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c) 大型付着生物
番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
3001 アオサ類 緑藻綱−アオサ目−アオサ科− Ulva
葉が厚く食料にならず,もっぱ
アオサ属に属する藻類の総称。ら汚損生物として取り扱われて
いる,浅海の岩礁地帯,海洋構
造物,船底などに着生する一年
生藻類で,ナガアオサ,アナア
オサ,ボタンアオサなどがある。
3002 アクチヌラ幼 先端がやや膨らんだ12 mmの
クダウミヒドラ類(ヒドロ虫類) larvae
actinula
生 の幼生。 触手(412本)と径0.5 mm前
後のやや丸い体部とからなる形
をしており,遊泳力はない。基
盤に衝突した際,触手先端から
粘着型の刺胞を発射して基盤に
一次付着する。
3003 イガイ類 軟体動物門−二枚貝綱−翼形亜 Mytilidae
足から足糸を分泌して基盤に付
綱−イガイ目に属する貝類の総着する。イガイ,ムラサキイガ
称。 イ,ミドリイガイ,ムラサキイ
ンコガイ,ホトトギスガイ,カ
ワヒバリガイなどがある。ムラ
サキイガイは食用になるが汚損
生物の代表種としても知られて
いる。
3004 大型汚損生物 汚損生物のなかで成体が肉眼に微小汚損生物の対語。海藻類及macrofouling
よって十分に認識できる生物。び無せき椎動物の大部分が含ま organisms
れ,無せき椎動物の主なものに,
海綿動物,こう(腔)腸動物,
環形動物,触手動物,軟体動物,
節足動物,原索動物などがある。
3005 殻頂期幼生 軟体動物門−二枚貝網に属する発生段階の一時期であり,D型veliconcha larvae
貝類の殻頂部が膨らんだ幼生。幼生の次の時期。殻の頂端部が
この時期に膨らむ。
3006 基盤 その表面が付着生物にさらされ substratum
自然の岩礁のほか,船底,海中
ている物質。 構造物など人工構築物が付着生
物の付着基盤となる。
3007 キプリス幼生 フジツボ類の付着期幼生。 体長は0.51 mm程度。体の外 cypris larvae
側は二枚貝様の透明な背甲から
なる。体の後半部から胸肢を出
し,水を蹴って遊泳する。体の
前半部には付着器官を備えた第
一触角があり,この付着器官か
ら接着セメントを分泌して基盤
に付着する。付着後,背甲を脱
ぎ捨て,幼フジツボへと変態す
る。
3008 生物検定法 生物の生死及び発育・成長に対 bioassay method
水生生物では,一般に半数致死
する化学物質の作用を定量的に濃度を求める。
測定するために生物自体の反応
を標識として用いる方法。
――――― [JIS H 7901 pdf 6] ―――――
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H 7901 : 2005
番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
3009 足糸 二枚貝類において,足のほぼ中 byssus
主成分はコンキオリンで,これ
央の足糸孔から出る硬たん白質によって水中の基盤に貝の体を
の強じんな繊維の束。 固着させる。足糸せん(腺)か
ら分泌された分泌物が海水と触
れ硬化して足糸となる。
3010 探索行動 付着生物の幼生が付着に適したフジツボのキプリス幼生は付着exploratory
基盤を探る行動。 behavior
基盤に到達するとほふく,停止,
探索などの探索行動を繰り返し
行い,到達した場所が定着に適
した場所か否かを調べる。探索
した場所が不適な場合には再び
泳ぎ出て別の場所を捜し求める
が,好適であった場合には基盤
表面をほふくしながら移動し,
方向転換と停止を繰り返し,気
に入った地点で停止した後,付
着・変態する。
3011 D型幼生 軟体動物二枚貝類の初期ベリジトロコフォアの背部に生じた殻D-shaped veliger
ャー幼生。 せん(腺)から分泌される左右larvae
2枚の貝殻がちょうど軟体部を
覆い尽くすころ,幼生の外観が
D字形になるのでこの名があ
る。
3012 トロコフォア 環形動物,軟体動物及び星口動体はほぼ球形,こま状,鈴状なtrochophore larvae
幼生 物の原腸胚期に続く浮遊性の幼どで,その腹面中央に口があり,
生。 体表全体の繊毛と繊毛環の繊毛
との運動によって水中を遊泳す
る。
3013 ノープリウス 甲殻類の初期幼生。 3対の付属肢をもち,これを振 nauplius larvae
幼生 り動かして浮遊・遊泳及び摂食
を行う。体の前端にノープリウ
ス眼をもつ。脱皮によって成長
し,変態して次の発生段階にな
る。フジツボ類では,ノープリ
ウスI期からVI期を経た後,キ
プリス幼生へと変態する。
3014 ヒドロ虫類 刺胞動物門−ヒドロ虫綱に属す付着性のポリプ型と浮遊性のクHYDROZOA
る生物の総称。 ラゲ型とがあり,各々ヒドロポ
リプ,ヒドロクラゲと呼ばれる。
ヒドロポリプは一見美しい草花
のような外見を示し,触手をも
ったヒドロ花と呼ばれる部分で
動物プランクトンを捕食し,ヒ
ドロ根で基盤に付着する。幼生
にはプラヌラ型とアクチヌラ型
とがある。
――――― [JIS H 7901 pdf 7] ―――――
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番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
3015 フジツボ類 節足動物門―甲殻綱―つる(蔓) BALANOMORPH
円すい形をした石灰質の硬い殻
脚亜綱−フジツボ亜目に属するをもつ。一般に雌雄同体で,通 A
生物の総称。 常は他家受精を行う。殻口から
つる(蔓)脚を出してプランク
トンを摂食する。様々な基盤に
付着し,ムラサキイガイと並ぶ
汚損生物の代表である。
3016 ベリジャー幼 軟体動物(頭足類を除く。)のト veliger larvae
トロコフォア幼虫の口前繊毛環
生 ロコフォア幼虫に続く幼生。 の部分が,左右相称的に翼状の
薄い膜,すなわち面盤となって
突出し,その表面の繊毛の運動
によって水中を遊泳する。
3017 ポリプ 刺胞動物の付着生活期のものの単体性のものと群体性のものとpolyp
総称。 がある。体の基本構造は円筒形,
上端に口,その周辺に触手があ
り,この触手で動物プランクト
ンなどを捕らえて捕食する。群
体性のポリプでは,走根を伸長
して基盤を覆うように付着す
る。
d) 化学的及び物理的防汚方法
番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
4001 亜鉛板法 腐食させることによって藻類, zinc plate method
ちょう(貼)布法としては,裏
大型付着生物などの付着を防止面に塗布した接着剤によるも
する方法。 の,裏面にはりあわせた磁石に
よるもの,亜鉛溶射によるもの
などがある。
4002 温水処理法 水の温度を上昇させることによ thermal treatment
定期的に温排水を取水路に再循
って大型付着生物を死滅させる method
環させ系統水を昇温させる方法
処理。 が採用されている。系統水に蒸
気を吹き込んだりして昇温させ
る方法もある。
4003 干出法 空気に暴露することによって大10 ℃以上では温度が高い方がdry up method
型付着生物を死滅させる処理。死に至るまでの時間は短い。加
熱空気を送風して加速する方法
もある。
4004 紫外線照射法 紫外線照射によって微生物,幼 ultraviolet light
大型付着生物の付着防止には,
生の付着を防止しようとする方 irradiation
幼生を殺すのに必要な照射量よ
法。 method
りも遥かに少ない照射量で効果
がある。付着されたら困る壁面
を照射する方法と水中の幼生に
対して照射する方法とがある。
4005 磁場処理法 海水を磁場の中で流すことによ magnetic treatment
永久磁石で効果がみられたとの
って幼生の付着を防止しようと報告は見当たらない。 method
する方法。
――――― [JIS H 7901 pdf 8] ―――――
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番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
4006 淡水処理法 淡水に暴露することによって大 Freshwater
この原理を用い,系統水を淡水
型付着生物を死滅させる処理。にはりかえる方法が考えられる treatment
method
が,殺すには相当長時間を要す
る。
4007 超音波法 周波数が20 kHz以上の超音波 ultrasonic wave
大型付着生物の付着防止には幼
(JIS Z 2300)の照射によって微 method
生を殺すのに必要な照射量より
生物,幼生の付着を防止する方も少ない照射量で効果がある。
法。 付着されたら困る壁面の裏に発
信器を取り付ける方法と水中に
発信器を投入する方法とがあ
る。
4008 鉄板法 鉄板を腐食させることによって steel plate method
電流を鉄板に流して腐食量を調
幼生の付着を防止する方法。 節する。
4009 電気伝導性表 電気伝導性塗料などによって電 Electrically
伝導性表面に電気を流し,電解
面 気伝導性を付与した壁面表面。で塩素を発生させる方法によっ conducting
て殺菌,幼生付着防止などに用 surface
いる。
4010 銅及び銅合金 銅及び銅合金を用いて微生物, copper &
銅は海水中で孔食を生じるので
法 幼生などの付着を防止する方 copper alloy
銅合金が用いられ,10 %キュプ
法。 method
ロニッケルが一般的である。淡水
の藻類対策としては接着剤付き
の銅箔又は銅板も用いられる。
電解で銅イオンを供給する方
法,銅粉を含んだ塗料などもあ
る。
4011 レーザ法 主レーザ(JIS C 6801)の照射に laser method
消費電力のレーザのエネルギー
よって幼生の付着を防止する方への転換効率を大きくするのが
法。 課題である。
e) 塗料
番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
5001 拡散型塗料 バインダである塩化ゴム及びロ diffusion paint
ロジンの作用で侵入した海水に
ジン並びに防汚剤を塗膜の主成防汚剤が溶け,防汚剤は塗膜中
分とする防汚塗料。 を拡散しながら海水中に溶出す
る。自己研磨型塗料が出現する
まで,最も高性能な防汚塗料で
あった。
5002 自己研磨型塗 塗膜中のバインダが海水によっ self-polishing paint
塗膜の研磨量に比例して防汚剤
料 て加水分解を受け,塗膜表面かが徐放され,拡散型塗料よりも
ら研磨するタイプの防汚塗料。長期間,防汚性が持続する。ま
た,塗膜表面が平滑になり,船
舶の航行燃費低減効果も生まれ
る。従来はバインダとして有機
すずポリマーが使用されていた
が,環境汚染から規制され,近
年新しいバインダが開発されて
いる。セルフポリッシング塗料
ともいう。
――――― [JIS H 7901 pdf 9] ―――――
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H 7901 : 2005
番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
5003 シリコーン系 シロキサン結合を繰返し単位と silicone biofouling
比較的低重合度のオイル(シリ
防汚塗料 し,アルキル基又はアリール基コーンオイル)を添加した系もreleased paint
で,置換した有機けい素化合物ある。シリコーンのはっ(撥)
(シリコーン)の架橋体(シリ水性及びゴムの柔軟性の効果で
コーンゴム)を主剤とする防汚生物が付着しにくく,また,付
塗料。 着しても容易に脱落する。導水
管及び船底に使用される。
5004 浸せき試験 海上のいかだ(筏)から海中に immersion test,
試験片を垂下するなどして,経 raft test
時的にその汚損を調査して供試
表面の防汚性を評価する試験。
参考 JIS K 5630参照
5005 船底防汚塗料 船底の生物汚損を防止するためバインダの種類で拡散型塗料 ship bottom
に塗布される主にバインダ,防 anti-fouling paint
(塩化ゴム系防汚塗料),自己研
汚剤,溶剤などからなる塗料。磨型塗料がある。いずれの塗料
も防汚剤の溶出によって生物の
付着を防止している。近年,電
気伝導性表面による防汚塗料も
出現した。船底2号塗料ともい
う。
5006 防汚塗料 生物付着による汚損を防止する anti-fouling paint
船底(船底防汚塗料)のほか,
ために塗布される塗料。 発電所の導水管,漁網などにも
使用されている。
f) 腐食・腐食対策
番号 用語 定義 参考 対応英語(参考)
6001 かい(潰)食 材料の表面皮膜が,水の流れに impingement
伴って起こるせん断応力によっ attack
て直接的にはく離され,又は水
中に混入してくる物体の衝突に
よる物理的な力によって破壊さ
れ,その結果金属面が露出し,
その部分が加速的に腐食される
現象。
6002 デポジット・ 1) 材料表面に砂などの異物 deposit attack
2)は1)と区別するために,“い
アタック が付着した場合に,その わゆるデポジット・アッタック”
付着位置の直下に生じる ということもある。また,銅合
腐食。 金ではフジツボなどの付着位置
2) 銅合金では異物閉そく部 直下の硫化物による粒界腐食
の下流で発生する高せん を,“もう一つのデポジット・ア
断応力によって発生する タック”という場合もある。
かい(潰)食。
6003 微生物誘導腐 土壌又は水中にせい息する微生 micro bial induced
微生物は材料腐食の原因ではな
食 物によって誘起される腐食の加く,腐食を誘導する。 corrosion
速。
――――― [JIS H 7901 pdf 10] ―――――
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JIS H 7901:2005の国際規格 ICS 分類一覧
- 07 : 自然科学及び応用科学 > 07.080 : 生物学.植物学.動物学
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.07 : 自然科学及び応用科学(用語集)