection)
製品の品質が,設計が意図する全ての特性を満足するか否かを判定するための検査。
3.25
受渡検査(delivery inspection)
既に型式検査に合格したものと同じ設計及び製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める特性を
満足するか否かを判定するための検査。
4 機能的特性
蓄電池の機能的特性は,表1の試験項目及び目的で規定する。各項目の要求事項は,JIS C 8704-2-2に
規定している。
表1−機能的特性試験項目
項目 目的 箇条番号
6.1A
密閉反応効率特性試験 蓄電池外に放出されたガス量から蓄電池内部でのガス吸収効率を確認する。
最大放電電流試験 導電部の溶断及び外観変形がないことを確認する。 6.2A
防爆特性試験 防爆部品及び/又は防爆構造の機能を確認する。 6.4A
表示の耐久特性試験 表示の耐久性を確認する。 6.6
制御弁作動特性試験 制御弁作動圧を確認する。 6.8A
容量試験 10時間率における放電能力を確認する。 6.11
容量保存特性試験 一定期間保存後の残容量を確認する。 6.12
回復充電特性試験 放電後の浮動充電による容量回復特性を確認する。 6.14
高温特性試験 高温稼動条件下における蓄電池の耐久性を確認する。 6.16A
過充電寿命特性試験 過充電による電池の寿命特性を確認する。 6.22
5 一般試験条件
5.1 計測器具の精度
5.1.1 電気計器
a) 計器の測定範囲
1) 電圧及び電流測定に使用する計測器の精度は,各試験結果を保証できるものとする。
2) アナログ計測器の場合には,測定値の有効数字3桁が読み取れるものとする。
3) 必要とする精度が得られる場合には,他の計測器を用いてもよい。
b) 電圧の測定
1) 電圧の測定には,JIS C 1102規格群に規定するクラス0.5級以上の計測器又はこれと同等以上の精
度をもつ計測器を用いる。
2) 計測器の内部抵抗は,少なくとも10 kΩ/Vとする[JIS C 1102規格群又はIEC 60359参照]。
c) 電流の測定
1) 電流の測定には,JIS C 1102規格群に規定するクラス0.5級以上の計測器又はこれと同等以上の精
度をもつ計測器を用いる。
2) 計測器は,測定に使用する分流器,リード線を含めた精度が0.5級又はこれと同等以上とする[JIS
――――― [JIS C 8704-2-1 pdf 6] ―――――
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C 1102規格群又はIEC 60359参照]。
5.1.2 温度の測定
温度の測定には,JIS B 7414に規定する許容差±1 ℃の温度計又はこれと同等以上の精度をもつ温度計
を用いる。
5.1.3 時間の測定
時間の測定には,精度±1 %以上又はこれと同等以上の計測器を用いる。
5.1.4 体積の測定
ビュレット又はメスシリンダは,JIS R 3505に規定するもの,又はこれと同等以上の精度をもつものを
用いる。
5.1.5 長さの計測
長さの計測には,精度±0.1 %又はこれと同等以上の計測器を用いる。
5.1.6 質量の計測
質量の計測には,精度±1 %又はこれと同等以上の計測器を用いる。
5.1.7 ガス圧力の計測
圧力の計測には,精度±10 %又はこれと同等以上の計測器を用いる。
5.1.8 ガス量の計測
ガス量の計測には,精度±5 %又はこれと同等以上の計測器を用いる。
5.2 試験電池の準備
試験電池の準備は,次による。
a) 試験電池に用いる型式はJIS C 8704-2-2の表2(型式検査の対象)による。
b) 蓄電池は,製造後6か月以内のものを使用する。ただし,保管条件は,製造業者が指定する方法によ
る。
c) 蓄電池は,満充電されたものを用いる。
製造業者が別の申し入れをしない限り,蓄電池は,製造業者が推奨する定電圧で充電中に,蓄電池
の表面温度の変化を考慮に入れた上で,電流の読みが2時間にわたって著しい変化を示さない場合,
満充電されたものとする。
d) 試験は正立位置にある蓄電池について行う。ただし,製造業者による承認の下で,異なった方向で蓄
電池が使用される予定の場合はこの限りではない。
6 試験方法
6.1 ガス放出特性試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JAに移し,参考と
して記載した。)
6.1A 密閉反応効率特性試験
密閉反応効率特性試験は,6.11の10時間率定格容量試験を終了した蓄電池を用いて満充電状態にした後,
次の条件によって試験を行い,密閉反応効率を算出する。
a) 充電 充電は,0.1×I10(0.01 C10 A)の一定電流で連続96時間行う。ここに,I10はUfinal1.8 V/セルま
での10時間率電流,C10は10時間率定格容量の数値である。
b) ガス捕集 ガス捕集は,図1の要領で行う。
1) 充電 充電は,a) の充電完了後1時間以内に,0.05×I10(0.005 C10 A)の一定電流で連続して行う。
――――― [JIS C 8704-2-1 pdf 7] ―――――
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2) ガスの捕集開始時期 ガスの捕集開始時期は,1) の充電開始1時間経過直後とする。
3) ガス捕集時間 ガス捕集時間は,1) の充電中の1時間とする。
4) 試験周囲温度 試験周囲温度は,蓄電池及びガス捕集装置の周囲を25 ℃±5 ℃とする。
図1−ガス捕集要領
c) 密閉反応効率の算出 密閉反応効率の算出は,b) で捕集した放出ガス量から,式(1)でガス捕集中に
通電した電気量1 Ah当たり25 ℃で101.3 kPaに換算した放出ガス量を求め,式(2)で行う。
P 298 V 1
(pdf 一覧ページ番号 )
P0 t 273 Q n
ここに, υ : 通電電気量1 Ah当たり25 ℃で101.3 kPaに換算した放
出ガス量(mL/Ah)
P : 測定時の大気圧(kPa)
P0 : 101.3 kPa
t : 試験温度(℃)
V : 捕集した放出ガス量(mL)
Q : ガス捕集期間中の通電電気量(Ah)
n : セル数
1 100 (2)
684
ここに, η : 密閉反応効率(%)
684 : 1 Ah当たり25 ℃で101.3 kPaにおける理論ガス発生量
(mL/Ah)
6.2 耐電流特性試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JBに移し,参考と
して記載した。)
6.2A 最大放電電流試験
最大放電電流試験は,5.2に従い準備した満充電状態の蓄電池を用いて,目視及び電圧測定によって蓄電
池の状態を調べる。
a) 放電開始の時期 放電開始の時期は,満充電後,124時間静置し,蓄電池の表面温度が25 ℃±5 ℃
であり,かつ,その温度を30分間隔で測定して,ほぼ一定であることが確認されたときとする。
b) 放電電流及び放電時間 放電電流及び放電時間は,次のいずれかの条件による。
1) 30×I10(3 C10 A)の一定電流で1分間
2) 60×I10(6 C10 A)の一定電流で5秒間
ここに,C10は10時間率定格容量の値。
――――― [JIS C 8704-2-1 pdf 8] ―――――
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6.3 短絡電流試験及び内部抵抗試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JCに移し,参考と
して記載した。)
6.4 外部発火源からの内部引火防止に関する試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JDに移し,参考と
して記載した。)
6.4A 防爆特性試験
防爆特性試験は,5.2に従い準備した蓄電池に対し安全性が確保されていることを確認した後,満充電状
態の蓄電池を0.5×I10(0.05 C10 A : C10は10時間率定格容量の数値を表す。)の電流で過充電し,1時間以
上経過した後,排気部の近傍において火花を発生させて試験する。これを2回繰り返す。
火花の大きさは,10時間率定格容量20 Ah以上の24 V蓄電池によって,JIS C 8352に規定した1 Aのヒ
ューズを溶断させたとき得られるもの又はこれと同等以上とする。試験温度は,蓄電池の周囲を25 ℃±
10 ℃とする。
6.5 耐地絡特性試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JEに移し,参考と
して記載した。)
6.6 表示の耐久特性試験
表示の耐久特性試験は,蓄電池の印刷,成形などで表示されている内容に対し次の条件で実施する。
a) 耐久特性試験 耐久特性試験は次の三つの方法で,それぞれ新しい試験品に対して実施する。
1) 水及び脂肪族化合物溶剤による試験 水及び脂肪族化合物溶剤による試験は,蓄電池上の表示を,
水を浸み込ませた布で15秒間こすり,さらに,n-ヘキサン(C6H14−アルカンC6)を浸み込ませた
布でもう一度15秒間こすり,目視検査で行う。
2) 中和剤による試験 中和剤による試験は,蓄電池の表示を,炭酸ナトリウム(Na2CO3)飽和溶液又
は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液を浸み込ませた布で15秒間こすり,空気中で乾燥させた
後,目視検査で行う。
3) 電解液による試験 電解液による試験は,蓄電池の表示を,40 %希硫酸水溶液を浸み込ませた布で
15秒間こすり,水洗いし,空気中で乾燥させた後,目視検査で行う。
b) 目視による確認事項 目視による確認事項は,a) の1)3) のそれぞれの試験後,表示内容消失の有
無及び/又は表示内容の判読性とする。
注記 ここで使用する薬品は,蓄電池表示の耐久性を確認するために特別に選定されたものであり,
蓄電池の清掃用には不適切である。
6.7 材料表示
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JFに移し,参考と
して記載した。)
6.8 弁作動特性試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JGに移し,参考と
して記載した。)
6.8A 制御弁作動特性試験
制御弁作動特性試験は,開弁と閉弁との動作をそれらの圧力で計測する。開弁圧は,蓄電池内部に発生
する過剰な圧力の開放を想定して,制御弁に順次空気圧を加え,開弁したときの圧力を測定する。閉弁圧
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は,蓄電池外部からの空気の流入を防ぐことを想定して,開弁後加圧を止めて,閉弁したときの圧力を測
定する。
6.9 材料の可燃性試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JFに移し,参考と
して記載した。)
6.10 セル間コネクタ特性試験
(対応国際規格のこの細分箇条は,この規格では採用しない。この項目は,附属書JFに移し,参考と
して記載した。)
6.11 容量試験
容量試験は,5.2に従って準備した試験電池について,10時間率定格容量の試験を行う。
a) 放電開始の時期 放電開始の時期は,充電終了後1時間24時間とする。
b) 放電電流 放電電流I10は,次による。
1) 放電電流I10は,放電の間±1 %に保つ。
2) 放電電流I10は,式(3)で算出する。
C10
I10 (3)
10
ここに, I10 : 25 ℃における定格容量C10に対応する放電電流(A)
C10 : 10時間率の定格容量(Ah)
注記 受渡当事者間の協議によっては,10時間率定格容量以外で実施してもよい。10時間率定格以外
で実施する場合の放電電流Itは,式(4)で算出する。
Ct
It (4)
t
ここに, It : 25 ℃における,容量Ctに対応する放電電流(A)
Ct : 製造業者が指定するt時間放電できる容量(Ah)
t : 25 ℃における,放電終止電圧Ufinalに至るまでの放電時
間(h)
c) 放電終止電圧 放電終止電圧Uは,n×Ufinal(V)とする。
ここに, n : 直列セル数
Ufinal : セル当たりの放電終止電圧(V)
10時間率 : Ufinal=1.80 V
注記 受渡当事者間の協議によっては,10時間率定格容量以外で実施する場合の例を次に示す。
例 1時間率 : Ufinal=1.60 V
d) 放電時の周囲温度 放電時の周囲温度は,25 ℃±2 ℃とする。
なお,放電開始時の個々の単電池又はモノブロック電池の表面温度θは,25 ℃±2 ℃とする。
e) 容量 放電開始時の蓄電池の表面温度θにおける測定容量C(Ah)は,放電電流(A)と放電時間(h)
との積として計算する。
容量の温度換算 放電開始時の個々の単電池又はモノブロック電池の表面温度θがやむを得ず
25 ℃±2 ℃と異なる場合には,式(5)で換算する。ただし,表面温度の範囲は,5 ℃30 ℃とする。
C
Ca 25 ℃ (5)
1 25
――――― [JIS C 8704-2-1 pdf 10] ―――――
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JIS C 8704-2-1:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60896-21:2004(MOD)
JIS C 8704-2-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.220 : 電池及び蓄電池 > 29.220.20 : 酸化二次電池(鉛蓄電池)
JIS C 8704-2-1:2019の関連規格と引用規格一覧
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- 据置鉛蓄電池―第2-2部:制御弁式―要求事項
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