JIS G 0306:1988 規格概要
この規格 G0306は、鍛鋼品の製造,試験及び検査に共通な一般事項について規定。
JISG0306 規格全文情報
- 規格番号
- JIS G0306
- 規格名称
- 鍛鋼品の製造,試験及び検査の通則
- 規格名称英語訳
- Steel forgings -- General technical requirements
- 制定年月日
- 1975年3月1日
- 最新改正日
- 2018年10月22日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 77.140.85
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 鉄鋼 I 2021, 鉄鋼 II 2021, 熱処理 2020, 金属分析 I 2019, 金属分析 II 2019
- 改訂:履歴
- 1975-03-01 制定日, 1978-04-01 改正日, 1983-02-01 確認日, 1988-08-01 改正日, 1994-06-01 確認日, 2000-02-20 確認日, 2005-01-20 確認日, 2009-02-20 改正日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
- ページ
- JIS G 0306:1988 PDF [16]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
G 0306-1988
鍛鋼品の製造,試験及び検査の通則
Steel Forgings−General Technical Requirements
1. 適用範囲 この規格は,鍛鋼品の製造,試験及び検査に共通な一般事項について規定する。
備考 この規格の中で [{}] を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであっ
て参考として併記したものである。
なお,この規格の中の従来単位及び数値は,昭和66年1月1日からSI単位及び数値に切り
換える。
引用規格 :
JIS G 0321 鋼材の製品分析方法及びその許容変動値
JIS G 0701 鋼材鍛錬作業の鍛錬成形比の表わし方
JIS Z 2201 金属材料引張試験片
JIS Z 2202 金属材料衝撃試験片
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2242 金属材料衝撃試験方法
JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験方法
JIS Z 2245 ロックウェル硬さ試験方法
JIS Z 2246 ショア硬さ試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次による。
(1) 鍛鋼品 鋼塊,鋼塊を鍛造若しくは圧延した鋼材又は鋼塊に鍛造と圧延を組み合わせて製造した鋼材
をプレス,ハンマ,鍛造ロール,リングミルなどによって熱間加工し,通常,所定の機械的性質を与
えるために熱処理を施したもの。
(2) 軸状 直軸,段付き軸,フランジ付き軸,軸付きピニオンなどの円形断面のものでその軸方向の長さ
が外径を超えるもの又はこれに準じるもの。軸の変形とみられる形状のものも含む。
(3) 円筒状 鍛造形状が円筒状で,その軸方向の長さが外径を超えるもの。ただし,円筒状鍛鋼品は中空
鍛錬を必要とするもので,単にパンチ又は機械加工によって穴あけして円筒状としたものは含まない。
(4) リング状 鍛造形状が輪状で,その軸方向の長さが外径以下のもの。ただし,リング状鍛鋼品は穴広
げ鍛錬を必要とするもので,単にパンチ又は機械加工によって穴あけして輪状としたものは含まない。
(5) ディスク状 鍛造形状が円板状及びこれに準ずるもの(部分的に凹凸のあるものも含む。)で,その軸
方向の長さが外径以下のもの。ただし,ディスク状鍛鋼品は,最終工程に据込鍛錬を必要とするもの
――――― [JIS G 0306 pdf 1] ―――――
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G 0306-1988
で,軸状のものを切断して円板状としたものは含まない。
3. 製造方法
3.1 鋼塊 鋼塊は,キルド鋼を使用し,有害なパイプ及び偏析が除去されるように十分な切捨てを行う。
3.2 鍛造 鍛造は,鋼塊をプレス,ハンマ,鍛造ロール,リングミルなどを用いて熱間加工を行う。た
だし,鋼塊の代わりに鋼塊を鍛造若しくは圧延した鋼材又は鋼塊に鍛造と圧延を組み合わせて製造した鋼
材を用いることができる。
なお,熱間加工及び鍛錬成形比は,次による。
(1) 熱間加工 熱間加工は,鍛鋼品の各部が中心まで均一に加工されるように行い,鍛鋼品の使用中の応
力に適したメタルフローが得られるように最終形状,寸法にできるだけ近づけなければならない。
(2) 鍛錬成形比(1) 鍛鋼品の鍛錬成形比は,(a)(d)による。
(a) 軸状及び円筒状鍛鋼品は,鍛造だけの場合は主体部3S以上,その他の部分は1.5S以上,圧延と鍛
造による場合は主体部5S以上,その他の部分は3S以上にそれぞれ相当する熱間加工を行う。
(b) リング状鍛鋼品は,プレス,ハンマ又はリングミルによって穴広げ鍛錬を行い,鋼塊から3S以上
に相当する熱間加工を行う。
(c) ディスク状鍛鋼品は,鋼塊から据込みだけで鍛錬するときは31U以上,その他の場合も,31U以上
にそれぞれ相当する熱間加工を行う。
(d) (a)(c)以外の形状のものの鍛錬成形比については,受渡当事者間の協定による。
注(1) IS G 0701(鋼材鍛錬作業の鍛錬成形比の表わし方)参照。
3.3 熱処理 熱処理は,各規格の規定による。
なお,鍛鋼品に熱処理を施した後に熱間加工を行う場合は,再び規定の熱処理を施さなければならない。
3.4 溶接補修 検査によって検出された欠陥は,受渡当事者間の協議によって溶接補修を行うことがで
きる。
4. 試験方法
4.1 分析試験
4.1.1 化学成分 化学成分は,特に規定のない限り,溶鋼分析値による。ただし,注文者の要求がある場
合は,製品分析を行うことができる。
また,その分析元素は,各規格の規定による。
4.1.2 試料の採り方 試料の採り方は,次による。
(1) 溶鋼分析の試料は,原則として1溶鋼ごとに全鋳込みの中間から必要量を採る。
(2) 製品分析の試料は,原則としてJIS G 0321(鋼材の製品分析方法及びその許容変動値)の3.によって
採る。ただし,機械試験片の残材を分析試料とすることができる。
4.1.3 分析方法及び分析値 分析方法は,各規格の規定による。分析値は,百分率で表し,規定された数
値の有効最下位の次のけたまで算出して,JIS Z 8401(数値の丸め方)によって丸める。
炭素当量を表すときは,各規格に規定する計算式によって,その総和をJIS Z 8401によって丸める。
4.2 機械試験
4.2.1 試験の種類 試験の種類は,各規格の規定による。
――――― [JIS G 0306 pdf 2] ―――――
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G 0306-1988
4.2.2 供試材及び試験片の採り方,その数並びに試験方法 供試材及び試験片の採り方,その数並びに試
験方法は,(1),(2)による。
(1) 圧力容器用鍛鋼品の場合
(1.1) 供試材の採り方 供試材は,鍛鋼品本体又は本体余長部から採る。ただし,受渡当事者間の協定
によって,(a)(d)の条件が満たされる場合,別鍛供試材を作製し,試験に供することができる。
(a) 鍛鋼品と同一溶鋼の鋼塊,ブルーム,ビレット又はスラブを用い,鍛鋼品と同一種類の熱間加工を
行うもの。
(b) 最大鍛錬成形比が,鍛鋼品の最小鍛錬成形比以下。
(c) 鍛鋼品と同一熱処理炉で,同時に熱処理を行うもの。
(d) 厚さ又は直径は,鍛鋼品の最大厚さ又は最大直径以上。
(1.2) 試験片の採り方 試験片の採り方は,次による。
(1.2.1) 試験片の採取方向は,主鍛造方向に平行とする。
(1.2.2) 焼なまし,焼ならし若しくは焼ならし焼戻しを行う鍛鋼品又はオーステナイト系ステンレス鋼鍛
鋼品の試験片の中心は,41T以上内側とする。ここで,Tは鍛鋼品又は別鍛供試材の熱処理時の
最大厚さ又は直径を示す。
試験片採取要領の例を図1に示す。
図1 試験片採取要領の例 : 41T
(1.2.3) 焼ならし時に加速冷却を施し,焼戻しを行う鍛鋼品又は焼入焼戻しを行う鍛鋼品の試験片の採取
位置は,次のいずれかによる。
(a) 試験片の中心は,一つの熱処理面から41T以上で,かつ,二つめの熱処理面からT以上離れた位置
とする。
試験片採取要領の例を図2に示す。
(b) 熱処理前に,製品に近い形状にまで成形又は機械加工される複雑な形状の鍛鋼品の場合,試験片の
中心は,あらかじめ指示された高応力面とそれに最も近接した熱処理面との距離のうち最大距離
(tmax) 以上熱処理面から離れたところにあり,かつ,二つめの熱処理面からtmaxの2倍以上離れたと
ころとする。ただし,試験片の中心は,一つの熱処理面から20mm以上,二つめの熱処理面から40mm
以上離れていなければならない。試験片採取要領の例を図3に示す。
(c) 熱緩衝材を用いて熱処理する鍛鋼品の場合,試験片を採る部分の端面に熱処理前に断面T×T以上
で,長さが3T以上の大きさの炭素鋼又は低合金鋼製の熱緩衝材を溶接し,熱処理を行う。熱処理
――――― [JIS G 0306 pdf 3] ―――――
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G 0306-1988
後,緩衝材の長さ方向の中心部付近で,かつ,長さの31に相当する距離で覆われる緩衝面を含むよ
うに鍛鋼品から供試材の切出しを行い,これから試験片を採る。試験片の中心は,緩衝面から15mm
以上で,かつ,熱処理面から41T以上離れたところとする。
試験片採取要領の例を図4に示す。
(d) 別鍛供試材から試験片を採取する場合,T(厚さ)×2T(幅)×2T(長さ)以上の別鍛供試材から
一つの熱処理面から41T以上,他の熱処理面からT以上離れた位置から採取する。
試験片採取要領の例を図5に示す。
図2 試験片採取要領の例 : 41T×T
図3 試験片採取要領の例 : tmax×2tmax
――――― [JIS G 0306 pdf 4] ―――――
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G 0306-1988
図4 試験片採取要領の例(熱緩衝材を使用した場合)
図5 試験片採取要領の例(別鍛供試材を使用した場合)
(1.2.4) 供試材は,特に規定のない限り鍛鋼品から採取した後,機械的性質に影響するいかなる処理も行
ってはならない。
(1.2.5) 引張試験片は,JIS Z 2201(金属材料引張試験片)の14A号試験片とする。
(1.2.6) 衝撃試験片は,JIS Z 2202(金属材料衝撃試験片)の4号試験片とする。
(1.2.7) 硬さ試験片は,引張試験片の余長部を用いることができる。
(1.3) 供試材及び試験片の数 供試材及び試験片の数は,(a)(c)による。ただし,多数の鍛鋼品を接続
して鍛造し,熱処理する場合は,接続した全体を1個の鍛鋼品として取り扱う。
――――― [JIS G 0306 pdf 5] ―――――
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JIS G 0306:1988の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 0306:1988の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG0321:2017
- 鋼材の製品分析方法及びその許容変動値
- JISG0701:1957
- 鋼材鍛錬作業の鍛錬成形比の表わし方
- JISZ2201:1950
- 医療用遠心沈デン器
- JISZ2201:1998
- 金属材料引張試験片
- JISZ2241:2011
- 金属材料引張試験方法
- JISZ2242:2018
- 金属材料のシャルピー衝撃試験方法
- JISZ2243:2008
- ブリネル硬さ試験―試験方法
- JISZ2245:2016
- ロックウェル硬さ試験―試験方法
- JISZ2245:2021
- ロックウェル硬さ試験―試験方法
- JISZ2246:2000
- ショア硬さ試験―試験方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方