JIS C 9300-1:2020 アーク溶接装置―第1部:アーク溶接電源 | ページ 4

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3.2.12
汎用バッテリー(general purpose batteries),汎用セル(general purpose cells)
異なる製造業者の製品を扱う様々な販路を通して,様々な製造業者の入手可能なバッテリー及びセル。
注記 12 V自動車用バッテリー,AA(単3形),C(単2形)及びD(単1形)アルカリ電池は,汎
用バッテリーの例である。
3.2.13
最大充電電流(maximum charging current)
セル製造業者が指定し,IEC 62133-1又はIEC 62133-2で評価された特定の温度範囲で,充電中にセルに
流すことが許容される最大電流。
3.2.14
規定動作領域(specified operating region)
セルのパラメータ限度によって表す,セルの許容動作範囲。
3.2.14.1
充電するための規定動作領域(specified operating region for charging)
セル製造業者が指定し,IEC 62133-1又はIEC 62133-2で評価された,セルが動作することを許容される
充電時の電圧及び電流の条件。
3.2.15
上限充電電圧(upper limit charging voltage)
セル製造業者が指定し,IEC 62133-1又はIEC 62133-2で評価された特定温度範囲で,通常充電中にセル
が到達することを許容された最高電圧。
3.2.16
ガス抜き(venting)
セルの爆発を防止するために,過度の内圧を解放すること。
3.2.17
電子部品(electronic component)
ネオンインジケータを除いて,主に真空,ガス又は半導体内を移動する電子によって導電が行われる部
品。
注記 電子部品の例としては,ダイオード,トランジスタ,トライアック及びモノリシック集積回路
がある。抵抗,コンデンサ及びインダクタは,電子部品とはみなされない。
3.2.18
基本的保護(basic protection)
故障のない条件下での電撃保護。
3.2.19
バッテリー電圧クラスA(battery voltage class A)
最大バッテリー動作電圧が直流60 Vである電子部品又は回路の分類。
3.2.20
バッテリー電圧クラスB(battery voltage class B)
最大バッテリー動作電圧が直流60 Vを超え直流1 500 V以下である電子部品又は回路の分類。
3.2.21
チャリング(charring)

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燃焼による綿の黒化状態。
注記 煙による変色は,許容されている。
3.2.22
連続運転サイクル(consecutive operating cycle)
熱制御装置のリセット直後のサイクル。
3.2.23
爆発(explosion)
爆発的雰囲気における,酸化又は他の発熱反応による圧力及び温度の急激な上昇。

4 環境条件

  溶接電源は,次の環境条件の下,定格使用率で定格出力を供給する能力がなければならない。
a) 周囲温度範囲 :
運転時 : −10 ℃+40 ℃。ただし,エンジン駆動式溶接電源は,−5 ℃+40 ℃。
b) 大気の相対湿度 :
40 ℃で50 %以下
20 ℃で90 %以下
c) 溶接作業で発生したものを除き,周辺大気は,異常な量の粉じん,酸性物,腐食性ガス又は腐食性物
質を含まない。
d) 標高が1 000 m以下
e) 傾斜10°以下の溶接電源設置場所
溶接電源は,機能及び性能の損傷なく,周囲温度−20 ℃+55 ℃の周囲温度での保管及び輸送に耐える。
注記 受渡当事者間で,別の条件を取り決めた場合は,その旨を溶接電源に表示する(15.1参照)。こ
れらの条件の例としては,高湿度,腐食性ガス,水蒸気,過度な油蒸気,異常な振動又は衝撃,
過度の粉じん,過酷な気象条件,海岸又は船上での異常な条件,害虫が群らがる所,かびが発
生する雰囲気などである。

5 試験

5.1 試験条件

  試験は,新品で乾燥し,完成品の溶接電源を用いて行う。
製造業者の規定に従って試験するエンジン駆動式電源及び固定設備を除いて,7.1で規定する温度上昇試
験及び8.5で規定する温度保護試験は,新品で乾燥した溶接電源を用いて周囲温度40 ℃で行う。周囲温度
の許容範囲は,7.1.2のe) を参照。
他の試験は,箇条4のa) に規定する周囲温度で行う。
液体冷却式の溶接電源は,製造業者が指定する液体条件で試験する。
他に規定がない場合は,装置には許容差±5 %の定格入力電圧を供給する。

5.2 測定器

  測定器の精度は,次による。
a) 電気測定器は,階級1(メータフルスケール読みの±1 %)。ただし,耐電圧試験の電圧の測定は,JIS
C 1102-2の階級2.5又はそれ以上の精度の電圧計による。絶縁抵抗の測定は,6.1.4の規定による。
b) 温度計 : ±2 K

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c) 回転速度計 : メータフルスケール読みの±1 %

5.3 構成部材の適合性

  故障によって危険のリスクが生じるおそれのある構成部材は,この規格の要求事項を満足するか,関連
するJIS若しくはIEC規格の要求事項を満足するか,又はこれらと同等以上の性能をもたなければならな
い。
注記0A 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(20130605商局第3号)を満足する構成部品
は,同等以上の性能をもつとみなされている。
注記1 構成部材が,JIS又はIEC構成部材規格範囲内にある場合にだけ,適切であるとみなされて
いる。
装置に正しく適用するための構成部材の評価及び試験は,次に示すいずれか一つの方法で行う。
a) 関連するJIS又はIEC構成部材規格に基づき,認証試験機関によって要求事項を満たしていることが
確認された構成部材は,その定格に従って適正に適用し,使用されているかを確認する。構成部材は,
関連するJIS又はIEC構成部材規格の試験を除いて,この規格の適用可能な試験による。
b) 関連するJIS又はIEC構成部材規格に基づき,認証試験機関によって要求事項を満たしていることが
確認された構成部材が,その指定された定格に従って使用されていない場合,構成部材は,この規格
に従い試験を行う。
c) 関連するJIS又はIEC構成部材規格に基づき,認証試験機関によって要求事項を満たしていることが
確認されていない構成部材は,この規格に従う試験又は関連するJIS若しくはIEC構成部材規格の適
用可能な試験によって,装置に適正に適用されていることを確認する。
注記2 構成部材規格適用試験は,通常,別々に行われる。試験試料の数は,通常,構成部材規格
における要求事項と同一である。
d) 規格が存在しないため,関連するJIS又はIEC構成部材規格に基づき,認証試験機関によって要求事
項を満たしていることが確認されていない構成部材は,この規格に従い試験を行う。
e) 関連するJIS又はIEC規格以外の規格に基づき,認証試験機関によって要求事項を満たしていること
が確認されている構成部材は,それらの該当する安全要求が関連するJIS又はIEC規格の安全要求よ
りも厳しい場合,装置での使用を容認する。ただし,構成部材に対するJIS又はIEC規格以外の規格
で評価された上記試験以外は,この規格に従い試験を行う。

5.4 形式試験

  特定されている場合を除いて,この規格で要求している試験は,形式試験である。
溶接電源は,試験結果に影響を及ぼすことが予測される補助装置を装備して試験する。
全ての形式試験は,他の溶接電源を使用してもよいと規定されている試験を除き,同一の溶接電源を使
用して実施する。
次に示す形式試験は,f),g) 及びh) の試験の間は,乾燥時間を設けず,次の順序で連続して実施する。
a) 目視検査 (3.1.7参照)
b) 絶縁抵抗 (6.1.4参照)(予備検査)
c) きょう(筐)体(外箱) (14.2参照)
d) つ(吊)り上げ手段 (14.3参照)
e) 落下耐量 (14.4参照)
f) きょう体(外箱)による保護 (6.2.1参照)
g) 絶縁抵抗 (6.1.4参照)

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h) 絶縁耐力 (6.1.5参照)
i) 目視検査 (3.1.7参照)
この規格の上記以外の試験は,任意の順序で実施する。

5.5 定常試験

  全ての定常試験は,個々の溶接電源で実施する。次の順序を推奨する。
a) 製造業者の指定による目視検査
b) 保護回路の連続性 (10.5.1参照)
c) 絶縁耐力 (6.1.5参照)
d) 次のいずれかの無負荷電圧
1) 定格無負荷電圧(測定だけ11.1参照)
2) 該当する場合は,定格低減無負荷電圧(13.2.1参照)
3) 該当する場合は,定格切替無負荷電圧(13.2.2参照)
e) 定格最小溶接電流及び定格最大溶接電流[15.4 b) 及び15.4 c) 参照]
製造業者は,標準負荷,短絡負荷又は他の試験条件を選択して行ってもよい。
注記1 短絡負荷及び他の試験条件において,出力値を標準負荷値から変えることができる。
注記2 設計的に確認できれば,一次入力変動によって測定値を補償することができる。

5.6 試験条件の区分

  箇条6以降で規定する試験条件の区分は,特別な指定がないときは,表0Aに示す試験条件の区分Aか
らCによるものとする。ただし,タイプJは区分Jとする。
表0A−試験条件の区分
試験条件の区分 A B C J
入力電源(交流電源を入力とするもの) 定格周波数の定格入力電圧
回転速度(エンジン駆動式) 定格回転速度
溶接電流a) I2a=I2max I2b I2c 定格溶接電流
負荷電圧b) U2a U2b U2c 定格負荷電圧
使用率 Xa Xb=60 % Xc=100 % 定格使用率
入力電流 I1a=I1max I1b I1c 定格入力電流
注記 箇条6以降での規定では,試験条件の区分を記号化して“試験条件A”のように指定する。
注a) 2a,I2b及びI2cは,試験条件区分A,B及びCに該当する最大値,使用率60 %及び100 %に対応する標準溶接
電流。
b) 2a,U2b及びU2cは,I2a,I2b及びI2cに対応する標準負荷電圧。

6 電撃に対する保護

6.1 絶縁

6.1.1  一般要求事項
溶接電源は,JIS C 60664-1の過電圧カテゴリIIIに該当する。ただし,機械式溶接電源は,過電圧カテ
ゴリIIに該当する。全ての溶接電源は,最低限,汚染度3の環境条件下で使用できるように設計する。
汚染度2に対応する空間距離又は沿面距離の構成部材及び組立部品は,それらのミクロ環境が(フィル
タリング,コーティング,ポッティング,モールディングなどによって)改善され,結露による非導電性
汚染又は一時的な導電性だけが発生する場合は,許容される。
汚染度1に対応する空間距離又は沿面距離の構成部材又は組立部品は,JIS C 60664-3に従って完全にコ

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ーティング,ポッティング,モールディングされている場合は,許容される。
プリント配線材料の沿面距離は,表2による。
接地式三相3線式給電システムに接続することを意図したクラスIの装置は,ライン間電圧値に基づく
絶縁を考慮して設計する。
ライン中性点間電圧値に基づく絶縁によって設計したクラスIの装置は,中性点接地の三相4線式給電
システム又は中性点接地の単相3線式給電システムのときに限って電源系統に用いるという注意表示をし
なければならない。
多くの配置における絶縁の適用を図1に示すが,他の配置及び対策も可能である。特定の配置が図1に
対応していない場合は,要求される絶縁は,単一故障の影響を考慮して決定する。
入力回路(6.2.4参照)及び次のいずれ
か。
− 補助電源出力(11.6参照)
− 入力回路に接続された制御回路
入力回路,溶接回路及び保護回路
から分離され,11.1.1に示す電圧を超
える制御回路(12.2参照)
溶接回路(6.2.4参照)及び次のいずれ
か。
− 制御回路
− 遠隔操作回路(12.3参照)
− 溶接回路に接続された外部装置用
電源回路[11.5 a) 及びb) 参照]
入力回路,溶接回路及び保護回路
から分離され,11.1.1に示す電圧以下
の制御回路(12.2参照)
保護回路及び次のいずれか。
− 制御回路
− 保護回路(10.5参照)に接続され
た遠隔操作回路(12.3参照)
シンボル
R/D 強化絶縁又は二重絶縁 回路
B 基礎絶縁 F 機能絶縁
注a) 機器構成を考慮し製造業者が決定する。
b) 溶接回路が11.1.1に示す電圧を超える場合は,R/Dとする。
c) 保護回路に接続された制御回路は,制御回路が故障状態において10.5の要求を満たさない場合,R/Dとする。
図1−保護クラスIの装置の絶縁要求事項の例
6.1.2 空間距離
基礎絶縁又は補助絶縁,及び強化絶縁に対する最小空間距離は,過電圧カテゴリIIIの表1による。他の
過電圧カテゴリにおける最小空間距離は,JIS C 60664-1による。

――――― [JIS C 9300-1 pdf 20] ―――――

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JIS C 9300-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60974-1:2017(MOD)

JIS C 9300-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 9300-1:2020の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC0365:2007
感電保護―設備及び機器の共通事項
JISC0445:1999
文字数字の表記に関する一般則を含む機器の端子及び識別指定された電線端末の識別法
JISC0920:2003
電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
JISC0922:2002
電気機械器具の外郭による人体及び内部機器の保護―検査プローブ
JISC1102-2:1997
直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項
JISC1302:2018
絶縁抵抗計
JISC3663-6:2007
定格電圧450/750V以下のゴム絶縁ケーブル―第6部:アーク溶接電極ケーブル
JISC60664-3:2019
低圧系統内機器の絶縁協調―第3部:汚損保護のためのコーティング,ポッティング及びモールディングの使用
JISC60695-11-10:2015
耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
JISC61558-1:2019
変圧器,リアクトル,電源装置及びこれらの組合せの安全性―第1部:通則及び試験
JISC61558-2-4:2012
入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-4部:絶縁変圧器及び絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
JISC61558-2-6:2012
入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-6部:安全絶縁変圧器及び安全絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験
JISC9300-7:2017
アーク溶接装置―第7部:トーチ
JISZ8210:2017
案内用図記号