JIS F 0076:2004 船舶システムの安全設計評価に関する指針 | ページ 4

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が発生する確率又はランク付けされた程度,及び予見可能な危険事象の最大の大きさを組み合わせて求め
る。システムを構成する機器の評価については,前記の危険事象発生確率の分岐確率を求める。
評価したリスクを許容し受け入れる基準(受容基準)決定に際し,次の1)7)に留意する。
a) リスクの受容には次の1)7)の要件が必要である。
1) 適用に係わる当事者間の合意
2) 関連する船舶及び機器,電気・電子機器規則・規格類の承認事項及びそれと同等性
3) 既評価のものとの同等性
4) 国際的製造物責任(PL)に対する配慮
5) 独立した第三者法人による専門的・科学的助言
6) 独立した第三者法人による認証
7) 社会の安全への要求に対する配慮
b) 他の製品・システムとの比較を安全の受容の参考にできる。その場合,船舶と他のシステムとのリス
ク比較に関し,便益性,随意性,影響規模及び馴染み性を比較し勘案する。
c) 新規に開発した機器等を採用する場合,リスクが受容できるように,新たな危険源が生じないことを
確認する。
備考 例えば,人が行っていた作業の一部を,機器に変える場合はこの事項が重要である。
d) 受容の基準は,人命,財産及び環境を配慮して定める。
e) 基準においてどのカテゴリー,水準を当てはめるかについては,前記した留意点を配慮して定める。
この規格においては,表2を受容基準決定の参考とする。
f) 表2の使用に当たっては,例えば人命のリスクを受容基準の指標とし,当事者だけの問題であるかど
うか,環境影響はどうかを配慮する。
表 2 安全度基準
機械制御システ
事故発生確率
ムのカテゴリー 自然言語確率 現状レベル*
(船/年)
JIS B 9705
1 十分起こりうる 10-2以上
2 わずかに 10-3 管理良好な一般貨物船の現状
3 極めてわずかに 10-4 日本の液化ガス運搬船の現状
4 ほとんど起こりえな 10-5

考えられない 10-6
参考* 単にたまたま事故の少ない船舶と適切な評価を受けた安全システムを備えた船舶との安全レベ
ルは基本的に異なることの認識は不可欠である。リスク解析及び安全方策決定方法により,妥
当性の確認を行う。

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7.4 安全方策

7.4.1 基本方針

 7.27.3の解析及び評価により,システム,機器が許容出来ないと判断した場合安全方
策を講じる。安全方策は,設計において組み込まれる方策と使用者の実施事項として行われる対策がある。
方策は,具体的には,システムの管理体制の変更,性能変更,予防装置,予防措置,使用情報の整備,安
全文化の推進などがある。方策実施に当たっては次のa) d)に留意する。
a) コスト,物理的制約条件を配慮する。
b) すべての使用上の状態に対して整合のとれたものとする。
c) 達成すべき目標が技術的に困難な場合,最も高い技術レベルとする。
d) 新規システムを計画する場合,同システムの現状の安全水準を下回らないようにする。

7.4.2 方策決定手順

 安全方策決定の手順の流れを図5に示す。手順は通常の設計手順を模した代表的な
ものであり,状況に応じてこの手順からの変更を行う場合は,事由を明確にする。

7.5 運用による評価

 評価した安全が担保されるかどうかを確認するため,ある程度の期間の実船試験
使用もしくは適切なシミュレーションにより確認する。これらには安全性の阻害要因となるワークロード,
メンタルロード調査とその妥当性を含む。

7.6 評価の透明性

 安全性の公平性と透明性のため設計者,使用者に加えて第三者による評価を実施す
る。対象システムの第三者による評価は,基本設計又は設計完了時及び製品の完成試験時又は/及び海上
公試時に実施する。また,運用段階の評価は定期的に実施するように計画する。検証・認証等については関
連の引用規格類を参照する。
評価の結果,判断される残留リスクについては,設計者は,第三者及び使用者に明確に通知しなければ
ならない。

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対象とする危険事象のリスク削減に関係深い危険源の抽出
・7.27.3のリスク解析の評価からリスクに影響の大きい危険源を数個選ぶ。
・危険源選定には,原因系と結果系の双方を考慮する。
備考 タンカーの衝突を対象危険事象とした場合,航海の衝突予防関連機器
の改良開発は原因系危険源に対する方策で,船殻のダブルハル化は,
結果系に対する方策である。
方策の立案
リスク削減目標の設定
・7.3のリスク評価から許容・受容できるリスクと選定した危険源の影響から,
危険源の措置,方策をどの程度とすべきかを決定する。
・目標設定に際し,起こりうるリスクの重大性を考慮する。
・危険源に対する措置,方策に関係する経営資源情報と関連システム情報を
入手する。
技術的検討
・概念設計,詳細設計,使用上の情報,製造上の情報を配慮する。
設計
制約事項の検討
・コスト;方策毎に事故による経済損失と,設計,製造費用を比較する。
・規制;契約上,規格上の規制
リスク解析,評価 7.27.3による解析評価
安全方策の決定 方策に要するコストとリスク低減によるメリットを評価し,
方策の種類とグレードを選定する。
決定に際しては,使用者,設計者,製造業者及び第三者の合意
不満足 を必要とする。
満足 : 終了
図 5 安全方策決定の手順の流れ

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8. 安全評価の認証・提言

 安全評価と安全方策を施したシステムに関する運用前の確実性を検証する場
合,次のa) e)に留意する。
a) 安全評価の実施及び確保すべき安全度基準は,設計・製造業者の安全に関する技術情報を得て使用者
の責任により主導する。
b) 機器の設計・製造業者と使用者等及び第三者の当事者間で検証方法の合意を確認する。
c) 関係諸規則・規格を満足していることの検証をする。
d) 第三者による承認を得る。
備考 この規格はIMO FSAと同系の安全評価規格である。従って,対象システムがSOLAS,MARPOL
などのIMO関係規則においてリスクアセスメントの原則を導入している安全評価に関しては
互換性がある。
e) 関係者は対象システムを実船に搭載後は,運用中のシステムの機能及び使い易さ,使用状況等の評価
を継続的に実施する。評価方法は継続性と容易さを考慮して,現場使用者が実施しやすいように設定
する。

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JIS F 0076:2004の国際規格 ICS 分類一覧

JIS F 0076:2004の関連規格と引用規格一覧