JIS C 9300-1:2020 アーク溶接装置―第1部:アーク溶接電源 | ページ 3

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注記2 この規格において,全時間の周期は10分である。例えば,60 %の使用率の場合は,4分間の
無負荷期間の後,連続的に6分間負荷を加える。
3.1.38
空間距離(clearance)
二つの導電部間の空間の最短距離(JIS C 60664-1参照)。
3.1.39
沿面距離(creepage distance)
二つの導電部間の絶縁物の表面沿いの最短距離(JIS C 60664-1参照)。
3.1.40
汚染度(pollution degree)
ミクロ環境の予想される汚染の程度を示す数字(JIS C 60664-1参照)。
注記 沿面距離及び空間距離を評価するために,ミクロ環境における次の四つの汚染度がJIS C
60664-1によって規定されている。
a) 汚染度1(pollution degree 1) どのような汚染も発生しないか,又は乾燥状態で非導電性
の汚染だけが生じる状態。この汚染は,どのような影響も及ぼさない。
b) 汚染度2(pollution degree 2) 偶発的な結露によって一時的な導電性が生じる場合を除き,
非導電性の汚染だけが存在する状態。
c) 汚染度3(pollution degree 3) 導電性の汚染が発生する状態,又は乾燥した非導電性の汚
染が結露のために導電性となる状態。
d) 汚染度4(pollution degree 4) 導電性の粉じん又は雨若しくは雪によって,持続的に導電
性の汚染が発生する状態。
3.1.41
ミクロ環境(micro-environment)
沿面距離の規定値の決定に特に影響を及ぼす絶縁物の近傍の環境(JIS C 60664-1参照)。
3.1.42
材料グループ(material group)
JIS C 60664-1において,比較トラッキング指数(CTI)によって四つのグループに分類された材料。
注記 JIS C 60664-1によって次の四つに分類される。
材料グループI 600≦CTI
材料グループII 400≦CTI<600
材料グループIIIa 175≦CTI<400
材料グループIIIb 100≦CTI<175
3.1.43
温度上昇(temperature rise)
溶接電源の指定した箇所の温度と周囲温度との温度差。
3.1.44
熱平衡(thermal equilibrium)
測定する温度上昇が,溶接電源の全ての部分において,1時間当たり2 Kを超えなくなったときの状態。
3.1.45
温度保護(thermal protection)

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C 9300-1 : 2020
熱的過負荷状態によって発生する過度な温度上昇から,溶接電源の一部及び全部を保護するシステム。
注記 温度がリセット値まで低下したときに,手動又は自動で復帰できる。
3.1.46
厳しい電撃の危険性を伴う環境(environments with increased risk of electric shock)
アーク溶接による電撃の危険が,通常のアーク溶接作業よりも増大する環境。
注記 そのような環境を,次の例に示す。
a) 動きの自由が制限され,その結果,作業者が導電性部品との物理的な接触を伴う窮屈な姿
勢(ひざをつく,座る,横になる)で溶接することを強いられる場所。
b) 導電性部品によって全体的に又は部分的に制限され,作業者が避けられないか又は偶然に
接触してしまう危険性が高い場所。
c) 湿度又は発汗によって,人体の皮膚抵抗及び附属品の絶縁抵抗値がかなり低下する,ぬれ
た,湿った又は高温の場所。
3.1.47
危険低減装置(hazard reducing device)
無負荷電圧から生じる電撃の危険性を低減させるために設計した装置。
3.1.48
保護クラスI(class I equipment)
基本保護のための基礎絶縁,及び故障保護のための保護導体端子をもつ溶接電源(JIS C 0365参照)。
3.1.49
保護クラスII(class II equipment)
基本保護のための基礎絶縁及び故障保護のための補助絶縁,又は基本保護及び故障保護を提供する強化
絶縁が用意されている溶接電源(JIS C 0365参照)。
3.1.50
基礎絶縁(basic insulation)
電撃に対し,基本保護を行う危険充電部の絶縁(JIS C 0365参照)。
3.1.51
補助絶縁(supplementary insulation)
基礎絶縁の故障時の電撃保護(故障保護)を行うために,基礎絶縁に加えて施す独立した絶縁。保護絶
縁ともいう(JIS C 0365参照)。
3.1.52
二重絶縁(double insulation)
基礎絶縁及び補助絶縁の両方で構成する絶縁(JIS C 0365参照)。
3.1.53
強化絶縁(reinforced insulation)
電撃に対し,二重絶縁と同等の保護を行う危険充電部の絶縁(JIS C 0365参照)。
注記 絶縁材が同一材質でなければならないとは限らない。基礎絶縁又は補助絶縁として,単独で試
験できない複数層で構成される場合がある。
3.1.54
プラズマ切断システム(plasma cutting system)
プラズマ切断又はガウジングに使用する電源,トーチ及び付随の安全装置の組合せ。

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3.1.55
プラズマ切断電源(plasma cutting power source)
プラズマ切断又はガウジングに要求される適切な特性をもつ電流及び電圧の供給装置。ガス及び冷却液
体の供給も行う場合がある。
注記 プラズマ切断電源は,他の装置及び補助機器,例えば,補助電源,冷却液体,ガスなどを供給
できる。
3.1.56
安全特別低電圧,SELV(safety extra-low voltage)
安全絶縁トランスなどで入力電源から絶縁された回路において,導体間又は導体と接地間との電圧が,
交流50 V又はリップルがない直流120 Vを超えない電圧。
注記1 特に,充電部品に直接接触することが予想される場合,最大電圧が交流50 V,又はリップル
がない直流120 Vよりも低い電圧を,特別な要求事項としている。
注記2 電源が安全形絶縁変圧器であるときは,負荷時及び無負荷時の間のどの負荷のときであって
も電圧の上限を超えない。
注記3 “リップルがない”とは,通常,リップル電圧の実効値が直流成分に対して10 %以上ないこ
とを指す。最大ピーク値は,公称電圧120 Vのリップルのない直流に対しては140 Vを超え
ず,公称電圧60 Vのリップルのない直流に対しては70 Vを超えない。
3.1.57
入力回路(supply circuit, input circuit)
入力電流が流れる装置内の導電性材料。
3.1.58
動作電圧(working voltage)
装置に定格電圧が供給されたとき,任意の絶縁の両端に発生する交流又は直流の最高実効電圧。
注記1 過度的電圧は,無視する。
注記2 開路状態及び通常動作状態の両方を考慮する。
3.1.59
接触電流(touch current)
設備又は装置の1か所以上の接近可能な部分に接触したとき,人体又は動物の体を通過する電流。
注記 接触電流は,人体の電気抵抗を模擬した計測回路を用いて計測する。
3.1.60
遠隔制御(remote control)
監視又は操作上の制御に使用する外部の機器又は回路。
3.1.61
単一故障状態(single-fault condition)
危険源に対する保護の一つの手段に欠陥がある状態。
注記 単一故障状態がやむを得ず他の単一故障状態を引き起こした場合,二つの故障は一つの単一故
障状態とみなされている。
3.1.62
固定設備(fixed installation)
複数の装置,及び適用可能な場合,あらかじめ定められた場所に永久使用を意図して設置され,組み立

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てられた他の装置との特定の組合せ。
3.1.63
保護回路(protective circuit)
電撃防止のため保護接地に接続した回路。
3.1.64
絶縁階級(class of insulation)
電気機器及び機械に使用する絶縁材料に適用され,材料特性及び推奨する温度限界を定める標準分類。
3.1.65
機能絶縁(functional insulation)
装置の適切な機能に必要な導体性部品の間の絶縁。
3.1.66
アイドル状態(idle state)
電源は入っているが,溶接回路に出力されていない運転状態。
注記1 ある種の装置においては,アイドル状態はないが,溶接状態はアーク起動の前段階である。
注記2 機械駆動式溶接電源のアイドル状態は,製造業者によって定義される。
注記3 アイドル状態は,自動又は手動による再起動なしに溶接を開始できない低いエネルギー状態
を含む。
3.1.67
スローダウン装置
エンジン駆動式の溶接電源において,溶接負荷がかけられるようになっている調速機構の状態から無負
荷状態を検出して,自動的に回転数を低速に制御する装置。
3.1.68
保護導体端子
一次入力の相導体接続用の端子の近くに設ける外部保護導体の接続用端子で,他のいかなる目的にも使
用できない端子。
3.1.69
溶接可能本数
バッテリーを完全充電した後,適用溶接棒の棒径に対応した溶接電流において,表示された使用率でア
ークを断続し,アークを安定に維持できなくなるまで使用できる溶接棒の本数。
3.2 バッテリー関連用語
3.2.1
バッテリー(battery)
溶接電源に電流を供給する一つ以上のセルの組立品。
3.2.2
一体形バッテリー(integral battery)
バッテリー駆動式溶接電源に内蔵され,充電時に溶接電源から取り外さないバッテリー。
注記 廃棄又はリサイクル目的のためだけにバッテリー駆動式溶接電源から取り外すバッテリーは,
一体形バッテリーとみなされる。
3.2.3
着脱式バッテリーパック(detachable battery pack)

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バッテリー駆動式溶接電源とは別のきょう(筐)体(外箱)に収納され,充電時に溶接電源から取り外
すことを意図したバッテリー。
3.2.4
分離形バッテリーパック(separable battery pack)
バッテリー駆動式溶接電源とは別のきょう体(外箱)に収納され,バッテリー駆動式溶接電源にケーブ
ルで接続するバッテリー。
3.2.5
バッテリーシステム(battery system)
溶接電源動作中又は充電中における,バッテリー,充電システム,溶接電源及びインターフェースの組
合せ。
3.2.6
5時間率(C5 rate)
セル又はバッテリーが,セル製造業者が指定する電圧カットオフ点まで5時間で放電できる電流(単位 :
アンペア)。
3.2.7
セル(cell)
電極,電解質,容器,端子及び通常のセパレータの集合体からなる基本機能ユニット。化学的エネルギ
ーの直接変換によって得られる電気的エネルギーの供給源。
3.2.8
充電器(charger)
分離したきょう体(外箱)に収納される充電システムの一部又は全部。
注記 少なくとも,充電器は,電力変換回路の一部を含む。溶接電源が主電源ケーブルを利用して充
電される,又は溶接電源が主電源コンセントに取り付けるためのプラグを組み込む場合のよう
に,全ての充電システムに別の充電器が含まれるとは限らない。
3.2.9
充電システム(charging system)
バッテリーの充電状態を充電,平衡,及び/又は維持するよう意図した回路の組合せ。
3.2.10
完全充電セル(fully charged cell),完全充電バッテリー(fully charged battery)
溶接電源で使用するバッテリー充電システムによって許容最大充電状態に充電されたセル又はバッテリ
ー。
3.2.11
完全放電セル(fully discharged cell),完全放電バッテリー(fully discharged battery)
次のいずれかの状態が発生するまで放電したバッテリー又はセル。
− 放電が保護回路によって終了する。
− バッテリー及び/又はセルの製造業者によって異なる放電終了電圧が指定されていない場合,バッテ
リー(又はセル)が,使用しているセル化学物質の放電終了電圧に等しいセルの平均電圧で,全電圧
に達する。
注記 一般的なセル化学物質の放電終了電圧を,O.5.1.209に示す。

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JIS C 9300-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60974-1:2017(MOD)

JIS C 9300-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 9300-1:2020の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC0365:2007
感電保護―設備及び機器の共通事項
JISC0445:1999
文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
JISC0920:2003
電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
JISC0922:2002
電気機械器具の外郭による人体及び内部機器の保護―検査プローブ
JISC1102-2:1997
直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
JISC1302:2018
絶縁抵抗計
JISC3663-6:2007
定格電圧450/750V以下のゴム絶縁ケーブル―第6部:アーク溶接電極ケーブル
JISC60664-3:2019
低圧系統内機器の絶縁協調―第3部:汚損保護のためのコーティング,ポッティング及びモールディングの使用
JISC60695-11-10:2015
耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
JISC61558-1:2019
変圧器,リアクトル,電源装置及びこれらの組合せの安全性―第1部:通則及び試験
JISC61558-2-4:2012
入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-4部:絶縁変圧器及び絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
JISC61558-2-6:2012
入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-6部:安全絶縁変圧器及び安全絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
JISC9300-7:2017
アーク溶接装置―第7部:トーチ
JISZ8210:2017
案内用図記号