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JIS G 1221:1998 規格概要
この規格 G1221は、鉄及び鋼中のバナジウム定量方法について規定。
JISG1221 規格全文情報
- 規格番号
- JIS G1221
- 規格名称
- 鉄及び鋼―バナジウム定量方法
- 規格名称英語訳
- Iron and steel -- Methods for determination of vanadium content
- 制定年月日
- 1954年3月29日
- 最新改正日
- 2018年10月22日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 4942:1988(MOD), ISO 4947:1986(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 77.080.01
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 金属分析 I 2019, 金属分析 II 2019
- 改訂:履歴
- 1954-03-29 制定日, 1957-03-29 確認日, 1958-04-26 改正日, 1961-03-29 確認日, 1963-03-01 改正日, 1966-04-01 確認日, 1969-05-01 改正日, 1972-07-01 確認日, 1975-07-01 確認日, 1978-04-01 確認日, 1981-03-01 改正日, 1986-06-01 確認日, 1992-11-01 改正日, 1998-02-20 改正日, 2003-05-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
- ページ
- JIS G 1221:1998 PDF [24]
G 1221 : 1998
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS G 1221-1992は改正され,この規格によって置き換えられる。
今回の改正では,国際規格との整合化を図るため,ISO規格の翻訳を附属書2及び4として規定してい
る。
JIS G 1221には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)滴定法
附属書2(規定) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)電位差滴定法 (ISO 4947)
附属書3(規定) N−ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミン抽出吸光光度法(1)
附属書4(規定) N−ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミン抽出吸光光度法(2) (ISO 4942)
(pdf 一覧ページ番号 )
――――― [JIS G 1221 pdf 1] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
G 1221 : 1998
鉄及び鋼−バナジウム定量方法
Iron and steel−Methods for determination of vanadium content
序文 この規格は,附属書2に1986年に発行されたISO 4947, Steel and cast iron−Determination of vanadium
content−Potentiometric titration methodを翻訳し,また,附属書4には,1988年に発行されたISO 4942, Steel
and iron−Determination of vanadium content−N-BPHA spectrophotometric methodを翻訳し,技術的内容及び
規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,対応国際規格には規定されていない規
定事項を日本工業規格(日本産業規格)として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,鉄及び鋼中のバナジウム定量方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 4947 Steel and cast iron−Determination of vanadium content−Potentiometric titration method
ISO 4942 Steel and iron−Determination of vanadium content−N-BPHA spectrophotometric method
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS G 1201 鉄及び鋼の分析方法通則
JIS K 0557 化学分析用の水
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS Z 8402 分析・試験の許容差通則
3. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS G 1201による。ただし,JIS G 1201は,附属書2及び
4には適用しない。
4. 定量方法の区分 バナジウムの定量方法は,次のいずれかによる。
a) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)滴定法 この方法は,バナジウム含有率0.10%
(m/m) 以上6.0% (m/m) 以下の試料に適用するもので,附属書1(規定)による。
b) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)電位差滴定法 (ISO 4947) この方法は,バナジ
ウム含有率0.04% (m/m) 以上2% (m/m) 以下の試料に適用するもので,附属書2(規定)による。
c) −ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミン抽出吸光光度法(1) この方法は,バナジウム含有率
0.005% (m/m) 以上0.50% (m/m) 以下の試料に適用するもので,附属書3(規定)による。
d) −ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミン抽出吸光光度法(2) (ISO 4942) この方法は,バナジウム
含有率0.005% (m/m) 以上0.50% (m/m) 以下の試料に適用するもので,附属書4(規定)による。
――――― [JIS G 1221 pdf 2] ―――――
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G 1221 : 1998
附属書1(規定) 過マンガン酸カリウム酸化硫酸アンモニウム鉄(II)
滴定法
1. 要旨 試料を適切な酸で分解し,硫酸アンモニウム鉄(II)でクロム及びマンガンなどを還元した後,
過マンガン酸カリウムでバナジウムを酸化する。過剰の過マンガン酸を尿素と亜硝酸ナトリウムで分解し
た後,ジフェニルアミンを指示薬として硫酸アンモニウム鉄(II)標準溶液で滴定する。
2. 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸 (1+1)
b) 硝酸
c) 過塩素酸
d) りん酸
e) 王水(塩酸3,硝酸1)
f) 混酸(硫酸3,りん酸13,水14)
g) 塩化ナトリウム
h) ふっ化水素アンモニウム
i) ふっ化ナトリウム
j) 亜硝酸ナトリウム溶液 (30g/l)
k) 硫酸アンモニウム鉄(II)溶液 硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物40gに水約100ml及び硫酸 (1
+1) 100mlを加えて溶解し,水で液量を1 000mlとする。
l) 三酸化二ひ素溶液 三酸化二ひ素0.85gを水酸化ナトリウム溶液 (50g/l) 5mlに溶解し,水50mlを加
える。硫酸 (1+5) で中和し,炭酸水素ナトリウム3gを加えて溶解し,水で液量を1 000mlとする。
m) 過マンガン酸カリウム溶液 (3g/l)
n) 尿素
o) 1/30mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液 硫酸アンモニウム鉄 (II) 六水和物13.1gに水約100ml
及び硫酸 (1+1) 100mlを加えて溶解する。常温まで冷却した後,溶液を1 000mlの全量フラスコに水
を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。この標準溶液のファクターは,使用の都度,次のようにし
て決める。
コニカルビーカー (300ml) に水100ml,硫酸 (1+1) 10ml及び1/30mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 標
準溶液を正確に25ml採り,室温まで冷却した後,0.008mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液(1)で滴定
し,溶液の色が赤紫を呈する点を終点として過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量を求め,次の式
によってファクターを算出する。
F2 V2.1
F=
1
25
ここに, F1 : 1/30mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液のファクター
F2 : 0.008mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液のファクター
V : 0.008mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液の使用量 (ml)
――――― [JIS G 1221 pdf 3] ―――――
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注(1) IS K 8001の4.5(滴定用溶液)の(7)に従って調製及び標定した0.02mol/l過マンガン酸カリウム
標準溶液を,使用の直前にJIS K 0557の3.(種別及び質)の表1に示すA2以上の質の水で正確
に2.5倍に薄める。ファクターは,0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液のファクターを用い
る。
p) ジフェニルアミンりん酸溶液 ジフェニルアミン [(C6H5) 2NH] 1.0gをりん酸100mlに溶解する。
3. 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,附属書1表1による。
附属書1表1 試料はかり採り量
バナジウム含有率 試料はかり採り量
% (m/m) g
0.10以上 3.0未満 1.0
3.0 以上 6.0以下 0.50
4. 操作
参考 警告 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険があ
る。過塩素酸の蒸発処理は,過塩素酸を使用しても安全な排気設備を備えた場所で行わなけれ
ばならない。
4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 混酸に分解容易な試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,混酸30ml及び水20mlを加え,
緩やかに加熱して分解し,さらに硝酸3mlを加えて加熱する。時計皿の下面を水で洗って時計皿を
取り除き,引き続き加熱して硫酸の白煙を発生させる。
2) 放冷した後,水30mlを加え,よく振り混ぜて塩類を溶解し,時計皿で覆い,沸騰するまで加熱す
る。時計皿の下面を少量の温水で洗って時計皿を取り除き,溶液をろ紙(5種A)を用いてろ過し
(2),ろ紙及び不溶解残さを温水で数回洗浄する。ろ液及び洗液を合わせてコニカルビーカー (500ml)
に移し入れ,室温まで冷却した後,水で液量を約200mlとする。残さは捨てる。
注(2) 不溶解残さが認められない場合には,ろ過操作を省略する。
b) 混酸で分解困難な試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,王水20mlを加え,緩やかに加
熱して分解し,さらに混酸30mlを加えて加熱する。時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,
引き続き加熱して硫酸の白煙を発生させる。
2) ) 2)の操作を行う。
c) 銑鉄及び多量のけい素を含む試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,ふっ化水素アンモニウム0.5
1g及び王水50mlを加え,緩やかに加熱して分解し,さらに混酸30mlを加えて加熱する。時計皿の
下面を水で洗って時計皿を取り除き,引き続き加熱して硫酸の白煙を発生させる。
2) ) 2)の操作を行う。
d) タングステン,ニオブ又はタンタルを含む試料
1) ) 1)の操作を行う。
2) 放冷した後,水30ml吸びふっ化水素アンモニウム3g又はふっ化ナトリウム2gを加え,よく振り
――――― [JIS G 1221 pdf 4] ―――――
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G 1221 : 1998
混ぜて塩類を溶解し,時計皿で覆い沸騰するまで加熱する。時計皿の下面を少量の温水で洗って時
計皿を取り除き,溶液をろ紙(5種A)を用いてろ過し(2),ろ紙及び不溶解残さを温水で数回洗浄
する。ろ液及び洗液を合わせてコニカルビーカー (500ml) に移し入れ,室温まで冷却した後,水で
液量を約200mlとする。残さは捨てる。
e) 炭素含有率が高くバナジウムの炭化物などが未分解となるおそれがある試料
1) ) 1)の操作を行う。
2) 少し放冷した後,硝酸5mlを加え,加熱して硫酸の白煙を発生させる。
3) 2)の操作を2,3回繰り返し,バナジウムの炭化物などを分解する。
4) ) 2)の操作を行う。
f) クロムを10% (m/m) 以上含む試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30mlを加え,緩や
かに加熱して大部分の試料を分解する。硝酸5ml及び過塩素酸30mlを加え,加熱して過塩素酸の
白煙を発生させ,クロムを二クロム酸に酸化した後,時計皿をずらして加熱しながら塩化ナトリウ
ム12gを少量ずつ分けて加え,褐色の煙が発生しなくなるまで塩化ナトリウムの添加を繰り返す。
少し放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,引き続き加熱して過塩素酸の残存
量を約5mlとする。
2) 放冷した後,水50mlを加え,よく振り混ぜて塩類を溶解し,溶液をろ紙(5種A)を用いてろ過し
(2),ろ紙及び不溶解残さを温水で数回洗浄する。ろ液及び洗液を合わせてコニカルビーカー (500ml)
に移し入れ,りん酸20mlを加え,室温まで冷却した後,水で液量を約200mlとする。残さは捨て
る。
4.2 バナジウムの酸化 4.1のa) 2),b) 2),c) 2),d) 2),e) 4)又はf) 2)で得た溶液に硫酸アンモニウム鉄
(II) 溶液 [2. k) ] を滴加して二クロム酸を還元し,さらにマンガン含有率1% (m/m) につき2mlを加える。
振り混ぜながら過マンガン酸カリウム溶液を滴加して溶液がわずかに赤紫を呈するようになってから,さ
らに0.51.0mlを加え,数分間放置する。尿素約5gを加え,振り混ぜて溶解した後,溶液を振り混ぜな
がら亜硝酸ナトリウム溶液を1滴ずつ加えて過マンガン酸の赤紫を消失させる。三酸化二ひ素溶液[2. 1) ]
5mlを加え,よく振り混ぜて3分間放置する。
4.3 滴定 4.2で得た溶液に指示薬としてジフェニルアミンりん酸溶液[2. p) ]を正確に0.05ml加えて振り
混ぜ,溶液の色が紫を呈してから,溶液を振り混ぜながら1/30mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液[2.
o) ]で滴定し(3),最後の1滴で紫が消失する点を終点として(4)硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液の使用量
を求める。
注(3) 試料中のバナジウム含有率が0.3% (m/m) 以下の場合には,ミクロビュレットを使用する。
(4) 終点近くでは特に十分に振り混ぜながら滴定する。
5. 空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6. 計算 試料中のバナジウム含有率を,次の式によって算出する。
ここに, V : 試料中のバナジウム含有率 [% (m/m) ]
F1 : 1/30mol/l硫酸アンモニウム鉄 (II) 標準溶液 [2. o) ] のファ
――――― [JIS G 1221 pdf 5] ―――――
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JIS G 1221:1998の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 4942:1988(MOD)
- ISO 4947:1986(MOD)
JIS G 1221:1998の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 1221:1998の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG1201:2014
- 鉄及び鋼―分析方法通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISZ8402:1991
- 分析・試験の許容差通則