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F 0076 : 2004
表 1(続)
ライフサイクル
目的/基本実施事項 考慮すべき事項
フェーズ
[6] 安全妥当性の確認,評価 引渡し計画を確認する。
計画された安全妥当性の確認・評価方
製品の安全機能を確認,評価する。法を用いて,試運転等で安全に関る機
能,性能が設計通り製作されているこ
とを確認,評価する。
[7] 引渡し,設置 ライフサイクル安全評価に関する
契約時合意事項,引渡し計画への適合
引渡し計画を実施する。 を確認し,引渡し,設置する。 契約
[8] 運用,保全,修理 ライフサイクル保全計画を実施。 故障等所定性能を維持できない場合
は修理。
[9] 運用,評価検証 実績が少なく,計画,設計時に仮に想
想定した実海域での運航に際し,所定
結果を以後の保全,設計に反映する。 定したシステム,機器の性能,ユーザ
の機能,性能が確保されていることを
検証し,評価する。 ビリティーについては,データの収
集・解析を行い,以後の保全への反映
不具合点を摘出し,方策を立て実施す
る。 の資料とする。
[10] 継続的ライフサイクル活動 時間劣化,疲労等機器部品の寿命に
ライフサイクルに渡って,安全を確保
[8] [9] をライフサイクルに亘って,継 は,十分な配慮が必要である。改修,
するため,保全,評価,検証及び修理
続的に実施する。 を継続的に実施する。 取替えが容易であるように配慮する。
不具合点は,部分改修,改造を行う。
6. 船舶システムにおける評価対象の位置付け
6.1 船舶を構成するシステム系
船舶は,多くのシステム,機器を搭載した所謂総合プラント製品であ
り,各システム間は当然相互に複雑に関係している。図2は船舶システムのうち航海システムの場合を簡
略化して例示したものである。
――――― [JIS F 0076 pdf 11] ―――――
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航海システム 推進システム 船体システム ぎ装システム
推進器システム 機関システム 防火システム 荷役システム
荷役制御システム
IBS統合化船橋システム 電子機器
INS 無線通信 離着桟制御 機関制御
統合化航海システム システム システム システム
TCS AIS ECDIS その他 関係する
下層のサブシステムに進む
GPS ジャイロコンパス 船速距離計 レーダ その他
図 2 船舶を構成するシステム系(航海システム中心の簡略化した事例)
安全評価対象のシステムに対して危険事象に対する影響を把握するため上位に位置するシステムと関連
するシステムを考慮しなければならない。
6.2 危険事象とその危険源
船舶の危険源(Hazard)には,対象船の装備,性能及び乗組員とそれの相
互関係による要因,並びに気象・海象環境,地理的環境及び交通環境等の要因がある。危険源が相互に関
与することにより危険状態(Hazardous Situation)が誘起される。危険状態に対する防護策の不足・不適切
な処置又は機能失敗により顕在化して危険事象(Harmful Event)となる。危険事象の影響拡大により大き
なリスク・事故となる。対象とする検討においては,考えうるすべての危険源の組合せを考慮して,危険
状態,危険事象を同定しなければならない。しかし,検討対象とするシステムを特定した場合,考えるべ
き危険事象は限られたものとなる。図3は危険事象の拡大化による大きなリスクと影響する危険源を簡略
化した事例である。
――――― [JIS F 0076 pdf 12] ―――――
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リスクとなる 船舶 危険源
危険事象 人間
衝突 船舶 気象環境
境
夜間,荒天,潮流,霧 等
座礁 地理的環境
狭水道,港内,沿海 等
接触 交通環境
(航路) 輻輳度合,航路幅,標識 等
船体損傷 (航法,他船行動) 横切り,行き合い,追越 等
人的要素
機関故障 当直人数,勤務時間,引継ぎ,訓練 等
火災
浸水・転覆
労働災害
図 3 危険事象の評価のための危険源(簡略化した事例)
7. 評価
評価の目的は,フォールト及び誤使用を含むすべての合理的に予見可能な状況に対して,全体
システム及びそのサブシステム,機器のすべての運転モードにおいて生じる潜在危険,リスクを解析,評
価し,受容のための安全方策を明らかにすることである。
7.1 評価方法
評価方法は,数多くあるので対象又は目的によって,適切な手法を選択する。これには
定量的評価及び定性的評価がある。
評価対象システム及び機器は種々あり,これらの評価は6.を参照して,主となる対象システム,機器,
評価項目及び評価方法を明確にする。
参考 簡略事例 : INSの設計・製造業者がECDIS,レーダ等を統合設計しようとする場合,例えばJIS
B 9705-1及びJISC 0508-1の8.等で規定される定量的,定性的な安全機能喪失確率・安全度基
準の設定をする必要がある。
図4に示すように,この規格では,人間中心の(Human Centered)使い易さ(Usability),ライフサイク
ルの危険源などを考慮しなければならない。
安全度基準の目標設定に当たっては使用管理者やINS取りまとめ者は使い易さ,すなわち機器の有効さ
(Effectiveness),効率(Efficiency),満足度(Satisfaction)及びコスト,保守を配慮しなければならない。
7.2 リスク解析(Risk Analysis)
リスクの解析・評価及び安全方策の決定手順を基本規格であるISO/IEC
Guide 51のFigure 1などを参考に図4に示す。全体フレームは図1による。
――――― [JIS F 0076 pdf 13] ―――――
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備考 図4において実線で囲った項目は,ISO/IEC Guide 51を参考にした項目であり,点線で囲った
項目はこの規格で特に留意すべき項目であり,図に示す範囲のステップで留意する。
a) 設計時に予見される誤操作や危険源,危険状態,危険事象の同定に際しては,次の諸点に留意する。
1) 機器に関するものの他,人間要素は特に重要である。
参考 機器の使用に関し,要素作業ごとにマンマシンインタフェースに関する使い易さの解析を
行うことが望まれる。
2) 海難事例等を用いて過去の事故例を調査する,又はアンケートによる経験者の意見を参照し,でき
る限りその発生頻度や結果の重大さを求める。
3) 海難事例等を用いて過去の事故例を調査する,又はアンケートによる経験者の意見を参照し,でき
る限りその発生頻度や結果の重大さを求める。
4) 多方面の専門家の意見・情報を収集し,人命,環境,財産の幅広い方面の危険事象類を考慮する。
5) 使用中の緊急時での機器の作動及び人間の行動を考慮する。
6) ライフサイクルに亘って,所定の安全が確保できるように,機器の寿命や劣化及び検査・保守の管
理体制を考慮する。
7) 使用中の自然,交通,運航環境を考慮する。
b) リスクの推定は過去の事故例,実験から求める確率評価のほか,アンケート,専門家集団の評価によ
る定性的数量評価がある。特に安全性に影響を与える使用者の使い易さなどは,定性評価による。次
の1)4)に留意する。
1) 対象要因のほか,その上位に位置するシステム,要因の一部を構成す要素などの危険事象に対する
リスクを求める。
参考 例えばECDISが対象の場合,INSの衝突に対するリスク,表示装置の認知性に関するリス
クを考察する。
2) リスクにおいて,使用者の熟練度は,リスクの要因とはなるが,使用者の教育,訓練の必要性を結
論としない。
3) 使用者はシステム全般に亘るリスクアセスメントの原則に基づき教育・訓練計画を立案する。
参考 安全方策の一つとして,教育方法への提言は有り得る。
4) 使用者の労働安全に関する教育・訓練を計画する。
c) 論理的で分りやすい様式による。
――――― [JIS F 0076 pdf 14] ―――――
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開始
作業シナリオ作成
使い易さ
予見できる (人間中心設計)
誤作動・使用
人間行動
過去の事故事例
リスク軽減 保守管理配慮
安全方策 (ライフサイクルで
の継続的安全)
危険源,危険状態, マンマシンIF
危険事象同定 解析
タイプ船の経験
リスク解析 JIS Q 9001等々
関連諸規格配慮
リスク推定
リスクアセスメント
緊急時対応
リスク評価
リスクマネジメント
意思決定プロセス
経済的に合
NO YES
許容リスク 理化の方法
終了
達成 ・ は・
注 実線はISO/IEC Guide 51に基づく。
図 4 リスクアセスメントとマネジメントの手順
7.3 リスクアセスメント(Risk Assessment)及び受容
リスク評価の結果を判断する場合,ALARP(As
Low As Reasonably Practicable)を基本理念とする。受容・許容の判定は現場専門家,評価実施者叉は適切
な第三者の承認を必要とする。
リスクを評価するに際しては,7.2にしたがって対象とするシステムの技術的機能及び使用中に危険事象
――――― [JIS F 0076 pdf 15] ―――――
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JIS F 0076:2004の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.100 : 職業安全.産業衛生
JIS F 0076:2004の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0508-1:2012
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第1部:一般要求事項
- JISC0508-2:2014
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第2部:電気・電子・プログラマブル電子安全関連系に対する要求事項
- JISC0508-3:2014
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第3部:ソフトウェア要求事項
- JISC0508-4:2012
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第4部:用語の定義及び略語
- JISC0508-5:2019
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第5部:安全度水準決定方法の事例
- JISC0508-6:2019
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第6部:第2部及び第3部の適用指針
- JISC0508-7:2017
- 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全―第7部:技術及び手法の概観
- JISQ9001:2015
- 品質マネジメントシステム―要求事項