JIS K 0060:1992 規格概要
この規格 K0060は、産業廃棄物を対象とする各種試験の実施に当たり,ロットの平均性状を決定するために必要なサンプリング方法,試料の縮分方法の一般的事項について規定。
JISK0060 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K0060
- 規格名称
- 産業廃棄物のサンプリング方法
- 規格名称英語訳
- Sampling method of industrial wastes
- 制定年月日
- 1976年8月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 13.030.01
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 環境測定 II 2021
- 改訂:履歴
- 1976-08-01 制定日, 1979-10-01 確認日, 1984-10-01 確認日, 1989-12-01 確認日, 1992-03-01 改正日, 2000-12-20 確認日, 2007-02-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS K 0060:1992 PDF [22]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 0060-1992
産業廃棄物のサンプリング方法
Sampling method of industrial wastes
1. 適用範囲 この規格は,産業廃棄物(以下,廃棄物という。)を対象とする各種試験の実施に当たり,
ロットの平均性状を決定するために必要なサンプリング方法,試料の縮分方法の一般的事項について規定
する。
備考1. この規格でいう産業廃棄物とは,汚泥,鉱さい,廃酸,廃アルカリ,燃えがら,ばいじん,
廃棄物をコンクリートで固形化したもの(以下,コンクリート固形化物という。)などをいう。
2. 上記以外の産業廃棄物及び一般廃棄物で形状が類似しているものについても準用できる。
3. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS M 8100 粉塊混合物のサンプリング方法通則
JIS Z 8101 品質管理用語
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8801 標準ふるい
2. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,JIS Z 8101によるほか,次による。
(1) ロット 各種の試験を行うときに,ほぼ同一性状・成分とみなせる同一発生源の廃棄物。ロットを構
成する廃棄物の量をロットの大きさという。ただし,これらが混合されたものをサンプリングする場
合は,混合されたもの全体を1ロットとする。
(2) 副ロット 必要に応じてロットを適当な量に分けたもの。副ロットを構成する量を副ロットの大きさ
という。
(3) インクリメント ロット又は副ロットから試料採取器によって,原則として1動作で採取した単位量
の廃棄物。インクリメントの量を,インクリメントの大きさという。
(4) 小口試料 数個のインクリメントを集めた廃棄物。必要に応じてインクリメントを個々に粉砕,縮分
した後にこれらを数個集めたものを小口試料ということもある。
(5) 大口試料 1ロットの平均性状を求めるために1ロットから採取したインクリメント又は小口試料全
部を集めたもの。必要に応じて,インクリメントごと又は小口試料ごとに,粉砕,縮分した後に集め
たものを大口試料ということもある。
(6) 縮分 集合体からサンプルをとる場合,集めたサンプルから,徐々に量を減らして測定用試料を作る
操作。
(7) 試料調製 ロットから採取した試料を粉砕,縮分し,又はある液量から一部分をとり,分析試料又は
水分測定試料を作製する操作。
(8) 分析用試料 ロットの成分の平均性状を測定する目的で,採取した試料。
(9) 水分測定用試料 ロットの平均水分又は固形分質量比を測定する目的で,採取した試料
――――― [JIS K 0060 pdf 1] ―――――
2
K 0060-1992
(10) ランダムサンプリング ロットを構成する廃棄物の単位量が,いずれも同じ確率で試料中に入るよう
に試料をとる方法。
(11) 系統サンプリング ロットの移動中に量的,時間的又は空間的に,一定間隔で試料を採取する方法。
この場合,ロットの大きさを採取個数で除した値未満の整数値をもって採取間隔とする。最初の採取
間隔量の中からランダム(1)に選び,第1インクリメントを採取し,以後,規定の採取間隔でインクリ
メントを逐次採取する。
例 系統サンプリングの一例
最大粒度20mmの100tの鉱さいが,コンベヤで運ばれているときには,次のように系統サンプ
リングを行う。
表2によって30インクリメント以上を採取することが必要である。したがって,インクリメン
ト採取間隔は,
100
3.3≒3 t
30
乱数表によって,30の中から一つの線を引き16を得た。したがって,最初のインクリメント
を1.6t目に,以後,3t間隔で,4.6,7.6······91.6,94.6,97.6t目に,それぞれ1インクリメントず
つ採取する。この場合には,33インクリメントをとることになる。
注(1) 乱数表などによって決める。
(12) 二段サンプリング ロットを幾つかの部分(一次サンプリング単位)に分け,まず第一段として,そ
の幾つかの部分をランダムサンプリングし,次に,第二段として,その中からそれぞれ幾つかのイン
クリメント(二次サンプリング単位)を,ランダムにサンプリングする方法。
例 二段サンプリングの一例 (ロットが,多くのトラック,ドラム缶・袋などの容器又はコンクリ
ート固形化物で構成されている場合)(図1参照)
図1 二段サンプリングの一例
ドラム缶に入ったばいじんなどが25個あるときに,表3によって6個のドラム缶をとり,ドラ
ム缶に番号を付け,乱数表を用いて,1,3,11,13,19,25が得られれば,その番号のドラム缶
を一次サンプリング単位として抜きとる。次に,抜きとった6ドラム缶から,表1によって15ml
以上のスコップを用いて,ランダムに2インクリメントずつ,計12インクリメントを採取する。
(13) 層別サンプリング ロットを幾つかの副ロット(層)に分け,それぞれの副ロットからインクリメン
トをランダムサンプリングする方法。通常,層の大きさ(量)に比例してサンプリングする。これを
層別比例サンプリングという。
例 層別サンプリングの一例 5tトラックと,3tトラックに,計8t,1ロットのばいじんが積載され
ている場合,2台のトラック,すなわち二つの層があることになり,表2によって14インクリメ
ントを採取することが必要である。
5 3
5tトラックからは(表3,備考1.参照)148
7.8 →9インクリメント,3tトラックからは,14
8
2.5
――――― [JIS K 0060 pdf 2] ―――――
3
K 0060-1992
→6インクリメント。したがって,5tトラックからはランダムな場所と深さから15ml以上のスコ
ップを用いて9インクリメント,3tトラックからは,同様にして6インクリメントを採取し,こ
の15インクリメントを集めて大口試料とする。
(14) ストックパイル[たい(堆)積物]サンプリング ストックパイルのランダムな場所,ランダムな深
さからインクリメントを採取する方法。
(15) 容器サンプリング ロットが,袋,ドラム缶,タンク,その他の容器に入っている場合,それらの容
器からインクリメントを採取する方法。この方法は,(18)に準じる。
(16) パイプサンプリング ロットがパイプ,溝などを流れている場合,その落ち口,流れなどからインク
リメントを採取する方法。
(17) コンベヤサンプリング ロットがコンベヤで運ばれている場合,コンベヤ上又はその落ち口からイン
クリメントを採取する方法。ホッパーに入っている場合も,これに準じ,ホッパーから出しながらイ
ンクリメントを採取する。
(18) 車両サンプリング ロットがトラック又は貨車などに積まれている場合,トラック,貨車などから荷
役中にインクリメントを採取する方法。
(19) コンクリート固形化物サンプリング コンクリートを固形化しようとする廃棄物について,試験片を
作製し,これをインクリメントとして採取する方法,又はコンクリート固形化物を一次サンプリング
し,これを粉砕してインクリメントを採取する方法。
(20) 船倉サンプリング ロットが船積みされている場合,荷役中に船倉又は荷役用具からインクリメント
を採取する方法。
(21) 誤差 測定値と真の値との差。
(22) 精度 ばらつきの程度。例えば,標準偏差で表す。精密度ということもある。
(23) 偏り 測定値の分布の中心(平均値)と真の値との差。
(24) 最大粒度 ふるい残留率がほぼ5%に相当するふるい目の大きさ。
この規格におけるふるい目の大きさは,原則としてJIS Z 8801による。
(25) 試料の兼用 試料を分割して2種類以上の特性の測定に使用すること。
3. 一般事項
3.1 サンプリング方法の概要 ロットの状況と荷役設備に応じて4.によってサンプリングの種類を定め,
インクリメントを採取し,大口試料又は小口試料を作る。次に5.によって試料の縮分を行う。
備考1. サンプリング方法を決定する場合に非常に重要なことは,これまでの経験的,技術的知識で
ある。廃棄物が排出される工程が管理状態にある場合には,サンプリングは簡単になるが,
工程のばらつきが大きかったり,ロットの履歴がはっきりしていない場合には,サンプリン
グは難しいし,慎重を要する。すなわち,サンプリングの前に廃棄物が排出される工程の日
常の状況を把握しておくことが大切である。
2. サンプリング精度をよくするには,この規定に示すインクリメント採取個数を増加するか、
インクリメントの大きさを大きくするとよい。一般にインクリメントの大きさを大きくする
より,採取個数を増加したほうが精度がよくなる。
3. 試料調製の精度をよくするには,固体の場合には,粉砕してなるべく最大粒度を小さくして
からよく混合して,縮分するとよい。
3.2 試料の取扱い
――――― [JIS K 0060 pdf 3] ―――――
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3.2.1 試料容器 採取した試料を入れる容器は,試料の全量が入り,清浄で,丈夫で,かつ確実にふた又
は封ができるものでなければならない。特に,汚泥の試料容器としては,サンプルの変質や吸着がない材
料を用い,気密なもので水漏れや吸湿性がなく,水分が揮散せず,内面が腐食しないものであること。
備考1. 水分測定用試料容器としては,かます,麻袋,木箱などは不適当である。
2. 汚泥や,廃酸,廃アルカリの場合には,サンプルが変質する可能性があるから,プラスチッ
ク製,ガラス製容器などを選定するときには,注意しなければならない。
3. 試料容器からのサンプリング誤差が,かなり大きくなるので,容器から試料を採取する場合
には,十分に混合しなければならない。
3.2.2 試料の兼用 採取直後に試験に着手することが可能な場合には,分析用試料を水分測定用試料とし
て兼用することができる。
3.2.3 試料の包装及び表示 調製試料は密封して送付,配布又は保管する。包装には原則として,次の項
目を表示する。
(1) 品名及びロット名
(2) ロットの大きさ
(3) 試料採取の場所
(4) 試料採取の年月日(時刻,天候など)
(5) 試料番号
(6) 試料採取責任者名
(7) 試料採取方法
(8) 試料調製者氏名
(9) 試料調製の年月日
(10) その他必要事項
3.2.4 試料の送付及び保管
(1) 試料を送付する場合は,試料容器を密封し,容器が破損したり,気密が破れたり,異物が混入したり
しないように丈夫な包装をし,3.2.3の試料の表示をする。この場合,表示が損傷しないようにすると
ともに,同様のラベルを試料容器の中にも入れておくことが望ましい。
試料を保管するときは,原則として密封し,温度,直射光線,水分などの影響のないように保管場所
に注意しなければならない。保管中に変質又はガスが発生するおそれのある試料は,速やかに試料調
製を行わねばならない。
また,揮発性化学物質を試験対象とする試料については,遮光し,010℃に保冷して送付及び保管
することが望ましい。
(2) 水分測定用試料は,試料容器に入れて密封して,送付する。
3.2.5 試料取扱い時の注意 試料の採取及び試料の調製に際しては,使用する機械・器具を十分に清掃す
るなどして,試料に異物が混入することを防ぎ,また,試料が変質しないように注意する。
3.3 安全
(1) 槽,管,マンホール,溝,ピット,タンク,船倉などでサンプリングを行う場合には,酸素欠乏又は
硫化水素などの有害ガスに注意して作業をすること。
(2) 皮膚を露出しない服装とし,安全帽,安全靴などを着用し,危険防止に努めること。
(3) 試料の送付及び保管中に試料の酸化,爆発などが考えられる試料については,危険のないように安全
対策を行い,速やかに各種の廃棄物試験を実施すること。
――――― [JIS K 0060 pdf 4] ―――――
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(4) 試験終了後,試料の廃棄による二次公害を起こさないように配慮すること。
3.4 数値の丸め方 JIS Z 8401による。
4. サンプリング
4.1 サンプリングの種類 ロットの状態に応じ,次のサンプリング方法が考えられる。
4.1.1 ストックパイル[たい(堆)積物]サンプリング
(1) ストックパイルのランダムな場所のランダムな深さからインクリメントを採取する。ランダムに場所
を選んで,ボーリング機械で底までボーリングして,その全量を1インクリメントとしてもよい。
(2) インクリメントの採取個数は,表2による。ただし,底までボーリングしてその全量を1インクリメ
ントとした場合は,表2の最小必要個数の21でよい。
備考1. ストックパイルを場所別,上下別などに層別して,層別比例サンプリングするとよい。
2. 静止状態で,ロットの表面からだけインクリメントを採取した場合には,原則として,ロッ
トの平均性状を代表した試料とは認められない。ただし,やむを得ずこのように採取をした
試料はトップサンプルといい,略号 (T. P. ) を付記しなければならない。
3. 試料をロットの最大粒度に応じた試料採取器を用い,上・中・下の各層のランダムな位置か
ら採取した場合は,略号 (T. P. ) は付記しなくてもよい。
例 例えば,2tの汚泥が山積みされている場合には,次のようにしてインクリメントを採取する。
まず,山をほぼ同じ高さになるように平らにする。表2によってインクリメントの最小必要
採取個数は10であるから,山の高さが1m以下の場合には,この山を5等分して,その各区
分のランダムに選んだ場所から,上層から1個,下層から1個,計5×2=10個のインクリメ
ントを採取する。(図2参照)
図2 ストックパイルサンプリングの一例
山の高さが1mを超える場合には,例えば,4等分し,各区分のランダムに選んだ場所から,
上・中・下層に分け,各層から1個,計4×3=12個のインクリメントを採取する。
4. ストックパイルのまま採取することは,偏りが入りやすく困難を伴うことが多いから一般的
には移動中に,すなわち,ストックパイルを作製中に,又は取崩し中に,他のサンプリング
方法で採取した方がよい。採取管の使用については,4.2.1の備考4.参照。
4.1.2 容器サンプリング又は車両サンプリング ロットが容器,トラック,貨車,タンクなどに入ってい
る場合,層別サンプリング方法又は二段サンプリング方法によってインクリメントを採取する。
(1) 原則として,荷役中に新しく現れた面のランダムに定められた位置からインクリメントを採取する。
(2) 荷役中に,落下中の廃棄物から系統サンプリングによって,インクリメントを採取してもよい。
ただし,偏りの入らないように注意し,チェック実験を行っておく。
――――― [JIS K 0060 pdf 5] ―――――
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JIS K 0060:1992の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.030 : 廃棄物 > 13.030.01 : 廃棄物一般
JIS K 0060:1992の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISM8100:1992
- 粉塊混合物―サンプリング方法通則
- JISZ8101:1981
- 品質管理用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8801:1994
- 試験用ふるい